【町田市の税理士が解説】節税効果あり?借り上げ社宅制度とは

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
2026年3月27日のテーマはなんでしょうか?

新屋賢人

今朝は、役員報酬シリーズの最終回を前に、借り上げ社宅制度について、整理していきたいと思います。

ミミレイドン

借り上げ社宅制度?税金と関係あるんですか?

新屋賢人

借り上げ社宅制度は、税制上の仕組みを正しく活用することで、会社にも従業員にも大きなメリットをもたらす「三方よし」の福利厚生制度です。しかし、運用ルールを誤ると税務調査で否認されたり、従業員とのトラブルに発展したりするリスクもあります。
今朝は、借り上げ社宅制度の仕組みから、具体的な節税メリットの試算、導入時に整備すべき社宅規程のポイント、そして見落としがちなデメリットまで、実務に役立つ情報を網羅的に整理していきたいと思います。これから制度の導入を検討している方はもちろん、すでに運用中で見直しを考えている方にも、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

ミミレイドン

役員報酬シリーズの①役員報酬の意義編、②役員報酬の損金性編、③役員報酬の手続き編、④役員報酬の定期同額給与編、⑤役員報酬の定期同額給与編Part2、⑥定期同額給与の臨時改定事由編、⑦定期同額給与の業績悪化改定事由編、⑧事前確定届出給与編Part1、⑨事前確定届出給与編Part2、⑩業績連動給与編Part1、⑪業績連動給与編Part2、⑫株式報酬編、⑬経済的利益(現物給与)編Part1、⑭経済的利益(現物給与)編Part2、⑮経済的利益(現物給与)編Part3、⑯役員退職慰労金編Part1、⑰役員退職慰労金編Part2、⑱役員退職金の算定方法編、⑲役員の範囲編、⑳同族会社における役員報酬編、㉑使用人兼務役員編については、こちらの記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:①役員報酬の意義編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:②役員報酬の損金性編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:③役員報酬の手続き編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:④役員報酬の定期同額給与編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑤役員報酬の定期同額給与編Part2
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑥定期同額給与の臨時改定事由編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑦定期同額給与の業績悪化改定事由編
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑧事前確定届出給与編Part1
【町田市の税理士が解説】中小企業の役員報酬:⑨事前確定届出給与編Part2
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑩業績連動給与編Part1
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑪業績連動給与編Part2
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑫株式報酬編
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑬経済的利益(現物給与)編Part1
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑭経済的利益(現物給与)編Part2
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑮経済的利益(現物給与)編Part3
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑯役員退職慰労金編Part1
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑰役員退職慰労金編Part2
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑱役員退職金の算定方法編
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑲役員の範囲編
【町田市の税理士が解説】役員報酬:⑳同族会社における役員報酬編
【町田市の税理士が解説】役員報酬:㉑使用人兼務役員編

目次

1.借り上げ社宅制度の仕組み

借り上げ社宅制度とは、企業が民間の賃貸物件(アパートやマンションなど)を契約し、それを従業員や役員に住居として貸し出す福利厚生制度です。

自社で物件を所有する「社有社宅」に比べて初期費用が抑えられ、現金で支給する「住宅手当」に比べて税金や社会保険料を削減できるため、多くの企業で導入されています。

基本的な仕組みおよび導入にあたっての注意点について詳しく解説します。

(1). 借り上げ社宅の基本的な仕組み

借り上げ社宅制度は、主に以下のようなお金と契約の流れで運用されます。

  • 契約の主体は「会社」
    賃貸借契約の名義人は会社となり、実際の入居者が従業員や役員となります
  • 家賃の支払いと徴収
    会社が不動産オーナーや管理会社に対して家賃を全額支払います。同時に、会社は入居する従業員から家賃の一部(自己負担分)を給与天引きなどで徴収します
  • 差額の経費計上
    会社が大家に支払った家賃と、従業員から徴収した家賃の「差額」を、会社の経費(福利厚生費や地代家賃など)として計上します

(2). 税務上のルール(賃貸料相当額)

借り上げ社宅の最大のポイントは、「いくらを従業員から徴収すればよいか」という税務上のルールです。無料で貸与したり、徴収額が少なすぎたりすると、「現物給与」として所得税などの課税対象になってしまいます

給与として課税されないためには、国税庁が定める以下の計算式で算出した「賃貸料相当額」を基準に家賃を徴収する必要があります。

【賃貸料相当額の計算式】(以下の3つの合計)

  1. その年度の建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2%
  2. 12円 ×(その建物の総床面積(㎡)/ 3.3㎡)
  3. その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%
  • 従業員の場合
    上記の「賃貸料相当額」の50%以上を従業員から徴収していれば、会社が負担する差額分に税金はかかりません。
  • 役員の場合(小規模住宅)
    賃貸料相当額の全額(100%)以上を徴収していれば非課税となります。
新屋賢人

この計算による「賃貸料相当額」は、相場の家賃の10〜20%程度とかなり割安になることが多いため、従業員の負担を相場家賃の1割程度に抑えつつ、残りを会社の経費にできるケースが一般的です。

ミミレイドン

小規模な住宅とは、法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。

新屋賢人

 なお、役員の場合は住宅規模により計算方法が異なります。特に「小規模でない住宅」では「会社が支払う家賃の50%」と「所定の算式で計算した金額」のいずれか大きい方を徴収する必要があります。さらに豪華社宅については、時価が基準になることもありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

参照:国税庁ホームページタックスアンサー:No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
                     No.2600 役員に社宅などを貸したとき

(3). 導入のためのポイント

借り上げ社宅制度を税務トラブルなく運用するためには、契約名義を必ず「法人」にすることと、入居条件や家賃の負担割合退去時の原状回復費用の負担などを明確に定めた「社宅規程」の作成が不可欠です。また、管理業務の負担が大きい場合は、社宅代行サービスの利用を検討する企業も増えています。

新屋賢人

総じて、借り上げ社宅制度は、ルールの整備や管理の手間はかかるものの、「給与を増やさずに従業員の手取りを増やし、会社の経費も作れる」という非常にコストパフォーマンスの高い福利厚生制度と言えます。

2.借り上げ社宅制度のメリット

借り上げ社宅制度のメリットは、企業側と従業員側の双方にそれぞれ以下のようなものがあります。

(1).企業側のメリット

  • 社会保険料の負担軽減
    従業員に現金で支給する「住宅手当」は給与とみなされ、社会保険料の算定基礎に含まれますが、借り上げ社宅の場合は給与に含まれないため、労使折半で支払う企業の社会保険料負担を抑えることができます。
  • 法人税の節税効果
    会社が支払う家賃を「地代家賃」や「福利厚生費」として経費(損金)に計上できるため、法人税などの節税につながります。
  • 人材確保・定着率の向上
    手厚い福利厚生として求職者にアピールできるため、採用力の強化や、従業員の満足度向上による離職防止(定着率の向上)に役立ちます。
  • 管理負担や初期費用の軽減
    自社で物件を購入・所有する「社有社宅」と比べ、初期投資が不要で、建物の維持・管理・修繕にかかる手間やコストを大幅に削減できます。
  • 転勤へのスムーズな対応
    従業員が転勤する際の住居探しの手間や敷金・礼金などの費用負担を軽減できるため、転勤の打診や受け入れがスムーズになります。
ミミレイドン

社会保険上、社宅の貸与は「現物給与」として扱われます。日本年金機構が都道府県ごとに定める「現物給与の価額」より従業員からの徴収額が少ない場合、その差額が報酬に算入される点には注意が必要です。

(2).従業員側のメリット

  • 実質的な手取り(可処分所得)の増加
    住宅手当を現金で受け取ると所得税や住民税の課税対象となり、社会保険料の負担も増えます。しかし、借り上げ社宅で一定の条件(賃貸料相当額の50%以上を負担するなど)を満たせば給与として課税されず、社会保険料の負担も抑えられるため、実質的な手取り額が増加します。
  • 家賃や初期費用などの経済的負担の軽減
    相場よりも安い自己負担額で住むことができるほか、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用や、更新料などを会社が負担してくれるケースが多く、金銭的な負担を大きく減らすことができます。
  • 物件探しや契約手続きの手間が省ける
    賃貸借契約や家賃の支払い、更新などの煩雑な手続きを会社が行ってくれるため、時間と手間を大幅に省くことができます。

3.借り上げ社宅制度のデメリット

借り上げ社宅制度には、会社側と従業員側の双方にいくつかのデメリットや注意点があります。

(1).会社側のデメリット

  1. 事務手続きの負担増加
    物件の選定や契約、毎月の家賃の支払い、従業員の入退去に伴う手続き、契約更新など、総務や人事部門の管理業務が煩雑になり、負担が増加します。
  2. 空室時の家賃負担と違約金リスク
    従業員が退職や転勤で退去して空室になっても、賃貸借契約が続いている間は会社が家賃を支払い続けなければなりません。また、契約期間の途中で解約する場合、短期解約による違約金が発生するリスクもあります。
  3. 税務・法務上のリスク
    制度の要件を正しく満たしていないと、税務調査で否認されるリスクがあります。たとえば、従業員から徴収する家賃が国税庁の定める「賃貸料相当額」の50%未満であったり、規定が未整備だったりすると、会社負担分が「給与」とみなされ、追加で課税される恐れがあります。
  4. 初期費用の負担
    契約時の敷金・礼金や仲介手数料、また更新料などを会社が負担するケースが多く、一時的な出費が発生します。

(2).従業員側のデメリット

  1. 物件選びの自由度が制限される
    会社が指定した物件から選ぶか、あるいは会社の規程(家賃の上限、間取り、エリアなど)の範囲内で選ぶ必要があるため、完全に自由に希望通りの物件に住めない場合があります。
  2. 将来の社会保障額が減る可能性がある
    借り上げ社宅を利用すると社会保険料の負担を抑えられるメリットがありますが、それは社会保険料の算定基準となる額が下がることを意味します。その結果、将来受け取る年金額や、失業保険(雇用保険)の給付額が少なくなる可能性があります。また、名目上の基本給が下がることで、住宅ローンの審査に影響が出るケースも考えられます。
  3. 退職時には退去しなければならない
    物件の契約者は会社であるため、自己都合などで会社を退職する場合には、原則として速やかにその物件から退去しなければなりません。
新屋賢人

制度を導入・利用する際は、これらのデメリットを考慮し、専門家の意見を交えながら適切なルール(社宅規程)を定めて運用することが重要です。

4.給与で支払った場合と借り上げ社宅として負担した場合の手取り額の違い

「給与で支払った場合(住宅手当)」と「借り上げ社宅制度として負担した場合」の実質的な手取り額(家賃支払い後に手元に残る金額)の違いは、税金(所得税・住民税)と社会保険料の計算基礎の差によって生じます。

現金で「住宅手当」として支給すると給与の一部とみなされるため、税金と社会保険料の負担が増加します。一方で、借り上げ社宅制度を利用し、会社が家賃を直接支払った上で一定の要件(賃貸料相当額の50%以上の自己負担など)を満たせば、会社負担分は給与として課税されません。その結果、税金と社会保険料の算定基準額が下がり、家賃支払い後の実質的な手取り額(生活に使えるお金)が増加します

(1). 給与を減らして会社が家賃を負担するケースの比較表

給与30万円、家賃10万円の従業員を対象に、「給与を減らす代わりに会社が家賃を負担した場合」の手取り額の変化を示した表です。

項目通常の給与支払い(全額自己負担)社宅制度(会社が家賃の半額・5万円を負担)社宅制度(会社が家賃の8割・8万円を負担)
額面給与300,000円250,000円220,000円
社会保険料(本人負担)約45,000円約37,500円約33,000円
所得税約6,750円約5,625円約4,500円
住民税約14,000円約12,080円約10,500円
税・社保控除後の手取り約234,250円約194,795円約172,000円
家賃の自己負担額100,000円50,000円20,000円
実質的な手取り(生活費)約134,250円約144,795円約152,000円
①との実質手取りの差額月額:約+10,545円
(年額:約+12.6万円)
月額:約+17,750円
(年額:約+21.3万円)

※記のシミュレーションで社会保険料や税金が安くなるのは、従業員の家賃自己負担額が、税務上の『賃貸料相当額の50%以上』および社会保険上の『現物給与の価額』を上回って徴収されているという前提での概算です。

新屋賢人

【ポイント】 給与額面が減ることで社会保険料と税金(所得税・住民税)の計算基準が下がり、控除される金額が少なくなります。その結果、家賃支払い後に手元に残る実質的な手取り額は、社宅制度を利用した方が多くなります。また、社会保険料は労使折半であるため、従業員の社会保険料が下がれば会社側が負担する社会保険料も同時に軽減されるという、双方にとっての大きなメリットがあります。

5.借り上げ社宅制度の実務手続きと運用ルール

借り上げ社宅制度を実際に導入・運用するためには、税務調査での否認リスクを避け、従業員とのトラブルを防ぐために、適切な実務手続きと明確な運用ルール(社宅規程)の整備が不可欠です。

具体的な実務手続きの流れと、定めるべき運用ルールについて詳しく解説します。

(1). 導入から運用までの実務手続きステップ

借り上げ社宅の導入・運用は、一般的に以下の流れで行われます。

  1. 社宅規程の作成と社内決議
    制度の目的や対象者、予算などを検討し、社宅のルールを定めた「社宅規程(社宅管理規程)」を作成して、取締役会などで決議します。なお、従業員が10名以上いる企業の場合、社宅規程は就業規則の一部として労働基準監督署へ届け出る必要があります。
  2. 物件の選定と「法人名義」での賃貸借契約
    社宅規程に基づき物件を探します。この際、賃貸借契約は必ず「法人名義(会社名義)」で締結し、家賃も会社から大家(管理会社)へ直接支払う必要があります。個人名義のまま会社が家賃を負担すると、住宅手当(給与)とみなされ課税対象となってしまいます。
  3. 賃貸料相当額の計算と徴収設定
    市役所などで固定資産税評価証明書を取得し、国税庁の計算式に基づいて「賃貸料相当額」を算出します。給与計算の際、この賃貸料相当額を基準とした自己負担分(従業員の場合は50%以上)を給与から天引きする設定を行います。
  4. 入退去の管理と日常業務
    運用開始後は、毎月の家賃の支払いや給与天引きの経理処理のほか、契約更新手続き、入退去時の敷金精算や原状回復に関する対応などを行います。また、年に1回、税務署へ「不動産の使用料等の支払調書」を提出する業務も発生します。

(2). 社宅規程に定めるべき運用ルール

従業員間の不公平感をなくし、トラブルを防止するために、社宅規程には以下の項目を明確に記載しておくことが重要です。

  • 入居資格(対象者)
    「転勤者のみ」「新入社員のみ」「単身者のみ」など、誰が社宅を利用できるのかを明確にします。
  • 家賃の負担割合(賃料)
    会社と従業員の負担割合を明記します。給与として課税されないために、「国税庁が定める賃貸料相当額の50%以上(役員の場合は一定の基準額以上)を従業員から徴収する」といったルールを定めます。
  • 物件の条件と上限
    間取り(例:単身者は1R~1LDK、家族向けは2DK~3LDK)、広さ、家賃の上限、会社や最寄り駅からの距離などの基準を設けます。
  • 入居期間の制限
    「入社後〇年以内」「転勤後〇年間」といった期限を設けることで、長期間一部の社員だけが利用し続ける不公平を防ぎます。
  • 退去事由・期限
    退職時や転勤時、または規程違反があった場合に、何日以内に退去しなければならないか(例:退職後30日以内など)を定めます。
  • 同居人の範囲
    「配偶者および二親等以内の親族」など、同居できる人の範囲を定めておくと、「恋人と同棲したい」といった要望によるトラブルを防げます。
  • 禁止事項
    第三者への転貸、ペットの飼育、深夜の騒音、部屋の改造(DIYなど)を禁止事項として明記します。

(3). 費用負担の区分ルール

家賃以外の費用について、会社と従業員のどちらが負担するかを規程で明確に分けておく必要があります。

  • 会社が負担するのが一般的な費用
    敷金、礼金、仲介手数料、契約更新料、火災保険料など。
  • 従業員が負担すべき費用
    水道光熱費、インターネット等の通信費、駐車場代など。これらを会社が負担してしまうと、業務に関係のない生活費の肩代わりとみなされ、給与課税されるリスクがあります。また、退去時の故意・過失による原状回復費用(壁の穴やタバコのヤニ汚れなど)も従業員負担とするのが一般的です。

(4). 実務運用上の重要な注意点

  • 固定資産税評価額の見直しへの対応
    家賃計算のベースとなる固定資産税評価額は原則として3年ごとに見直されます(直近は2024年、次回は2027年予定)。これに合わせて賃貸料相当額も再計算し、従業員からの徴収額を見直す必要があります。これを怠ると徴収不足となり、給与課税されるリスクが生じます。
  • 既存の賃貸物件の「社宅化」にはリスクがある
    すでに従業員や役員が個人で契約して住んでいる物件を、後から法人契約に切り替えて社宅扱いとすることは、税務署から「税金逃れ」と見なされるリスクが非常に高いため、原則として避けるべきです(特に役員の場合は厳しく見られます)。
  • 証拠書類の保管
    税務調査に入られた際に備え、「法人名義の賃貸契約書」「会社から家主への家賃振込明細」「賃貸料相当額の計算根拠となる固定資産課税台帳や評価証明書」などをしっかりと保管しておくことが不可欠です。
新屋賢人

社宅制度の運用は、物件探しから契約、天引きの計算、退去精算など多岐にわたるため、人事・総務担当者の負担が大きくなる傾向があります。自社での管理が難しい場合は、専門の「社宅代行サービス」の利用を検討するのも一つの有効な手段です。

6.まとめ

借り上げ社宅制度は、従業員にとっては「実質的な手取り額の増加」や「住居費用の負担軽減」となり、企業にとっても「社会保険料や法人税の節税効果」「採用力・定着率の向上」につながるなど、労使双方に大きなメリットをもたらす強力な福利厚生です。

しかし、本記事で解説した通り、「家賃の徴収額」や「法人名義での契約」など、国税庁や日本年金機構が定める厳格なルールを遵守しなければなりません。所得税と社会保険で計算ルールが異なる点にも注意が必要です。ルールを逸脱した運用は、後日、税務署や年金事務所の調査で「現物給与」として否認され、多額の追徴金が発生するリスクを伴います。

そのため、借り上げ社宅制度を導入する際は、対象者や負担割合、退去時のルールを明確にした「社宅規程」を綿密に作成することが成功の鍵となります。

自社での制度設計や管理に不安がある場合は、税理士などの専門家に相談しながら進めるか、運用業務を丸ごと任せられる「社宅代行サービス」の活用も検討してみてはいかがでしょうか。正しい知識のもとで制度を整備し、企業の成長と従業員の満足度向上にぜひ役立ててください。

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この記事を書いた人

コムレイド税理士事務所_代表新屋賢人のアバター コムレイド税理士事務所_代表新屋賢人 税理士(コムレイド税理士事務所 代表)

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。税理士(日本税理士会連合会登録)。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

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