ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?



今朝は臨時改定事由について整理していきたいと思います。



事業年度の途中で役員報酬を変更できる理由ですね。



昨日までに解説してきた通り、「役員報酬は一度決めたら1年間変えられない」、基本はその通りです。
ただし、実は、社長交代や組織再編、予期せぬトラブルなどやむを得ない事情があれば、期中でも改定が認められるケースがあります。
一方で、認められる条件は明確で、外すと経費にできないリスクも。今朝は“どこまでOKで、どこからNGか”を具体例で確認していきましょう。



役員報酬シリーズの①役員報酬の意義編、②役員報酬の損金性編、③役員報酬の手続き編、④役員報酬の定期同額給与編、⑤役員報酬の定期同額給与編Part2については、こちらの記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:①役員報酬の意義編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:②役員報酬の損金性編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:③役員報酬の手続き編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:④役員報酬の定期同額給与編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑤役員報酬の定期同額給与編Part2
⑥臨時改定事由編
1.臨時改定事由とは?
役員給与における「臨時改定事由」とは、「役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更、その他これらに類するやむを得ない事情」による給与改定(増額・減額)のことを指します。
定期同額給与は、原則として期首から3か月以内の改定しか認められませんが、この「臨時改定事由」に該当する場合は、年度の途中であっても給与の改定が認められ、改定前後の給与をそれぞれ定期同額給与として損金算入することができます。
臨時改定事由として認められるのは、「3か月経過日等までには予測しがたい偶発的な事情」によるものであり、「利益調整等の恣意性がない」ものに限られます。
具体的には、以下のようなケースが臨時改定事由に該当すると考えられています。
(1). 職制上の地位の変更
定時株主総会から次の定時株主総会までの間に、例えば社長が退任したことに伴い、臨時株主総会の決議によって副社長が社長に就任し、それに伴って給与を改定する場合などが該当します。
(2). 職務内容の重大な変更(組織変更など)
例えば「合併」に伴って役員の職務内容が大幅に変更される場合が挙げられます。また、明確な合併などの組織再編に限らず、営業所の統廃合や事業部門の再編などが行われ、その役員の責任範囲が実質的に大きく変更になった場合もこれに含まれると考えられます。
(3). 不祥事による減額(処分)
会社や役員の不祥事(製品の検査偽装など)が発生し、経営責任をとって役員給与を一定期間減額する場合です。この場合、その減額処分が「社会通念上相当と認められる範囲のものであること」がポイントとなります。
(4). 病気入院・産休・育休による減額および復帰
役員が病気で入院したり、出産や育児のために休業したりして、当初予定されていた職務の執行が一部できなくなり、その期間中の役員給与を減額するケースです。 職制上の地位の変更はないものの、「これまで行ってきた職務の一部を遂行できなくなった事実」が生じているため、やむを得ない事情として臨時改定事由に該当します。 さらに、その後復帰して従前と同様の職務執行が可能となり、休業前の給与と同額に戻す(増額する)改定についても、臨時改定事由として認められます。



それぞれ、次章以降で詳しく見ていきます。
2.臨時改定事由の職制上の地位の変更とは?
「職制上の地位の変更」とは、役員給与を期中に変更しても定期同額給与として認められる「臨時改定事由」の一つです。法人税基本通達では、この「職制上の地位の変更」について、具体例や定義を示しています。
(1). 職制上の地位の変更の具体例
例えば、以下のようなケースが該当します。
- 定時株主総会後、次の定時株主総会までの間において、社長が退任したことに伴い、臨時株主総会の決議によって副社長が社長に就任する場合
このように、役員の役職や立場が大きく変わったことによって給与を改定することは、利益調整などの恣意性がない「やむを得ない事情」として認められます。
(2). 「職制上の地位」の定義と客観性
通達の注書きでは、役員の職制上の地位とは「定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等により付与されたものをいう」と定義されています。
【実務上の注意点(分掌変更の場合)】
代表権のない取締役が代表取締役になった場合などは、会社の登記簿にも記載されるため、第三者から見ても地位の変更があったことが明確です。 しかし、単なる「分掌変更(担当業務の変更)」などを理由とする場合、本当に職制上の地位が変更され、それに伴って報酬額を変更する必要があったのかどうか、客観的には分かりにくいという問題があります。
そのため、分掌変更によって役員報酬を変更する場合には、役員の名称と職制(権限や責任の範囲)との関係について、定款や社内規定などで明確に定めておくことが、報酬改定の正当な根拠として非常に重要になります。
3.臨時改定事由の組織変更等があった場合とは?
役員給与の「臨時改定事由」における「組織変更等があった場合」について解説します。
法人税基本通達では、「その役員の職務の内容の重大な変更」の代表的な一例として、「合併に伴いその役員の職務の内容が大幅に変更される場合」を挙げています。
しかし、これはあくまで一例であり、明確な「合併」などの組織再編でなければ認められないというわけではありません。実務上は、以下のようなケースも「組織変更等による職務の重大な変更」に該当すると考えられています。
(1). 合併などの明確な組織再編
異なる法人間で組織再編(吸収合併など)が行われる場合、役員の人事は非常に重要であるため、合併存続会社の合併承認総会などで役員の選任や取り決めが行われます。これに伴い、役員の担当業務や責任が大幅に変わり、給与を改定する場合は臨時改定事由に該当します。
(2). 会社内部の組織変更(営業所の統廃合・部門再編など)
合併のような別会社を巻き込む再編に限らず、会社内部での「営業所の統廃合」や「事業部門の再編」が行われた場合も対象になり得ます。 これらの内部的な組織変更によって、その取締役の「責任範囲に大きな変更があった場合」(実質的に職務内容が大きく変わった場合)は、「職務の重大な変更」として臨時改定事由に含まれると考えられています。



実務上のポイントとしては、組織変更に伴って役員の給与を改定する場合、単に「変更した」という事実だけでなく、変更後の担当業務や責任範囲が「株主総会もしくは取締役会の決議等によって正式に付与されたものであること」が重要です。客観的な決議記録(議事録など)を残しておくことが、税務上の否認リスクを避けるための根拠となります。
4.臨時改定事由の不祥事とは?
役員給与における「臨時改定事由」のうち、不祥事による減額と、その要件である「社会通念上相当とみられる範囲」について解説します。
(1). 不祥事による減額と臨時改定事由
原則として、期首から3か月を経過した後に役員給与を改定(減額・増額)すると定期同額給与とは認められず、損金(経費)に算入できなくなります。 しかし、会社や役員が不祥事等を起こし、経営責任をとって役員給与を一定期間減額する場合、それが「社会通念上相当と認められる範囲」であれば、予測しがたい偶発的な事情によるもので利益調整の恣意性がないとして、「臨時改定事由」に該当すると認められます。 この場合、一定期間減額した後に元の給与額に戻す(増額する)改定についても、同様に臨時改定事由として認められます。
(2). 「社会通念上相当と認められる範囲」とは
国税庁の通達解説や実務上の見解によると、「社会通念上相当と認められる範囲」とは、以下のようなケースを指します。
- 懲戒的な意味合いでの減額
何らかの不祥事が発生した際、直接迷惑をかける顧客や取引先、金融機関に対して、あるいは従業員や他の役員の綱紀粛正のために、懲戒的な意味を込めて役員給与を下げることは一般的に行われていることであり、利益操作には該当しないと考えられています。 - 具体的に認められやすい理由
例えば、以下のような理由で行われた減額で、処分内容が行為に照らして相当であると認められれば、社外不祥事であるかどうかにかかわらず、全額を損金に算入することが認められるとされています。- 企業秩序を維持して円滑な企業運営を図るために行われたもの
- 法人の社会的評価への悪影響を避けるためにやむを得ず行われたもの
(3). 社会通念上相当と「認められない」ケース
一方で、以下のような理由での減額は「社会通念上相当とみられる範囲」に該当するかどうか疑問視され、否認されるリスクがあります。
- 「不祥事により売上が減少したため、利益を確保する目的で減額した」
この場合は、直接の減額理由が不祥事に対する処分ではなく「売上減少」となるため、臨時改定事由ではなく「業績悪化改定事由」に該当するかどうか(一時的な資金繰りの都合や単に業績目標に達しなかっただけでなく、客観的に著しい業績悪化があるか)で厳しく判断されることになります。 - 「営業目標を達成しなかったため、懲罰的に減額した」
不祥事ではなく単なる未達を理由とする懲罰的な減額は、「やむを得ない事情」とはいえず、社会通念上相当基準を満たすとはいえないとされています。



まとめると、不祥事による減額を臨時改定事由として損金算入するためには、それが「利益調整目的」や「単なる業績悪化の穴埋め」ではなく、「不祥事に対する経営責任・懲戒処分として、世間一般の常識に照らし合わせて妥当な期間・金額で行われたものであること」が重要なポイントとなります。
5.臨時改定事由の入院・育休・産休とは?
役員が病気で入院したり、出産・育児のために休業したりする場合の給与の改定(減額および復帰後の増額)は、一定の要件のもとで「臨時改定事由」に該当するものとして認められます。
具体的には、以下のポイントを押さえておく必要があります。
(1). 入院・産休・育休による給与改定の考え方
役員が病気や出産・育児のために休業し、当初予定されていた職務の執行が(一部)できなくなったことに伴い役員給与を減額することは、臨時改定事由による改定として認められます。 また、病気や休業から回復・復帰し、従前と同様の職務執行が可能となった場合に、休業前の給与と同額に戻す(増額する)改定についても、同様に臨時改定事由として認められます。
これは、職制上の地位の変更(社長から副社長への降格など)はないものの、「これまで行ってきた役員としての職務の一部を遂行することができなくなった」という明確な事実が生じており、法人税法上の「職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情があったもの」に該当すると解釈されるためです。
(2). 出産・育休における「偶発性」の論点
臨時改定事由として認められるためには、原則として「期首から3か月以内の給与改定時には予測しがたい偶発的な事情であること(利益調整の恣意性がないこと)」が求められます。
ここで、突発的な事故や病気(罹病)とは異なり、「出産や育児休業は事前に予定日が分かっているのだから、予測しがたい偶発的な事情とは言えないのではないか(期首の改定時にあらかじめ減額を織り込んでおくべきではないか)」という疑問が生じます。
しかし実務上は、出産予定日が決まっていたとしても、実際に休職するまでには確定的なものではない(不測の事態もあり得る)ことから、休業開始前にあらかじめ減額改定しておくことを会社に強制するのは現実的ではありません。したがって、確定していない以上、予め斟酌するかどうかは会社の判断に委ねられるべきものであり、結果的に休業に入るタイミングでの減額改定も「やむを得ない事情(臨時改定事由)」として認められると考えられています。



注意点としては、減額した給与を元の水準に戻す(増額する)改定が認められるのは、あくまで「休業前と同様の職務執行が可能となった(復帰した)場合」に限られます。 例えば、休業中であるにもかかわらず、年度の途中で給与を休業前の水準に戻すような増額改定を行った場合は、職務の執行が可能となっていないのに給与だけを増額することになるため、理屈に合わず臨時改定事由としては認められません。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。役員給与における「臨時改定事由」について、具体的な4つのケースとその判断基準を解説しました。
本来、期中の改定が認められない定期同額給与ですが、予測しがたい偶発的な事態や、やむを得ない事情が発生した場合には、年度の途中であっても改定が認められます。
しかし、最も注意すべきなのは、その改定が「利益調整などの恣意的なものではないこと」を税務署に対して論理的に説明できなければならないという点です。「売上が下がったから不祥事を理由にして減額しよう」「なんとなく担当業務が変わったから給与を変えよう」といった安易な改定は、税務調査で否認される可能性が極めて高くなります。
臨時改定事由を適用して役員報酬を改定する場合は、以下のポイントを必ず守ってください。
- 実質的に職務内容や責任範囲が大きく変わっていること
- 社会通念上、その金額や期間が妥当であること
- 臨時株主総会や取締役会の「議事録」など、客観的な証拠(決議記録)を必ず残すこと
特に、第三者から見て状況が分かりにくい社内の組織変更や分掌変更の場合、定款や議事録の存在が税務リスクから会社を守る最大の盾となります。
臨時改定事由に該当するかどうかの判断は非常に専門的であり、ケースバイケースで解釈が分かれることもあります。「自社のケースが臨時改定事由に当てはまるか不安だ」「議事録の書き方がわからない」と少しでも迷われた場合は、決して自己判断せず、改定を行う前に顧問税理士などの専門家へご相談されることを強くおすすめします。










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