ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝は確定申告に向けた業種別事業所得の計算の注意点第十弾としまして、コンサルティング業について整理して行きたいと思います。



フリーランスでコンサルやられている方も増えてきていますもんね。



コンサルタントにとって、時間は最も貴重な資産です。しかし、毎年2月から3月にかけて、膨大な領収書の整理や複雑な税務判断に忙殺され、本来の業務である価値提供が阻害されてはいませんか?クライアントの経営課題を鮮やかに解決するプロフェッショナルであっても、自身の「確定申告」となると、つい後回しにしたり苦手意識を感じたりする方は少なくありません。しかし、コンサルタント業は在庫を持たない無形サービスであるがゆえに、「1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な業種」として、例年税務調査の重点対象となっております。
せっかく積み上げた利益を、知識不足によるペナルティで失うのはあまりに大きな損失です。本記事では、コンサルタント特有の源泉徴収の仕組みや、税務署に否認されないための経費計上の鉄則を徹底解説します。プロとして「攻め」のビジネスを展開するために、まずは「守り」の税務を完璧に整えましょう。
【コンサルティング業編】
1.事業所得とは?(おさらい)
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業から生ずる所得を指します。個人事業主やフリーランスが自ら独立し、営利を目的として反復・継続して行う業務から得られる所得がこれに該当します。
事業所得の概要と計算方法は以下の通りです。
1. 事業所得の計算方法
事業所得の金額は、1年間の売上からその収入を得るためにかかった経費を差し引いて算出します。
事業所得 = 総収入金額(売上) - 必要経費
- 総収入金額
1月1日から12月31日までに発生した売上の合計額です。入金された時点ではなく、商品を引き渡したりサービスを提供したりして取引が成立した時点を基準に計上します(発生主義)。 - 必要経費
売上原価(仕入代金など)のほか、地代家賃、給料賃金、減価償却費、通信費、旅費交通費、広告宣伝費など、事業を営むうえで直接必要となった費用が含まれます。



事業所得については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の事業所得の基礎知識について
2. 事業所得と他の所得との区分
特に「雑所得」や「給与所得」との違いに注意が必要です。
- 雑所得との違い
事業所得として認められるには、営利性・有償性があり、反復継続して遂行する意思があること、また社会的地位が客観的に認められる規模であることが求められます。規模が小さく、副業や趣味の範囲にとどまる活動による所得は、通常「雑所得」に分類されます。 - 給与所得との違い
雇用契約に基づき、雇用主の指揮命令に従って提供した労務の対価として受けるものは給与所得となります。事業所得は、自己の責任と計算において独立して営まれるものです。



事業所得か業務に係る雑所得かは、活動が社会通念上「事業」といえる程度かどうか等で判断されます。
また、所得税基本通達では、帳簿書類の保存の有無や収入規模等を踏まえた整理も示されています。



委託契約か雇用契約かの判断基準はこちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】給与と外注費(業務委託費)の判断基準について
3. 税金の仕組み
事業所得は、原則として他の所得(配当所得や不動産所得など)と合算して税額を計算する総合課税の対象です。 また、事業所得をベースとして以下の税金が課されます。
- 所得税
事業所得から所得控除を差し引いた「課税所得金額」に累進税率を適用して計算します。 - 個人事業税
コンサルタント業などの法定業種に該当し、年間の事業所得が290万円を超える場合に、その超えた部分に対して課されます(一般的には5%)。 - 住民税
前年の所得を基に市区町村などが計算し、納税します。
4. 青色申告による特典
事業所得がある方が「青色申告」を選択し、一定の帳簿付け(複式簿記)を行うことで、強力な節税メリットを受けることができます。
- 青色申告特別控除
所得金額から最高65万円(または55万円、10万円)を差し引くことができます。 - 純損失の繰越
赤字が出た場合、その損失を翌年以後3年間繰り越し、将来の黒字と相殺できます。 - 青色事業専従者給与
一定の要件の下、家族に支払った給与を全額経費として計上できます。 - 少額減価償却資産の特例
30万円未満の備品(PCなど)を、購入した年に一括で経費にできます。



青色事業専従者給与については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】家族に給与を出すなら必見!青色事業専従者給与の基礎知識について
2.コンサルティング業の収入
コンサルティング業における収入(売上)は、主に自身の知識や経験を資本として提供するアドバイスや助言、実務支援に対する報酬によって構成されます。
具体的にどのようなものが収入になるのか、その種類や区分、計上のタイミングについて詳しく解説します。
1. 報酬体系による収入の種類
コンサルティング業の収入は、契約形態や報酬の支払い方によって主に以下の種類に分けられます。
- 定額報酬(顧問料)
顧問契約などを締結し、毎月決まった金額を定期的に受け取る報酬です。経営相談や継続的なアドバイスを提供する場合に一般的です。 - プロジェクト報酬(スポット報酬)
特定のプロジェクト単位で請け負う単発の報酬です。要件定義や戦略立案など、完了期限がある業務に対して支払われます。 - 成功報酬(成果報酬)
あらかじめ設定した「Aという結果を出した時点」などの成果目標を達成した際に発生する報酬です。 - 付随費用の精算分
コンサルティング業務のために支出した旅費交通費や通信費などの実費を、クライアントに請求して受け取る金額も収入に含まれます。



なお、交通費・宿泊費等について、支払者が交通機関やホテル等へ直接支払った通常必要な範囲のものは、源泉徴収の対象となる報酬・料金等に含めなくてよい取扱いがあります。
2. 収入の対象となる具体的な業務内容
法律上(所得税法等)では、コンサルタントは「企業診断員」などの項目に含まれることが多く、以下のような業務への対価が収入となります。
- 経営の調査・診断・指導
企業の状況を調査・診断し、経営改善や向上のための指導を行う業務。 - マーケティング・集客支援
売上向上のためのマーケティング手法の提案や、SEOコンサルティングなど。 - 業務効率化・コスト削減
業務フローの見直しや労務管理、コストカットのアドバイス。 - ブランディング戦略
企業のブランド価値を高めるための戦略立案。 - IT・DX支援
ITシステムの要件定義や実装管理、デジタル化の推進支援。
3. 税務・会計上の所得区分
受け取った収入は、その業務の性質や継続性によって、確定申告時に以下のいずれかの所得として扱われます。
- 事業所得
営利目的で、独立して反復継続的に行っている業務から生ずる所得です。専業のコンサルタントや、一定の規模で継続している副業の場合はこちらに該当し、青色申告の特典を受けることが可能です。 - 雑所得
副業として単発で行うスポットコンサルや、事業と呼べるほどの規模や継続性がない業務から生ずる所得です。
4. 収入を計上するタイミング(収益認識基準)
コンサルティング業において、いつの時点の売上とするかは非常に重要です。原則として「入金された日」ではなく、「役務(サービス)の提供を完了した日」を基準とします。
- 役務完了基準(原則)
契約したサービス内容をすべて提供し終えた時点で収入を計上します。 - 部分完了基準
長期間の契約などで、一部の業務が完了した段階でその分を請求・確定できる場合は、その部分ごとに収入を計上します。 - 前受金の扱い
サービス提供前に代金を受け取った場合、その時点では「売上」ではなく「前受金(負債)」として処理し、実際にサービスを提供したタイミングで売上(収入)に振り替える必要があります。
5. 源泉徴収について
個人のコンサルタントが報酬を受け取る際、支払者(法人等)が所得税を源泉徴収(天引き)してから入金するケースが多くあります。これは「企業診断員」の業務が源泉徴収の対象と定められているためです。確定申告の際は、この天引きされた税額を適切に報告することで、払いすぎた税金の還付を受けられる場合があります。



所得税の源泉徴収の対象となる「企業診断員」には、中小企業診断士だけでなく、企業の求めに応じて状況の調査・診断や経営改善等の指導を行う者(経営コンサルタント等)も含まれるとされています。
3.コンサルティング業の売上原価と棚卸
コンサルティング業は、自身の知識や経験を資本とする「無形サービス」を提供するため、一般的な小売業や製造業のような物理的な「商品の仕入れ」はほとんど発生しません。しかし、会計や税務において「売上原価(仕入)」や「棚卸」の概念は存在し、特に役務の提供期間が年をまたぐ場合には適切な処理が求められます。
以下に、コンサルティング業における売上原価と棚卸の処理、および実務上のポイントを詳しく説明します。



前提として、通常のコンサル(顧問・助言中心)では棚卸や仕掛品は実務上ほぼ出ないことが多いです。該当がない場合には、この章は飛ばしてください。
1. コンサルティング業における「売上原価(仕入)」
コンサルティング業において、売上を得るために直接要した費用が売上原価に該当します。
- 外注費
最も一般的な売上原価(仕入)です。特定のプロジェクトの一部を外部のコンサルタントや専門家、協力会社に委託した場合の費用が該当します。 - 直接人件費
従業員を雇っている場合、そのプロジェクトに直接従事した工数分の給与などを原価として計上することがあります。 - 付随費用
プロジェクトを遂行するために直接必要となった旅費交通費や通信費なども、実務上は原価的な性質を持ちます。
会計・税務上の処理
- 勘定科目の選択
一般的には「外注費」や「支払手数料」が使用されます。一度決めた勘定科目は「継続性の原則」に基づき、毎期継続して使用する必要があります。 - 源泉徴収の注意
個人のコンサルタントへ外注費を支払う場合、支払側が源泉徴収義務者であれば、所得税(原則10.21%)を天引きして「預り金」として処理する必要があります。



1回(1ヶ月)の支払額が100万円を超える場合には、その超える部分の税率は20.42%となります。コンサルティング報酬は高額になるケースがあるためご注意ください。
2. コンサルティング業における「棚卸」
物理的な在庫を持たないコンサルティング業において、棚卸の対象となるのは主に以下の2点です。
- 仕掛品(未完了の役務)
期末時点でプロジェクトが完了しておらず、売上として計上できないものの、そのプロジェクトのために既に支出した外注費などの原価は、当期の費用ではなく資産計上(棚卸)し、翌期以降の売上に対応させなければなりません。 - 未使用の消耗品
年末(期末)において、業務のために購入したが未使用のまま残っている事務用品や備品などは、棚卸資産(貯蔵品など)として処理し、経費から除外します。



未使用消耗品は貯蔵品として、未提供の外注は前払費用として、資産計上する必要があります。
3. 会計・税務処理の重要ルール(収益認識基準)
売上原価と棚卸を正しく処理するためには、売上(収益)をいつ計上するかが極めて重要です。
- 役務提供完了基準(原則)
収益は「入金日」ではなく、「サービスの提供を完了した日」に計上します。 - 前受金の処理
サービス提供前に報酬を受け取った場合、入金時は「売上」ではなく「前受金(負債)」として処理し、役務を消化したタイミングで売上に振り替えます。 - 費用収益対応の原則
売上を計上した期に、その売上を得るために要した原価(外注費など)を対応させて計上する必要があります。
4. 実務上のポイントと注意点
- 契約内容の明確化
「どの時点で役務完了(請求権発生)とするか」を口約束ではなく契約書に明記しておくことが、税務調査対策として重要です。 - 前受金の管理
顧問料を年払いで受ける場合などは、当期分と翌期分を月数で按分して管理する必要があり、実務上は非常に煩雑になります。 - 税務調査での指摘リスク
コンサルティング料は「目に見えないサービス」であるため、実態のない架空契約や架空外注費を疑われやすい項目です。これを防ぐため、以下の資料を備え付けておく必要があります。
◦ 成果物(レポート、分析データ、議事録など)
◦ 打ち合わせ記録(いつ、誰と、何の目的で会ったかの証拠)
◦ 支払金額の妥当性を証する資料(相場との比較など)



適切に棚卸を行い、売上と原価を正しく対応させることは、単なる節税だけでなく、経営状態をリアルタイムで正確に把握することにも繋がります。
4.コンサルティング業の経費
コンサルティング業において経費として認められるのは、原則として「事業の運営や売上の獲得に直接必要な費用」です。コンサルタントは自身の知識や経験を資本とするため、物理的な仕入れが少ない一方で、自己研鑽や情報収集、人脈形成に関連する支出が多くなるのが特徴です。
具体的にコンサルティング業で経費にできる主な項目は以下の通りです。
1. 事務所・オフィス関連
- 地代家賃
事務所の賃料やシェアオフィスの利用料、共益費などが含まれます。自宅をオフィスとしている場合は、仕事で使用している面積や時間の割合に応じて「家事按分」した金額を経費にできます。 - 水道光熱費
オフィスの電気代、水道代、ガス代です。自宅兼事務所の場合は、業務時間やコンセント数などの合理的な基準で按分します。 - 駐車場代
事業用の車を停めるための費用や、クライアント訪問時のコインパーキング代が該当します。
2. 通信・デジタル関連
- 通信費
インターネット回線代、携帯電話料金、切手や宅配便の送料、クラウド会計ソフトなどのシステム利用料が含まれます。 - ソフトウェア代
業務で使用するアプリケーションの購入費やサブスクリプション費用です。



ソフトウェア等を含む減価償却資産は、原則として取得価額10万円以上かつ使用可能期間1年以上であれば資産計上し、減価償却します。
ただし、取得価額10万円未満(または使用可能期間1年未満)は全額をその年の必要経費にでき、10万円以上20万円未満は一括償却資産(3年均等)を選択できます。
また、一定要件を満たす青色申告者は、10万円以上30万円未満について年300万円まで一括で必要経費に算入できる特例があります。
参照:主な減価償却資産の耐用年数表
参照:減価償却資産の耐用年数表
参照:国税庁タックスアンサー No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
3. 自己研鑽・情報収集関連
- 新聞図書費
業務に関連する専門書、ビジネス雑誌、有料ニュースサイトの購読料、新聞代などです。 - セミナー・研修参加費
スキルアップのためのセミナー受講料や研修費、オンラインサロンの会費などが該当します。 - 教育研修費
外部の教育機関への参加費用などもこの科目で処理します。
4. 旅費交通費
- 移動費
クライアント訪問や出張のための電車・バス・新幹線代、タクシー代、航空運賃などです。 - 宿泊費
出張時のホテル代などが含まれますが、飲食代は含まれない点に注意が必要です。 - 車両関連費
ガソリン代、高速道路料金、レンタカー代、事業用車両の保険料や車検費用が該当します。
5. 広告宣伝・交際関連
- 広告宣伝費
ホームページの作成・維持費、名刺作成代、パンフレットの印刷費、Web広告の出稿費用などです。 - 接待交際費
クライアントとの会食、お中元・お歳暮などの贈答品、取引先の冠婚葬祭への祝儀や香典が含まれます。 - 会議費
カフェでの打ち合わせ代や、メンバーとのランチミーティング費用などが該当します。
6. 備品・消耗品
- 消耗品費
10万円未満のパソコン、タブレット、プリンター、文房具などの事務用品代です。 - 事務用品費
コピー用紙やペンなどの細かい備品です。
7. 専門家報酬・諸税
- 支払手数料
税理士や弁護士への報酬、銀行の振込手数料などが含まれます。 - 租税公課
個人事業税、印紙税、事業用車両の自動車税、固定資産税(事業用按分分)などは経費にできます。
経費計上の際の注意点
- 資産の減価償却
取得価額が10万円以上のパソコンや什器などは、原則として数年間に分けて減価償却する必要があります。ただし、青色申告者の場合は「少額減価償却資産の特例」により、30万円未満であれば一括で経費計上が可能です。 - 経費にできないもの
プライベートな生活費、所得税、住民税、国民健康保険料、罰金・反則金などは経費として認められません。 - 領収書の保管
経費を計上するためには、支払いを証明する領収書やレシートを5年間または7年間保管する義務があります。 - 税務調査のリスク
コンサルタントは形のないサービスを扱うため、実態の確認が難しいとされ、税務調査の対象になりやすい業種です。支出の根拠を説明できるよう、会食相手や目的をメモしておくことが重要です。
5.確定申告の際のコンサルティング業ならではの注意点
コンサルティング業を営む個人事業主が確定申告を行う際、その業種特有の性質から、売上計上時期の判断や税務調査のリスク管理において非常に重要な注意点があります。
コンサルティング業ならではの注意点と、備えておくべき書類は以下の通りです。
1. 収益(売上)の計上時期:原則は「役務提供完了時」
コンサルティング業で最も間違いやすく、かつ税務当局からも注視されるのが売上の計上時期です。
- 役務完了基準
法人税法および所得税法において、売上の計上時期は「入金時点」ではなく、原則としてサービスの提供が完了した時点です。 - 前受金の処理
サービス提供前に報酬を受け取った場合、入金時点では売上ではなく「前受金(負債)」として処理し、サービスを提供した時点で売上に振り替える必要があります。 - 部分完了基準
契約内容によっては、全部が完了していなくても部分的に収益が確定した段階で計上する場合もあります。口約束や請求時期が不明確な場合、税務調査で指摘されやすいため、契約書で役務の完了時期を明確にすることが重要です。
2. 税務調査の対象になりやすい業種であること
国税庁の統計によると、経営コンサルタントは「1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な業種」として、例年上位にランクインしています。
- 形のないサービス
コンサルティング料は物品販売と異なり、在庫がなく「目に見えないサービス」への対価であるため、実態の確認が難しく、架空経費の計上などの不正が行われやすいと税務署に認識されています。 - 経費の妥当性
自身の知識や人脈が資本となるため、自己研鑽や交際費が膨らみがちですが、それが事業と直接的な関連があるかを厳格に説明できる必要があります。
3. 源泉徴収の取り扱い
個人のコンサルタントが報酬を受け取る際、支払者側で所得税の源泉徴収(原則10.21%)が必要になるケースが多い点に注意が必要です。
- 企業診断員としての報酬
所得税法上、「企業診断員の業務に関する報酬」は源泉徴収の対象とされており、経営コンサルタントはこの「企業診断員」に含まれます。 - 確定申告での精算
源泉徴収された金額は、確定申告時に「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」欄に記載することで、払い過ぎた税金の還付を受けることができます。これを忘れると二重課税になります。
4. 経費計上と「家事按分」
自宅をオフィスにすることが多いコンサルタントにとって、私生活と業務の支出が混在する費用の家事按分は必須です。
- 客観的根拠
家賃や光熱費、通信費を按分する際は、使用面積や使用時間に基づいた合理的な基準(面積比や時間比など)を設け、その算出根拠を説明できるようにしておく必要があります。 - スーツや備品の判断
スーツやペンなどの所持品はプライベートでも使用できるため経費として認められにくいですが、自身のブランディングが案件獲得に直結すると客観的に判断されれば認められる場合もあります。



スーツ等、私用にも使用できる衣服は家事関連費に該当しやすく、原則として必要経費に算入するのは慎重に判断すべきです(特別な理由がなければ、難しいと考えております)。



家事按分については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人事業主(フリーランス)の経費の家事按分について
5. コンサルティング業ならではの「特殊な添付書類・備付書類」
確定申告書に必ず「添付」しなければならない書類は他業種と大きく変わりませんが、税務調査で「実態があること」を証明するために備え付けておくべき書類には特有のものがあります。
- 青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)
青色申告特別控除(最高65万円の控除)を受けるためには必須です。 - 収支内訳書
前々年の業務に係る雑所得の収入が1,000万円を超える場合は、雑所得であっても提出が必要です。
【重要:実態を証明する証拠書類】(添付不要だが保存必須)
- 契約書
業務内容、報酬額、完了時期が明記されたもの。 - 打ち合わせ記録・議事録
誰と、いつ、何の目的で会ったかを示す証拠。 - 成果物
実際に納品したレポートや分析データなど(架空契約を疑われないために不可欠)。 - 按分根拠資料
事務所スペースの間取り図や稼働時間がわかる日報など。



特にコンサルティング業は個人事業税(5%)の対象業種(第3種事業)でもあるため、所得が290万円を超える場合はその納税義務も考慮しておく必要があります。
6.コンサルティング業が税務調査で指摘されるポイント
コンサルティング業は、提供するサービスが「形のないもの」であり実態の確認が難しいため、税務署から不正や申告漏れが起きやすい業種として注視されています。実際、国税庁の統計でも、1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な業種としてコンサルタントが上位に挙げられています。
上記5の内容と重複する論点が多いですが、税務調査において具体的に指摘・確認されるポイントをまとめて確認していきましょう。
1. 売上の計上時期と網羅性
コンサルティング業で最も問題になりやすいのが、収益(売上)の計上時期です。
- 役務提供完了基準の遵守
入金日ではなく、「サービスの提供が完了した日」に売上を計上しているかが厳格にチェックされます。 - 前受金の処理
サービス提供前に一括で受け取った報酬を、適切に「前受金(負債)」として処理し、完了時に売上へ振り替えているかが確認されます。 - 期末の売掛計上
12月末時点で役務提供が終わっているにもかかわらず、翌年入金分として売上から除外していないかがポイントです。 - スポット報酬の申告漏れ
顧問契約以外の単発(スポット)案件の報酬について、現金受領分などが適切に計上されているか確認されます。
2. 経費の妥当性と事業関連性
物理的な仕入れが少ないコンサル業では、経費の範囲が曖昧になりがちなため、「業務に直接必要か」が厳しく問われます。
- 家事按分の合理性
自宅兼事務所の家賃や光熱費について、面積や使用時間に基づいた客観的な根拠があるか、按分率が高すぎないかが最大の見どころです。 - プライベート費用の混入
家族との食事代(接待交際費)や私的な観光旅行(旅費交通費)、自宅用の家具(備品)などを経費として計上していないかが調査されます。 - 過度な経費率
売上規模に対して経費率が不自然に高い場合、脱税を疑われるリスクが高まります。 - 証憑(領収書)の保管
支払いの事実を証明する領収書があることはもちろん、「誰と・何の目的で」行った支出かがメモされているかが重要です。
3. 実態のない取引(架空経費)の有無
目に見えないサービスであることを悪用した、実体のない契約がないか確認されます。
- 架空のコンサル料
知人の名義を借りて架空の請求書を発行し、外注費を水増しする行為などは重加算税の対象となります。 - 契約実態の証明
契約書の有無だけでなく、打ち合わせの記録、報告書、分析結果などの成果物が実際に存在するかを提示できる必要があります。
4. 源泉徴収と消費税の処理
- 源泉徴収義務の履行
個人の経営コンサルタントへ報酬を支払う場合、支払側が源泉徴収(10.21%等)を適切に行っているか確認されます。 - 消費税の区分
インボイス制度導入後、取引先が適格請求書発行事業者であるか、正しい税率(8%・10%)で区分経理されているかがチェック対象となります。 - 所得区分
副業コンサルの場合、その実態から「事業所得」ではなく「雑所得」とすべきではないか(青色申告特別控除の否認)が検討されることがあります。
5. 資産計上と減価償却
- 10万円以上の備品
高額なPCや什器を、一括で経費にせず適切に固定資産として減価償却しているか確認されます(青色申告の30万円未満特例の適用要件も含む)。 - 資格取得・自己研鑽費
業務に直接必要でない個人的な資質向上のための費用や、独立開業のための高額な学費などを経費にしていないか注意が必要です。
6. 親族への支払い
• 専従者給与の妥当性: 家族に支払う給与が、仕事内容や従事時間に見合った適正な金額であるか、事前に届出書を提出しているかが確認されます。
7.まとめ:コンサルタントは「実態の証明」と「青色申告」が成功の鍵
コンサルティング業は、提供するサービスが「形のないもの」であるという性質上、税務署から申告漏れや不正が起きやすい業種として注視されています。そのため、正確な確定申告は、単なる義務を果たすだけでなく、事業の社会的信用を守るための重要なプロセスと言えます。
確定申告をスムーズに終え、最大限のメリットを享受するために、以下の3つのポイントを最後におさらいしましょう。
- 「役務完了基準」に基づいた正しい売上計上
売上は「入金日」ではなく、「サービスの提供を完了した日」を基準に計上するのが原則です。契約書で役務の完了時期や請求権の発生時期を明確にし、実態に基づいた帳簿付けを心がけましょう。 - 客観的な根拠に基づく経費計上と家事按分
自宅兼事務所の家賃や光熱費などの家事按分は、使用面積や稼働時間といった合理的な基準に基づいて算出してください。税務調査に備え、契約書、打ち合わせ記録、成果物、領収書(5年または7年保存)などの「事業の実態を証明する証拠書類」を整理・保管しておくことが極めて重要です。 - 「青色申告×e-Tax」で節税効果を最大化
最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記による記帳とe-Taxによる申告が必須です。また、30万円未満の資産を一括経費にできる特例や、赤字の3年間繰越など、青色申告にはコンサルタントの資金繰りを助ける強力な特典が揃っています。



コンサルタントにとって「時間は最も貴重なリソース」です。
日々の煩雑な記帳作業は、銀行口座やクレジットカードとのデータ連携が可能なクラウド会計ソフトを活用することで大幅に効率化できます。また、事業規模が拡大し、判断に迷うポイントが増えてきた場合は、コンサルティング業に理解の深い税理士をパートナーに迎えることも、本業に集中し、さらなる高みを目指すための賢明な投資となるでしょう。
税理士をお探しの方は、お気軽にこちらまでお問い合わせください。










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