ミミレイドンボス、おはようございます!
大晦日の今朝のテーマはなんでしょうか?



今朝は事業所税について、整理していきたいと思います。



事業所税?固定資産税や昨日教えてもらった償却資産税とはまた別物ですよね?



今回は、都市部で事業を営む経営者や個人事業主の方が「えっ、こんな税金あったの?」と驚きがちな「事業所税」について徹底解説します。法人税や事業税は有名ですが、事業所税は一定の規模を超えた瞬間に「突然」課税されるため、事前の知識がないと資金繰りに影響することもある恐ろしい税金なのです。
この記事を読んで、事業所税の基本から計算方法、見落としがちな落とし穴まで、確認していきましょう。
なお、注意事項として、市区町村ごとに基準が若干異なったりしますので、実務上は、事務所等所在地の市区町村のルールに従う必要があります!
1. はじめに
(1).事業所税とは何か(都市環境整備のための目的税)
事業所税は、東京都23区や横浜市、大阪市などの指定都市等において、一定規模以上の事業を行っている法人や個人に課される地方税です。 この税金は、人口や企業が集中する大都市において、道路、上下水道、学校、図書館などの都市施設を整備・改善するための財源を確保することを目的とした「目的税」です。いわば、都市のインフラを利用して事業を行うことに対する「都市利用料」のようなものと考えればわかりやすいでしょう。
(2).他の税(法人税・事業税)との違い
よく混同される「事業税」との決定的な違いは、その課税基準にあります。
- 法人税・事業税
主に企業の「所得(利益)」に対して課税されます。 - 事業所税
利益の有無にかかわらず、事務所の「床面積」や「従業員数」といった「事業の規模」に対して課税されます。 つまり、たとえ赤字であっても、一定の規模で事業を続けていれば納税義務が発生するのが最大の特徴です。
(3).なぜ今、事業所税を理解する必要があるのか
近年、リモートワークの普及などでオフィス面積を見直す企業が増えていますが、逆に事業拡大で増床したり、関連会社を同じビルに集約したりする際には注意が必要です。「1,000㎡」や「100人」という境界線を1ミリ、1人でも超えた瞬間に、それまでゼロだった税金が数十万、数百万円単位で発生するからです。
2. 事業所税の概要
(1).創設の背景(都市部の人口・企業集中による財源不足への対応)
昭和50年に創設されたこの税金は、高度経済成長期に都市部へ人口と企業が急激に集中し、交通渋滞や公害、ごみ処理問題などの「都市問題」が深刻化したことが背景にあります。増大する都市整備の財源を、都市の行政サービスから利益を受けている事業者に負担してもらうという考え方に基づいています。
(2).課税対象地域(東京都23区、政令指定都市、人口30万人以上の都市など)
すべての市区町村で課されるわけではありません。以下の「指定都市等」が対象です。
- 東京都(23区の特別区)
- 政令指定都市(横浜市、名古屋市、大阪市、札幌市、福岡市など20市)
- 人口30万人以上の指定都市
首都圏・近畿圏の既成市街地にある一部の都市(武蔵野市、三鷹市など) 令和7年現在、全国で77団体が課税団体となっています。



町田市も相模原市も横浜市も対象です!



23区以外だと東京都は町田市、武蔵野市、三鷹市、八王子市、
神奈川県だと横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市、藤沢市が事業所税の対象となるのですね。
(3).納税義務者(事業所で事業を営む法人・個人)
対象地域内の事業所(事務所、店舗、工場、倉庫、屋内駐車場など)で、実際に事業を営んでいる法人または個人が納税義務者となります。 重要なのは、「建物の所有者」ではなく「実際に使っている人(テナントなど)」が納税する点です。



私も新卒当時に勘違いしていた個所ですが、「実際に使っている人(テナントなど)」が納税、つまり、賃貸人ではなく、賃借人が納税する点に注意が必要です!
3. 課税対象の判定基準
事業所税には「これ以下の規模なら税金はかからない」という免税点が設定されています。
(1).床面積:1,000㎡を超える事業所
市内の全事業所の合計床面積が1,000㎡(約300坪)を超える場合に「資産割」が課税されます。



合計事業所床面積注(4)が1,000㎡以下の場合は、課税になりません。事業所床面積とは、事業所用家屋の延べ面積(共用床面積を含む各階床面積の合計)をいいます。
なお、申告は800㎡超から必要となりますので、ご注意ください。
(2).従業員数:100人を超える事業所
市内の全事業所の従業者数の合計が100人を超える場合に「従業者割」が課税されます。
※従業者には役員も含みますが、役員以外の65歳以上の高齢者や障害者は人数から除外できます。



合計従業者数が100人以下の場合は、課税になりません。なお、申告は80人超から必要となりますので、ご注意ください。
(3).免税点の判定時期
免税点の判定は、資産割、従業者割それぞれについて行います。判定の基準日は課税標準の算定期間(法人の場合は事業年度、個人の場合は原則として1月1日から12月31日までの期間)の末日時点です。



ちなみにブログ記事を作成している本日は大晦日。
つまり、12月決算法人と個人事業主の場合、本日時点の床面積と従業者数で判定することとなります。
(4).「みなし共同事業」や倉庫・駐車場も対象となるケース
ここが実務上の最大の難所です。
- みなし共同事業
親族や子会社などの「特殊関係者」が、同じ建物内で事業を行っている場合、それぞれの面積や人数を合算して免税点を判定します。個別の会社では基準以下でも、グループ全体で判定されるため、思わぬ課税を受けるリスクがあります。 - 倉庫・駐車場
従業員が常駐していない無人倉庫や、ビル内の立体・屋内駐車場も床面積に含まれます。
4. 税額の計算方法
税額は「資産割」と「従業者割」の合算で決まります。
(1).資産割:床面積 × 600円/㎡
1㎡あたり年額600円です。なお、福利厚生施設(社員食堂、休憩室など)は計算から除外できる場合があります。
(2).従業者割:給与総額 × 0.25%
従業員に支払った給与総額(賞与や手当も含む)の0.25%が課税されます。
(3).計算例(床面積2,000㎡、給与総額5億円 → 合計約245万円)
例えば、町田市に床面積2,000㎡、従業者への給与総額が年間5億円の事業所があるケース
- 資産割: 2,000㎡ × 600円 = 120万円
- 従業者割: 5億円 × 0.25% = 125万円
- 合計:245万円
利益に関係なく、毎年これだけの税金が発生することになります。
5. 免税点・軽減措置
(1).床面積1,000㎡以下、従業員数100人以下は非課税
前述の通り、この基準以下であれば納税の必要はありません。
(2).特定業種への軽減・軽減措置
- 福利厚生施設
専ら従業員の利用に供する食堂や体育館などは非課税です。 - 特例措置
特定の業種(倉庫業、各種学校、ホテル・旅館など)には、課税標準を1/2や3/4に軽減する特例があります。 - 外形標準課税との関係
資本金1億円以下の法人は、事業税の「外形標準課税」の対象外ですが、事業所税については資本金額に関係なく、規模が基準を超えれば課税されます。
6. 申告・納付の流れ
(1).法人税と同じく事業年度終了後2ヶ月以内
法人の場合は、事業年度終了(決算)から2ヶ月以内に、事業所がある自治体へ申告・納付します。
個人の場合は、確定申告期限と同様に翌年3月15日となります。



注意点として、法人税や住民税には「申告期限の延長制度」がありますが、事業所税には延長制度が一切ありません。決算が固まる前に計算を終える必要があります。
(2).新設・廃止・統合・規模変動時の申告義務
事業所を新設したり、面積や人数に大きな変動があったりした場合は、事象発生から30日又は1ヶ月以内(期限は自治体による)に届出が必要な自治体が多いです。
(3).電子申告の活用と注意点
現在はeLTAX(エルタックス)による電子申告・電子納税が可能です。複数の自治体にまたがる場合も一括で処理できるため推奨されますが、図面などの添付資料が必要になる点に注意しましょう。
7. 実務上の注意点
(1).課税対象地域の確認を怠らないこと
「隣の市に移転したら、実はそこは課税対象地域だった」というケースがよくあります。移転先が人口30万人以上の都市や政令指定都市でないか、必ず確認しましょう。
(2).規模が基準を超えると突然課税対象になるリスク
事業拡大で少しだけ増床した結果、1,000㎡を1㎡でも超えると、その全面積に対して課税されます。
例:990㎡(0円)→ 1,001㎡(60万600円)。
この「崖」の存在を意識した計画が必要です。



面積は頻繁に変動するものではありませんが、従業員数が免税点ギリギリのお客様には、注意するようにアナウンスはさせていただいております。
(3).申告漏れによるペナルティの可能性
自主申告を忘れていると、後から調査で指摘され、不申告加算金や延滞金が課されます。事業所税は「忘れられがちな税金」ですが、自治体は建物の登記情報や住民票情報を把握しているため、逃れることは困難です。
事業所税の加算金一覧
| 区分 | 内容 | 割合 |
| 不申告加算金 | 申告書の提出期限までに申告のない場合 | 税額の 5% 又は 15%(20%)※ |
| 過少申告加算金 | 申告書の提出期限までに申告があり、その申告税額に不足がある場合 | 不足税額の 10%(15%) |
| 重加算金 | 納税者が課税標準額の計算の基礎となるべき事実を隠ぺい又は仮装した場合 | 不足税額の 35% 又は 40% |
※不申告加算金については、令和6年1月1日以後に申告書の提出期限が到来するものから、税額が300万円を超える部分に対する割合が 30% に引き上げられています。



なお、これらの加算金に加えて、納期限後に納付する場合には、納期限の翌日から納付の日までの期間に応じた延滞金(年14.6%、一定期間は年7.3%。特例割合の適用あり)もあわせて課されることになります。



依然、ブログ記事で解説した罰則税は国税に係るものであり、今回の加算金や延滞金は地方税に係るものであるため、類似しておりますが、別物となります。
国税に係る加算税などのペナルティについては、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】修正申告でかかる罰則税とは?加算税・延滞税・利子税を徹底解説!
(4).節税余地は限定的であるため、早めの対応が重要
ある程度コントロールできる所得を課税標準とする法人税や所得税と違い、事業所税の課税標準である面積や人数は客観的に決まるため、節税の余地は少ないです。しかし、福利厚生施設の除外や倉庫の特例適用を適切に行うことで、税負担を適正に保つことは可能です。
8. まとめ
事業所税は、「都市で事業を行うためのインフラコスト」であり、所得に関わらず「規模」に応じて課される都市部特有の税金です。
大規模な事務所や多くの従業員を抱える企業にとって、その負担は決して小さくありません。事業所の新設や集約、移転を検討する際は、事前に面積や人数の試算を行い、納税額を予測しておくことが必須です。



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