ミミレイドンボス、おはようございます!出張おかえりなさい!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝は、いわゆる罰則税について、取り上げようと思います。昨日、税務調査対応をしている際に、お客様から罰則税について質問をいただきました。どんな罰則税がどれくらいかかってくる可能性があるのかを知らないと不安だと仰っていたので、今日取り上げようと思いました。



何ですか、その恐ろしい名前の税金は。。。



罰則税とは、税金の申告や納付が遅れたり、誤っていたりした場合に、本税とは別に課せられる税金であり、一般的には「附帯税」と言われます。特に2024年以降、無申告に対する罰則が大幅に強化されており、知らなかったでは済まされません。実は申告が必要だけど今のところバレていないし、このままバレなければ大丈夫!とお考えの方、必見です!
1. はじめに
・附帯税とは何か?本税との違い
税金には「本税」と「附帯税」があります。
本税とは、所得税・法人税・消費税など、納税者が本来納めるべき税金のことです。
一方、附帯税とは、申告や納付が適正に行われなかった場合に課されるペナルティや利息のような性質を持つ税金のことを言います。
附帯税の大きな特徴として、損金(経費)に算入することができません(例外:利子税のみ損金算入可能)。つまり、一度課税されると、その負担は非常に重くなります。
参照:国税庁のタックスアンサー No.5300「損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期」
・附帯税の分類と全体像
日本の附帯税は、大きく以下の4種類に分類されます。
| 項目 | 性格 | 主な対象行為 |
| 加算税 | ペナルティ(罰金)的な性格 | 申告内容の誤りや申告・納付の遅れ |
| 延滞税 | 遅延利息的な性格 | 納付が法定納期限に遅れたこと |
| 利子税 | 延納・延長の利子的な性格 | 延納や申告期限の延長など、一定の手続きをした場合 |
| 過怠税 | 印紙税について課される | 印紙税の納付不足 |
2. 附帯税の分類と全体像(税目と主な対象行為)
附帯税の中でも、特に多くの納税者が直面する可能性がある「加算税」「延滞税」「利子税」について、詳しく見ていきましょう。
(1).加算税
加算税は、適正な申告義務や徴収納付義務が履行されない場合に課される、最も「罰金」としての性格が強い税金です。
| 加算税の名称 | 対象となる行為 |
| 過少申告加算税 | 期限内に申告したが、税額が少なかった場合 (修正申告や更正による) |
| 無申告加算税 | 申告自体を法定申告期限までに怠った場合 (期限後申告や決定による) |
| 不納付加算税 | 源泉徴収による国税を法定納期限までに納付しなかった場合 |
| 重加算税 | 上記の行為が仮装や隠蔽といった悪質な手段で行われた場合 |
(2).延滞税
延滞税は、税金の納付が遅れたことに対する利息です。期限内に納付を済ませた納税者との公平性を保つ目的で設けられています。
法定納期限までに納付されない未納税額(本税)に対して課されます。加算税などペナルティ的な税金に対しては課されません。
(3).利子税
利子税は、納税者の都合により納付を延ばした場合に課される、利子(金利)的な性格を持つ税金です。
例えば、相続税の延納が認められた場合、または申告期限の延長に伴う納税が発生した場合 に適用されます。他の附帯税とは異なり、利子税は損金算入が可能です。
3. 加算税の詳細(計算方法と注意点)
加算税は、納付すべき税額に一定の割合を乗じて計算されますが、その税率は、どのタイミングでミスを自ら修正したかによって大きく変動します。
(1).過少申告加算税
これは、期限内に申告書を提出したものの、その税額が本来納めるべき税額より少なかった場合に課されます。意図的ではない「うっかりミス」や「評価間違い」で申告漏れがあったケースが該当します。
| 申告のタイミング | 税率(増差税額に対して) |
| 税務調査の通知前に自主的に修正申告 | 課されない(0%) |
| 調査通知後、調査による更正等を予知する前 | 5% |
| 税務調査の指摘を受けて修正申告または更正 | 10% |
【注意点】加重措置(税率上乗せ)
追加で納める税額(増差税額)が、次のいずれか多い方を超える場合、その超える部分に対してはさらに5%が上乗せされます。
• 期限内に申告した税額
• 50万円
例えば、調査の結果に基づいて修正申告を行い、増差税額が当初申告額と50万円のいずれか多い額を超えた場合、超過部分の税率は15%(10%+5%)になります。
(2).無申告加算税
これは、法定申告期限(所得税であれば3月15日など)までに申告書を提出しなかった場合に課されます。
無申告加算税は、自主的に期限後申告を行ったかどうか、そして税額の大きさ、過去の申告状況によって税率が大きく変わります。
| 申告のタイミング | 税率(納付すべき税額に対して) |
| 調査通知前に自主的に期限後申告 | 5% |
| 調査通知後、調査予知前に期限後申告 | 50万円以下の部分:10% 50万円超300万円以下の部分:15% 300万円超の部分:25% (2024年(令和6年)1月1日以降) |
| 税務調査の指摘を受けて申告または決定 | 50万円以下の部分:15% 50万円超300万円以下の部分:20% 300万円超の部分:30% (2024年(令和6年)1月1日以降) |
【注意点1】2024年(令和6年)1月からの税率強化
2024年1月1日以降に法定申告期限が到来する国税(令和5年分以降の所得税など)について、納付すべき税額が300万円を超える部分に対する無申告加算税の割合が、従来の20%から30%に引き上げられました。これは、高額な無申告に対する抑止力を高めるためです。
【注意点2】繰り返しの無申告に対する加重措置
悪質な無申告行為を抑止するため、過去に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合、再度期限後申告を行うと、無申告加算税の税率にさらに10%が加算されます。この加重措置の結果、最大で40%(30%+10%)の無申告加算税が課される可能性があります。
【課税されない例外】
納付すべき税額がある期限後申告であっても、次の要件をすべて満たす場合は無申告加算税は課されません。
- 法定申告期限から1か月以内に自主的に行われた申告であること。
- 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合(全額納付済み、過去5年間にペナルティがないなど)に該当すること。
参照:国税庁ホームページタックスアンサーNo.2024 確定申告を忘れたとき
(3).不納付加算税
これは、企業などが従業員の給与から天引きした源泉所得税を、法定納期限までに税務署に納付しなかった場合に課されるペナルティです。
| 納付のタイミング | 税率(納付すべき税額に対して) |
| 税務署の告知を受ける前に自主的に納付 | 5% |
| 税務署の指摘により納付または告知 | 10% |
【注意点】免除されるケース
以下のいずれかの条件に該当する場合、不納付加算税は免除されることがあります。
- 納付する意思があると認められ、法定納期限から1か月以内に納付した場合。
- 不納付加算税の金額が5,000円未満の場合(少額不徴収のルール)。
- 大規模災害や通信途絶など、やむを得ない正当な理由がある場合。
(4).重加算税
加算税の中で最も重いペナルティです。納税者が意図的に税額の計算基礎となる事実の全部または一部を隠蔽(いんぺい)または仮装(かそう)などの悪質な行為があった場合に重加算税が課されます。
| 重加算税の対象行為 | 税率(計算の基礎となる税額に対して) |
| 過少申告の場合に代えて課される | 35% |
| 無申告の場合に代えて課される | 40% |
| 不納付の場合に代えて徴収される | 35% |
【注意点1】重加算税の加重措置
過去5年以内に同じ税目で無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合、重加算税の税率にさらに10%が加算されます。
• 無申告の場合、最大50%(40% + 10%)の税率が適用される可能性があります。
【注意点2】「隠蔽・仮装」とは?
重加算税が適用される「隠蔽または仮装」とは、「単なる計算ミス」とは明確に区別されます。
売上除外、二重帳簿の作成、帳簿書類の改ざん、偽造、破棄、隠匿などの意図的な不正行為が典型的です。
ただし、最高裁判所は「架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要であると解するのは相当でなく、当初から過少申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合」にも賦課要件が満たされるとして、広く解釈しています。
4. 延滞税の詳細(計算方法と注意点)
延滞税は、納付が遅れた日数に応じて課される「遅延損害金」のようなものです。
延滞税の計算方法
延滞税は、以下の計算式で日割り計算されます。
延滞税=(本来納税すべき税額×延滞税の割合×納付する日までの日数)÷365日
※延滞税の計算の基礎となる税額は、10,000円未満の端数を切り捨てます。
延滞税の税率(2025年/令和7年を例に)
延滞税の税率は、低金利の状況に応じて、毎年見直される「特例基準割合」に基づいて変動します。
| 延滞期間 | 適用税率(2024年/令和6年を例とした特例) |
| 法定納期限の翌日から2か月以内 | 年2.4% |
| 2か月を経過した日以後 | 年8.7% |
納付が遅れるほど、適用される税率が上がり(2.4% → 8.7%)、負担が重くなります。納付が1日でも遅れたら、その日から延滞税が発生します。
【重要】延滞税の「納期限」の定義
延滞税を計算する際、「納期限」の定義が非常に重要です。
• 期限内に申告した場合: 法定納期限(通常、申告期限と同日)が納期限となります。
• 期限後申告や修正申告の場合: 申告書を提出した日が「納期限」となります。
この違いにより、期限後申告の場合は、申告書を提出した日をもって延滞税の低い税率(2か月以内/2.4%)が切り替わるため、期限内に申告したのに納付だけが遅れた場合よりも、延滞税が少なくなることがあります。ただし、期限後申告の場合は、延滞税とは別に無申告加算税が課される点に注意が必要です。
【注意点】延滞税の控除期間
期限内に申告書を提出した納税者が、申告期限から1年を超えてから修正申告を行った場合、法定納期限から1年を経過した日の翌日から修正申告書を提出した日までの期間は、延滞税の計算期間から控除される特例があります。
これにより、申告期限から1年以上経過してから税務調査を受け、修正申告・納付を行った場合、延滞税は実質的に最大1年分となります。
ただし、この控除期間の適用は、重加算税が課されるような悪質な仮装隠蔽行為があった場合には認められません。
5. 利子税の詳細(計算方法と注意点)
利子税は、納税者が金銭的な事情などで期限までに納付できない場合に、延納や期限延長の許可を受けた際に課される「金利」です。
利子税の計算方法と税率
利子税は、延滞税とは異なり、遅延に対するペナルティではなく、金銭を借りていると見なされる利息の性質を持ちます。
• 税率: 2025年(令和7年)の利子税率は年0.9%です。
• 特徴: 延滞税や加算税と異なり、損金(経費)に算入することが可能です。
• 計算: (納税額 × 利子税の税率 × 延納の日数) ÷ 365日
利子税が適用される主なケース:相続税の延納
利子税が適用されるケースとして最も一般的で重要なのが、相続税の延納です。
相続税の納付額が10万円を超え、金銭納付が困難な事情がある場合、税務署長は延納を許可できます。この延納が認められた期間に対し、利子税が課されます。
利子税率は、相続財産に占める不動産や立木の割合によって異なりますが、現在の特例基準割合により大幅に引き下げられています。
6. よくあるケーススタディ
税務調査に関連して、過少申告や無申告が発覚するタイミングによって、どれだけペナルティが変わるかを見てみましょう。
| シナリオ | 状況 | ペナルティ(加算税) | 軽減/加重効果 |
| A. 申告漏れ(自主修正) | 期限内申告後、調査通知前に自主的に修正申告 | 過少申告加算税 0% | 加算税が免除される |
| B. 申告漏れ(調査通知後) | 期限内申告後、調査通知を受けてから修正申告 | 過少申告加算税 5% (+超過分5%) | 自主的な修正(A)に比べて重くなる |
| C. 無申告(自主申告) | 期限後申告を、調査通知前に自主的に提出 | 無申告加算税 5% | 大幅に軽減(通常15%以上) |
| D. 無申告(調査発覚後) | 期限後申告を、税務調査の指摘後に提出 | 無申告加算税 15%以上 | 最も重い税率が適用される |
| E. 悪質な隠蔽 | 隠蔽・仮装が認められた場合 | 重加算税 35%または40% | 他の加算税に代わって課される。延滞税の優遇(控除期間)もない |
このケーススタディからわかることは、税務署に指摘される前に、自ら間違いに気づき、自主的に修正・申告を行うことが、ペナルティ(加算税)を最小化する最重要対策であるという点です。
7. まとめと対策
日本の附帯税は、「納税は国民の義務である」という申告納税制度の根幹を維持するための非常に重要な仕組みです。特に2024年以降、高額な無申告や繰り返しの無申告に対する罰則は、確実に強化されています。
課税リスクを避けるための対策
- 申告・納付は必ず期限内に行う: 基本中の基本です。期限を過ぎてしまうと、その時点で無申告加算税(最低5%)や延滞税(日割り)が自動的に発生します。
- 申告内容を正確に把握し、隠蔽・仮装をしない: 意図的な売上除外や経費水増しは重加算税(35%または40%)の対象となり、刑事罰に発展する可能性もあります。 特に相続税においては、名義預金や生前贈与の記載漏れが隠蔽・仮装とみなされる事例が増加しています。
- ミスに気づいたら即座に対応する: もし申告や納付の誤りに気づいたら、税務署からの調査通知が来る前に自主的に「期限後申告」や「修正申告」を行うことで、加算税の税率を大幅に軽減または免除できます。この「迅速な自主対応」こそ、納税者の最大の防御策です。
- プロのサポートを受ける: 税務署は、KSKシステム(国税総合管理システム)により、納税者の過去の申告状況や銀行取引、資産状況を一元的に管理・分析しています。税務調査の指摘割合(非違割合)は非常に高い水準にあります。適正な申告を確実に行うためには、税務調査対応に強い専門の税理士に相談することをお勧めします。



納税者本人が「積極的な隠蔽をしたつもりはない」と思っていても、解釈によっては重加算税が課せられることがあります。附帯税を甘く見ていると、税理士の平均的な顧問料なんて、あっという間に超えていきます。こんなに附帯税を払わされることになるなら、顧問料をケチらず最初から税理士に頼んでおけば良かったというお声も沢山いただきます。不安な点があれば、すぐに専門家に相談することをお勧めします。相談できる税理士がいない場合には、お気軽にこちらまでお問い合わせください。



今週もあと2日!
風邪をひかないように気を付けながら今日も1日頑張りましょう!










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