ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝は確定申告に向けた業種別事業所得の計算の注意点第二弾と致しまして、建設業について整理して行きたいと思います。



昨日の第一弾(飲食店業編)はかなり反響があったようですね!



現場第一線で汗を流す「親方」にとって、避けては通れない最大の壁、それが確定申告です。 昼間は現場を切り盛りし、夜はクタクタの体で領収書を整理する……その肉体的・精神的な負担は計り知れません。しかし、「現場が忙しいから」「どんぶり勘定でもなんとかなる」という油断は禁物です。 もし申告漏れや誤りがあれば、無申告加算税や延滞税といった重いペナルティを科されるだけでなく、最も大切な元請け業者からの信用を失い、仕事そのものを失うリスクに直結しかねません。 本記事では、建設業特有の複雑な経費判断や、税務調査で狙われやすいポイントを徹底解説します。リスクを正しく理解し、安心して本業に集中できる環境を整えましょう。



昨日の第一弾(飲食店業編)については、こちらの記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】確定申告に向けた業種別事業所得の計算の注意点:飲食店業編
【建設業編】
1.事業所得とは?
事業所得とは、農業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業から生ずる所得を指します。建設業においては、一人親方などの個人事業主が取引先と請負契約に基づいて受取った報酬などがこれに該当します。
(1). 事業所得の計算方法
事業所得の金額は、以下の算式によって算出されます。
- 所得金額 = 総収入金額(売上) - 必要経費
所得税を計算する際は、この「所得金額」からさらに「所得控除」を差し引いた「課税される所得金額」に税率を乗じます。
(2). 収入と経費の範囲
• 総収入金額
建設業では「完成工事高」とも呼ばれ、工事の対価として得られる売上のことです。原則として、工事が完成し引き渡しが完了した時点で計上します。
• 必要経費
事業を遂行するために直接的・間接的に要した費用のことです。材料費、労務費、外注費、旅費交通費、通信費、地代家賃、減価償却費などが含まれます。
(3). 税金の種類と課税方式
事業所得には主に以下の税金が関係します。
• 所得税
1年間の所得に対して課される国税で、所得が高くなるほど税率が上がる超過累進税率(5%〜45%)が適用されます。
• 個人事業税
都道府県に納める地方税です。建設業の場合は原則として5%となります。ただし、290万円の事業主控除があるため、所得が290万円以下の場合は課税されません。
• 住民税
所得税の確定申告データに基づいて市区町村が計算し、通知されます。
(4). 確定申告の種類による特典
事業所得を申告する際、青色申告を選択することで税制上の大きなメリットを受けることができます。
• 青色申告特別控除
最大65万円(e-Tax利用等の要件あり)を所得から控除できるため、節税につながります。
• 青色事業専従者給与
生計を一にする家族に支払った給与を、適正な金額であれば全額必要経費に算入できます。
• 純損失の繰越
赤字が出た場合、翌年以降3年間にわたって損失を繰り越し、将来の所得と相殺できます。
(5). 建設業特有の注意点
• 外注費と給与の区分
支払った人件費が「外注費」か「給与」かによって、源泉徴収の有無や消費税の仕入税額控除の可否が変わります。実態が雇用契約とみなされると、税務調査で否認されるリスクがあります。
• 棚卸(在庫)
年末時点で未使用の材料や、進行中だが未完成の工事にかかった費用(未成工事支出金)は、その年の経費にはできず、棚卸資産として計上する必要があります。



事業所得については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の事業所得の基礎知識について
2.建設業の収入
建設業における収入は、主に「完成工事高(かんせいこうじだか)」と呼ばれ、工事の請負契約に基づいて得られる対価を指します。
具体的にどのようなものが収入になるのか、またその計上ルールについて詳しく解説します。
(1). 建設業の主な収入
建設業の収入は、大きく以下の2つに分類されます。
• 完成工事高(売上高)
建設工事そのものの請負代金です。ビル建設、住宅改修、道路工事などの対価として受け取る報酬がこれに該当します。
• 雑収入
建設工事以外で発生した事業に関連する収入です。
- 現場に設置した自動販売機の収入
- 現場で発生した鉄くず(スクラップ)の売却収入
(2). 収入を計上するタイミング
建設業は工事期間が長いため、いつ売上を計上するかという「収益認識基準」が非常に重要です。主に2つの基準があります。
• 工事完成基準
工事がすべて完成し、成果物を発注者に引き渡した時点で、請負代金の全額を売上として計上する方法です。短期間の工事や、進捗の合理的な見積もりが難しい場合に用いられます。
• 工事進行基準
工事の進捗度合いに応じて、決算期ごとに分割して売上を計上する方法です。
「工事収益総額」「工事原価総額」「決算日の進捗度」の3点が信頼性を持って見積もれる長期工事などで適用されます。大規模な工事(請負金額10億円以上など)では、この基準の適用が強制される場合があります。



質問なのですが、工事ごとに工事完成基準と工事進行基準を使い分けても良いんですか?あと、工事進行基準が強制適用されるケースってなんですか?



継続適用などの要件はありますが、工事ごとに工事完成基準と工事進行基準を併用することは可能です。
建設業における収益計上のルールについて、見ていきましょう。
工事単位での選択適用
原則として、建設業会計では工事単位で工事完成基準と工事進行基準のいずれかを選択して適用することが認められています。そのため、一つの会社の中で進行基準を適用する工事と、完成基準を適用する工事が混在していても問題ありません。
工事進行基準が強制されるケース
ただし、全ての工事で自由に選べるわけではなく、以下の要件を満たす「長期大規模工事」については、工事進行基準の適用が強制されます。
- 工期が1年以上であること。
- 請負金額が一定規模(10億円)以上であること。
- 対価の額の2分の1以上が、引渡しの期日から1年を経過する日より後に支払われることが定められていないこと。
これらの要件を満たす長期の大規模工事は、進行基準で処理しなければなりません。
工事進行基準を適用するためには、「工事収益総額」「工事原価総額」「決算日における工事進捗度」の3点を信頼性をもって見積もることができる必要があります。
工事完成基準が適用されるケース
一方で、以下の場合は原則として工事完成基準が適用されます。
- 上記の進行基準の3要件(収益・原価・進捗度の見積もり)を一つでも満たせない場合。
- 工事期間がごく短期間である場合。
運用のポイントと注意点
- 継続適用の原則
一度採用した会計基準は、正当な理由がない限り毎期継続して適用する必要があり、利益調整のために恣意的に変更することはできません。 - 赤字工事の扱い
工事進行基準は、将来の損失が見込まれる赤字工事においても適用が認められます。 - 適切な管理
進行基準を採用する工事については、施工の進捗度合いを常に正確に把握し、見積収益や原価を適正に算出する管理体制(原価管理システム等)が求められます。
このように、強制適用の要件に該当しない限り、工事の特性や見積もりの精度に応じて基準を使い分けることができます。
(3). 入金と収入(売上)の扱いの違い
建設業では、お金を受け取ったタイミングがそのまま売上(収入)にならないケースがあります。
- 未成工事受入金(みせいこうじうけいれきん)
工事が完成する前に受け取った着工金や手付金のことです。これは会計上は「負債」として扱い、工事が完成した時点で売上に振り替えます。 - 完成工事未収入金(かんせいこうじみしゅうにゅうきん)
工事は完成して引き渡しも済んだが、代金がまだ支払われていない状態(売掛金)です。代金を受け取っていなくても、引き渡しが完了していればその年の収入として計上する必要があります。



なお、契約において“部分引渡し・出来高検収・中間検査合格で請求確定”などの定めがある場合は、その時点で売上計上となることがありますので、ご注意ください。
(4). 一人親方の所得区分による違い
一人親方などの個人事業主の場合、取引先との契約実態によって収入の性質が変わります。
• 事業所得(請負契約)
独立した事業主として仕事を請け負い、「仕事の完成」に対して報酬を得る場合です。これが一般的な建設業の「収入」となります。
• 給与所得(雇用契約)
実態として指揮監督を受け、労働時間に対して報酬を得る場合は「給与」とみなされます。この場合、建設業の事業収入ではなく、サラリーマンと同じ給与所得として扱われます。



給与と外注費(業務委託費)の判断基準については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】給与と外注費(業務委託費)の判断基準について
(5). 消費税とインボイス制度の影響
消費税の課税事業者の場合、受け取った報酬に含まれる消費税も考慮する必要があります。 現在、インボイス制度への対応により、適格請求書(インボイス)を発行できるかどうかで、取引先から受け取る金額(実質的な収入額)の交渉や条件が変わる可能性があります。
3.建設業の売上原価と棚卸
建設業における売上原価と棚卸(在庫)の処理は、工事期間が長期にわたるという特性から、一般的な業種とは異なる独自の勘定科目や会計基準が適用されます。
建設業の売上原価(完成工事原価)と棚卸資産(未成工事支出金等)について、会計・税務の処理および実務上のポイントを詳しく説明します。
(1). 建設業の売上原価(完成工事原価)
建設業では、売上原価のことを「完成工事原価」と呼びます。これは完成した工事の売上(完成工事高)を得るために直接要した費用のことで、主に以下の4つの要素で構成されます。
- 材料費: 現場で使用する鉄筋、セメント、資材などの購入費用。
- 労務費: 現場で作業を行う従業員に支払う賃金、手当、法定福利費。
- 外注費(外注工賃): 下請業者や一人親方に工事の一部を依頼した際の費用。
- 経費: 現場事務所の借地料、光熱費、重機の減価償却費、設計料など、上記3つ以外の現場費用。



実務上のポイントとして、事務所などで発生する事務員の給与や通信費などは「販売費及び一般管理費」として、現場で発生する「原価」とは明確に区別して管理する必要があります。
(2). 建設業の棚卸資産(未成工事支出金・材料貯蔵品)
建設業において、決算期末に工事が完了していない場合、その工事に投入した費用は売上原価にはできず、棚卸資産(在庫)として計上しなければなりません。
- 未成工事支出金
一般会計の「仕掛品」に相当します。未完成の工事のために支払った材料費、労務費、外注費などの集計額であり、工事が完成して引き渡した時点で「完成工事原価」に振り替えます。 - 材料貯蔵品
工事用材料や重機の燃料などのうち、期末時点で現場に搬入・使用されていない未使用の在庫を指します。



税務上の注意点として、棚卸資産の計上漏れは、費用(売上原価)を過大に計上し利益を過少に見せることになるため、税務調査で重点的にチェックされる項目です。計上漏れが指摘されると追徴課税や加算税の対象となります。
(3). 売上の計上基準と原価の関係
建設業には、いつ売上と原価を認識するかについて2つの会計基準があります。
- 工事完成基準
工事が完成し、発注者に引き渡した時点で一括して売上と原価を計上する方法です。 - 工事進行基準
工事の進捗度(累計発生原価 ÷ 見積総原価)に応じて、決算期ごとに売上と原価を分割して計上する方法です。
(4). 実務上の管理とポイント
- 工事台帳の作成
建設業許可業者や適切に個別原価計算を行う場合、工事ごとの損益を把握するための「工事台帳」の作成が不可欠です。 - 正確な実地棚卸
期末には自社倉庫だけでなく、トラック・営業車両の中や、社外の資材置き場、外注先に預けている材料なども漏れなくカウントする必要があります。 - 外注費と給与の区分
一人親方等への支払いが「外注費」か「給与」かは厳格に判断されます。実態が雇用契約とみなされると、源泉徴収漏れや消費税の仕入税額控除の否認という大きな税務リスクが生じます。 - 証憑の保存
領収書、請求書、契約書、実地棚卸の際のメモ(原始記録)などは、原則として7年間保存する義務があります。また、電子的に授受した請求書等はデータのまま保存する必要があります。



正確な原価管理と棚卸処理を行うことは、適切な納税だけでなく、会社の経営状況の可視化や、建設業許可の維持、銀行融資の際の信頼性向上にも直結します。
4.建設業の経費
建設業における経費は、事業を遂行するために要した費用のことであり、先ほど取り上げた「完成工事原価(直接的な現場費用)」と「販売費及び一般管理費(間接的な運営費用)」に分けられます。
具体的にどのようなものが経費になるのか、建設業特有の注意点を含めて詳しく解説します。
(1). 建設業の主な経費項目
一般的に経費として計上される項目は以下の通りです。
- 材料費・消耗品費
工事に使用する鉄筋、セメント、塗料などの材料費や、10万円未満の工具(ペンチ、ドライバー)、作業服、軍手代などが含まれます。 - 外注費(外注工賃)
下請業者や一人親方に仕事を依頼した際の費用です。 - 労務費・給料賃金
現場作業員や事務員に支払う給料、賞与、手当などです。 - 旅費交通費
現場や取引先への移動にかかる電車代、バス代、ガソリン代、高速料金、宿泊費、駐車場代などです。 - 地代家賃
事務所、現場事務所、資材置き場、月極駐車場の賃料です。 - 水道光熱費・通信費
現場や事務所の電気・水道・ガス代、および事業用携帯電話、インターネット、郵便代、宅配便代などです。 - 減価償却費
10万円以上の重機、車両、パソコンなどの取得費用を、法定耐用年数に応じて分割して計上する費用です。 - 損害保険料
事業用車両の保険、現場の火災保険、地震保険、賠償責任保険などです。 - 接待交際費・広告宣伝費
取引先への贈答品や接待飲食費、名刺代、チラシ代などです。 - 諸会費・租税公課
土建組合の組合費、安全協力会費、印紙税、個人事業税、固定資産税、自動車税などです。



一人親方本人が加入する特別加入の「労災保険料」そのものは、経費ではなく「社会保険料控除」として所得から差し引きます。ただし、団体への入会金、事務手数料、組合費(運営費)は事業の経費として認められます。
(2). 計上を正しく行うためのポイント
- 家事按分(かじあんぶん)
自宅兼事務所の家賃や電気代、プライベート兼用の車両費などは、事業で使用している割合(面積や時間など)を合理的に計算して、その分だけを経費にします。 - 外注費と給与の区分
人件費を「外注費」とするか「給与」とするかは税務調査で非常に厳しくチェックされます。指揮監督を受けているか、材料や道具を支給されているかといった実態により判断されます。 - 証憑(しょうひょう)の保管
領収書やレシート、請求書、銀行の通帳明細などは経費の証拠として不可欠です。電子帳簿保存法に基づき、適切に管理・保存(原則7年)する必要があります。



適切な経費計上は節税につながるだけでなく、経営状況を正しく把握し、将来の融資や建設業許可の維持においても重要な役割を果たします。
5.確定申告の際の建設業ならではの注意点
建設業の確定申告においては、長期にわたる工期や多額の外注費、特殊な勘定科目など、他業種とは異なる独自のルールが数多く存在します。既に解説済みの論点もありますが、ここでは主な注意点のまとめと、建設業特有の書類について解説します。
(1). 建設業特有の売上・経費の計上タイミング
建設業は工事期間が長いため、いつの売上・経費とするかの判断が非常に重要です。
- 収益認識基準
原則として工事が完成し、発注者に引き渡した時点で売上を計上する「工事完成基準」を用いますが、大規模・長期の工事で一定の要件を満たす場合は、進捗に応じて計上する「工事進行基準」が適用されます。 - 未成工事支出金(棚卸資産)
年末時点で完了していない工事のために支払った材料費、労務費、外注費などは、その年の経費にはできません。これらは「未成工事支出金」(一般会計の「仕掛品」に相当)として資産計上し、工事が完成した年度の経費に振り替える必要があります。 - 材料の棚卸
現場に搬入済みであっても年末に未使用の資材や、重機の予備タイヤ、燃料などは「材料貯蔵品」として棚卸資産に計上し、経費から除外しなければなりません。
(2). 「外注費」と「給与」の区分
一人親方や手伝いの職人に支払う報酬が、「外注費」か「給与」かは税務調査で最も厳しくチェックされるポイントです。
- 判断基準
指揮監督を受けているか、他人が代わりを務められるか、道具や材料を支給されているかといった実態で判断されます。 - 影響
給与とみなされると、源泉徴収漏れを指摘されるだけでなく、消費税の仕入税額控除が否認され、多額の追徴課税が発生するリスクがあります。
(3). 一人親方の労災保険料の扱い
一人親方が特別加入している「労災保険料」そのものは、事業の経費にはなりません。
- 所得控除
保険料は「社会保険料控除」として所得から差し引きます。 - 経費
一方で、一人親方団体に支払う「入会金」「組合費(会費)」「事務手数料」は事業の必要経費として計上可能です。
(4). 特殊な勘定科目の使用
建設業では、一般会計とは異なる科目名を使用することが一般的です。
• 売上高 → 完成工事高
• 売掛金 → 完成工事未収入金
• 仕掛品 → 未成工事支出金
• 買掛金 → 工事未払金
• 前受金 → 未成工事受入金
(5). 建設業ならではの提出・保管書類
確定申告そのものに直接添付する義務がある特殊な書類は少ないですが、適正な申告の根拠として以下の書類の作成や保管が求められます。
- 工事台帳
工事ごとの収益と原価(材料費、労務費、外注費、経費)を管理する書類で、青色申告の保存帳簿として重要です。 - 青色申告決算書(又は収支内訳書)
建設業一本の場合は「一般用」を使用しますが、製造原価を計算する欄(材料費・労務費・外注工賃等の内訳)を正確に記入する必要があります。 - 実地棚卸表
年末時点での未使用資材や仕掛品の在庫を確認した際の原始記録(メモ書き等)は、証拠書類として保管しておくべきです。 - 電子取引データの保存
令和6年1月より、メールやポータルサイトで受領した請求書・見積書等の電子データはデータのまま保存することが義務化されています。 - 建設業許可に関する書類
確定申告書は建設業許可の維持や更新、公共工事の入札(経審)における所得証明としても利用されるため、それらを見据えた正確な計上が必要です。



申告期限である3月15日(土日の場合は翌平日)を過ぎると、青色申告の特典が受けられなくなったりペナルティが発生したりするため、早めの準備を心がけましょう。
6.建設業が税務調査で指摘されるポイント
建設業の税務調査において指摘されやすいポイントは、その事業特性(長期の工期、多額の外注費、材料の在庫管理など)に起因するものが多くあります。したがって、上記5の内容とおおむね同じような論点となります。
以下に、調査で重点的にチェックされる主なポイントを項目別に詳しく説明します。
(1). 「外注費」と「給与」の区分
建設業で最も厳しくチェックされるといっても過言ではないのが、一人親方や応援の職人に支払う報酬の区分です。



何度もしつこいですが、本当に危険度が高いため注意していただきたい論点です。実態判断となるため、専門家でも意見が分かれるケースがあります。
• 指摘の理由
外注費として処理すれば消費税の仕入税額控除が受けられ、源泉徴収も不要ですが、実態が「雇用」とみなされると、これらが全て否認され、多額の追徴課税(源泉所得税の徴収漏れ、消費税の加算税など)が発生します。
• 判断基準
形式的な請負契約書があるかだけでなく、以下の実態が総合的に判断されます。
- 代替性: 他の人が代わりに業務を行えるか。
- 指揮監督: 発注者から作業の具体的な内容や方法を細かく指示されていないか。
- 拘束性: 作業時間や場所が指定され、時間的な拘束を受けていないか。
- 道具・材料: 業務に必要な道具や材料が、本人(外注先)の負担で用意されているか。
- リスク負担: 不可抗力で成果物が滅失した場合などに、報酬を請求できないリスクを負っているか(請負の性質)。
(2). 完成工事高(売上)の計上時期
建設業は工期が長いため、売上をどの年度に計上するかが焦点となります。
- 指摘の理由
原則として、工事が完成し、発注者に引き渡した日に売上を計上する必要があります(工事完成基準)。 - 注意点
入金があった日や、請求書を発行した日ではありません。引き渡しが済んでいるにもかかわらず、翌期の売上に回すなどの操作は「期ずれ」として指摘されます。 - 基準の選択
請負金額が10億円以上など一定規模以上の工事では「工事進行基準」が強制適用される場合があり、その適用誤りも指摘対象となります。
(3). 未成工事支出金(仕掛品)の計上漏れ
期末時点で完了していない工事(未完成工事)に要した費用を、その年の経費にしてしまうミスが多く見られます。
- 指摘の理由
未完成工事にかかった材料費、労務費、外注費などは、その年の経費ではなく、資産(未成工事支出金)として計上し、工事が完成した年度の売上に対応させる必要があります。 - チェックされる点
工事台帳と決算書が一致しているか、完成していない現場の費用が売上原価に含まれていないかが確認されます。
(4). 材料や消耗品の棚卸
現場に搬入済みだが使用していない材料や、予備の備品などが経費として処理されていないか確認されます。
- 指摘の理由
年末時点で未使用の材料や、車両の予備タイヤ、重機用の燃料などは「貯蔵品」として資産計上し、経費から除外しなければなりません。 - 具体例
決算直前に業績が良かったために資材を大量購入し、そのまま全額費用計上することは、未使用分がある限り認められません。
(5). 青色事業専従者給与(家族への給与)
身内への給与であるため、適正な金額かどうかが厳しくチェックされます。
- 指摘の理由
届出額を超えていないかだけでなく、仕事内容や勤務実態に対して給与額が高すぎないか(同業他社や他の従業員との比較)が問われます。 - 注意点
実際には働いていない期間(入院中や、他の会社に就職後など)に給与を支払っている場合や、未払いのまま経費にしている場合は否認されます。



青色事業専従者給与については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】家族に給与を出すなら必見!青色事業専従者給与の基礎知識について
(6). 家事関連費の按分(家事按分)
自宅兼事務所の家賃や光熱費、車両費などが対象です。
- 指摘の理由
プライベートな生活費が混入していないか、客観的で合理的な基準(面積比や使用時間など)で計算されているかが確認されます。 - 注意点
「なんとなく50%」といった根拠のない按分や、ワンルームマンションでの過度な按分比率は否認されるリスクが高くなります。間取り図や業務記録などの証拠資料が必要です。



経費の家事按分については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人事業主(フリーランス)の経費の家事按分について
(7). 建設業特有の諸経費
- 安全協力会費
下請代金から差し引かれる会費に「対価性」があるかどうかで消費税の扱いが変わります。単なる運営費(対価性なし)であれば仕入税額控除はできません。 - 一人親方の労災保険料
本人分の保険料そのものは経費ではなく「社会保険料控除」の対象です。誤って事業の経費に含めていないかチェックされます。 - 接待交際費
私的な飲食との線引きが難しいため、取引先との関連性や金額の妥当性が厳しく見られます。
(8). 改正法令への対応(電帳法・インボイス)
最新の制度への準拠も欠かせません。
- 電子帳簿保存法
令和6年1月以降、メール等で受け取った請求書や領収書のデータは、電子データのまま適切に保存(検索要件など)していなければならず、紙保存だけでは不備を指摘される可能性があります。 - インボイス制度
適格請求書発行事業者としての登録状況や、経過措置の適用、請求書の記載要件が正しく処理されているかが確認されます。
これらのポイントをカバーするために、日頃から工事台帳の整備や領収書・証憑書類の適切な保管、そして客観的な計上基準の作成を徹底しておくことが重要です。
7.まとめ:正しい知識でリスクを避け、本業に集中できる環境を整えよう
建設業における確定申告は、単に税金を納めるだけの手続きではありません。正しく申告された確定申告書は、建設業許可の取得や更新、銀行融資を受ける際の「所得の証明」として、あなたの事業の信頼を裏付ける強力な武器になります。
「完成工事高」の計上時期や「未成工事支出金」の扱いなど、建設業特有のルールは複雑ですが、これらをマスターすることは自社の利益を正しく把握し、どんぶり勘定から脱却することに繋がります。
一方で、建設業の税務調査では、「外注費と給与の区分」や「期末の在庫(材料・仕掛品)の計上」が厳しくチェックされます。もし誤った処理をしてしまうと、後から多額の追徴課税が発生し、せっかくの利益が吹き飛んでしまうリスクもあります。
「自分だけでは不安だ」と感じる場合は、建設業に詳しい税理士への相談も検討してみてください。早めに準備を終えて、心置きなく現場仕事に専念できる環境を手に入れましょう!



確定申告の直前になって慌てないよう、日々のレシートの整理や記帳を計画的に進め、クリーンで健全な経営を目指しましょう。もし処理に迷うことがあれば、税理士などの専門家へ早めに相談することも検討してみてください。税理士をお探しの方は、お気軽にこちらまでお問い合わせください。










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