ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝は令和8年度税制改正大綱のうち消費税に関する論点を整理して行きたいと思います。



令和8年度税制改正大綱シリーズ第3弾ですね!



令和8年度税制改正大綱のうち、消費税関係の改正は、事業者の実務に直結する重要な見直しが多い印象です。もちろん、全く影響がない事業者もいるとは思いますが、対応漏れがないように一緒に確認していきましょう。
1.はじめに
令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、消費税分野において、越境EC、インボイス制度、輸出免税、不動産関連役務、暗号資産など、事業者の実務に直結する重要な見直しが多数盛り込まれました。
特に、海外EC事業者と国内事業者の競争条件を公平化するための「国境を越えたEC取引の課税強化」は、今後のEC市場の構造そのものを変える可能性があります。
本記事では、今回の大綱で示された消費税改正の要点を、背景・制度設計・実務影響の観点から体系的に整理します。
制度の理解だけでなく、2026年以降の準備に向けた“実務対応のヒント”も盛り込んでいますので、ぜひ参考にしてください。
2.国境を越えたEC取引に係る課税の見直し
令和8年度(2026年度)税制改正大綱のうち、ネット通販(EC)を利用する皆様やEC事業を営む皆様に関係の深い、「国境を越えたEC取引に係る課税の見直し」に関しては、海外のEC事業者と日本の事業者の間の「不公平」を解消するための内容となっております。
(1). 制度の概要と改正の背景
現在、海外からネット通販(通信販売)で1万円以下の商品(少額貨物)を購入した場合、消費税が免税される仕組みになっています。しかし、近年の越境ECの急増により、この免税制度を背景として、「消費税分だけ海外事業者のほうが安く売れる」という国内事業者との競争上の不均衡が大きな問題となっていました。
そこで今回の改正では、「消費者が負担した消費税は、すべて国・地方に納税されるべき」という原則に立ち返り、海外からの少額輸入についても適切に課税を行う仕組みが導入されます。
(2). 改正内容のポイント
主な変更点は以下の3点です。
- 1万円以下の少額輸入への課税
これまで免税だった「対価が1万円以下の少額輸入貨物」が新たに消費税の課税対象となります。 - 「特定少額資産販売事業者」の登録制度
海外の販売者が税務署に登録(特定少額資産販売事業者)を行い、自ら消費税を申告・納税する仕組みが作られます。この登録事業者が販売する場合、消費者が輸入時に税関で消費税を支払う手間(輸入消費税)は省かれるため、スムーズな配送が維持されます。 - 「プラットフォーム課税」の導入
海外事業者に代わって、Amazonや楽天のような大規模なマーケットプレイス(プラットフォーム事業者)が納税義務を負う仕組みが導入されます。対象は、課税期間の対象取引が50億円を超える巨大な「いわゆる第2種プラットフォーム事業者」に限定されます。
(3). 対象となる個人・事業者
- 海外のEC事業者
日本向けに1万円以下の商品を通信販売している事業者が対象です。 - プラットフォーム事業者
取引規模が50億円を超えるプラットフォームが、販売者に代わって納税を負担します。 - 一般の消費者(個人)
消費者自身が税金を納める手間は増えませんが、これまで免税だった分、海外からの購入価格に消費税が上乗せされる(実質的な値上げ)可能性があります。 - 国内の小規模事業者
売上高1,000万円以下の事業者については、国内取引と同様に納税義務が免除される仕組みが維持されます。
(4). 制度の注意点
- 実施時期は少し先
この改正が適用されるのは、2028年(令和10年)4月1日以後の取引からです。システムの改修や事業者の登録準備に時間が必要なため、猶予期間が設けられています。 - 「1万円」の壁
1万円(税抜)を超える貨物については、これまで通り輸入者(購入した個人など)が納税義務を負うため、金額による切り分けを正確に把握しておく必要があります。 - プラットフォーム事業者の責任
巨大プラットフォームを介して対価を収受する場合、その取引はプラットフォーム事業者が行ったものとみなされるため、納税漏れに対する当局の監視は非常に厳しくなります。



令和8年度の改正を一言で言えば、「海外からのネットショッピングでも、国内のお店と同じように消費税を払うのが当たり前の時代になる」ということです。
この制度は、いわば「関所のデジタル化」です。これまでは小さすぎて見逃されていた海外からの荷物も、巨大な関所(プラットフォーム)がまとめてチェックして税金を受け取ることで、国内の真面目な事業者との公平性を保つようになります。
消費者の皆様にとっては、1万円以下の「おトク感」が少し減るかもしれませんが、国内の素晴らしいお店を応援することに繋がる改正でもあります。2028年からのスタートに向け、海外EC各社がどのような価格戦略をとるのか、今から注目ですね!
3.適格請求書発行事業者となる小規模個人事業者に係る税額控除の新たな経過措置の創設
インボイス制度が始まってから数年、免税事業者から課税事業者になった皆様を支えてきた「2割特例」がいよいよ期限を迎えます。その後をどう乗り切るか、政府が出してきた「次の一手」となります。



改正前の消費税2割特例制度についてはこちらの記事で解説しておりますので宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】消費税2割特例制度の正しい理解と実務対応(インボイス制度Day2)
1. 制度の概要と改正内容:新たな「3割特例」の創設
現在、インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった小規模事業者は、納税額を売上税額の2割に抑えることができる「2割特例」を適用しています。この特例は令和8年(2026年)9月30日に期限を迎えますが、その急激な負担増を避けるための「激変緩和措置」として、新たに「3割特例」が創設されます。
- 納税額の計算
売上税額(預かった消費税)の3割(30%)を納める仕組みです。 - 控除の仕組み
実質的に、売上税額の7割を仕入税額控除として差し引けることになります。 - 適用期間
令和9年(2027年)及び令和10年(2028年)に含まれる各課税期間の、計2年間限定の措置となります。
2. 対象となる事業者
ここが今回の改正の最大のポイントです!
- 小規模な「個人事業者」に限定
この「3割特例」は、個人の個人事業主(フリーランス含む)のみが対象です。 - 法人は対象外
残念ながら、法人は対象から除外されました。法人の場合は、2割特例が終了した後は「原則課税」または「簡易課税」へ移行することになります。 - インボイス発行事業者であること
免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けたことなどにより、事業者免税点制度の適用を受けられなくなった場合に適用可能です。
3. 制度の注意点(ここを間違えると損をする!)
非常に助かる制度ですが、実務上は以下の点に注意が必要です。
- 簡易課税との比較が必須
業種によっては「簡易課税制度」の方が有利(納税額が少なくなる)になるケースがあります。例えば、卸売業などみなし仕入率が高い業種の方は、どちらが得か税理士とのシミュレーションが欠かせません。 - 申告時の手続き
特例の適用を受けるには、確定申告書にその旨を付記する必要があります。 - 簡易課税への移行特例
3割特例を適用した期間の翌課税期間から簡易課税を受けたい場合、その申告期限までに届出書を提出すれば、翌期からの適用が認められるという柔軟なルールも設けられています。 - 法人が除外された理由
法人が除外された背景には、新規設立を繰り返して特例を使い続けるような租税回避を防ぐ意図があると考えられます。



2割特例という「優遇措置」が令和8年9月で終わった後、いきなり全額(または簡易課税)を払うのではなく、令和9年・10年の2年間は「3割」で済むように、国が階段を作ってくれたイメージです。
ただし、この優遇措置が終了する令和11年以降を見据えて、今のうちから正確な経理や価格転嫁の準備を進めておくことをお勧めします。
法人の皆様におかれましては、今回の改正は「個人限定」という厳しい線引きがなされました。法人の経営者は、早めに簡易課税の選択届出を出すべきかどうか、決算期に合わせて戦略を練り直す必要があります。



簡易課税制度については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】今さら聞けない、消費税の簡易課税制度とは?
4.免税事業者からの課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置の見直し
インボイス制度の導入に伴い、免税事業者などの適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れについても、一定期間は仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられています。今回の令和8年度税制改正大綱では、この経過措置のさらなる延長と内容の見直しが決定されました。
(1). 制度の概要と改正内容:控除期間の延長と段階的な縮減
当初の予定では、80%控除の期間終了後は50%控除へと一気に引き下げられる予定でしたが、小規模な国内事業者への配慮として、最終的な適用期限を2年延長した上で、引き下げのペースをより緩やかにする激変緩和措置が講じられます。
改正後の控除可能割合と適用期間のスケジュールは以下の通りです。
- 現行(継続): 2023年10月1日 〜 2026年9月30日 ・・・ 80%控除
- 改正後(新設): 2026年10月1日 〜 2028年9月30日 ・・・ 70%控除
- 改正後(見直し): 2028年10月1日 〜 2030年9月30日 ・・・ 50%控除
- 改正後(新設): 2030年10月1日 〜 2031年9月30日 ・・・ 30%控除
- 終了: 2031年10月1日以降 ・・・ 0%(控除不可)
これにより、免税事業者等との取引におけるコスト増のスピードが少しだけ抑えられることになります。
(2). 対象となる事業者
この制度の対象となるのは、インボイス発行事業者以外の者(免税事業者など)から課税仕入れを行うすべての課税事業者です。
買い手側となる企業や個人事業主が、仕入先や外注先がインボイスを発行できない場合に、この経過措置を適用して納税額を計算します。特に一人親方やフリーランスなどの免税事業者との取引が多い建設業やIT業、サービス業などの事業者にとって大きな影響があります。
(3). 制度の注意点:実務を直撃する「1億円の壁」
今回の改正で最も注意すべきは、濫用防止のために新設された「年間適用上限額」の大幅な引き下げです。
- 年間1億円の上限設定
同一の免税事業者等からの課税仕入れについて、本経過措置を適用できる上限額が、現行の10億円から1億円に引き下げられます。 - 適用時期
この1億円の制限は、2026年(令和8年)10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。 - コスト増のリスク
特定の免税事業者に年間1億円を超える発注を行っている場合、超えた部分については仕入税額控除が一切できなくなり、企業のコスト増に直結します。 - 事務負担の増大
控除率が細かく段階的に変わる(70%→50%→30%)ため、各期間での税額計算やシステムの対応、仕入先ごとの累計仕入額のモニタリングなど、経理現場の負担は年々重くなっていくことが予想されます。



今回の税制改正大綱により、免税事業者との取引を続ける事業者にとっては、急激な負担増は避けることができるため、朗報となったかと思います。ただ、最終的には控除を0にする方針は変わらないことから、引き続きインボイス登録を促していくという国からのメッセージです。
なお、特定の相手との大きな取引には「1億円の制限」がかかるため、該当する取引先がある場合は早めにインボイス登録の要請や契約の見直しを検討することが、防衛策になります。
5.現金等で決済した輸出取引に係る免税要件の見直し
(1). 制度の概要と改正の背景:不正還付の「抜け穴」を塞ぐ
消費税の輸出免税は、代金の決済手段にかかわらず、日本国内からの輸出を証明する書類(輸出許可書等)を保存することで認められてきました。しかし、この仕組みを悪用し、実際には輸出していないのに取引を捏造して多額の消費税還付を不正に受けるケースが問題となっていました。
特に「現金」や「地下銀行」を経由した決済は、金流(お金の流れ)の確認が困難であるため、不正の温床になりやすいという課題がありました。そこで、不正防止の観点から、現金決済を行う取引について要件を大幅に厳格化することになったのです。
(2). 改正内容:追加で「輸入国の書類」が必要に!
今回の改正により、取引代金を「現金等」で受領する輸出取引については、これまでの証明書類に加え、新たに以下の書類の保存が義務付けられます。
- 追加される保存書類
「輸入国が発行する輸入許可書等」(その電磁的記録を含む)。 - 免税の条件
相手国への到着を公的に証明できない限り、輸出免税は適用されなくなります。
つまり、「日本から荷物を出した」という証拠(輸出許可書)だけでなく、「相手国が荷物を受け取った」という証拠(輸入許可書)のセットが必須になるということです。
(3). 対象となる事業者
• 輸出取引を行い、その代金を「現金等」で受け取っている事業者が対象です。
これには、現金のほか、実態の確認が困難な一定の決済手段(地下銀行経由など)が含まれると考えられます。
(4). 実施時期
2026年(令和8年)10月1日より施行されます。
(5). 制度の注意点:実務上の「死活問題」と対策
この改正は、真面目に商売をしている事業者にとっても、実務的な負担が非常に重くなるリスクがあります。
- 書類入手のハードル
相手国(輸入側)の顧客から「輸入許可書」の写しを送ってもらう必要がありますが、取引先によっては協力を得ることが難しかったり、手続きに時間がかかったりすることが予想されます。 - 「現金」はリスクになる
書類が揃わなければ免税が受けられず、本来払わなくてよい消費税を負担することになってしまいます。 - 最大の対策は「銀行振込」への切り替え
今回の厳格化はあくまで「現金等」による決済が対象です。銀行振込や電子決済など、お金の流れが公的に記録される方法に切り替えることで、この追加書類(輸入許可書)の保存義務を回避し、事務負担を軽減するのが最も現実的な対策となります。



特に高額商品を扱う輸出事業者の皆様は、2026年10月までに決済ルートを見直し、現金決済から銀行振込へ移行するよう、取引先と交渉を始めることが「最強の防衛策」になります。
現金決済を続けて「輸入国の書類が手に入らない!」とパニックになる前に、今のうちに金流(お金の流れ)のデジタル化を進めてしまいましょう。税務署のチェックは、これからますます「紙」から「電子データの流れ」へとシフトしていくと考えられます。
6.国内に所在する不動産に関する役務提供等に対する課税の見直し
(1). 制度の概要と改正の背景
現在、非居住者に対して行われる取引のうち、国内に所在する不動産に関する役務の提供(仲介手数料など)については、輸出取引に類するものとして、消費税の輸出免税の規定が適用され、税金がかからない仕組みとなっています。
しかし、近年、非居住者による国内不動産の取得が増加傾向にあります。日本の不動産に関するサービスの便益は国内で生じていることや、諸外国でも同様のサービスには付加価値税(VAT)が課されている実態、さらには国内居住者との公平性を確保する観点から、今回の見直しが行われることになりました。
(2). 改正の内容
非居住者に対して行う「国内に所在する不動産に係る役務の提供等(仲介手数料等)」について、消費税の輸出免税の適用対象から除外されます。これにより、これらの取引は新たに消費税の課税対象となります。
(3). 対象となる事業者
- 非居住者(海外の投資家や個人など)に対して、国内不動産の売買仲介や管理等のサービスを提供する事業者(主に不動産仲介会社や管理会社など)が対象となります。
- これまでは免税として処理していた仲介手数料等について、今後は消費税を上乗せして請求し、納税する必要があります。
(4). 制度の注意点
実務上、特に以下の2点に注意が必要です。
- 適用時期
この改正は、2026年(令和8年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等(役務の提供)から適用されます。 - 経過措置(適用除外)
改正の施行日(2026年10月1日)以後に行われる取引であっても、2026年(令和8年)3月31日までに締結した契約に基づく場合には、引き続き輸出免税が適用され、消費税は課されません。



不動産実務においては、2026年3月末までに契約を済ませるかどうかが、非居住者側のコスト(消費税負担の有無)に直接影響することになります。
非居住者の顧客を抱える不動産事業者の皆様は、2026年10月の施行に先立ち、媒介契約の時期や手数料設定のシミュレーションを早めに行っておくことが、トラブル回避の鍵となります。
7.暗号資産に係る課税関係の見直し
昨日の令和8年度税制大綱の概要(個人課税編)の記事で、仮想通貨(暗号資産)などの暗号資産取引の申告分離課税への移行について、解説しましたので、詳細は割愛いたしますが、当該改正により、消費税に影響がある項目を表形式にまとめましたので、ご確認ください。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
| 非課税取引の根拠 | 支払手段に類するもの | 有価証券に類するもの |
| 課税売上割合の計算 | 計算に含めない | 譲渡対価の5%相当額を 課税売上割合の分母に算入 |
| 暗号資産の貸付 | 課税取引 | 非課税取引 |
8.まとめ
令和8年度税制改正大綱における消費税の見直しは、越境EC、インボイス、輸出免税、不動産関連役務、暗号資産といった多岐にわたる領域に影響を及ぼす、大規模な制度改正となりました。
特に、少額輸入への課税強化、プラットフォーム課税、3割特例、免税事業者との取引に係る経過措置の延長と上限設定などは、事業者の会計処理・契約・価格設定に直接影響します。
これらの改正は2026年から2031年にかけて段階的に施行されるため、「いつ・何が変わるのか」を正確に把握し、早期に準備を進めることが不可欠です。
本記事が、皆様の実務対応や経営判断の一助となれば幸いです。


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