ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?



今朝は、個人の所得シリーズ第6弾として、不動産所得の基礎について整理しようと思います。



いよいよ、不動産所得ですね!不動産投資も人気ですし、気にされている方多いのではないでしょうか。



確定申告の季節が近づくと「今年も経費漏れがないか」「赤字が出たけどどう処理すればいいのか」と不安になりますよね。
実は、不動産所得は他の所得と比べて税制上のルールが複雑で、「知っているか知らないか」節税の宝庫です。
この記事は、個人の不動産オーナーが知っておくべき税務知識と、税務調査で慌てないための実践的な注意点を、誰にでも分かりやすく解説します。
1. はじめに
(1).不動産所得とは何か(賃料や礼金などの収入が対象)
所得税において、個人の収入は10種類の所得に分類されますが、不動産所得とは、主に「不動産等の貸付け」によって生じる所得のことです(事業所得や譲渡所得に該当するものを除く)。
具体的には、以下の3つが不動産所得の対象となります。
- 土地や建物などの不動産の貸付け(賃貸アパート、貸地など)。
- 借地権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け(地上権、永小作権、借地権など)。
- 船舶や航空機の貸付け。
ここでいう「所得」は、家賃収入の総額そのものではなく、「総収入金額から必要経費を差し引いた金額」で計算されます。
(2).確定申告が必要になるケース
不動産所得を得ている個人オーナーにとって、年に一度の確定申告は欠かせない手続きです。
全ての家賃収入者が申告を義務づけられているわけではありませんが、不動産所得は確定申告をしなければならない「所得」にあたります。
特に給与所得者(サラリーマン)の場合、不動産所得が20万円以下であれば確定申告が不要となる場合がありますが、以下のケースでは20万円以下でも確定申告が必要となります。
• 給与の総支給額が年2,000万円を超える人。
• 公的年金等の総支給額が年400万円を超える人。
• 給与所得、退職所得、不動産所得のほかに所得がある人(一時所得、雑所得など)。
所得が赤字(マイナス)になった場合でも、損益通算のメリットを享受するためには確定申告が必要です。申告義務がない場合でも、税金を払いすぎている可能性があるため、確定申告の要否判断に迷った際は税理士にご相談ください。



給与所得等の他の所得がない人(専業主婦・年金受給者・個人事業主など)で、合計所得金額が132万円以下の場合は、所得が基礎控除となる95万円を超えると確定申告が必要となります。
時々、事業的規模(後ほど説明)出ない場合には、確定申告不要と考えている方もいらっしゃいますが、それは誤りです。
なお、所得税の申告が不要でも、住民税の申告は必要となることがありますので、ご注意ください。
2. 不動産所得の基本
不動産所得の金額を正確に計算する最初のステップは、「収入となるもの」と「収入とならないもの」を正しく区別することです。
(1).不動産所得に該当する収入の種類
総収入金額には、貸付けによる賃貸料収入のほかに、以下のようなものが含まれます。
| 収入の種類 | 具体的な内容 |
| 賃貸料収入 | 土地や建物の貸付けによる家賃、地代。 |
| 一時金 | 名義書換料、承諾料、更新料、頭金などの名目で受け取るもの。 |
| 敷金・保証金 | 敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの。 |
| 共益費等 | 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代、掃除代など。 |
| 付帯施設収入 | 駐車場や自動販売機などの付帯施設・設備から得られる収入。 |
(2).収入にならないもの
不動産収入として総収入金額に計上されないものもあります。
- 返還を要する敷金や保証金
これは将来賃借人に返す義務がある「預り金」の性質を持つため、収入には計上されません。 - 物件購入ローンの元本返済分
これは負債の返済であり、収入とは関係ありません(後述の通り経費でもありません)。
3. 必要経費の考え方
不動産所得を計算する上で最も重要なのが「必要経費」です。経費は「その支出がなければ家賃収入を得られなかった」と説明できるものに限られます。
(1).修繕費・管理費・固定資産税などの経費
不動産所得の計算上、経費として認められる主な費用は多岐にわたります。
| 費用の種類 | 詳細と注意点 |
| 管理費・修繕費 | 賃貸物件の管理費、維持修繕費。ただし、修繕費と資本的支出の区別が重要です。破損ガラスの取り替えや退去時のリフォーム費用は修繕費にあたりますが、用途変更のための改造費用(リノベーションなど)は一般的に資本的支出(減価償却の対象)とされます。 |
| 税金 | 固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税など、投資用不動産にかかる税金は経費になります。一方、オーナー個人の所得税や住民税は経費になりません。 |
| 保険料 | 火災保険料、地震保険料などの損害保険料。数年分を一括払いした場合、契約年数で按分して1年分を計上します。 |
| その他費用 | 管理委託料、税理士や司法書士への報酬、入居者の立ち退き料、旅費交通費(物件視察)、消耗品費など、事業に関わる費用。 |
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1379 修繕費とならないものの判定
(2).減価償却費の計上方法
減価償却費は、実際には現金の支出がないにもかかわらず、経費として計上できるため、所得圧縮効果が非常に高い「節税の重要項目」です。
- 減価償却の仕組み:建物、建物附属設備、機械装置などの価値が時の経過によって減っていく資産(減価償却資産)について、その取得費用を、法定耐用年数(使用可能期間)にわたり分割して必要経費としていく手続きです。
- 土地は対象外:土地は時の経過により価値が減少しないため、減価償却資産ではありません。
- 計算方法:2007年(平成19年)4月1日以後に取得した建物本体や付属設備は定額法に一本化されています。定額法は毎年同額を償却していく方法です。中古資産を取得した場合は、法定耐用年数そのままではなく、残りの使用可能年数を見積もって耐用年数を計算する特例があります。
(3).土地取得に伴う借入利子の扱い
不動産投資ローンを利用している場合、返済額のうち利息(金利)と保証料は経費として認められます。
しかし、ローンの元本返済分は経費には含まれません。これは借金を返しているだけで、費用ではないためです。
さらに重要な点として、不動産所得が赤字になった場合、その損失を他の所得と相殺(損益通算)できるのが原則ですが、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額は、損益通算の対象となりません。



他にも、別荘等のように主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けに係る損失も損益通算の対象とはなりません。次の項目でも取り上げます。
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算
4. 赤字(マイナス)の場合の注意点
不動産所得が経費や減価償却費の計上によってマイナス(損失)になった場合、この赤字をどう処理できるかが、オーナーにとって最大の関心事です。
(1).他の所得との損益通算の仕組み
不動産所得の金額が赤字となった場合、その損失の金額は、他の黒字の所得金額から差し引くことができます。これが「損益通算」です。
不動産所得損益通算が可能な所得は、所得税法第69条より、給与所得、事業所得、譲渡所得(総合課税分)、山林所得の4種類に限定されています。
例えば、給与所得(黒字)があるサラリーマンの場合、不動産所得の赤字を給与所得と相殺することで、総所得金額が減り、結果として所得税や住民税の負担を軽減できるという大きなメリットがあります。
(2).赤字でも通算できないケース
ただし、発生した不動産所得の損失の全てが損益通算の対象となるわけではありません。以下の損失は損益通算の対象となりません。
- 土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額。
- 別荘等のように主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けに係るもの。
- 国外中古建物から生じた損失のうち、建物の耐用年数を簡便法等により計算した減価償却費に相当する部分の金額(令和3年分以降)。これは租税回避的スキームを防ぐために導入された制限です。
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算
参照:国税庁 不動産所得の損失金額から減算する国外中古不動産の償却費とは
(3).青色申告のメリット
青色申告は、不動産所得や事業所得がある人が利用でき、税制上の優遇措置(特典)が非常に大きいです。青色申告をするためには、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を期限内に提出する必要があります。
青色申告で得られる主なメリット
- 最高65万円の青色申告特別控除
事業的規模で不動産貸付けを行っている場合、正規の簿記(複式簿記)により記帳し、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行えば、最高65万円の控除が受けられます。それ以外の場合は最高10万円の控除となります。 - 損失の繰越控除
青色申告を行えば、事業で発生した赤字(純損失)を翌年以降最長3年間にわたって繰り越し、翌年以降の黒字所得と相殺することができます。 - 青色事業専従者給与
不動産貸付けが事業的規模と認められる場合、家族へ支払った給与を全額経費に算入できる「青色事業専従者給与」の適用があります。(必要な経費に算入するためには、一定の要件を満たす必要があります。)



青色専従者給与の基礎知識については、こちらの記事で解説しております。
【町田市の税理士が解説】家族に給与を出すなら必見!青色事業専従者給与の基礎知識について
事業的規模の重要性
青色申告の特典を最大限(65万円控除、専従者給与など)に享受するには、不動産貸付けが「事業的規模」で行われていると認められる必要があります。
- 形式基準(目安)
建物の貸付けの場合、独立した室数がおおむね10室以上、または独立家屋の貸付けがおおむね5棟以上であれば、原則として事業的規模と認められます(「5棟10室基準」)。 - 実質基準
この基準を満たさなくても、「社会通念上事業と称するに至る程度の規模」で行われているかどうか、つまり営利性、継続性、労力の程度、人的・物的設備の有無などの7つの要素を総合的に考慮して判断されます。
参照:国税庁ホームページタックスアンサーNo.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分
5. 実務上の注意点
現場で最も重視する、申告漏れや誤りを防ぐための実務上のポイントを解説します。
(1).共有名義の物件の場合の申告方法
共有名義不動産の確定申告には、確定申告書、青色申告決算書(または収支内訳書)、固定資産税通知書などの書類が必要とされています。
一般的に、共有名義の不動産から生じる家賃収入は、共有者それぞれの持分割合に応じて按分し、各共有者が自身の不動産所得として申告します。経費や減価償却費なども持分割合に応じて計算し、個人の申告書に記載することになります。
(2).未収でも収入計上が必要なケース
「お金を受け取っていないから収入ではない」という考えは間違いです。不動産所得の収入計上時期は、原則として以下の通りです。
- 支払日が定められている場合:契約や慣習で支払日が定められていれば、その定められた支払日に収入として計上します。
例:未収家賃:たとえ家賃が滞納されていても、契約書に記載された支払日が到来していれば、その年の収入として計上する必要があります。 - 支払日が定められていない場合:実際に支払を受けた日。
- 係争中の賃貸料:賃貸借契約の存否の係争等に係る判決、和解等により受け取ることになった係争期間中の賃貸料相当額については、その判決、和解等のあった日に計上します。
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1376 不動産所得の収入計上時期
(3).契約書の保証金・敷金の取り扱い確認
契約書に基づき、賃借人から受け取る保証金や敷金は、その性質により収入計上の要否が分かれます。
- 返還義務がある場合:収入にはなりません(負債として扱われます)。
- 返還を要しないもの(礼金、償却される敷金など):総収入金額に算入されます。特に契約内容を確認し、償却や充当によって「返還を要しない」と確定した金額は、忘れずにその年の収入として計上してください。
6. 節税・失敗事例
(1).節税のための経費計上の工夫
節税の基本は、「認められる経費を漏れなく、かつ、正しく計上すること」です。
- 減価償却費のフル活用
現金の支出を伴わない減価償却費は、所得圧縮の「切り札」です。計算ミスや計上漏れがないよう注意深く計算しましょう。 - 家事按分の徹底
自宅兼事務所の家賃や通信費、不動産投資に使用する自動車費用など、プライベートと事業で共用している費用は、事業に使用している割合(家事按分)に応じて経費計上が可能です。 - 情報収集費用
不動産専門のセミナー受講料や書籍、新聞の購入費は経費にできます。ただし、「マインドセット系」の講座費用や、個人的なスキルアップ目的の資格取得費用(宅建士など)は否認されやすい傾向があります。
(2).よくある失敗(経費計上漏れ、収入の誤認)
個人の不動産オーナーが陥りやすい代表的な失敗は以下の通りです。
- ローン元本の経費計上
物件購入ローンの元本返済分を利息と混同して経費に計上してしまう。経費にできるのは利息部分のみです。 - 私的な支出の混入
オーナー個人の所得税・住民税、私物の購入費(スーツや腕時計など)、家族旅行を兼ねた視察費用などは、事業との関連性が薄いとして経費にできません。 - 経費計上漏れ
管理費、修繕費、保険料、税理士報酬など、本来経費にできる費用を、領収書の整理不足などで計上し忘れる。
(3).税務調査で指摘されやすいポイント
税務当局は、富裕層や資産の複雑化・多様化に対応するため、調査を厳しくしており、申告漏れ所得金額は過去最高を更新しています。
特に不動産所得に関して指摘を受けやすいポイントは以下の通りです。
- 過度な赤字計上
「節税目的の赤字」と見なされると、税務署に否認されるリスクがあります。特に、国外中古建物を用いた損失計上スキーム(令和3年分以降は制限あり)や、土地ローン利子の損益通算除外を忘れると指摘されます。 - 修繕費と資本的支出の誤認
建物の価値を高めたり使用可能期間を延長したりする「資本的支出」を、短期の費用である「修繕費」として一括経費計上していないか。大規模なリフォーム工事を行った場合は、工事見積書などの詳細資料を保管し、増改築に当たらないことを証明できるようにしておく必要があります。 - 私的費用の混入
事業に関係のない私的な出費(特に交際費や旅費交通費のプライベート利用)が紛れ込んでいないか厳しくチェックされます。
7. まとめ
不動産投資は、長期的な資産形成に役立つ一方で、税務処理の複雑さが伴います。
(1).不動産所得は「収入の範囲」と「経費の正しい計上」が肝心
不動産所得の計算は、「総収入金額 – 必要経費」というシンプルな構造ですが、この「収入の範囲」と「経費の正しい計上」が肝心です。
特に返還不要な敷金や保証金を収入として計上すること(守りの徹底)と、減価償却費や適切な按分計算によって経費を漏れなく計上すること(攻めの節税)が重要です。
(2).赤字でも申告義務があることを再確認
不動産所得が赤字になった場合、損益通算によって他の所得(給与など)から税金の還付を受けることができるため、赤字であっても確定申告は必須の手続きとなります。
また、損益通算の特例を利用するためには、期限内に申告書を税務署に提出しなければなりません。期限を過ぎると延滞税や無申告加算税の支払が生じる可能性があるため注意が必要です。



延滞税や加算税については、こちらの記事で解説しております。
【町田市の税理士が解説】修正申告でかかる罰則税とは?加算税・延滞税・利子税を徹底解説!
(3).税理士に相談するメリット
不動産所得は、固定資産税の計算、減価償却費の計算、借入金利子の取り扱いなど、特有のルールが多く、適切に処理しないと税務リスクが高まります。
特に「5棟10室」基準を満たし、事業的規模と認められる場合や、物件数が5件超、年間収入が2,000万円超といった複雑な状況、あるいは相続や譲渡が絡むケースにおいては、税理士に相談することで、複雑な税務処理を正確に行うことができ、税務調査対応や節税提案の面で大きなメリットを得られます。
賢い不動産オーナーは、日々の管理と同時に、税務の「守り」と「攻め」を両立させています。あなたの貴重な資産を守り、最大限の収益を得るために、ぜひ専門知識を役立ててください。



税理士に依頼することで、税務調査対策や節税提案という税務メリットだけでなく、不動産経営に専念できるという点もあります。もし、相談できる税理士がいない場合には、お気軽にこちらまでお問い合わせください。










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