ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?



個人の所得シリーズ第5弾として、配当所得について、整理しようと思います。



一昔前より株式投資をやっている人は増えてますし、気になる人も多いかもしれませんね。



配当金や分配金を受け取ったとき、その税金の計算方法について深く考えたことがありますか?実は、配当所得は「何もしない」が一番損をする可能性がある、知っている人だけが得をする税制です。
今回の記事では、誰にでも分かりやすく、配当所得の基本から、手取りを劇的に増やす「課税方式の選択」の裏ワザを解説します。
1. はじめに
(1).配当所得とは何か(株式や投資信託から得られる利益の一部)
所得税法において、配当所得とは、株主や出資者が法人から受け取る配当や、投資信託(公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託以外のもの)の収益の分配などに係る所得を指します。
簡単に言えば、企業やファンドが生み出した利益の一部を、出資者であるあなたが受け取るお金のことです。
(2).「不労所得」として注目される背景
近年、配当所得が大きな注目を集めているのは、これが「不労所得」の一つと見なされているからです。
「不労所得」とは、あなたが直接労働することなく、保有している資産が自動的にお金を生み出してくれる仕組みです。老後の資金準備(2,000万円問題など)の関心が高まる中で、労働収入とは別に、中長期的な資産形成や、月々の収入を補う定期収入の獲得を目的とする人々にとって、配当所得は非常に魅力的な収入源となっています。
(3).配当所得を理解するメリット(資産形成・副収入)
配当所得の税制上の仕組みを正しく理解し、適切な納税方法を選択することで、あなたの手取り額を最大化することができます。これは、投資リターンを税金の面から最適化することであり、資産形成を加速させる上で欠かせない知識です。
2. 配当所得の課税の仕組み
(1).源泉徴収税率:20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
上場株式等の配当金を受け取る際、通常、金融機関で自動的に税金が差し引かれます。これを源泉徴収といいます。
この源泉徴収される税率は、所得税と住民税を合わせて合計20.315%です。
| 区分 | 税率 | 備考 |
| 所得税 | 15% | – |
| 復興特別所得税 | 0.315% | 所得税額(15%)の2.1% |
| 住民税 | 5% | – |
| 合計 | 20.315% | 源泉徴収によって納税が完結します |
(注)復興特別所得税は平成25年(2013年)から令和19年(2037年)までの確定申告で所得税と併せて申告・納税されます。
(2).NISA口座の場合は非課税になる仕組み
税金をゼロにしたい!その願いを叶えるのがNISA(少額投資非課税制度)です。
NISA口座で投資した株式の配当金や投資信託の分配金は、日本国内での課税が非課税となります。非課税なので、当然、確定申告も不要です。
ただし、注意点が一つ! NISA口座の配当金を非課税で受け取るには、証券会社で「株式数比例配分方式」を設定している必要があります。もし銀行口座で配当金を受け取る方式を選んでいると、NISA口座であっても課税されてしまうため、必ず設定を確認しましょう。



初期設定は「配当金領収証方式」になっていることが多いため、配当金を非課税とするためには、必ず証券会社のサイトやアプリで確認・変更してください。なお、配当基準日までに設定変更が必要です。基準日を過ぎると次回からの適用になります。 また、設定は証券会社単位で行われ、同一名義の他口座にも影響します。
(3).外国株式配当と外国税額控除の関係
米国株や海外ETFなど、外国株式から配当金を受け取った場合、二重課税が発生します。
- 現地課税
まず、投資先の国(例えば米国では通常10%)で税金が源泉徴収されます。 - 日本国内課税
現地税が差し引かれた残額に対して、日本国内でさらに20.315%の税金が課税されます。
この二重課税を調整し、税負担を軽減するための制度が「外国税額控除」です。この控除を適用することで、外国で納めた税金を日本の所得税から差し引くことができます。
外国税額控除の適用を受けるためには、必ず確定申告が必要になります。
3. 課税方式の選択肢
上場株式等の配当所得(一定の大口株主等が支払いを受けるものを除く)については、納税者が「申告不要」「総合課税」「申告分離課税」の3つの課税方式から選択できます。



2023年分(令和5年分)の確定申告以降、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できなくなりました。以前はできた「所得税は還付を受けるため総合課税、住民税は保険料が増えないように申告不要」という「いいとこどり」はできなくなったため、より慎重な選択が必要です。
(1).申告不要制度(源泉徴収のみで完結)
申告不要制度は、配当金の支払時に源泉徴収された20.315%の税金で、納税が完了する方法です。
上場株式等の配当(大口株主を除く)、公募投資信託の分配金などに限られます。
| メリット | デメリット |
| 確定申告の手間が一切かからない | 配当控除や損益通算といった節税メリットを受けられない |
| 合計所得金額に算入されないため、国民健康保険料や扶養控除の判定に影響しない | – |
(2).総合課税+配当控除:課税所得が低い人に有利
総合課税は、配当所得を給与所得や事業所得など他の所得と合算して税額を計算する方法です。
この方式では、配当控除が適用できます。所得税が累進課税(所得が高いほど税率が上がる)であるため、課税所得が低い人にとって、実質的な税率が源泉徴収税率(20.315%)を下回り、還付を受けられる可能性が高くなります。
(3).申告分離課税:高所得者や他の投資損益通算を利用する場合に有効
申告分離課税は、配当所得を他の所得から分離し、一律20.315%(所得税(復興特別所得税含む)15.315%+住民税5%)の税率で課税される方法です。
この最大の強みは、上場株式等の譲渡損失(売却損)がある場合に、配当所得と損益通算ができる点です。損益通算により所得を減らし、源泉徴収された税金を取り戻すことができます。
所得税の累進税率が高くなる高所得者(課税所得が695万円以上)や、株式投資で損失が出ている方に有効な選択肢です。
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)
4. 配当控除の仕組みとメリット
(1).所得税・住民税から一定額が控除される制度
配当控除の目的は、二重課税の排除です。企業が利益を出す際に法人税を支払い、その残りを株主に配当し、さらに株主が所得税や住民税を支払うと、同じ利益に対して二重に課税されることになります。この二重課税分を調整するために、所得税・住民税の額から一定額を差し引く税額控除が配当控除です。
控除率は、国内株式の配当の場合、原則として以下の通りです。
- 所得税:配当所得の10%(課税所得1,000万円超の部分は5%)
- 住民税:配当所得の2.8%(課税所得1,000万円超の部分は1.4%)
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1250 配当所得があるとき(配当控除)
(2).年収別の有利不利の目安
総合課税を選択して配当控除を適用した方が有利になるかどうかは、あなたの課税所得金額によって変わります。
税率を判断する上で重要なのが、課税所得金額695万円です。
- 課税所得695万円未満
所得税の税率(配当控除適用後)と住民税の合計が、源泉徴収税率(20.315%)より低くなるため、総合課税が有利です。 - 課税所得695万円以上
所得税の累進税率が急上昇するため、総合課税を選択すると、20.315%を超過し不利になる可能性が高まります。
この基準に基づき、ご自身の所得状況をしっかりと確認することが大切です。
(3).注意点:合計所得金額が増えることで他の控除や制度に影響する可能性
配当控除目当てで総合課税を選択し確定申告を行う際に、最も注意すべき「落とし穴」があります。
それは、申告した配当所得が「合計所得金額」に算入されてしまうことです。合計所得金額が増加すると、以下のような影響が生じ、税金が還付されても世帯全体の手取りが減る可能性があります。
- 国民健康保険料/後期高齢者医療保険料の増加
保険料の算定基準となる所得が増加します。 - 各種控除の適用判定への影響
配偶者控除や扶養控除の判定基準(扶養者の所得制限など)から外れてしまう可能性があります。



総合課税を選択することにより、配当に関する所得が公になってしまうため、所得金額を基に行っていた扶養控除の判定など、様々な項目で弊害が出てきますので、注意が必要です。課税方式を選択する際には、トータルで本当に有利か不利かを検討する必要があります。
5. 実務上のポイント
(1).確定申告の流れ(特定口座の源泉徴収あり/なしの違い)
| 口座の種類 | 確定申告の要否(配当金の受取時) | 確定申告をするメリット |
| 特定口座(源泉徴収あり) | 原則不要(金融機関が納税代行) | 課税所得が低い場合、配当控除適用で還付 |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 必要(金融機関が年間取引報告書作成) | 譲渡損失と損益通算 |
| 一般口座 | 必要(全て自分で計算) | 配当控除適用や損益通算 |
還付を受けるために確定申告を行う場合、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用し、源泉徴収票や「特定口座年間取引報告書」を見ながら、総合課税か申告分離課税を選択して入力します。
(2).NISAやiDeCoとの併用戦略
税制優遇制度を最大限に活用するための鉄則は、「非課税枠の優先利用」です。
- NISAの優先活用:投資利益が非課税となるNISA口座は、まず最優先で使い切るべきです。
- iDeCoの活用:掛金が全額所得控除の対象となるiDeCo(個人型確定拠出年金)も、将来の年金資産形成と現在の節税を両立できる強力なツールです。
NISAで投資した分は確定申告の心配がないため、税制優遇を考える際には、まずこれらの制度を最大限活用しましょう。
(3).外国株配当の二重課税と控除の活用
外国株の配当金にかかる二重課税は、確定申告を通じて外国税額控除を適用することで、税負担を軽減できます。
確定申告では、「外国税額控除に関する明細書」を作成し、特定口座年間取引報告書などに記載された国外所得総額や納付した外国所得税の額を入力します。
(ただし、前述の通り、NISA口座で受け取った外国株配当については、日本での課税がゼロなので、外国税額控除は適用できません。)
(4).配当控除を選択する際のシミュレーションの重要性
総合課税を選択して配当控除を受ける場合、事前のシミュレーションが絶対に不可欠です。
2023年分の申告から所得税と住民税の課税方式が統一されたことにより、税金が還付されても、住民税上の所得が増えることで国民健康保険料や介護保険料が上がり、トータルで損をするケースが増えました。特に扶養されている方(配偶者控除・扶養控除)や、国民健康保険に加入している方は、税理士に相談するなど、慎重に有利不利判定を行いましょう。
6. 事例紹介
ここでは、具体的な所得層別の有利不利の目安を解説します。
(1).年収500万円・独身の場合のモデルケース
この層の給与所得者(独身、年収500万円)は、一般的に課税所得が695万円未満になることが多いです。
この場合、配当控除を適用した総合課税の実質税率(所得税+住民税)は、源泉徴収税率20.315%を下回る可能性が高く、総合課税を選択することが有利になる典型的なモデルケースです。源泉徴収された税金が還付される効果を期待できます。
(2).年収200万円・配当30万円の場合の節税効果
年収200万円など、課税所得が非常に低い層の場合、所得税の累進税率(5%など)が低く抑えられています。
ここに配当控除(所得税10%)を適用すると、実質的な所得税率がほぼゼロになる可能性すらあります。この層にとっては、申告不要制度(20.315%)よりも、総合課税を選択することで最大の節税効果(還付)を得られる可能性が高く、手取りを大きく増やせるチャンスです。
(3).実際の還付事例
配当所得の確定申告は、「知っている人だけが得をする」税制の代表格です。
特に、特定口座(源泉徴収あり)で何もせずに納税を完了させている低・中所得者の方が、初めて還付申告(納めすぎた税金を取り戻す申告)を行うと、数万円単位で税金が還付される事例は多く見られます。これは、本来なら優遇税率が適用されるはずの所得層が、一律20.315%の税率で払いすぎているために起こる現象です。
7. まとめ
(1).配当所得は「課税方式の選択」で手取りが大きく変わる
配当所得にかかる税金は、「申告不要」「総合課税」「申告分離課税」手取り額が大きく変動します。まずはご自身の課税所得が695万円の目安を上回るか下回るかを確認し、最適な課税方式を検討しましょう。
(2).NISAは最優先で活用すべき非課税制度
投資の利益に対して一切税金がかからないNISA制度は、配当金・売却益の税制優遇策として最優先で活用すべき仕組みです。非課税枠を最大限利用することで、課税に関する複雑な悩みを減らすことができます。



確定申告は義務だけでなく、税金を取り戻すための権利でもあります。特に配当所得においては、申告により税負担を軽減できる可能性が高いですが、2023年のルール改正により、社会保険料や扶養への影響を含めたトータルのシミュレーションがより重要になりました。
正しい知識を身につけ、確定申告を戦略的に活用することが、あなたの資産を増やし、「知っている人だけが得をする」仕組みを享受する鍵となります。もし、相談できる税理士がいない場合には、お気軽にこちらまでお問い合わせください。



個人の所得シリーズ第5弾完了ですね。ようやく折り返し地点。第1弾から第4弾はこちらになります。
第1弾:【町田市の税理士が解説】個人の譲渡所得の基礎知識について
第2弾:【町田市の税理士が解説】個人の雑所得の基礎知識について
第3弾:【町田市の税理士が解説】個人の一時所得の基礎知識について
第4弾:【町田市の税理士が解説】個人の利子所得の基礎知識について










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