ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝は確定申告に向けた業種別事業所得の計算の注意点第十二弾としまして、美術家、芸術家について整理して行きたいと思います。



確かに美術家や芸術家は基本フリーでやられている印象です。



作品制作には終わりがないですが、確定申告には『3月15日』という冷酷な締め切りがあります。山のようなレシートを前に、『これ、どこまで経費にしていいんだろう……』と筆が止まってはいませんか? 実は、美術家や芸術家ならではの確定申告には、他の職業にはない特別なルールや、知るだけで得をする節税のチャンスが隠されています。 例えば、あなたが作品のために観た映画の費用が、正当な『資料費』として認められる可能性があるとしたら? 今回は、制作活動を健やかに続けるために不可欠な『お金の守り方』を、作家目線で分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、確定申告があなたの活動を支える心強い味方に見えてくるはずです。
【美術家・芸術家編】
1.事業所得とは?(おさらい)
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売・小売業、サービス業などの事業から生ずる所得を指します。これは、会社に雇用されて給与を得る「給与所得」とは異なり、フリーランス(個人事業主)が「自分ひとりで自分のためにビジネスをする」ことで得られる所得です。
(1). 事業所得の計算方法
事業所得の金額は、以下の数式で算出されます。
- 事業所得 = 総収入金額 - 必要経費
総収入金額
売上のほか、事業に関連して支給された助成金や補助金(事業所得の「雑収入」として計上)、報奨金などが含まれます。
必要経費
収入を得るために直接要した費用のほか、販売費や一般管理費が該当します。具体的な例は以下の通りです。
- 材料費・道具代
絵具、キャンバス、楽器、PCソフト、梱包材など。 - 地代家賃・水道光熱費
アトリエや事務所の費用。自宅兼事務所の場合は、仕事で使用している面積や時間に応じて「家事按分」した金額を計上できます。 - 旅費交通費
打ち合わせや取材、現場への移動にかかる費用。 - 減価償却費
10万円以上の高額な備品(楽器やPCなど)を、法定耐用年数に応じて分割して経費化するもの。



事業所得については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の事業所得の基礎知識について
(2). 「事業」として認められる条件(事業所得と雑所得の違い)
副業などで得た収入が「事業所得」か、それとも「雑所得」になるかは、その活動に社会通念上の事業性があるかどうかで判断されます。主な判断基準は以下の通りです。
- 営利性・有償性
利益を得る目的があるか。 - 継続性・反復性
一時的ではなく、続けて行われているか。 - 自己の計算と危険
自分のリスクと責任で独立して営まれているか。 - 帳簿の有無
取引を記録した帳簿書類を保存していることも重要な要素です。
(3). 確定申告と青色申告の特典
事業所得がある人は、1年間の所得を計算して翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があります。 特に、税務署から承認を受けて「青色申告」を行うと、以下のような強力な節税メリットを受けられます。
- 青色申告特別控除
所得から最大65万円(電子申告等の条件あり)を差し引くことができます。 - 純損失の繰越し・繰戻し
赤字(損失)が出た場合、その赤字を翌年以降3年間にわたって黒字と相殺したり、前年の税金から還付を受けたりできます。 - 青色事業専従者給与
一定の要件を満たすことにより、家族に支払った給与を必要経費に算入できます。



青色事業専従者給与については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】家族に給与を出すなら必見!青色事業専従者給与の基礎知識について
2.美術家・芸術家の収入
美術家や芸術家の収入は多岐にわたり、作品の販売だけでなく、技術の教授や著作権収入、公的な助成金などが含まれます。提供された資料に基づき、具体的な収入の内訳を詳しく解説します。
(1). 作品の販売収入
最も中心となる収入です。
- 作品の直販・委託販売
画廊(ギャラリー)や百貨店での展示販売が一般的です。日本では慣習として「号単価(1号あたりの価格)× 号数 + 額代」で価格が決まることが多く、売上は画家、画商、会場で分け合います。取り分(マージン)は百貨店では画家の受取額が40〜60%、街のギャラリーでは30%程度が目安です。 - オンライン販売と複製画
BASE、アートメーター、ヤフーオークションなどのプラットフォームを利用した販売や、原画だけでなく複製画の販売も収入源となります。 - 依頼制作(受注生産)
壁画の制作、ペットの肖像画、チラシやパンフレット用のイラストカット制作などの個別依頼による報酬があります。
(2). 技芸の教授・教育活動
自身のスキルを教えることで得られる対価です。
- 教室の運営
自ら主宰する絵画教室やワークショップの受講料収入です。 - 講師業
高校の非常勤講師や美術予備校の講師としての給与・報酬も、多くの作家が活動資金を得る手段としています。
(3). 著作権およびメディア関連収入
作品の二次利用や自身の活動に関連する収入です。
- 印税・使用料
書籍の印税、映画や演劇の原作料、作品の展示・演奏・放送・複製に伴う著作権の使用料が含まれます。 - 出演料・企画料
テレビやラジオへの出演、イベントの演出や構成、アートディレクションなどに対する報酬です。
(4). 助成金・補助金・賞金
公的機関や公募展から得られる資金です。
- 助成金・補助金
国(文化庁など)や地方公共団体から支給される活動支援金です。これらは原則として収入金額に算入される対象であり、本業の場合は事業所得の雑収入、副業の場合は雑所得として計上します。 - 公募展の賞金
絵画などの公募展で入賞した際に支払われる賞金です。



固定資産の取得や改良に充てる国・自治体の補助金等(国庫補助金等)は、一定要件の下で総収入金額に算入しない特例があります(所定の明細書添付が必要)。
参照:国税庁タックスアンサー No.2202 国庫補助金等を受け取ったとき
(5)税務上の区分
これらの収入は、活動の実態に応じて以下のように区分されます。
- 事業所得
画業を独立・継続・反復して営んでいる場合に該当し、青色申告による節税特典を受けられます。 - 雑所得
副業として行っている場合や、事業と認められる規模に達していない場合の収入です。 - 個人事業税の扱い
東京都などの地方税において、「画家」や「芸術家」は個人事業税の法定業種に含まれていないため、原則として非課税となります。ただし、仕入れた商品を販売する「物品販売業」など、他の法定業種に該当する活動を兼ねている場合は課税対象となることがあります。



雑誌の挿絵、広告デザイン、商業イラストなどの「デザイン業」や「請負業」としての性質が強い収入については、課税対象(第3種事業)となる場合があります。
3.美術家・芸術家の売上原価と棚卸
美術家・芸術家にとって、作品制作にかかる材料費や在庫の管理(棚卸)は、正確な所得を計算し、適切に節税するために非常に重要です。
売上原価の計算方法、棚卸の処理、および実務上のポイントを詳しく解説します。
(1). 売上原価の基本的な考え方
所得税の計算において、その年の経費(売上原価)として計上できるのは、「その年に売れた作品に対応する材料費」のみです。年末時点で手元に残っている完成作品や、未使用の画材などは「在庫(資産)」として扱い、翌年以降にその作品が売れたタイミングで経費化します。
売上原価は以下の数式で算出されます。
- 売上原価 = 期首棚卸高(年初の在庫) + 当期仕入高(その年の購入分) - 期末棚卸高(年末の在庫)
(2). 棚卸資産の分類と評価方法
美術家が棚卸を行う際は、制作状況に応じて以下の3つに区分して管理するのが一般的です。
- 材料
未使用のキャンバス、額縁、絵具など。 - 仕掛品
描きかけの(制作途中の)作品。 - 製品(商品)
完成したものの、まだ売れていない作品。
評価の方法(最終仕入原価法)
在庫の「単価」をいくらに設定するかについては、税務署に別段の届け出をしていない場合、「最終仕入原価法」が適用されます。これは、期末に最も近い時期に仕入れた時の単価を、その在庫全体の単価として採用する方法です。
美術家ならではの在庫価格の設定
- 完成作品の評価
厳密には「材料費(キャンバス代、額縁代、使用した絵具代など)」の合計額となります。実務上は、金額の大きな額縁の購入金額をもって在庫評価額としているケースも多いようです。



完成作品(自作作品)の期末在庫(製品)の評価は、原則として、制作のために要した原材料費・(外注等があれば)労務費・制作に要した経費等を基礎として行います。ただし、個人事業の場合は自分自身の労務を給与計上しないため、実務上は材料費中心となることもありますが、制作に要した外注費・制作関連の経費がある場合は反映が必要です。
- 絵具の扱い
基本的には「消耗品費」として購入時に経費処理できますが、大量にストックしている場合は在庫として計上し、使用した年度の経費とする必要があります。
(3). 実務上のステップとポイント
スムーズな確定申告のために、以下の手順で管理することをお勧めします。
- 在庫管理表の作成(通年)
エクセルなどを使用して、購入日・材料名・単価・数量を記録しておきます。これにより、レシートを遡らなくても「最終仕入単価」がすぐに把握できます。 - 棚卸の実施(12月末)
12月31日時点での在庫数を数えます。必ずしも大晦日に行う必要はなく、その年の制作を終えたタイミングで実施すれば問題ありません。 - 仕掛品の調整
描きかけの作品(仕掛品)があると計算が複雑になるため、年末までに作品を完成させておくか、材料費ベースで棚卸計上するなどのルールを自分で決めて運用すると効率的です。 - 家事按分との区別
自宅兼アトリエの家賃などは「地代家賃」として経費になりますが、これらは売上原価ではなく「販売費および一般管理費」として処理するため、棚卸の対象にはなりません。
(4). 注意点
- 過去の未処理
これまで棚卸をしていなかった場合、過年度に経費を過大計上している可能性があります。税額に大きな影響がある場合は、修正申告が必要になることもあるため注意が必要です。 - 非課税枠との関係
1点(または1組)30万円以下の生活用動産の譲渡は非課税となりますが、画業を事業(事業所得)として行っている場合、作品販売は「棚卸資産の譲渡」となり、金額にかかわらず課税対象となります。



棚卸は手間のかかる作業ですが、在庫を把握することで「仕入れすぎ」を防ぎ、翌年の活動計画にも役立てることができます。当初からフォーマットを整えておけば、2年目以降は非常にスムーズになります。
4.美術家・芸術家の経費
美術家や芸術家の経費は、「売上を得るために直接要した費用」および「販売費や一般管理費」が基本となります。クリエイター特有の活動に合わせて、一般的な勘定科目だけでなく独自の項目(資料費や研究費など)を作って管理することも認められています。
以下に、美術家・芸術家の経費となる主なものを項目別に詳しく解説します。
(1). 制作に関わる材料・道具代
作品制作に直接必要な物品は経費になります。
- 画材・材料費
絵具、キャンバス、筆、紙、粘土、石材、額縁、梱包材など。 - 小道具・衣装代
作品制作やパフォーマンスにのみ使用する衣服や小道具。 - 消耗品費
10万円未満の作業用机、椅子、PC周辺機器など。 - 減価償却費
10万円以上の楽器やPC、カメラなどは、法定耐用年数に応じて数年間に分けて経費化します。ただし、青色申告者の場合は「少額減価償却資産の特例」により、30万円未満であれば一括で経費にできる場合があります。
(2). アトリエや作業場に関する費用
自宅とアトリエが同一の場合、仕事で使用している割合(面積や時間)に応じて経費にする「家事按分」が重要です。
- 地代家賃
アトリエの賃料、共益費。自宅兼アトリエの場合は、使用面積比(例:3分の1など)で算出します。 - 水道光熱費
制作活動に使用した電気、ガス、水道代。使用時間やコンセント数などの合理的な基準で按分します。 - 通信費
仕事用の電話代、インターネット利用料、サーバー維持費、郵送費。



家事按分については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人事業主(フリーランス)の経費の家事按分について
(3). 展示・販売・広報に関する費用
作品を世に出し、販売するためにかかる費用です。
- 展示会費用
画廊などの会場使用料(場所代)、搬入・搬出にかかる運送費。 - 販売手数料
ギャラリーや百貨店に支払うマージン(販売仲介手数料)。 - 広告宣伝費
展覧会の案内状(DM)やパンフレットの作成・郵送費、ウェブサイト制作費、SNS広告費。
(4). 調査研究・リサーチ費用
「情報を知ること、刺激を受けること」はクリエイターにとって「原材料」と同じ役割を果たします。
- 資料費・図書費
制作の参考にするための書籍、雑誌、専門資料の購入費。 - 取材費・鑑賞料
取材のための旅費や、リサーチ目的で鑑賞する展覧会の入場料、映画や舞台のチケット代。 - 旅費交通費
打ち合わせ、取材、展示会場への移動、地方への遠征にかかる電車代、タクシー代、宿泊費。
(5). 注意点:棚卸しと経費の境界
- 作品の棚卸し
年末時点で売れ残っている完成作品や、未使用の大量の画材・額縁は、その年の経費にはならず「在庫(資産)」として計上し、翌年以降に売れたタイミングで売上原価(経費)となります。 - 公私の区別
作家仲間との飲食代(接待交際費)などは、仕事の打ち合わせや情報交換といった業務上の必要性が客観的に説明できる必要があります。プライベートな目的のみの支出は経費にできません。



確定申告の際は、これらの領収書やレシートを保存し、内容を明確に記録しておくことが不可欠です。
5.確定申告の際の美術家・芸術家ならではの注意点
美術家・芸術家が確定申告を行う際の注意点や、提出が必要となる書類について、提供された資料に基づき解説します。
(1). 美術家・芸術家ならではの提出・添付書類
美術家・芸術家だからといって、税務署から指定された「芸術家専用の申告用紙」があるわけではありませんが、活動内容に応じて以下の書類の提出が必要となります。
- 青色申告決算書または収支内訳書
事業所得として申告する場合に必須です。美術家の場合は、売上や経費を「絵画教室の運営」と「作品の販売」などで分けて管理するとわかりやすくなります。 - 家事按分の根拠書類(保存用)
自宅の一部をアトリエとしている場合、面積比などで計算した見取り図(図面)を作成し、客観的な根拠として保存しておくことが重要です(提出義務はありませんが、調査時に必要となります)。
(2). 確定申告時の重要な注意点
個人事業税が「非課税」になるための工夫
個人事業主には「個人事業税」という地方税がかかるのが一般的ですが、「画家」や「芸術家」は法定業種に含まれていないため、原則として非課税です。



申告書の職業欄には必ず「画家」や「芸術家」と明記してください。これにより、都道府県税事務所からの課税を避けられます。ただし、仕入れた他人の作品を販売する行為などは「物品販売業」とみなされ課税対象になる場合があります。
これは、個人事業税は、都道府県が定める法定業種に該当する事業に課税されるためです(東京都では70業種)。したがって、「画家」としての創作活動が中心であっても、活動内容が物品販売業・デザイン業等(法定業種)に該当する場合は課税され得る点に注意が必要です。
申告書の職業欄は実態に即して記載し、都道府県から照会があった場合に収入内訳(原画/複製・グッズ/受託制作など)を説明できる資料を備えることが重要です。
作品や材料の「棚卸し」
年末時点で販売されずに残っている作品や、大量に購入した画材は「棚卸資産」として扱う必要があります。
- 未販売の作品
年末に手元にある完成作品は、その制作にかかった「材料費(キャンバス代、額縁代など)」を在庫として計上し、売れた年の経費にするのが原則です。 - 画材の在庫
まとめて大量購入した絵具などは、購入年ではなく「使用した年」の消耗品費として処理します。
美術家特有の経費項目(資料費・研究費)
クリエイターは、自身の仕事内容に合わせて柔軟に勘定科目を作ることができます。
- 資料費・研究費
創作の刺激や原材料となる映画・舞台の鑑賞料、書籍代、他人の展覧会の拝観料などは「資料費」や「研究費」として計上可能です。これらは「新聞図書費」とするよりも、収入との因果関係が説明しやすくなります。
助成金・補助金の取り扱い
作家活動に対して支給された助成金や補助金は、原則として収入金額となります。
- 計上時期
原則として「確定通知」が届いた日の属する年の収入となります。前払いを受けた場合でも、通知の年まで計上がずれることがあるため、経費を支払った年と収入の年が一致しない場合がある点に注意が必要です。



これらの点に注意し、日頃から領収書や請求書、アトリエの図面などを整理・保存しておくことが、スムーズな確定申告と適切な節税につながります。
6.美術家・芸術家が税務調査で指摘されるポイント
美術家や芸術家が税務調査を受ける際、特に注意すべき指摘ポイントは、活動の性質上「公私の境界が曖昧になりやすい点」と「制作物の在庫管理」に集約されます。既に解説した論点と重複する個所もありますが、税務調査で指摘されやすいと考えられるポイントを改めて整理します。
(1). 事業性の判断(事業所得か雑所得か)
芸術活動が「趣味」の範囲内か、あるいは税法上の「事業」に該当するかが厳しくチェックされます。
- 社会通念上の事業性
営利性、継続性、反復性があるか、また独立して営まれているかが問われます。 - 収入金額と帳簿
収入が300万円以下で、かつ帳簿書類を保存していない場合は、原則として「業務に係る雑所得」と判定されるリスクがあります。 - 赤字の継続
毎年のように赤字が続き、それを解消するための具体的な取り組み(営業活動など)が認められない場合、事業所得としての申告を否認されることがあります。
(2). 棚卸資産(在庫)の計上漏れ
美術家にとって、確定申告で最もミスが起きやすく、指摘されやすいポイントの一つです。
- 未販売作品の資産化
年末時点で売れ残っている完成作品や、制作途中の仕掛品は、その年の経費にはならず「在庫」として資産計上しなければなりません。 - 材料・道具の在庫
未使用の大量の絵具、キャンバス、高額な額縁なども、購入時に全額経費にするのではなく、期末に棚卸しをして在庫として計上する必要があります。
(3). 公私の区分と家事按分の妥当性
プライベートな支出を経費に混入させていないかが詳しく調査されます。
- 家事関連費の按分根拠
自宅兼アトリエの家賃や水道光熱費を、使用面積や使用時間などの合理的な基準に基づいて計算しているかが問われます。 - 資料費・研究費の因果関係
鑑賞した映画や舞台のチケット代、書籍代などが、「具体的にどの仕事(売上)に結びついているか」という因果関係を説明できる必要があります。趣味としての購入と疑われると否認されます。 - 飲食代(接待交際費)
作家仲間との会食が、単なる友人としての親睦か、具体的な打ち合わせや仕事の獲得につながるものかを区別し、記録(いつ・誰と・何のために)を残しておく必要があります。
(4). 収入の計上時期と漏れ
- 売上計上基準(実現主義)
代金の回収日ではなく、作品を「納品した日」に売上を計上しているか確認されます。 - 助成金・補助金の申告
文化庁などの助成金や補助金は原則として総収入金額に算入します。通知が来た時点での計上が基本であり、申告漏れは容易に把握されます。 - 源泉徴収前の総額計上
報酬が源泉徴収されて振り込まれる場合、手取り額ではなく「天引き前の総額」を収入として計上しているかチェックされます。



直接販売等の場合には、原則として引渡し(納品等)の日に計上しますが、例えば、ギャラリー等への委託販売を行っている場合、原則として受託者(ギャラリー等)が販売した日(一定の運用では売上計算書の到達日)に計上します。
(5). 人件費・外注費と源泉徴収義務
- 源泉徴収の漏れ
家族への給与(青色事業専従者給与)を支払うことで「源泉徴収義務者」になっている場合、外部のアシスタントやデザイナーに支払う報酬からも所得税を天引きし、納税する必要があります。 - 家族への不適切な支払い
届出を出さずに家族へ給与を支払ったり、同居の家族に「外注費」として支払ったりすることは原則認められません。
(6). 減価償却の取扱い
- 高額備品の即時償却
30万円未満の機材等を青色申告の特例で一括経費にする場合、年間の合計額が300万円を超えていないか、また事業の用に供しているかが見られます。



これらのポイントをカバーするためには、日頃から領収書や請求書を整理し、特に「なぜこれが必要経費なのか」「どういう基準で按分したか」という客観的な根拠を記録しておくことが重要です。
参照:主な減価償却資産の耐用年数表
参照:減価償却資産の耐用年数表
参照:国税庁タックスアンサー No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
7.まとめ
確定申告は、単なる納税の手続きではなく、自分の創作活動を「事業」として社会に証明する大切なプロセスです。美術家ならではのポイントとして、年末の作品や材料の棚卸しを忘れずに行い、アトリエの家賃や光熱費は図面などの根拠を持って家事按分しましょう。
また、申告書の職業欄には「画家」「芸術家」と正しく明記することで、原則として個人事業税が非課税となります。さらに、青色申告を選択すれば最大65万円の控除や赤字の3年間繰り越しといった強力な特典も受けられます。日頃から領収書を整理し、会計ソフトなどを活用して効率的に進めることで、空いた時間を最大限、次なる創作活動へと注いでいきましょう。
確定申告は複雑で手間がかかる作業ですが、自分の活動を振り返り、未来を考える貴重な機会でもあります。もし不安な点があれば、税理士への相談も検討しながら、一歩ずつ進めていきましょう。税理士をお探しの方は、お気軽にこちらまでお問い合わせください。










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