ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝は、法人事業税の所得割について、整理していきたいと思います。



外形標準課税の場合や外形標準課税の対象でなくても納める税金ですね。



法人事業税の中でも「所得割」は、法人税と似ているようで、
実は計算の考え方や調整項目が少し異なる税目です。
「法人税で計算した所得をそのまま使えばいい」なんて思って申告すると、思わぬミスにつながることも少なくありません。
今朝は、法人事業税(所得割)について、
✔ どの法人が対象になるのか
✔ 法人税とどこが違うのか
✔ 実務で特に注意すべき調整点は何か
を、体系的に整理していきます。



法人事業税や外形標準課税の概要については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】法人事業税・外形標準課税とは?①概要編
【法人事業税・外形標準課税の所得割編】
1.所得割とは?
法人事業税の所得割(しょとくわり)とは、法人の各事業年度の「所得(利益)」を課税標準(税金の計算の基礎)として課される税金です。
法人事業税は、法人が事業を行うにあたって受けている道路や警察などの公共サービスに対する費用負担という性質(応益課税)を持っており、所得割はその中核をなす区分の一つです。今朝は、その仕組みや特徴を詳しく解説します。
2. 所得割を納付すべき法人と計算方法
法人の規模によって、所得割の扱いが異なります。
- 資本金1億円以下の普通法人
原則として所得割のみ(または業種により収入割)が課されます。所得が赤字(欠損)の場合は、所得割の納税額は発生しません。 - 資本金1億円超の法人(外形標準課税対象法人)
所得割に加えて「付加価値割」と「資本割」も課されます。この場合、所得割の税率は、所得のみで課税される法人よりも低く設定されています。
3. 所得割の課税標準(計算の元となる金額)
所得割の課税標準は、各事業年度の「所得」です。 原則として、国税である法人税の課税標準となる「所得」の計算例に従って算定しますが、事業税独自の調整(外国税額の損金算入など)が行われます。



課税標準(かぜいひょうじゅん)とは、税金を計算するときの「もとになる金額や数量」のことです。税率をそのまま掛ける対象になる「基準」と考えると分かりやすいです。
【課税標準 × 税率 = 税額】
1. 基本的な算定方法
所得割の課税標準となる「所得」は、各事業年度の「益金の額」から「損金の額」を控除した金額です。
- 原則(法人税準拠)
法令に別段の定めがある場合を除き、法人税の課税標準である所得の計算の例によって算定します。 したがって、収益の計上時期や費用の損金算入の可否などは、基本的に法人税の取り扱いと同じになります。
所得=益金(収入)−損金(経費・費用)
2. 法人税との主な違い(事業税独自の調整)
法人事業税の所得割における課税標準(所得)は、原則として法人税の課税標準である所得の計算の例(益金-損金)に従って算定しますが、地方税としての性格(応益課税)や制度の違いにより、いくつかの重要な「事業税独自の調整」が行われます。
1. 外国事業帰属所得の控除(国外所得の免除)
最も大きな構造的な違いです。法人税は「全世界所得」に対して課税されますが、法人事業税は地域における行政サービスへの対価(応益原則)であるため、日本国内の事業活動から生じた所得のみが課税対象となります。
- 調整内容
「特定内国法人」(外国に支店や工場などの恒久的施設(PE)を持つ内国法人)の場合、全世界所得から「外国の事業に帰属する所得(国外所得)」を差し引いて課税標準を算定します。 - 計算方法
原則として区分経理により算定しますが、困難な場合は「従業者数」による按分計算(所得総額 × 外国の従業者数 / 全従業者数)によって国外所得を算定し、控除します。
2. 外国税額の損金算入(税額控除がないための調整)
法人税には二重課税排除のために「外国税額控除」の制度がありますが、法人事業税にはこの制度がありません。その代わりとして、費用(損金)として処理する調整を行います。
- 調整内容
外国で課された法人税等(外国法人税)の額は、法人事業税の所得計算上、損金の額に算入します。 - ただし、上記1で控除された「外国の事業に帰属する所得」に対して課された外国税額は、そもそもその所得が課税対象外となっているため、損金算入もしません(対応関係の整合)。
損金算入できるのは、外国事業帰属所得 以外 の所得(国外源泉所得だが国内課税されるもの等)にかかる外国税額に限られます。
3. 欠損金の繰戻し還付への対応(還付ではなく繰越控除)
法人税には、青色欠損金が生じた場合に前年度に支払った税金の還付を受ける「繰戻し還付」の制度がありますが、法人事業税にはこの制度がありません(地方財政の安定のため)。
- 調整内容
法人税で繰戻し還付を受けた場合、事業税では還付を行わず、その還付の基礎となった欠損金額相当額を、翌年度以降10年間にわたって所得から控除(繰越控除)できる「控除対象還付対象欠損調整額」として扱います。 つまり、法人税では「現金還付」で精算済みとなる赤字分を、事業税では「将来の黒字から引く権利」として残す調整を行います。
4. 寄附金の損金算入限度額の特例
寄附金の損金算入限度額は、本来「資本金」と「所得」を基準に計算します。しかし、事業税の「所得」は上述の通り法人税の「所得」と異なる(外国所得控除などがある)ため、計算し直すと事務が繁雑になります。
- 調整内容
事務簡素化のため、事業税の所得計算においても、「法人税の計算において算出された損金算入限度額」をそのまま同額で用いることとされています。
5. 所得税額・復興特別所得税額の取扱い
利子や配当にかかる源泉所得税について、法人税では「損金不算入」とした上で「税額控除(法人税額から差し引く)」を行いますが、事業税には税額控除がありません。
- 調整内容
事業税においても法人税と同様に「損金不算入」として計算します(費用にはなりません)。税額控除もないため、結果として事業税の計算上は、源泉所得税分も所得に含まれて課税されることになりますが、これについては特段の救済措置(損金算入などの調整)は行われません。
※ただし、利子割(現在は廃止・特別法人事業税へ移行等の経緯あり)との関係で調整があった時期もありましたが、現行の所得割計算では損金不算入です。
6. 租税特別措置法(政策減税)の一部不適用
国の政策目的で設けられた法人税の特例(特別償却や準備金の積立など)のうち、一部については地方税(事業税)では適用しないものがあります。
- 調整内容
例えば、過去には海外投資等損失準備金の積立などが事業税では認められていませんでした(益金の額に算入し直す等の調整)。法令で個別に「法人事業税の所得計算では適用しない」と定められた措置については、法人税の所得に加算等の調整を行います。
まとめ表
| 項目 | 法人税の取扱い | 法人事業税(所得割)の独自の取扱い |
|---|---|---|
| 国外所得 | 全世界所得課税 | 国外事業に帰属する所得を控除(課税対象外) |
| 外国税額 | 外国税額控除(税額から引く)または損金算入 | 損金算入(外国税額控除制度がないため)※国外所得控除に対応する分を除く |
| 欠損金の繰戻還付 | 還付あり(現金が戻る) | 還付なし。代わりに将来の所得から控除(繰越控除)する。 |
| 寄附金枠 | 独自の所得ベースで計算 | 法人税で計算した限度額をそのまま使用 |
| 所得税額 | 損金不算入+税額控除 | 損金不算入(税額控除なし) |
これらの調整を経て算出された金額が、法人事業税(所得割)の課税標準となる「所得」です。
補足:医療法人の注意点
医療法人等が「社会保険診療」を行った場合、その所得は法人事業税(所得割)の課税対象になりません。具体的な計算方法は以下の通りです。
- 益金不算入: 社会保険診療について支払を受けた金額は、「益金の額」に算入しません(収益から除外します)。
- 損金不算入: 社会保険診療に係る経費は、「損金の額」に算入しません(費用から除外します)。



つまり、病院や診療所の全収益・全費用から、社会保険診療に対応する部分を「なかったもの」として取り除き、残りの自由診療(自費診療)やその他の収益事業に係る所得のみを課税標準として計算します。
3. 欠損金(赤字)の繰越控除
法人税と同様に、過去に発生した赤字(欠損金)を当期の黒字から差し引くことができます。
- 繰越期間
原則として、当該事業年度開始の日前10年以内(または7年、9年など法人の区分と発生年度による)に開始した事業年度で生じた欠損金額を控除できます。 - 災害損失金
災害により生じた棚卸資産や固定資産の損失に係る欠損金についても繰越控除の対象となります。 - 事業税独自の欠損金(個別欠損金額)
連結納税(通算制度)を採用している場合でも、事業税は個々の法人ごとに課税されるため、法人税法上の連結欠損金とは異なる「個別欠損金額」を用いて計算します。
4. 法人の区分による算定方法
- 内国法人
全世界の所得が対象となりますが、外国で課税された分については上述の通り外国税額を損金算入して調整します。 - 外国法人
日本国内にある源泉所得(国内源泉所得)に係る所得が課税標準となります。
5. 外形標準課税対象法人における留意点
外形標準課税の対象法人であっても、所得割の計算方法は原則として上記と同様です。ただし、外形標準課税の「単年度損益」(付加価値割の構成要素)の計算とは以下の点で異なります。
- 繰越欠損金の扱い
- 所得割
過去の欠損金を控除した後の所得が課税標準となります。 - 単年度損益(付加価値割)
その年度単独の稼ぎを測る指標であるため、過去の欠損金の控除は行いません(その年度の黒字・赤字をそのまま使います)。
- 所得割



所得割の課税標準は、「法人税の所得 + 事業税独自の調整(外国税額の損金算入など)」と考えれば概ね間違いありません。外形標準課税対象法人の場合は、これに付加価値割と資本割が加わって事業税全体が構成されます。
4. 税率の仕組み
所得割の税率は、「法人の規模(外形標準課税の対象かどうか)」と「所得の金額(3段階の区分)」によって細かく分かれています。また、東京都では地方税法で定められた「標準税率」に独自に上乗せをした「超過税率」を採用しています。法人事業税の「所得割」の税率の仕組みについて、東京都の事例を用いて整理していきましょう。
1. 税率適用の基本的な仕組み(法人の区分)
所得割の税率は、まず法人が以下のどちらに該当するかで大きく体系が異なります。
A. 外形標準課税の対象法人(主に資本金1億円超の法人など)
- 付加価値割・資本割も負担するため、所得割の税率は低く抑えられています。
- 所得の金額にかかわらず、一律の税率が適用されます(累進構造はありません)。
B. 外形標準課税の対象外の法人(主に資本金1億円以下の法人)
- 所得割のみを負担します。
- 中小企業の負担配慮のため、所得金額の低い部分には低い税率を適用する「超過累進税率」(3段階)が採用されています。
- ただし、一定の規模を持つ法人は特例で「軽減税率不適用」となり、高い税率が一律で適用されます。
2. 東京都の所得割税率(令和4年4月1日以後開始事業年度)
東京都の税率は以下の通りです。一番右の列は地方税法の標準税率ですが、東京都ではこれを超える超過税率(太字)が適用されます。
| 法人の区分 | 所得の区分(課税標準) | 東京都の税率(超過税率) | (参考)標準税率 |
|---|---|---|---|
| A. 外形標準課税 対象法人 (資本金1億円超など) | 全所得 | 1.18% | 1.0% |
| B. 外形標準課税 対象外の法人 (資本金1億円以下など) | ① 年400万円以下の部分 | 3.75% | 3.5% |
| ② 年400万円超 800万円以下の部分 | 5.665% | 5.3% | |
| ③ 年800万円超の部分 | 7.48% | 7.0% | |
| C. 軽減税率不適用法人 | 全所得 | 7.48% | 7.0% |
3. 税率適用の詳細ルール
(1) 外形標準課税の対象外法人における「3段階税率」の計算例
資本金1億円以下の中小法人(軽減税率不適用法人を除く)で、所得が1,000万円あった場合、以下のように積み上げて計算します。
- 400万円までの部分:400万円 × 3.75%
- 400万円~800万円の部分:400万円 × 5.665%
- 800万円超の部分:200万円 × 7.48%
これらを合計した額が所得割額となります。
(2) 「軽減税率不適用法人」とは
外形標準課税の対象外(資本金1億円以下)であっても、以下の両方の要件を満たす法人は、所得の低い部分への軽減税率(上記①②の税率)が使えず、全所得に対して最も高い税率(東京都では7.48%)が適用されます。
- 要件1: 資本金の額または出資金の額が1,000万円以上であること。
- 要件2: 本店を含め、3以上の都道府県に事務所または事業所を有していること。
(3) 特別法人事業税(国税)との関係
上記の法人事業税(地方税)に加え、所得割額の一定割合(外形対象法人は260%、対象外法人は37%)に相当する「特別法人事業税(国税)」が別途課税され、併せて申告納付する必要があります。これらを合計した実質的な所得課税負担率は、上記の表の税率よりも高くなります。
4. 所得割の大きな特徴
- 翌期の損金に算入できる
法人税や法人住民税は経費(損金)になりませんが、法人事業税(所得割を含む)は支払った年の翌期の経費として計上できるため、翌期の税負担を軽減する効果があります。 - 特別法人事業税(国税)の基礎
2019年に創設された「特別法人事業税」は、この法人事業税の所得割額(または収入割額)を基準として計算され、併せて申告・納付します。
5. まとめ:所得割の算定
法人事業税の所得割は、法人税と同じ「所得」を基礎としながらも、その性格は大きく異なります。法人税が「担税力(利益)」に着目するのに対し、法人事業税は「地域で事業を行うことに対する負担(応益課税)」という視点から、国外事業帰属所得の除外や外国税額の損金算入など、独自の調整が行われます。特に、外形標準課税法人や海外拠点を有する法人、医療法人などでは、法人税の知識だけでは対応できない論点が多く存在します。法人事業税の申告にあたっては、「法人税の計算結果をそのまま使う」のではなく、必ず事業税独自の調整を一つ一つ確認することが重要です。










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