ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?



今朝は法人の青色申告のメリットについて整理しようと思います。



個人事業主の青色申告のメリットはすぐに思いつくのですが、法人で青色申告するメリットってそういえばすぐには思いつかないですね。



個人事業主の青色申告特別控除(65万円控除)は法人にはありません。でも、法人にとって青色申告は、事業の成長と資金繰りを支える「最強の節税戦略」であり、経営の根幹をなすものです。
この記事では青色申告の基本から、中小企業だけが享受できる5つの優遇税制まで、実務目線で分かりやすく解説します。
1. はじめに
(1).青色申告制度の概要と法人への適用
青色申告(あおいろしんこく)とは、正確な帳簿を作成・保存する代わりに、税制上の優遇措置(特典)を受けられる申告方法です。
この制度は個人の所得税の確定申告で有名ですが、もちろん法人税の確定申告でも選択可能です。青色申告を選択することで、法人は赤字の活用や資産計上の優遇など、大きな節税メリットを享受できます。
(2).白色申告との違いと青色申告の普及率(法人の約98%が採用)
確定申告の方法には、「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
| 比較項目 | 青色申告(承認制) | 白色申告(自動適用) |
| 記帳方法 | 複式簿記が原則(複雑だが正確) | 単式簿記(簡易な記帳)が認められる |
| 税制優遇 | 各種特典・優遇措置を享受できる | 原則、税制上の特典は受けられない |
白色申告は青色申告の条件を満たさない場合に適用されますが、法人においては、青色申告の特典が受けられないというデメリットが大きいため、ほとんどの企業が青色申告を選んでいます。
実際、国税庁の資料などによれば、法人の青色申告採用率は98%程度という驚異的な数字に達しています。これは、青色申告が法人経営において「標準」であることを示しています。
(3).本記事の目的:中小法人が享受できる青色申告の優遇税制を実務目線で解説
法人における青色申告は、特に資本金1億円以下の中小法人への節税効果が大きいと言えます。本記事では、この圧倒的な優位性を持つ青色申告の「承認」を得るための手順と、中小企業が活用すべき具体的な税制優遇措置を解説します。
2. 青色申告の適用要件と手続き
青色申告のメリットを享受するためには、「青色申告承認申請書」の提出と、正確な帳簿の記帳という2つの要件を満たし、税務署の承認を得る必要があります。
(1).適用対象:帳簿を整備し、承認申請を行った法人
青色申告は「承認制」であり、事前に「青色申告の承認申請書」を納税地を所轄する税務署に提出し、承認を受ける必要があります。承認を受けていない場合、たとえ複式簿記で記帳していても特典は受けられません。
申請書の主な記入事項には、法人名や納税地といった基本情報のほか、帳簿組織の状況(仕訳帳、総勘定元帳など)や特別な記帳方法の採用の有無(会計ソフトの利用など)、税理士の関与度合などが含まれます。
(2).承認申請の期限:設立3ヶ月以内または最初の事業年度終了日の前日まで
青色申告の承認申請書の提出には、厳格な期限が定められています。
| 法人の状況 | 提出期限 |
| 新規設立法人(第1期目から適用希望) | 設立日から3ヶ月を経過した日の前日、または第1期の事業年度終了日の前日のいずれか早い日。 |
| 既存法人(翌期から適用希望) | 青色申告承認を受けようとする事業年度開始日の前日。 |
この期限に1日でも遅れると、その事業年度は青色申告の適用ができず、自動的に白色申告となり、特典を受けられません。法人設立時に、他の各種届出と合わせて忘れずに提出することが極めて重要です。



法人設立時に提出すべき書類については、青色申告承認申請書も含めてこちらの記事で解説しております。
【町田市の税理士が解説】個人事業主の法人成りについて
(3).帳簿要件:複式簿記、総勘定元帳・仕訳帳の整備と保存義務(原則7年)
青色申告の適用を受けるための最も重要な要件は、複式簿記による正確な記帳です。
複式簿記では、すべての取引を「借方(原因)」と「貸方(結果)」の両面から記録するため、会社の財政状態と経営成績をより正確に把握できます。
- 必要な帳簿
仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛金元帳、固定資産台帳など、法令で定められた帳簿や書類の整備が必要です。 - 帳簿の保存義務
作成・受領した帳簿や書類は、原則として申告期限の翌日から7年間保存しなければなりません。特に、欠損金が生じた事業年度の帳簿は10年間の保存が必要です。
3. 青色申告法人だけが受けられる5つの税制優遇
青色申告法人、特に中小法人(資本金1億円以下)は、白色申告では得られない強力な税制優遇(特典)を多数享受できます。ここでは、経営に直結する重要な5つの優遇措置を解説します。
(1).欠損金の繰越控除(最大10年間)
これは、青色申告の最大のメリットの一つです。
ある事業年度に生じた欠損金(税務上の赤字)を10年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺できる制度です。
欠損金の繰越控除のイメージ
創業期や大規模な投資を行った際に赤字が出ても、翌期以降に利益が出た場合、繰り越した赤字と相殺することで課税所得を圧縮し、法人税の負担を大幅に軽減できます。
| 年度 | 利益/損失 | 繰越欠損金の控除 | 課税所得 | 節税効果 |
| 1期目 | ▲1,000万円(欠損金) | 0円 | 0円 | 欠損金1,000万円発生 |
| 2期目 | +600万円(黒字) | 600万円を控除 | 0円 | 法人税がゼロに! |
| 3期目 | +500万円(黒字) | 残り400万円を控除 | 100万円 | 500万円に対し課税額が激減 |
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
(2).欠損金の繰戻し還付(中小法人限定)
「欠損金の繰戻し還付」は、中小企業者等(資本金1億円以下の法人など)に限定された、資金繰り対策に非常に有効な制度です。
当期に欠損金が生じた場合、その欠損金を前期(前事業年度)の所得に繰り戻して相殺し、前期に支払った法人税の一部を還付してもらうことが可能です。
翌年以降も赤字が見込まれる場合は繰越控除が有利ですが、急な赤字で資金繰りが悪化した場合など、すぐに現金を確保したい場合には、この繰戻し還付が大きなメリットとなります。
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.5763 欠損金の繰戻しによる還付
(3).少額減価償却資産の即時償却(30万円未満/年300万円まで)
これは、中小企業の設備投資を強力に後押しする制度です。
青色申告をしている中小企業者等は、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」を利用することで、取得価額30万円未満の減価償却資産を、通常の減価償却を行わず、購入した年度に全額一括で経費(損金)として計上できます。
ただし、この特例を適用できるのは、年間合計300万円を上限とします。
パソコンや工具、事務機器など、比較的小規模な設備投資を集中して行った際に、即座に税負担を軽減できるため、資金繰りがタイトな創業期などに特に有効です。



適用できる中小企業者等は、常時使用する従業員の数が500人以下の場合に限ります。
参照:国税庁ホームページタックスアンサーNo.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
(4).中小企業投資促進税制(特別償却・税額控除)
青色申告書を提出する中小企業者などが、新品の機械装置などの特定資産を取得し、国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合に適用できる制度です。
この制度の最大の特徴は、以下のいずれかを選択できる点です。
1. 特別償却:基準取得価額の30パーセント相当額を普通償却限度額に加えて償却できる。
2. 税額控除:基準取得価額の7パーセント相当額を法人税額から直接控除できる。
税額控除を選択した場合の控除上限は、その事業年度の調整前法人税額の20パーセント相当額までです。
(注)この他にも、「中小企業経営強化税制」(特定経営力向上設備等を取得した場合に即時償却または税額控除)など、青色申告法人向けの特別償却・税額控除制度が存在します。
参照:国税庁ホームページタックスアンサーNo.5433 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
(5).賃上げ促進税制(税額控除)
これは、雇用者の給与総額が増加した場合に、その増加額に応じて法人税額から税額控除を受けられる制度です。
令和6年度の税制改正により、中小企業者等に対する優遇措置がさらに強化されました。
• 最大控除率の引き上げ:中小企業は、一定の要件を満たすことで最大45%の税額控除が可能となりました。
• 繰越控除の新設:中小企業者に対して、税額控除限度額を使いきれなかった場合に、5年間の繰越控除制度が創設されました。
賃上げ促進税制は、人材への投資を積極的に行う青色申告法人にとって、税負担を軽減し、経営を強化するための強力なツールとなります。



控除率・繰越の取扱いは適用年度・要件で異なるため、適用年度に合った最新の制度をご確認ください。
4. 青色申告を活用する際の注意点
青色申告の特典は魅力的ですが、その承認は永久ではありません。特典を維持するためには、厳格なルールを遵守する必要があります。
(1).帳簿不備や虚偽記載による承認取消リスク
青色申告の承認は、以下のいずれかに該当した場合、税務署長によって取り消される可能性があります。
- 確定申告書を期限までに提出しない(特に2事業年度連続した場合)。
- 法令で定められたとおりに帳簿の作成・保存が実施されていない。
- 取引の全部または一部を隠蔽、仮装しており、真実性を疑うに足りる相当の理由がある。
- 税務署長の指示に従わない。
万が一、青色申告の承認が取り消された場合、取り消し通知日から一定期間は再申請ができません。これは、その間の税制優遇が一切受けられなくなることを意味し、経営に深刻な打撃を与えます。特典を維持するためには、毎年正確な帳簿を作成し、確定申告書を期限内に提出することが絶対的な条件です。
(2).税理士との連携による制度活用の最適化
青色申告では複式簿記が必要であり、簿記の専門知識が求められます。
特に「中小企業投資促進税制」や「賃上げ促進税制」といった租税特別措置法上の特例は、適用要件が複雑かつ厳密に定められています。これらの特典を最大限に活用し、かつ、税務調査時のリスク(帳簿不備や誤った優遇適用による追徴課税)を回避するためには、税理士など専門家との連携が不可欠です。
5. まとめ
(1).青色申告は単なる申告方法ではなく、税務戦略の基盤
青色申告制度は、単に税金計算の形式を選ぶものではありません。それは、欠損金の活用による中長期的な資金運用の安定化や、各種税制優遇措置による事業拡大への投資促進を可能にする、法人の税務戦略の基盤そのものです。
(2).中小法人こそ積極的に制度を活用すべき
青色申告のデメリットとして複式簿記の手間が挙げられがちですが、法人では白色申告でも決算書の作成が義務付けられているため、実務上の負担に大きな差はないとされています。また、会計ソフトの進化により、その負担は劇的に軽減されました。
欠損金の繰越控除や少額減価償却資産の特例など、中小企業向けに特化された手厚い特典を考えると、デメリットをはるかに上回るメリットがあるため、中小法人こそ積極的に青色申告を活用すべきです。



青色申告の承認申請を法人設立時に忘れずに行い、その後は帳簿の正確性を保つことで、税制の恩恵を最大限に享受し続けられます。
複雑な特例の適用判断や、毎年の正確な申告のためには、やはり専門家の知恵が必要です。信頼できる税理士と連携することで、あなたは煩雑な経理業務から解放され、事業の成長という本質的な課題に集中できるようになります。相談できる税理士がいない場合には、お気軽にこちらまでお問い合わせください。










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