ミミレイドン ボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝も引き続きグループ通算制度と基礎について整理して行きたいと思います。



昨日はグループ通算制度の通算前所得を計算するまでに適用される各種規定の取り扱いについて整理しましたね。



今朝は損益通算後、税額控除などをグループ全体で調整計算する方法について確認して行きたいと思います!



グループ通算制度に関する昨日までの記事については、こちらの3つの記事となりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】グループ通算制度の基礎①:制度の全体像と導入の背景
【町田市の税理士が解説】グループ通算制度の基礎②:通算所得・通算税額の計算と実務の流れ
【町田市の税理士が解説】グループ通算制度の基礎③:各種規定の取り扱い(通算前所得の計算)
1.おさらい:通算前所得の計算に含まれるもの・含まれないもの
(1).通算前所得の計算に含まれるもの・含まれないものの考え方
グループ通算制度は「個別申告方式」ですが、計算は2段構えになっています。
- 各社バラバラに計算する段階(ここで出るのが「通算前所得/欠損金額」)
- グループ全体で「助け合い」の調整をする段階(損益通算や税額控除など)
例えば、「交際費等の損金不算入」などは①の段階で各社が計算に含めますが、「試験研究費の税額控除」などは②の段階で調整するため、①の所得計算自体には直接反映されません。
それでは、具体的な規定の振り分けを一覧表で見てみましょう。
(2).計算規定の振り分け一覧表
【表A】個別の所得計算(通算前所得)に含まれる主な規定
これらは、各通算法人が「自分一人の利益・赤字」を出すために、単体納税制度とほぼ同じ感覚で計算する項目です。
| 規定項目 | 内容の概要 |
| 減価償却費 | 固定資産の償却費。各社の資産ごとに計算します。 |
| 役員給与・人件費 | 各社が支払う給与や賞与。不相当に高額なものは損金不算入です。 |
| 交際費等の損金不算入 | 各社が支出した交際費を計算。ただし、定額控除限度額(800万円)はグループで分け合います。 |
| 受取配当等の益金不算入 | 他社から受け取った配当。関連法人株式等の判定はグループ合算で行います。 |
| 寄附金の損金不算入 | 支出した寄附金。限度額計算の基礎となる所得は各社で出します。 |
| 貸倒引当金 | 各社の金銭債権に対する繰入れ。グループ内債権は除外されます。 |
| 資産の譲渡損益調整 | グループ内での資産取引による損益。この段階で「繰り延べ」処理を行います。 |
【表B】グループ全体で計算・調整する規定(通算前所得には含めない)
これらは、各社の「通算前所得/欠損金額」が出そろった後に、親法人が集計して調整計算を行う項目です。
| 規定項目 | 内容の概要 |
| 損益通算 | グループ内の黒字と赤字を相殺し、各社の所得を書き換える処理です。 |
| 欠損金の通算 | 過去の赤字(繰越欠損金)をグループ全体の所得から差し引く処理です。 |
| 試験研究費の税額控除 | グループ全体の試験研究費を合計し、グループ全体の税額枠から控除します。 |
| 外国税額控除 | 海外で払った税金を差し引く枠を、グループ全体の要素で計算します。 |
| 中小法人の軽減税率 | 年800万円までの所得への低い税率(15%)。この「800万円の枠」を所得比で分け合います。 |



昨日はこの【表A】個別の所得計算(通算前所得)に含まれる主な規定のうちグループ通算制度で注意すべき論点について取り上げて行きましたが、本日は【表B】グループ全体で計算・調整する規定のうちグループ通算制度で注意すべき論点について取り上げていきたいと思います。



損益通算については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】グループ通算制度の基礎②:通算所得・通算税額の計算と実務の流れ
2.法人税率
(1).中小法人の判定(連座制)
グループ通算制度では、軽減税率(原則15%)が適用される「中小法人」に該当するかどうかの判定は、グループ全体の状態で行われます。
- 連座制の適用
グループ内に1社でも資本金の額が1億円を超える「大通算法人」が含まれている場合、グループ内のすべての法人が「非中小法人」とみなされます。この場合、たとえ資本金が極めて小さい子法人(資本金1億円以下)であっても、軽減税率は適用されません。



大通算法人とは、通算法人である普通法人またはその普通法人の各事業年度終了の日においてその普通法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうち、いずれかの法人が次に掲げる法人に該当する場合におけるその普通法人をいいます。
(1)各事業年度終了の時における資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
(2)各事業年度終了の時において以下に掲げる法人に該当する法人
イ 保険業法に規定する相互会社(以下「相互会社」といいます。)
ロ 大法人(次に掲げる法人をいいます。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(イ) 資本金の額または出資金の額が5億円以上である法人
(ロ) 相互会社(これに準ずる一定の法人を含みます。)
(ハ) 受託法人(法第4条の3に規定する受託法人をいいます。以下同じです。)
ハ 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記ロに掲げる法人を除きます。)
ニ 受託法人
(2).軽減税率の適用枠(年800万円)の按分
中小法人に該当する場合、所得のうち年800万円以下の部分に軽減税率が適用されますが、この「800万円の枠」はグループ全体で1つです。
- 所得比による配分(プロラタ計算)
年800万円の枠を、グループ内の所得が生じている各法人の「所得の金額の比」で按分します。 - 計算式
各社の軽減対象所得金額 = 800万円 × (自社の所得金額 / グループ内の所得金額の合計額) - 事業年度が1年未満の場合
親法人の事業年度が12ヶ月に満たない場合は、月数あん分した金額が基準となります。
(3).修更正時の「遮断措置」
税務調査などで後日所得金額が変更(修更正)された場合、実務負担を軽減するための「遮断措置」が適用されます。
- 当初申告額の固定
原則として、ある法人の所得が変わっても、他の法人が配分を受けた軽減税率の適用枠(軽減対象所得金額)は当初申告の金額に固定されます。これにより、一社のミスでグループ全社が再計算・修正申告に追い込まれる事態を防いでいます。 - 全体再計算の例外
グループ全体の所得合計が800万円以下になる場合や、法人税負担を不当に減少させたと認められる場合などは、遮断措置が適用されず全体で再計算が必要になります。
(4).令和7年度税制改正による変更点
令和7年度の税制改正により、軽減税率の適用範囲が以下のように見直されます。
- 高所得法人への適用制限
所得が年10億円を超える事業年度については、軽減税率が15%から17%に引き上げられます。 - グループ通算制度の除外
改正により、グループ通算制度の適用を受けている法人は軽減税率の特例対象から除外され、年800万円以下の所得に対する税率は19%(本則税率)となります。この改正は、令和7年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。



軽減税率15%が使えなくなることを知らない方が結構いらっしゃいます。納税額に直接影響がある改正事項なので確認しておきましょう!
3.試験研究費の税額控除
試験研究費の税額控除とは、企業が支出した「試験研究費(研究開発費)」の一定割合を、法人税(など)の税額から差し引ける制度です。つまり、研究開発に使った費用が多いほど、一定の条件と上限の範囲内で税負担を直接減らせる(税額控除)仕組みです。
- 対象
一定の要件を満たす「試験研究費」 - 効果
算定した控除額を 法人税額から控除(=納税額が減る) - 注意点
控除できる額には 上限(限度額) があり、超えた分は取り扱い(繰越等)が制度・年度で異なることがあります
(1).グループ通算制度における計算の全体像:3つのステップ
試験研究費の税額控除額(税額控除可能分配額)を出すには、以下の3ステップを踏みます。
ステップ①:グループ全体の数値を「合算」する
まず、試験研究費の税額控除額の計算に必要な以下の数値について、グループ内のすべての通算法人の数値を合計します。
- 試験研究費の額の合計
- 比較試験研究費の額(過去3年平均)の合計
- 調整前法人税額の合計
- 平均売上金額の合計
ステップ②:グループ一体で「控除可能額」を算出する
合算した数値を「一つの会社」とみなして、以下の計算を行います。
- 税額控除限度額の計算
合算された試験研究費に、合算された増減率等から算出した「税額控除割合(原則1%~14%)」を乗じます。 - 控除上限額の計算
合算された調整前法人税額の「25%相当額」などを算出します。 - 比較
上記1と2のいずれか少ない方が、グループ全体の「税額控除可能額」となります。
ステップ③:各法人へ「調整前法人税額」の比で配分する
ステップ②で出たグループ全体の金額を、各法人の「調整前法人税額」の比率で按分(プロラタ計算)して、各法人の控除額を決定します。



「調整前法人税額」とは、一言でいえば「税額控除を差し引く直前の、所得に対して計算された法人税額」のことです。
具体的には、
1. 各法人が単体で計算した「通算前所得」を算出。
2. グループ全体で「損益通算(黒字と赤字の相殺)」を行う。
3. 損益通算後の所得金額に、その法人に適用される法人税率(23.2%など)を乗じた後の税額、つまり、「税額控除(所得税額控除や試験研究費自体の控除など)を適用する前」の段階の法人税額です。
ちなみに、「附帯税(延滞税など)」や「特定同族会社の留保金課税」などの金額は、この調整前法人税額には含まれません。
(2).計算の具体例
この制度の最大の特徴は、「グループ全体を一つの法人」とみなして控除可能額を計算し、それを各法人の「調整前法人税額」の比率で分け合うという点にあります。簡単な計算例を確認していきましょう。
①試験研究費の税額控除の計算例
以下の表は、通算法人A社、B社、C社(いずれも中小企業者等以外)で構成されるグループの計算例です。
| 項目 | A社 | B社 | C社 | グループ合計 |
| ① 所得の金額 | 260円 | 600円 | 0円 | 860円 |
| ② 調整前法人税額 | 60円 | 140円 | 0円 | 200円 |
| ③ 試験研究費の額 | 400円 | 0円 | 200円 | 600円 |
| ④ 比較試験研究費の額 | 300円 | 0円 | 200円 | 500円 |
| ⑤ 増減試験研究費割合 | 20% :(600円 - 500円) ÷ 500円 = 20% | |||
| ⑥ 税額控除割合 | 13.8% :10.145% + (20% - 9.4%) × 0.35 = 13.855%(13.8%) | |||
| ⑦ 税額控除限度額 | 82円:600円 × 13.8% = 82円 | |||
| ⑧ 控除上限額 | 50円 :200円 × 25% = 50円 | |||
| ⑨ 税額控除可能額 | 50円 :⑦と⑧のいずれか少ない金額 | |||
| ⑩ 税額控除可能分配額 | 15円 | 35円 | 0円 | 50円 |
※税額控除割合の計算などは改正により毎年のように変わりますので、この表では、計算の流れと分配イメージを確認してください。
②計算のポイント
1. 「調整前法人税額」による按分
最終的な各社の控除額(⑩)は、グループ全体の控除可能額(⑨)を、各社の調整前法人税額(②)の比率で按分して計算します。
- A社:50円 × (60円 / 200円) = 15円
- B社:50円 × (140円 / 200円) = 35円
- C社:50円 × (0円 / 200円) = 0円
2. 支出ゼロの法人でもメリットがある
B社のように、自社で試験研究費を全く支出していない法人であっても、グループ全体で控除額が発生し、自社に税額があれば、税額控除を受けることができます。



試験研究費を1円も支出していない法人であっても、グループ全体で控除額が発生し、その法人に調整前法人税額があれば、税額控除を受けることができます。意外と忘れがちな論点です。
3. 控除上限枠の有効活用
単体納税では、所得がゼロの法人(C社)は控除枠を使い切れませんが、グループ通算制度ではグループ全体の法人税額を基に上限(⑧)を計算するため、グループ全体の節税効果を最大化できます。
参照:国税庁 問74 通算法人における一般試験研究費の額に係る税額控除の計算
(3).「一社でも大企業」なら中小特例は使えない(連座制)
ここが実務上の最大の落とし穴です。 通常、中小企業者であれば高い控除率などが適用されますが、グループ内に1社でも資本金1億円超などの「大通算法人」がいる場合、グループ全員が「中小企業者向け特例」を使えなくなります。
この場合、すべての法人が「一般型(全企業向け)」の要件で計算しなければならないため、事前の判定が非常に重要です。
(4).ミスがあっても安心?「遮断措置」と「進行年度調整」
数年後の税務調査で、グループの一社の試験研究費が否認されたらどうなるでしょうか?
- 遮断措置
原則として、他の法人の計算には影響させません。つまり、他法人は当初の申告額で固定され、修正申告をする必要はありません。 - 進行年度調整
ただし、グループ全体で見て控除が過大だった場合、そのツケは「ミスをした法人」が払います。具体的には、「修正申告等があった日の属する事業年度(進行年度)」の税額に加算するなどの調整を行います。
これにより、一社のミスでグループ全社が修正申告に追い込まれる「連鎖倒れ」を防いでいます。



通算法人が試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の規定の適用を受ける事業年度後において、試験研究費の税額控除限度額の計算の基礎となる一定の金額が当初申告額と異なることとなった場合には、他の通算法人に対して通知義務があります。なお、通知の方法は任意です。
参照:国税庁 問76 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除に係る通知義務
4.外国税額控除
外国税額控除とは、海外で払った所得税(法人税など)と同じ所得に、日本でも課税されてしまう「二重課税」を調整するために、海外で納めた税金を一定の範囲で日本の税額から差し引ける制度です。
- 効果
外国で払った税金を、日本で納める税金(法人税等)から控除できる - ポイント
控除できる額には 「控除限度額(上限)」 があり、外国税を払ったからといって全額が必ず引けるわけではありません - 補足
制度上、外国で払った税は 「税額控除する」か「費用(損金)として処理する」かの選択が問題になる場面があります(一般に両取りは不可)
(1).外国税額控除の基本計算:グループの総力戦!
グループ通算制度における外国税額控除の最大の特徴は、控除限度額を通算グループ全体の要素(所得金額、国外所得金額、法人税額の合計)を用いて計算する点にあります。
具体的な控除限度額の計算ステップは以下の通りです。
ステップ①:調整前控除限度額の計算
まず、グループ全体でどれくらい控除の枠があるか、以下の数式で「グループの器」を計算します。
• 計算式:グループ全体の法人税額 × (その法人の調整国外所得金額 / グループ全体の所得金額の合計)



調整国外所得金額=国外所得金額-非課税国外所得金額+加算調整額-調整金額
ステップ②:90%上限等による「調整」
国外所得がグループ所得に対して過大となる場合には、国外所得側の金額に一定の調整(いわゆる90%上限等)がかかり、控除限度額の計算要素が修正されますので注意が必要です。具体的には、調整国外所得金額を計算する式の最後に控除する調整金額により調整します(上記緑ハイライト)。
調整金額=各通算法人の調整前国外所得金額の合計額が所得金額の合計額の90%を超える部分の金額×その通算法人の加算前国外所得金額(零を超えるものに限ります)÷各通算法人の加算前国外所得金額(零を超えるものに限ります)の合計額
ステップ③:控除限度額の決定
最終的な各法人の控除限度額は、「調整前控除限度額 - 控除限度調整額」で決定されます。



単体納税では、国内所得が赤字の会社は控除限度額が「ゼロ」になり、海外で払った税金を全く控除できません。しかし、グループ通算制度なら、グループ全体で黒字であれば、その枠を分け合って控除を受けることが可能になります。
(2).具体的な計算例
この制度の最大の特徴は、控除限度額をグループ全体の合計数値(法人税額、所得金額、国外所得金額)を用いて算定する点にあります。これにより、単体では赤字で控除枠がない法人であっても、グループ全体の黒字を利用して海外での二重課税を排除できるメリットがあります。
①外国税額控除の計算例
以下の表は、通算法人A社、B社、C社で構成されるグループの計算例です。
| 項目 | A社 | B社 | C社 | グループ合計 |
| ① 所得金額 | 0円 | 200円 | 400円 | 600円 |
| ② 国外所得金額 | 200円 | 100円 | ▲60円 | 240円 |
| ③ 法人税の額 | 0円 | 40円 | 80円 | 120円 |
| ④ 外国法人税の額 | 40円 | 15円 | 0円 | 55円 |
| ⑤ 調整前控除限度額 (注1) | 40円 | 20円 | ▲12円 | 48円 |
| ⑥ 控除限度調整額 (注2) | 8円 | 4円 | - | 12円 |
| ⑦ 控除限度額 (⑤-⑥) | 32円 | 16円 | 0円 | 48円 |
| ⑧ 税額控除額 (注3) | 32円 | 15円 | 0円 | 47円 |
• (注1) 調整前控除限度額の計算
グループ合計法人税(120円) × (自社国外所得 / グループ合計所得(600円))で算出します。
- A社:120 × 200 / 600 = 40円
- B社:120 × 100 / 600 = 20円
- C社:120 × ▲60 / 600 = ▲12円
• (注2) 控除限度調整額の計算
調整前控除限度額がマイナスとなった法人の金額(C社の12円)を、プラスの法人の比率で按分して差し引きます。
- A社への配分:12 × 40 / (40+20) = 8円
- B社への配分:12 × 20 / (40+20) = 4円
• (注3) 税額控除額の決定
自社が支払った「④ 外国法人税の額」と「⑦ 控除限度額」のいずれか少ない金額となります。
②計算のポイント
- 「グループの枠」の共有
A社は自社の法人税額が0円であるため、単体納税であれば控除限度額も0円となり、外国税額控除を全く受けられません。しかし、グループ通算制度ではグループ全体の法人税額(120円)を基に計算するため、A社も32円の控除を受けることができます。 - 国外赤字の調整
C社のように国外所得が赤字の場合、そのマイナスの枠は他の黒字法人の限度額から差し引かれます(⑥控除限度調整額)。これにより、グループ全体で適切な控除限度額(48円)が維持されます。 - 当初申告額の固定(遮断措置)と進行年度調整
後日、所得金額などに誤りが見つかった場合でも、過去の税額控除額は当初申告の金額で固定されます。再計算によって生じた過不足額は、修正が判明した日が含まれる「進行年度」の法人税額でまとめて加算・減算して調整します。
(3).過去の「お宝」も持ち込める:通算制度開始又は加入前から有する控除余裕額、
控除限度超過額の取扱い
制度の開始前やグループ加入前に生じた「控除余裕額(使いきれなかった枠)」や「控除限度超過額(控除しきれなかった税金)」についても、3年間の繰越しが可能です。
参照:国税庁 問79 外国税額の控除における通算制度開始又は加入前から有する控除余裕額、控除限度超過額の取扱い
(4).実務の救世主:「進行年度調整」という独自ルール
ここが非常に重要です。数年後の税務調査などで過去の所得金額が修正(修更正)された場合、他の税目と異なる「外国税額控除独自の遮断措置」がとられます。
- 過去は振り返らない(当初申告額の固定)
原則として、過去の事業年度の税額控除額は当初申告の金額に固定され、修正申告をする必要はありません。 - 現在の申告でまとめて精算
再計算によって生じた過不足額は、修正が発生した日(調査結果の説明日など)の属する「進行年度(当期)」の法人税額から控除、または法人税額へ加算して調整します。
これにより、一社のミスでグループ全社が過去の申告をやり直すという地獄の作業を回避できる仕組みになっています。
参照:国税庁 問80 通算法人の外国税額の控除額に変動が生じた場合の外国税額の控除の計算
(5).忘れてはいけない「通知義務」
もし自社の所得や国外所得の金額が変動した場合は、他のグループ法人に対して、その変動後の金額を通知しなければならないという義務があります。通知の方法は任意ですが、グループ全体で正確な再計算を行うために不可欠な実務ステップです。
5.まとめ
グループ通算制度では、軽減税率の判定や800万円枠、試験研究費の税額控除、外国税額控除など、グループ全体で「合算→限度額算定→各社に配分」する規定が多く登場します。これにより、単体では使い切れない控除枠をグループで有効活用できる一方、判定の連座や配分計算、修更正時の遮断措置・進行年度調整、そして各社間の通知義務といった“運用ルール”を外すと、税額に直結するミスになり得ます。特に令和7年度改正で、通算法人は中小法人の軽減税率の特例から除外されるため、従来の前提で見積もると納税額が変わる点に要注意です。制度のメリットを最大化するためにも、グループ内で必要情報を早期に共有できる体制(通知・チェック・再計算フロー)を整えておきましょう。


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