
ボス、令和7年も残すところあと3か月ですね!



そろそろ年末調整の準備をしないといけませんね。令和7年の年末調整は過去最悪クラスの改正がたくさんあって、税理士も頭の整理が大変なんです。基礎控除や給与所得控除の見直し、特定親族特別控除の創設など、計算をする上で結構厄介そうなんです。



年末調整、、、?



年末調整始めてですもんね。本日は改正論点の前に年末調整の基礎知識について、わかりやすく解説しますね。



今年も年末が近づき、「年末調整」というキーワードをよく耳にする時期になりましたね。会社員や公務員の方にとって、「給与から引かれすぎた税金が戻ってくるかもしれない、あの手続き」というイメージがあるかもしれません。
しかし、その仕組みや、なぜ自分に関係あるのか、正しく理解している方は意外と少ないのではないでしょうか?
この記事では、年末調整とは何かという基本から、あなたが損をしないために知っておくべき手続きの流れ、そして特に注目すべき2025年(令和7年)の税制改正ポイントまで、誰にでも分かりやすく、徹底的に解説します。
この記事を読めば、今年の年末調整を自信を持って乗り切り、税金で損をすることがなくなりますよ!
1. はじめに:年末調整とは?
年末調整とは?
「年末調整」とは、毎月の給与から天引き(源泉徴収)されていた所得税の合計額と、その年に本来納めるべき正しい所得税額との差額を精算する手続きのことです。したがって、会社員や公務員の方にとっては、確定申告をしなくても税金の計算が完了する、とても重要な仕組みです。
なぜ年末調整が必要なのか?
私たちが毎月受け取る給与からは、会社が「源泉徴収税額表」に基づいて所得税を天引きしていますが、実はこの所得税は概算額なのです。したがって、この概算額と実際の年税額は必ずしも一致しません。その理由は大きく3つあります。
1. 給与や賞与の変動
毎月の給与額や賞与は変動するのが一般的です。そのため、当然ながら、年初に想定した金額と実際の年間収入に差が生じることとなります。
2. 扶養や控除の変動
年の途中で結婚や出産があったり、扶養親族の人数が変わった場合、控除額も変わります。
しかし、毎月の源泉徴収は遡って修正されないため、年末にまとめて調整する必要があります。
3. 控除の確定は年末に行うものがある
生命保険料控除や地震保険料控除などは、1年間の支払額が確定しないと計算できません。そのため、年末にまとめて反映させる仕組みになっています。
年末調整のメリット
このように、年末調整で過不足を精算することで、ほとんどの給与所得者は確定申告という煩雑な手続きを行う必要がなくなります。つまり、年末調整は会社員や公務員にとっての「税の棚卸し」であり、正しい税額を確定させる大切なステップなのです。



扶養控除等申告書を記載したり、とても面倒くさい手続きだと思ってましたが、給与所得者にとっては大変ありがたい制度なのですね!



年末調整は「源泉徴収された概算の税額」と「本来納めるべき税額」を一致させるための手続きとなります。会社が年末調整を実施してくれなければ、給与所得者もみんな確定申告が必要になってしまうので、実は年末調整って大変ありがたい手続きなのです!
2. 年末調整の対象者
年末調整は、原則として給与の支払者(会社や事業主)に 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」 を提出している人に対して行われます。この申告書を提出することで、その勤務先が「主たる給与の支払者」となり、年末調整の対象となります。
対象となる従業員の条件
具体的には、次のような方が対象です。
1年を通じて継続して勤務している人
一般的な会社員や公務員の方はこれに該当します。
年の途中で就職し、年末まで勤務している人
途中入社でも、年末まで在籍していれば対象です。
年の途中で退職した人のうち、特定の要件を満たす人
例:12月に退職した場合、死亡退職、心身の障害による退職など。
対象外となるケース
一方で、次のような場合は年末調整の対象外となり、ご自身で確定申告が必要になります。
給与の総額が2,000万円を超える人
高額所得者は年末調整の対象外です。
年の途中で退職し、特定の要件に該当しない人
→ 例:通常の退職で再就職していない場合など。
海外勤務などで非居住者となった人
日本の居住者でなくなると、年末調整の対象外になります。
2か所以上から給与を受けており、他の勤務先に扶養控除等申告書を提出している人
副業先やアルバイト先など「従たる給与」の場合は対象外です。



年末調整の対象外であっても、源泉徴収された税額が年税額よりも多い場合は、ご自身で確定申告(還付申告)をすることで税金を取り戻せる可能性があります。
3. 年末調整の流れ
年末調整の手続きは、主に「従業員による申告書の提出」「会社による内容確認・計算」「過不足の精算」の3つのステップで進められます。
年末調整を始めるにあたり、従業員はさまざまな控除を受けるために必要な申告書を会社に提出します。
• 扶養控除等申告書(提出必須)。
• 保険料控除申告書(生命保険料、地震保険料、社会保険料、小規模企業共済掛金などの控除を受けるため)。
• 基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書、所得金額調整控除申告書(これらは兼用様式になっていることが多いです)。
• (特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除の2年目以降)。
これらの申告書には、保険会社などから送付される控除証明書の添付(または提示)が必要です。
会社は従業員から提出された申告書に基づき、内容を確認し、年税額を計算します。
• 提出された申告書の内容(扶養親族の有無、保険料の支払い額など)から、各種所得控除額を確定します。
• 1年間の給与総額から給与所得控除を差し引き、さらに各種所得控除を差し引いて、課税給与所得金額を算出します。
• その課税給与所得金額に税率を適用し、年調年税額(年間に納めるべき所得税および復興特別所得税の総額)を計算します。
計算で求められた年調年税額と、すでに毎月の給与から源泉徴収した源泉徴収税額の合計額との差額を精算します。
• 年調年税額<源泉徴収税額の合計額 の場合:過納額(還付金)として従業員に返金されます。
• 年調年税額>源泉徴収税額の合計額 の場合:不足額として従業員から追加で徴収されます。
この精算は、通常、12月分の給与や賞与の支払い時に行われます。
4. 年末調整で使う主な控除項目
年末調整において、適用できる税金が安くなる仕組みである、所得控除と税額控除をご紹介します。
所得控除(14種類のうち、年末調整で申告できるもの)
「所得控除」とは、納税者の家族構成や生活状況、支出に応じて課税対象となる所得から差し引ける仕組みのことです。控除を適用することで、結果的に所得税の負担を軽くすることができます。
| 控除項目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 合計所得金額に応じてほとんどの納税者が受けられる控除。(条件:合計所得金額が2,400万円以下) | 2025年(令和7年)に改正あり。 |
| 扶養控除 | 16歳以上の親族を養っている場合に受けられる控除。 | 19歳以上23歳未満の特定扶養親族は控除額が大きい。 |
| 特定親族特別控除 | 2025年(令和7年)に新設。19歳以上23歳未満の親族の所得要件緩和に伴う控除。 | 扶養控除の要件を超えても、一定の所得内であれば適用される場合がある。 |
| 配偶者控除・特別控除 | 生計を一にする配偶者がいる場合に受けられる控除 | 配偶者の所得金額に応じて控除額が変動。 |
| 社会保険料控除 | 健康保険料、厚生年金保険料、国民年金保険料など、個人が支払った社会保険料の全額。 | 毎月の給与から天引きされている分は会社が把握。自分で支払った国民年金等は申告が必要。 |
| 生命保険料控除 | 生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の支払額に応じて控除。 | 控除証明書が必要。新契約/旧契約で計算方法が異なる。 |
| 地震保険料控除 | 居住用家屋・家財の地震保険料の支払額に応じて控除。 | 控除証明書が必要。 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金など。 | 支払った掛金の全額が控除対象。 |
| 障害者控除/ひとり親控除/寡婦控除/勤労学生控除 | 納税者本人や扶養親族の状況に応じた控除。 | 控除の種類により控除額が異なる。 |



一方で、医療費控除、雑損控除、寄附金控除(ふるさと納税など)は年末調整では扱えません。必要に応じて 確定申告 を行う必要がありますので、それぞれの控除がある場合にはご注意ください。
税額控除(年末調整で申告できるもの)
税額控除は、算出した所得税額から直接差し引くことができる控除です。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
住宅の取得等をした場合に、年末の借入金残高に基づいて計算した金額を税額から控除する制度となります。ただし、入居した初年度(1年目)は確定申告が必要で、年末調整で申請できるのは2年目以降となりますので、ご注意ください。
5. 年末調整のスケジュール感
年末調整は12月に行われる手続きですが、その準備は通常、秋頃から始まります。
| 時期 | 企業/従業員の主なアクション |
|---|---|
| 10月頃 | 金融機関・保険会社から「住宅ローンの年末残高等証明書」や「保険料控除証明書」が送付される。 |
| 11月上旬~中旬 | 会社から「年末調整の各種申告書」が配布される。従業員は、証明書を添付し、期限までに会社へ提出する。 |
| 12月 | 会社が年間の給与総額を確定し、年税額を計算。 最後の給与で過不足の精算を行う。 |
| 翌年1月 | 会社が税務署へ源泉所得税を納付する (納期限は1月13日、納期の特例適用で1月20日)。 |



会社が指示する書類提出期限を過ぎても、12月支給の給与計算が始まる前や、税務署への納付期限(翌年1月)までであれば、対応してもらえる可能性があります。諦めずに勤務先に相談しましょう。
6. 年末調整のよくある質問FAQ
- 2025年の税制改正で何が変わったの?「年収の壁」はどうなった?
-
2025年(令和7年)の年末調整は、例年以上に大きな変更があります。特に「年収の壁」問題に対応するため、基礎控除や給与所得控除の見直し、そして特定親族特別控除の新設が行われました(詳しくは年末調整シリーズ5で解説します。)。
• 基礎控除の改正: 合計所得金額に応じて控除額が変動する仕組みが見直されました。例えば、合計所得金額132万円以下(給与収入のみなら200万3,999円以下)の場合、基礎控除額が改正前の48万円から95万円に引き上げられます(令和7・8年分)。
• 特定親族特別控除の新設: 19歳以上23歳未満の特定親族(大学生世代など)が、従来の扶養控除の所得要件(合計所得58万円以下、給与収入123万円以下)を超えても、一定額の控除が受けられるようになりました。例えば、この特定親族が給与収入188万円以下(合計所得123万円以下)であれば、控除が適用されます。
- 年末調整に間に合わなかったらどうすればいい?罰則はある?
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従業員が会社の提出期限に間に合わず、年末調整を受けられなかったからといって従業員個人に罰則はありません。ただ、源泉徴収税額が不足している場合には、確定申告を行わないと罰則が科せられる可能性があります。必ず、確定申告をしましょう!
• 還付がある場合: 払いすぎた税金を取り戻す「還付申告」を、翌年の2月16日から3月15日の確定申告期間中、またはそれ以降の5年間以内に行うことで税金が戻ってきます。
• 追加徴収がある場合: 納めるべき税金が不足しているにもかかわらず、年末調整も確定申告も怠った場合は、所得税法違反として延滞税や無申告加算税といった罰則が科せられる可能性があります。この場合は、速やかに確定申告を行いましょう。
- 副業やアルバイトをしている場合の年末調整は?
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給与所得者が2か所以上から給与を受け取っている場合、「扶養控除等申告書」を提出している(主たる給与の)勤務先で年末調整を行います。なお、副業をしている場合には、確定申告が必要となりますので、年末調整をした主たる給与の勤務先の源泉徴収票だけでなく、副業先の源泉徴収票も必ずもらうようにしてください。
- そもそも年末調整と確定申告はどう違うのですか?
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年末調整は会社が従業員の給与から天引きした所得税を年末に精算する仕組みなのに対して、確定申告は自営業者や副業収入がある人などが、自分で1年分の所得を申告する手続きとなります。給与所得者の多くは年末調整で完結しますよ!
- 控除証明書をなくしてしまった場合はどうすればいいですか?
-
保険会社や共済組合に再発行を依頼できますが、再発行には時間がかかることもあるので、早めに対応しましょう!間に合わなかったら確定申告で控除できるのでご安心ください。
- 年末調整が終わった後に医療費控除やふるさと納税をしたい場合は?
-
年末調整では反映できないため、確定申告で手続きが必要です。
- 配偶者の収入が年末に変動した場合はどうなりますか?
-
配偶者控除や配偶者特別控除の適用条件に影響するため、正しい収入見込みを申告書に記入することが大切です。ただ、やはり変動してしまうこともあるかと思いますので、年末調整後に誤り(変動)が判明した場合は、確定申告で修正できますよ!
- 年末調整で税金が戻ってくるのはなぜですか?
-
実は毎月の給与から天引きされる所得税は「概算」なのです。年末調整によって正しい所得・控除額を計算し直すことで、払いすぎていた分が還付されます。なので、必ず年末調整しましょう!
7. 年末調整の注意点
特に強調しておきたい注意点が3点あります。
2025年(令和7年)の税制改正を理解しておく
今年の年末調整は、基礎控除や特定親族特別控除の新設など、例年になく変更点が多いです。特に扶養親族の所得要件や、大学生世代のアルバイト収入が親の控除に与える影響(特定親族特別控除)について、最新の制度を把握し、申告内容に抜け漏れがないか再確認しましょう。
基礎控除の見直し
合計所得金額に応じて控除額が段階的に変動。132万円以下なら95万円、655万円以下でも63万円など、従来の一律48万円から大幅に拡充されました。
給与所得控除の見直し
最低保障額が55万円から65万円に引き上げ。
特定親族特別控除の新設
19歳以上23歳未満の大学生世代などが対象。アルバイト収入が増えて従来の扶養控除から外れても、一定の範囲内(給与収入188万円以下)なら控除が受けられるようになりました。
扶養親族等の所得要件の引上げ
従来の「合計所得48万円以下(給与収入103万円以下)」が「58万円以下(給与収入123万円以下)」に。



特に「大学生のアルバイト収入が親の扶養控除にどう影響するか」は、多くの家庭に直結するテーマです。必ず最新の制度を確認し、申告内容に漏れがないようにしましょう。
住宅ローン控除の初年度は必ず確定申告を
住宅ローン控除の初年度は必ず確定申告を 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、税額控除の中でも節税効果が非常に高い制度ですが、住宅に入居した最初の年(初年度)は、年末調整では申告できません。必ず翌年、ご自身で確定申告を行う必要があります。2年目以降は、税務署から送付される書類(住宅借入金等特別控除申告書)と、金融機関からの年末残高証明書を使って年末調整で申告可能です。
添付書類を期限までに準備する
生命保険料控除や地震保険料控除、iDeCoの掛金控除など、年末調整で控除を受けるためには、控除証明書の添付が必須です。これらの書類は10月頃に郵送されますが、紛失したり、請求が遅れたりすると手続きが滞ります。余裕をもって準備し、会社が定めた期限に間に合うように提出しましょう。
8. まとめ:年末調整は「税の棚卸し」
年末調整は、会社員や公務員にとって、1年間の税金の過不足を精算する 「税の棚卸し」 のようなものです。
毎月の給与から概算で天引きされていた所得税を、あなたの個人的な事情(扶養家族の有無、生命保険料や地震保険料の支払い、住宅ローン控除など)を反映させて正確な額に修正します。これにより、税の公平性が保たれ、払いすぎた税金があれば還付され、不足があれば追加で納める仕組みです。
会社から提出を依頼される扶養控除等申告書等の書類や控除証明書を漏れなく提出するように10月になったら準備を始めましょう!



年末調整は単なる事務手続きではなく、自分の生活状況を反映させて税金を正しく計算し直す大切な機会です。
2025年の改正を味方につけて、払いすぎた税金を取り戻し、清々しい気持ちで新しい年をスタートしましょう。
相談できる税理士がいない場合には、こちらまでお気軽にお問い合わせください。










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