【町田市の税理士が解説】個人の一時所得の基礎知識について

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?

新屋賢人

今朝は個人の所得シリーズ第3弾として、一時所得について、整理しようと思います。

ミミレイドン

一時所得というくらいなので、臨時的な収入ということですかね。

新屋賢人

臨時収入があったけれど「確定申告が必要か分からない」「税金の計算が複雑そう」と悩む方に向けて、どのような所得が一時所得に該当するかなど、一時所得の基礎知識について分かりやすく解説します!

目次

1.はじめに

(1).一時所得とは何か?

「一時所得」とは、その名の通り、一時的かつ偶発的に入ってくる臨時収入のことです。

これは、お給料(給与所得)や事業の売上(事業所得)のように、継続的な労働や営利活動によって得られたものではなく、「ラッキー」や「たまたま」といった要素が大きい所得を指します。

国税庁の定める所得区分は全部で10種類ありますが、一時所得はその一つであり、特有の優遇された計算方法が適用されるのが大きな特徴です。

(2).なぜ知っておくべきか?

一時所得について知っておくべき最大の理由は、申告漏れのリスクを回避するためです

特に会社員(給与所得者)の方の場合、通常は年末調整で納税が完了するため、確定申告とは縁遠いと思われがちです。しかし、生命保険の満期金や高額な懸賞金など、普段ない臨時収入があった場合、自分で確定申告を行う義務が発生する可能性があります。

万が一、申告が必要な所得を隠したり、申告を怠ったりすると、後から税務署に発覚し、ペナルティ(追徴課税)を課されることになり、本来よりも多くの税金を支払う羽目になってしまいます

2.一時所得の定義と対象となる収入

(1).所得税法上の「一時所得」の定義

所得税法上、一時所得は、以下の3つの条件をすべて満たす所得であると定義されています。

  1. 利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡のいずれの所得にも該当しない
  2. 営利を目的とする継続的行為から生じた所得ではない
  3. 労務や役務の対価、または資産の譲渡による対価としての性質を持たない

簡単に言えば、「他のどの分類にも当てはまらず、たまたま、そして一回限りで得られた所得」が一時所得です。

ミミレイドン

どの分類にも該当しないという点で、雑所得と混同しそうですね。雑所得については、こちらの記事で解説しております。
【町田市の税理士が解説】個人の雑所得の基礎知識について

(2).主な対象例

実際にどのような収入が一時所得に該当するのでしょうか。代表的な例は以下の通りです。

収入の種類備考
生命保険の満期保険金や解約返戻金(一時金で受領した場合)保険料の負担者と受取人が同一の場合。
懸賞や福引の賞金品業務に関して受けるものを除く。
競馬、競輪などの公営ギャンブルの払戻金営利目的の継続的行為から生じたものを除く。
法人から贈与された金品業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除く。
ふるさと納税の返礼品経済的利益(返礼品の相当額)として。
遺失物・埋蔵金の発見者が受ける報労金
マイナポイント地方自治体からの贈与とみなされ、一時所得の対象となる。

ただし、宝くじやサッカーくじ(toto/BIG)の払戻金は、法律で非課税と定められているため、一時所得には該当しません

ミミレイドン

ふるさと納税やマイナポイントまで、、、確定申告漏れがないか不安になってきました。

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1490 一時所得

3.一時所得の計算方法

一時所得の計算方法は、他の所得と比べて優遇されています得た収入の全額に課税されるわけではない、という点をしっかり押さえましょう。

(1).基本計算式:(総収入金額 − 必要経費 − 特別控除50万円) ÷ 2

一時所得の課税対象となる金額は、以下のステップで計算します。

STEP
一時所得の金額を算出する

一時所得の金額=総収入金額−収入を得るために支出した金額(必要経費)−特別控除額(最大50万円)

STEP
課税対象額(総所得金額に算入される金額)を算出する

課税対象額=一時所得の金額×1​/2

(2).特別控除50万円の意味と適用条件

この計算で最も重要となるのが、「特別控除50万円」です。

意味

一時所得を得た個人すべてに対し、年間で最大50万円までの控除が認められます

適用条件

  • この50万円の控除は、その年中に発生したすべての一時所得の合計額から一度だけ差し引くことができます。複数の臨時収入があっても、それぞれから50万円を引くことはできません。
  • もし収入から必要経費を差し引いた金額が50万円以下であれば、課税される一時所得の金額はゼロになります。この場合、他に申告する所得がなければ確定申告は不要です

(3).計算例

個人事業主Aさんが、保険料負担者と満期保険金受取人が同一である生命保険の満期金を受け取ったと仮定します。

項目金額
総収入金額(満期保険金)500万円
収入を得るために支出した金額(払込保険料)400万円
特別控除額50万円

<計算ステップ>

  1. 一時所得の金額
    500万円(総収入)−400万円(経費)−50万円(特別控除)=50万円
  2. 課税対象額(総所得金額に算入される金額)
    50万円×21​=25万円

この結果、500万円の保険金を受け取っても、実際に課税対象となるのは25万円のみです。この25万円が、給与所得やその他の所得と合算され(総合課税)、所得税と住民税が計算されます

4.確定申告の必要性とペナルティ

(1).確定申告が必要となる基準

給与所得者(会社員)の場合、給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円以下であれば、確定申告は原則不要とされています。

一時所得は、特別控除(50万円)を引いた後の金額のさらに2分の1が課税対象となります。

したがって、給与所得者で一時所得以外の所得がない場合、一時所得の収入金額が90万円を超えなければ、確定申告は不要となります。

(例: 収入90万円、経費0円の場合: (90万 – 0 – 50万) × 1/2 = 20万円 → 確定申告不要)

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

(2).住民税の申告

所得税の確定申告が不要(一時所得が20万円以下)であっても、一時所得が1円以上あれば、住民税の申告は必要となる場合があります。所得税の確定申告をすれば住民税の申告も自動的に行われますが、所得税の確定申告をしない場合は、別途、市区町村の窓口で住民税の申告が必要です。

(3).課税対象の特定(所得が発生した年)

一時所得は、その収入が確定した日を含む年分の所得として計算されます。

例えば、生命保険の満期金を受け取った場合、実際に受取人がその金額を手に取った年ではなく保険が満期になった、または解約が成立したなど、所得が確定した年の所得として申告が必要です。

申告の期間は、原則として所得が発生した年の翌年の2月16日から3月15日までの1カ月間です。申告の義務がある方は、この期間内に申告書を提出し、所得税と復興特別所得税を納税しなければなりません。なお、一時所得の計算結果、源泉徴収された税金が多すぎたなどで還付を受ける申告(還付申告)の場合には、5年間申請することができます。

ミミレイドン

実際に入金された日ではなく、所得が確定した日の属する年の所得になるのですね。。。これは、年明け早々に入金があった場合には、注意が必要ですね。

(4).申告漏れによるペナルティ(延滞税・重加算税)

確定申告が必要であるにもかかわらず申告しなかった場合、以下のような厳しいペナルティが課されます。

ペナルティの種類   概要
延滞税法定納期限の翌日から税金を完納するまでの日数に応じた利息のような税金。
無申告加算税期限後に自発的に申告した場合を除き、納付すべき税額に対して課される税金(税額50万円以下の部分は15%、超える部分は20%)。
重加算税申告内容の改ざん、偽造、隠蔽などの悪質な不正行為が認められた場合に課される税金(税率40%)。

申告漏れに関する税務署の調査権は原則5年ですが、不正行為があった場合は最大7年前まで遡って追徴課税が可能です。無申告がバレるまでの期間が長いほど延滞税も高額になるため、正直に期限内に申告する方が、結果的に支払う税金は安く済みます。

新屋賢人

無申告でも、あえて数年は泳がせておき、一番税金を取れる時期に複数年分の調査が入るという噂もあります。バレてないから無申告を続けようと思っていると、後で痛い目にあいますのでご注意ください。

ミミレイドン

延滞税や加算税などの罰則税については、こちらの記事で解説しております。
【町田市の税理士が解説】修正申告でかかる罰則税とは?加算税・延滞税・利子税を徹底解説!

5.非課税となるケース

すべての臨時収入に課税されるわけではありません。法律によって所得税が課税されない「非課税所得」として定められているものもあります。

(1).心身に加えられた損害に基づく保険金(入院給付金など)

所得税法では、心身に加えられた損害または突発的な事故により資産に加えられた損害に基づき受け取る保険金等は非課税と定められています。

  • 例えば、病気やケガによる入院給付金、手術給付金、特定疾病給付金など、医療保険やがん保険から支払われる給付金は非課税所得です。
  • 火災保険や自動車保険などの損害保険金も、一般的に非課税とされています。

これらは、所得税法施行令第30条等において、規定されております。

6.よくある誤解と失敗例

一時所得は定義が抽象的なため、誤解や判断ミスが生じやすい所得区分です。

(1).「保険金は全部課税される」誤解

生命保険の満期金や解約返戻金を受け取ったとき、「高額だから全額課税される」と誤解する人がいますが、これは間違いです。

税金の計算上、まず「払込保険料(必要経費)」を差し引くことができ、さらに「特別控除50万円」が適用されるため、結果的に課税されないケースも多いです。特に「受け取ったお金」と「払い込んだ保険料」の差額(利益)が50万円以下であれば、税金はかかりません。

(2).契約者と受取人の関係によるリスク(贈与税・相続税)

満期保険金や解約返戻金を受け取る際、保険料の負担者(契約者)と保険金を受け取る人(受取人)が同一人物である場合にのみ、所得税(一時所得または雑所得)の対象となります。

もし、保険料の負担者と受取人が異なる場合、そのお金は贈与税(または相続税)の課税対象となります。贈与税は所得税とは税率体系が大きく異なるため、契約形態を確認せずに保険金を受け取ると、想定外に高額な税金が発生するリスクがあります。

契約形態契約者(保険料負担者)受取人課税される税金
同一所得税(一時所得/雑所得)
贈与税

(3).他の所得区分と混同するケース(判定に迷うケース)

一時所得と混同されやすいのが雑所得事業所得です。

  • 雑所得との区別(継続性)
    一時所得は「一時の所得」ですが、継続性のある副業収入(アフィリエイト、執筆報酬、フリマ転売など)は雑所得に該当します。また、保険金であっても、一時金でなく年金形式で分割受領する場合は雑所得となります。
  • 事業所得との区別(営利目的)
    競馬の払戻金であっても、年間数億円を投じるなど、営利目的かつ継続的に行われていると認められる場合は、一時所得ではなく雑所得として扱われる可能性があります。事業的規模と認められると事業所得になるケースもありますが、判定は複雑です。

7.節税のポイント

一時所得の税金を計算する上で、賢く節税するために押さえておくべきポイントがあります。

(1).特別控除の活用

先述の通り、一時所得には年間最大50万円の特別控除があります。

この控除は、複数の臨時収入があっても、その年のすべての一時所得を合算した「利益の合計額」から一度に差し引くことができます。例えば、競馬で大きな利益を出し、別件で満期保険金も受け取った場合、両方の利益を合算してから50万円を差し引くことで、節税効果を最大化できます。

また、給与所得者で、一時所得の収入(経費控除後)が90万円以下であれば、確定申告が原則不要となる基準(課税所得20万円)に収まるため、このルールを最大限活用することが重要です。

(2).他の所得との損益通算は不可

一時所得は、その性質上、他の所得区分(給与所得、不動産所得など)の赤字と相殺(損益通算)することができません

例えば、保険の解約返戻金が払込保険料よりも少なかった場合(損失が出た場合)、そのマイナス分を給与所得などから差し引いて税金を減らすことはできません。ただし、一時所得内であれば、損失と利益を通算することは可能です(例:損失が出た保険解約と利益が出た懸賞金の相殺)。

(3).税理士に相談すべきケース

臨時収入を得て確定申告が必要か判断に迷った場合や、税負担を適正に抑えたい場合は、専門家である税理士に相談することを強く推奨します。

特に以下のようなケースは、税務判断が複雑になりがちです。

雑所得/事業所得との境界が曖昧なケース(高頻度なギャンブルや副業収入の区分など)。
高額な臨時収入があり、税額計算が複雑なケース
税務アドバイスや節税対策を求めているケース

税理士は、電子申告(e-Tax)や会計ソフトの利用が不安な方に対しても、申告ミスを減らし、適切な納税をサポートできます。

8.まとめ

(1).一時所得は「儲け」に課税される。

一時所得は、収入そのものではなく、「総収入金額から、その収入を得るためにかかった費用と特別控除50万円を差し引いた利益(儲け)部分」に対して課税されます。

(2).計算式と申告タイミングを押さえることが重要

一時所得の課税対象となる金額は、次の2つのステップで計算されます。

  1. (総収入金額 − 必要経費 − 特別控除50万円)
  2. 算出した金額をさらに 2分の1 する

この計算構造を理解し、給与所得者であれば「一時所得の収入が90万円超かどうか」を判断の目安とすることが、申告漏れを防ぐ鍵となります。

新屋賢人

税制は頻繁に改正され、個別の取引内容によって判断が分かれることも少なくありません。特に複雑な事案や判断に迷う場合は、自己判断せず、信頼できる税理士に相談することが、最も安心で確実な方法です。
もし、相談できる税理士がいない場合には、お気軽にこちらまでお問い合わせください。

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この記事を書いた人

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

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