【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑰役員退職慰労金編Part2

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?

新屋賢人

今朝も昨日に引き続き、役員退職慰労金について、整理していきたいと思います。

ミミレイドン

昨日の解説を聞いていて疑問に思ったのですが、そもそも退職金は一括で払わなければならないのですか?あと、役職が変わっただけでは退職金は出せないのでしょうか?

新屋賢人

役員退職慰労金は、支給の方法やタイミングを工夫することで、会社の資金繰りを守りながら、受け取る役員個人の税負担を大きく抑えることが可能です。一方で、そのやり方を一歩間違えると、税務調査で全額が損金不算入とされ、会社にも個人にも多額の追徴税額が発生するリスクがあります。
今朝は、「退職金の分割払いと退職年金の違い」「分掌変更に伴う退職金が認められるための実務上の要件」「過去の裁判例から学ぶ成功と失敗のポイント」「退職給与の打ち切り支給の取り扱い」まで、役員退職慰労金にまつわる重要論点を整理していきます。

ミミレイドン

役員報酬シリーズの①役員報酬の意義編、②役員報酬の損金性編、③役員報酬の手続き編、④役員報酬の定期同額給与編、⑤役員報酬の定期同額給与編Part2、⑥定期同額給与の臨時改定事由編、⑦定期同額給与の業績悪化改定事由編、⑧事前確定届出給与編Part1、⑨事前確定届出給与編Part2、⑩業績連動給与編Part1、⑪業績連動給与編Part2、⑫株式報酬編、⑬経済的利益(現物給与)編Part1、⑭経済的利益(現物給与)編Part2、⑮経済的利益(現物給与)編Part3、⑯役員退職慰労金編Part1については、こちらの記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:①役員報酬の意義編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:②役員報酬の損金性編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:③役員報酬の手続き編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:④役員報酬の定期同額給与編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑤役員報酬の定期同額給与編Part2
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑥定期同額給与の臨時改定事由編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑦定期同額給与の業績悪化改定事由編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑧事前確定届出給与編Part1
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑨事前確定届出給与編Part2
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑩業績連動給与編Part1
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑪業績連動給与編Part2
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑫株式報酬編
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑬経済的利益(現物給与)編Part1
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑭経済的利益(現物給与)編Part2
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑮経済的利益(現物給与)編Part3
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑯役員退職慰労金編Part1

⑰役員退職慰労金編Part2

目次

1.役員への退職金の分割払いと退職年金制度

役員の退職金を一度に支払うことが難しい場合、「退職金の分割払い」とする方法や、「退職年金」として支給する方法の2つが考えられます。

これらはいずれも会社からの資金流出を平準化できる点では似ていますが、法人側(会社)の損金算入のタイミングや、役員個人側の税金(所得区分)の取り扱いが根本的に異なるため、明確に区別して理解しておく必要があります。

それぞれの詳しい取り扱いと注意点は以下の通りです。

(1). 役員退職金の「分割払い」

あらかじめ確定した退職金の総額を、資金繰りなどの事情により数回に分けて支払う方法です。

  • 法人側の取り扱い(損金算入時期)
    支給額が確定していれば、その総額を未払金として計上したうえで、支給額が確定した日の属する事業年度の損金(経費)に全額を一括して算入することができます。または、実際に支払った事業年度においてその都度損金経理をすることも認められます
  • 個人側の取り扱い(所得区分)
    分割で受け取ったとしても「退職所得」として扱われます。退職所得は、退職所得控除が適用されたうえでさらに「2分の1」にして税額を計算するため、税負担が大幅に軽減されるという非常に大きなメリットがあります。
  • 分割払いとする場合の【重要な注意点】
    税務調査で「利益操作のための分割ではないか」と疑われないために、以下の要件を満たす必要があります。
    1. 実務上「3年程度」の期間内に支払うこと
      分割期間が長期にわたることは認められず、実務上は3年程度を前提とする必要があります。
    2. 分割払いに至った「一定の合理性」があること
      単なる資金繰りだけでなく、「一括で支払うと赤字転落し、銀行からの融資がストップしてしまうのを避けるため」といった、客観的でやむを得ない事情の説明が求められます。
    3. 総額や支給時期をあらかじめ明確に定めること
      「第1回 〇年〇月〇日 〇円、第2回 〇年〇月〇日 〇円」というように、各回の支払時期と支払金額を、退職を決議する際にあらかじめ具体的に定めておくことが強く推奨されます。

(2). 「退職年金制度」による支給

会社が独自の自己積立による退職年金制度などを設け、退職した役員に対して年金形式で定期的に金銭を支給していく方法です。

  • 法人側の取り扱い(損金算入時期)
    分割払いとは異なり、退職時に将来支給する年金の総額を計算して未払金に計上したとしても、退職時に全額を損金算入することはできません。実際にその年金を支給すべき時(毎回の支払時)の事業年度の損金として算入していくことになります。
  • 個人側の取り扱い(所得区分)
    退職年金として受け取る金銭は、退職所得ではなく「雑所得」として扱われます。雑所得は他の所得(給与など)と合算されて総合課税されるため、退職所得のような優遇措置(控除や1/2計算)がなく、結果として個人の税負担が大きくなる可能性が高いです。
新屋賢人

会社の実情に合わせて退職金を分割して支給する場合、個人側の税負担(退職所得となるか、雑所得となるか)を考慮すると、退職年金としてではなく「退職金の分割払い」として処理する方が圧倒的に有利です。
分割払いとして適正に処理し、法人税の計算上もトラブルにならないようにするためには、株主総会や取締役会の決議において、「なぜ分割にするのか(合理的な理由)」と「いつ、いくら支払うのか(明確なスケジュール)」をしっかり議事録に残しておくことが重要です。

2.役員の分掌変更等の場合の退職給与

役員の分掌変更(または改選による再任等)の際に支払われる退職給与について、税務上の取り扱いを詳しく解説します。

役員が完全に退職するわけではなく、社内に残りつつも役職や職務内容が変わる(分掌変更等)場合、一定の要件を満たせば、会社から支払われる一時金を「退職給与」として損金(経費)に算入し、受け取る役員側でも税負担の軽い「退職所得」として処理することが認められています

(1). 基本的な考え方(実質的に退職したと同様の事情か)

税務上、分掌変更に伴う一時金が退職給与として認められるための絶対条件は、その分掌変更等により、役員としての地位や職務の内容が「激変」し、「実質的に退職したと同様の事情にある」と認められることです。

(2). 「実質的に退職したと同様の事情」の具体的な基準

法人税基本通達(9-2-32)では、この「実質的に退職したと同様の事情」に該当するケースとして、以下の3つを例示しています。

  1. 常勤役員から「非常勤役員」になったこと
    • (例外)非常勤であっても代表権を有している場合や、実質的に経営上主要な地位を占めている場合は認められません。
  2. 取締役から「監査役」になったこと
    • (例外)監査役でありながら実質的に経営上主要な地位を占めている場合や、大株主(同族会社の特定株主等)である場合は認められません。
  3. 分掌変更等の後における給与が「激減(おおむね50%以上の減少)」したこと
    • (例外)給与が減っても、実質的に経営上主要な地位を占めている場合は認められません。

(3). 【重要】形式だけでなく「実態」が厳しく問われる

上記はあくまで「基準」であり、形式的にこれらを満たしたからといって無条件に認められるわけではありません。過去の裁判例では、実態として経営への関与が続いているとみなされ、分掌変更退職金が否認されたケースが多数存在します

  • 否認された裁判例のケース
    • 給与がおおむね50%以上減少し、常勤から非常勤に変わったにもかかわらず、従前と同様に重要な業務の決済を行い、実質的に退職したとは認められなかったケース。
    • 代表取締役を退任して報酬が約3分の1に減額された後も、資金繰りに関する窓口役を務めたり、新社長や幹部に対する指導・助言を行ったりしており、「引き続き相談役として経営に参画している」と認定されたケース。
新屋賢人

したがって、分掌変更退職金を支給する場合は、肩書きや報酬の減額だけでなく、「重要な業務の決裁権限を手放す」「実質的な経営判断から退く」といった、実態を伴う権限委譲が必要不可欠です。退任後の「引き継ぎ期間」における業務への関与の度合いについても、経営上主要な地位にあるとみなされないよう注意が必要です。なお、判決例の詳細については、次の章で見ていきます。

(4). 手続き上の注意点(未払金計上は原則不可)

分掌変更による退職給与は、原則として「実際に支払われた場合」に限り、損金算入が認められます。 したがって、完全な退職時とは異なり、支払いが後日になるからといって「未払金」として帳簿に計上(損金経理)しただけでは、その事業年度の損金として認められないため、実務上の手続きにおいて注意が必要です。

3.役員の分掌変更退職金に関する過去の事例

役員の分掌変更(役職の変更)等に伴って支給される退職金(分掌変更退職金)は、形式的な役職の変更だけでなく、「実質的に退職したと同様の事情にあるか」が税務上の重要な判断基準となります。

具体的には、常勤役員から非常勤役員への変更、取締役から監査役への変更、あるいは給与がおおむね50%以上激減したなどの要件を満たし、かつ「経営上主要な地位を占めていない」と認められる必要があります。

過去の裁判例・裁決例から、認められた事例と否認された事例をそれぞれ詳しく解説します。

(1). 分掌変更退職金として「認められた」過去の事例

① 代表取締役から監査役に就任した事例

同族会社の代表取締役が病気で辞任し、監査役に就任した際に支給された退職金について、税務署は「筆頭株主(35%保有)であり要件を満たさない」として否認しました。しかし裁判では以下の理由から、地位や職務内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にある」として会社の主張が認められました

  • 外部から役員を迎えることが困難で監査役に就任したにすぎない。
  • 監査役就任後は、役員としても従業員としても一切の業務を行っていない。
  • 筆頭株主であっても、それは株主としての立場にすぎず、役員の立場に基づくものではない。
  • 前代表であることや現代表の父であることだけで、経営に影響を与えるとはいえない。

② 合併に伴い、専務から「新会社の代表取締役」に就任した事例(退職所得として容認)

3社が合併し、存続会社の専務取締役が、合併後の新会社の代表取締役に就任したケースです。合併前日に旧会社を退職したとして退職金を受け取りましたが、税務署は「役員に再任されただけで退職の事実はない」として給与所得として課税しました。 しかし審判所は、この合併が複数社の整理統合を伴うものであり、「勤務の性質や内容に重大な変動があり、単なる従前の勤務関係の延長とはみられない特別な事実関係がある」と判断し、職務内容や地位が激変したとして退職所得に該当することを認めました。

(2). 分掌変更退職金として「否認された」過去の事例

① 代表取締役退任後も「引継ぎ」として経営に関与していた事例

代表取締役を退任し、月額報酬が約3分の1に減額された役員に対し支給された退職金が否認された事例です。 この役員は退任後も以下のような業務を行っていたため、「対内的にも対外的にも引き続き経営上主要な地位を占めており、実質的に退職したとは認められない」と判断されました。

  • 新代表に対して指導や助言を行い、経営判断に関与していた。
  • 幹部が集まる代表者会議に出席し、その他の重要会議の議事録も確認していた。
  • 10万円を超える支出の決済に関与し、資金繰りの窓口役や来客対応も行っていた。
新屋賢人

分掌変更退職金を支給する場合、報酬の減額や役職の変更といった形式面だけでなく、支給が確定するタイミングにおいて「経営の第一線から完全に退いているか(重要な決済や会議に関与していないか)」という実態が非常に厳しく問われます。引継ぎ期間中の退職金支給には大きな税務リスクが伴う点に十分注意が必要です。

4.分掌変更の判定時期

役員の分掌変更(代表取締役から平取締役への降格など)に伴う退職給与の支給において、「実質的に退職したと同様の事情にあるかどうか」の判定時期は、税務上非常に重要なポイントとなります。

結論から申し上げますと、この判定は「退職給与の支払債務が確定した時点(取締役会での金額決定や実際の支給、帳簿への計上が行われた月)」を基準として行われます。法人の事業年度末までに実態が伴えばよいという「期間税の考え方」は通用しないため、注意が必要です。

具体的な考え方と、これが争点となった過去の裁判例は以下の通りです。

(1). 引継ぎ期間と退職給与のタイミングの問題

代表取締役を退任して別の役職に就くような分掌変更の場合、一定期間にわたって後任者への業務引継ぎが行われるのが一般的です。 このとき、引継ぎの途中で退職金が支給(または支給決議)された場合、「支給された時点ではまだ引継ぎ中で経営に関与していたが、事業年度の終わりまでには引継ぎを終えて実質的に退職した状態になった」というケースにおいて、退職給与として認められるかどうかが問題となります。

(2). 裁判例での判断(債務確定基準)

この点が争われた裁判例(東京高判平29.7.12)では、以下のような判断が下されました。

【事案の概要】

  • 前代表取締役(A)が5月末に退任し、6月に退職金が支給・計上された。
  • しかし、新代表取締役への引継ぎが完了し、Aが経営情報に接する機会を失ったのは、同年9月中旬以降であった。
  • 納税者(会社)は、「法人税は事業年度ごとの所得に課税する期間税であるため、事業年度末(翌年3月末)までに『実質的に退職したと同様の事情』が整っていれば、退職金として認められるべきだ」と主張した。

【裁判所の判断】 裁判所は納税者の主張を退け、退職給与の損金性が認められるか否かは「退職金の支払債務が確定した月(本件の場合は支給・計上された6月)を基準として判断すべき」としました。 支給された6月の時点では、Aは依然として後任者への指導・助言を行い、代表者会議に出席し、資金繰りの窓口役を務めるなど、経営上主要な地位を占めていました。そのため、債務確定時において「役員としての地位又は職務の内容が激変して実質的には退職したと同様の事情にあったとは認められない」として、退職金としての損金算入が否認されました。

新屋賢人

上記のように、分掌変更による退職給与の支給において「実質的に退職した」と認められるためには、退職金を決議・支給する(債務を確定させる)その時点で、すでに経営の第一線から退き、地位や職務内容が激変しているという実態を備えておく必要があります
引継ぎ業務が長引き、実質的に経営への関与が続いている間に退職金の支給手続きを急いでしまうと、ただの「在任中の給与(事前確定届出給与等に該当しない単なる役員給与)」とみなされ、損金不算入となるリスクがあるため、手続きのタイミングには十分な注意が必要です。

5.退職給与の打ち切り支給に関する考え方

退職給与の打ち切り支給や、使用人から役員等への立場変更に伴う退職給与の取り扱いについて解説します。

(1). 退職給与の打ち切り支給に関する基本的な考え方

原則として、従業員等の在職中において退職給与の支給義務はないものとされています。 過去の最高裁判決等でも示されている通り、在職する者に対して退職給与を支給する場合、その支給が認められるためには、勤務関係の性質、内容、労働条件等において重大な変動があり、形式的には継続している勤務関係が「実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられない」などの特別の事情が存在することが要件とされています。

(2). 使用人が役員となった場合の退職給与

法人の使用人(従業員)がその法人の役員となった場合において、法人が「退職給与規程」に基づき、その役員に対して使用人であった期間に係る退職給与として計算される金額を支給したときは、その支給した金額は、退職給与として支給した日の属する事業年度の損金(経費)に算入することができます。 これは、勤務関係自体は継続しているものの、法律上は「雇用関係」から「委任関係」へと変わったことにより重大な変更があったとして、打ち切り支給を認めるものです。 ただし、退職給与規程に基づき計算される金額であることが要件であり、単に未払計上としただけでは認められず、現実に金銭等の支払いが行われる(又は資金繰り等の理由で未払計上し、その旨を明確にするなどの一定の要件を満たす)必要があります

(3). 役員が使用人兼務役員に該当しなくなった場合の退職給与

「使用人兼務役員(平取締役の営業部長など)」であった者が、常務取締役や代表取締役、監査役への就任などにより「使用人兼務役員とされない役員(専任役員)」となった場合、法律上および実態上の立場が大きく変わります。この分掌変更に伴い、法人がその役員に対して「使用人であった期間」および「使用人兼務役員であった期間」に係る退職給与として計算される金額を打ち切り支給したときは、法人税基本通達(9-2-36)に基づき、その支給した金額を退職給与として支給した日の属する事業年度の損金に算入することが認められます

使用人としての地位が完全に消滅するため、打ち切り精算を行う合理性が認められるからです。ただし、この場合も単に未払計上するだけでなく、現実に支給等の手続きが行われる必要がある点には注意が必要です。

新屋賢人

なお、単なる「使用人」から「使用人兼務役員」に就任したタイミングでの打ち切り支給は、使用人としての職務が継続しているため原則として損金不算入となります。両者を混同しないよう注意が必要です。

(4). 使用人から役員となった者に対する退職給与の特例

法人が、新たに退職給与規程を制定したり、従来の規程を改定したりして、「使用人から役員となった者」に対して退職給与を支給することとした場合、その制定等の時点ですでに使用人から役員になっている者の全員に対して、その使用人分の退職給与として計算される金額を支給したときは、以下の2つの要件をすべて満たすことを条件に「退職給与」として取り扱うことが認められます。

  1. 二重支給の防止
    既往において、これらの者に対し、使用人であった期間に係る退職給与の支給をしていないこと。
  2. 金額の妥当性
    支給した退職給与の額が、その役員が役員となった直前に受けていた給与の額を基礎とし、その後のベースアップの状況等を参酌して計算される退職給与の額として、相当な額(適正額)であること。
新屋賢人

なお、この特例によって支給を受けた役員個人の所得税の取り扱いについては、規程を制定又は改定した日の属する年分の「退職所得」として扱われることになります。

6.まとめ

役員の退職慰労金は、金額の大きさゆえに税務上のメリットが大きい反面、処理を一つ間違えれば会社・個人双方に甚大な税務ダメージをもたらす「諸刃の剣」でもあります。

今回解説したように、資金繰りの都合で分割払いを選択する場合は「役員退職金」としての優遇措置を維持するための客観的要件と決議手続きが不可欠です。また、代表退任などの分掌変更退職金を支給する場合は、役職や報酬が下がったという形式面だけでなく、「重要な決裁権限を手放し、経営の第一線から完全に退いているか」という実態が、退職金決議のタイミングにおいて厳格に問われます。

引き継ぎ期間中の業務関与や、役員から別の役職への移行時の打ち切り支給など、実務においては通達や過去の判例・裁決例の「基準」に自社のケースが正確に合致しているかを慎重に判断しなければなりません。

役員退職慰労金の支給や分掌変更を検討される際は、自己判断で手続きを進める前に、会社の実態に即した適正なプロセスを踏むことができるよう、必ず税理士などの専門家に事前相談することをおすすめします。

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この記事を書いた人

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

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