ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝は暗号資産の税務上の取り扱いについて整理して行きたいと思います。



暗号資産?いわゆる仮想通貨とかのビットコインとかですか?



そうですね。「ビットコインで利益が出たけれど、税金はどう計算すればいいの?」 「買い物や交換に使っただけでも税金がかかるって本当?」といった相談が寄せられます。
暗号資産(仮想通貨)の取引で利益が出た際、多くの投資家を悩ませるのが「税金」の問題です。株式投資とは異なり、暗号資産の税制は非常に複雑で、計算方法を一つ間違えるだけで「無申告」や「脱税」とみなされてしまうリスクがあります。特に、「保有しているコインで買い物をした」「別のコインに交換した」という何気ない行為でも課税対象になることは、意外と知られていません。
そこで今朝は、暗号資産の売却・使用・交換・寄付など、あらゆるシーンにおける税務上の取り扱いを整理したいと思います。後から税務署に指摘されて慌てないために、正しい知識を今のうちに身につけておきましょう。
①暗号資産基礎編(個人・法人)
0.暗号資産とは?
暗号資産(仮想通貨)とは、一言で言えば「インターネット上でやり取りできる、形のないデジタル資産」のことです。
以前は「仮想通貨」と呼ばれることが一般的でしたが、現在は国際的な基準に合わせて「暗号資産」という呼び方が公的な名称となっています。
暗号資産が日本円やドルのような「法定通貨」と大きく違う点は、主に以下の3つです。
- 特定の管理者がいない(分散型)
銀行のような中央組織が存在せず、世界中のコンピューターがネットワーク(ブロックチェーン)を通じて取引を監視・記録しています。 - データの改ざんが非常に困難
「暗号技術」を用いることで、取引データの偽造や二重洗いを防いでいます。 - 世界中で24時間365日送金可能
インターネットさえあれば、国境を越えて直接相手に送金でき、銀行の営業時間や高い仲介手数料を気にする必要がありません。
(1).法定通貨との違い
| 特徴 | 法定通貨(円・ドルなど) | 暗号資産(ビットコインなど) |
| 発行元 | 中央銀行(日本銀行など) | なし(プログラムによる自動発行) |
| 形態 | 紙幣・硬貨・デジタルデータ | デジタルデータのみ |
| 価値の裏付け | 国家の信用 | 需給バランスや技術への期待 |
| 価格変動 | 比較的安定している | 非常に激しい |
(2).代表的な暗号資産の例
2026年現在も、数千種類以上の暗号資産が存在しますが、特に有名なものは以下の通りです。
- ビットコイン (BTC)
「デジタルゴールド」とも呼ばれる、世界で最初に誕生した最も有名な暗号資産です。 - イーサリアム (ETH)
単なる決済だけでなく、スマートコントラクト(契約の自動実行)という仕組みを備えたプラットフォームとしての機能を持っています。 - ステーブルコイン
円やドルの価格に連動するように設計された、価格変動が少ないタイプです。



暗号資産は価格の変動が激しく、投資としての側面が強い一方で、ハッキングやパスワードの紛失による資産の消失といったリスクも伴います。利用する際は、信頼できる交換業者を選び、セキュリティ対策を徹底することが重要です。
1.暗号資産を売却した場合
暗号資産を売却(日本円に換金)して生じた利益は、所得税(または法人税)の課税対象となります。具体的な税務上の取り扱いは以下の通りです。
(1).所得金額の計算方法
所得金額は、以下の計算式で求められます。
所得金額 = 譲渡価額(売却した金額) - (譲渡原価 + その他売却に要した必要経費)
(2).所得の区分(個人の場合)
暗号資産取引により生じた利益は、原則として「雑所得(その他雑所得)」に区分されます。 ただし、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合、以下のようになります。
- 取引に係る帳簿書類の保存がある場合:原則として「事業所得」
- 取引に係る帳簿書類の保存がない場合:原則として「雑所得(業務に係る雑所得)」
※事業所得者が事業用資産として暗号資産を保有している場合などは、事業所得に区分されます。



事業所得や雑所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければ、ご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の事業所得の基礎知識について
【町田市の税理士が解説】個人の雑所得の基礎知識について
(3). 譲渡原価の計算方法(評価方法)
暗号資産の譲渡原価(取得にかかった費用)は、暗号資産の種類ごとに「総平均法」または「移動平均法」のいずれかを用いて計算します。 税務署に評価方法の届出をしない場合、個人は「総平均法」、法人は「移動平均法」が自動的に適用されます。
(4).必要経費として認められるもの
売却による所得の計算上、以下の費用が必要経費となります。
- 暗号資産の譲渡原価
- 売却の際に支払った手数料
- インターネットやスマートフォン等の回線利用料、パソコン等の購入費用
(※暗号資産取引のために直接必要な支出であると認められる部分の金額に限り、経費算入が可能です。パソコン等は減価償却が必要な場合があります)。
(5).収入に計上すべき時期
- 個人の場合
原則として、売却をした暗号資産の引渡しがあった日の属する年分の収入となりますが、選択により契約をした日(約定日)の属する年分とすることも可能です。 - 法人の場合
原則として、売却に係る契約をした日(約定日)の属する事業年度の益金または損金に算入します。
(6).その他の重要な注意点
- 損失の損益通算は不可
暗号資産取引(雑所得)で損失が生じた場合であっても、その損失を給与所得などの他の所得から差し引く(損益通算する)ことはできません。 - 著しく低い価格での売却(低額譲渡)
時価の70%相当額未満という著しく低い価格で他の個人や法人に売却した場合、実際の売却額に加えて「時価の70%相当額との差額」を総収入金額に算入して申告する必要があります。 - 非居住者の特例
日本国外に居住している方(非居住者)が日本の暗号資産交換業者で暗号資産を売却した場合、日本での申告は不要です。
2.暗号資産で商品を購入した場合
保有する暗号資産で商品を購入した場合、税務上は保有している暗号資産を譲渡(売却)したものとして取り扱われます。 したがって、その商品を購入したことによって生じた譲渡益について、所得金額を計算し申告する必要があります。
(1).所得金額の計算方法
所得金額は、購入した商品の代金(=暗号資産の譲渡価額)から、支払いに充てた暗号資産の取得にかかった費用(譲渡原価)を差し引いて計算します。
【計算式】
所得金額 = 商品価額(暗号資産の譲渡価額) - 暗号資産の譲渡原価
(※その他の必要経費がある場合はそれも差し引きます)
【具体例】
- 4月2日:4,000,000円で4BTCを購入(1BTCあたりの取得単価は1,000,000円)
- 10月5日:403,000円(消費税等込)の商品を購入する際、決済として0.3BTCを支払った
この場合の所得金額は以下のようになります。
403,000円(商品価額) - {(4,000,000円 ÷ 4BTC) × 0.3BTC}(譲渡原価) = 103,000円(所得金額)
(2).譲渡原価の計算(評価方法)について
先ほども申し上げた通り、支払った暗号資産の譲渡原価を計算する際、1単位あたりの取得価額は「総平均法」または「移動平均法」のいずれかを用いて算出します。 税務署に評価方法の届出をしていない場合、個人の場合は「総平均法」、法人の場合は「移動平均法」が適用されます。
(3).所得の区分(個人の場合)
暗号資産を売却した際と同様に、商品購入時の決済により生じた利益も、個人の場合は原則として「雑所得(その他雑所得)」に区分されます。 ただし例外として、事業所得者が事業用資産として暗号資産を保有しており、棚卸資産などの購入決済手段として暗号資産を使用したような場合は、事業所得に区分されます。
3.暗号資産同士の交換を行った場合
保有する暗号資産Aを他の暗号資産Bと交換した場合、税務上は「暗号資産Aを売却(譲渡)して、その代金で暗号資産Bを購入した」ものとして取り扱われます。そのため、上記2の暗号資産で商品を購入した場合などと同様に、手放した暗号資産Aの譲渡に係る所得金額を計算する必要があります。
具体的な計算方法と税務上の取り扱いは以下の通りです。
(1).所得金額の計算方法
所得金額は、新たに取得した暗号資産Bの時価(購入価額)から、手放した暗号資産Aの取得にかかった原価(譲渡原価)や必要経費を差し引いて計算します。
- 【計算式】
所得金額 = 暗号資産Bの購入価額(=暗号資産Aの譲渡価額) - (暗号資産Aの譲渡原価 + その他必要経費)
(具体例)
- 400万円で4BTCを購入(保有)している。
- 1BTCを支払って、40XRPを取得した。取引時のレートは1XRP=30,000円だった。
- リップルの購入価額(ビットコインの譲渡価額)
30,000円 × 40XRP = 1,200,000円, - ビットコインの譲渡原価
4,000,000円 ÷ 4BTC × 1BTC = 1,000,000円, - 所得金額
1,200,000円 - 1,000,000円 = 200,000円(※手数料等の必要経費がない場合)



なお、譲渡原価は「総平均法」または「移動平均法」のいずれか選択した方法(選択がない場合は、個人は総平均法、法人は移動平均法)により計算した金額となります。
(2).収入・損益を計上すべき時期
- 個人の場合
原則として、暗号資産の引渡しがあった日の属する年分の収入となりますが、選択により暗号資産の交換に関する契約をした日の属する年分とすることも可能です。 - 法人の場合
交換の取引は暗号資産の譲渡に該当するため、その譲渡に係る契約をした日(約定日)の属する事業年度の益金または損金に算入します(約定日基準)。



暗号資産を売却した場合の取り扱いと同様となります。
(3).年間取引報告書での表示
国内の暗号資産交換業者を通じて暗号資産同士の交換を行った場合、業者から送付される「年間取引報告書」には以下のように記載されます。
- 手放した暗号資産A
「年中売却数量」に交換した数量が、「年中売却金額」に取得した暗号資産Bの時価(価額)が記載されます。 - 取得した暗号資産B
「年中購入数量」に取得した数量が、「年中購入金額」に取得した暗号資産Bの時価(価額)が記載されます。
4.暗号資産による寄付を行った場合
暗号資産による寄付を行った場合の税務上の取扱いは、所得税(個人)と法人税(法人)のどちらにおいても、「寄附金の控除(損金算入)」と「暗号資産の譲渡益に対する課税」の2つの側面から考える必要があります。
具体的には以下の通りです。
(1).寄附金の額の算定(個人の寄附金控除・法人の損金算入のベース)
暗号資産による寄附をした場合、金銭(日本円)による寄付と同様に扱われ、「寄附をした時におけるその暗号資産の価額(時価)」が寄附金の額となります。



原則として、寄附先の法人が保有するウォレットで暗号資産を受領した時の市場価格となります。ただし、取引相場に大きな変動がない場合は、価格等公表者によって公表された「受領した日の前日の最終売買価格」を用いて計算することも認められます。
(2).個人が寄付した場合の取扱い(所得税)
- 寄附金控除等の適用
認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)などに対して一定の寄附をした場合、その寄附金の額(時価)について、所得控除(寄附金控除)か税額控除のいずれか有利な方を選択して適用を受けることができます。 - 譲渡益への課税(みなし譲渡)
保有する暗号資産を法人に寄附した場合、税務上は「時価で売却して、その代金を寄付した」ものとみなされます。そのため、寄附時の時価を総収入金額とし、その暗号資産の帳簿価額(取得原価)を必要経費として差し引いた差額(利益)について、雑所得(または事業所得)として申告・納税する必要があります。



個人が寄附した場合の税務上の取り扱いについては、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければ、ご覧ください。
【町田市の税理士が解説】「所得控除?」「税額控除?」個人が寄附した場合の税務上の取り扱いについて
(3). 法人が寄付した場合の取扱い(法人税)
- 寄附金の損金算入
支出した寄附金の額(時価)について、一般の寄附金に係る損金算入限度額の範囲内(認定NPO法人等の場合は別枠の限度額範囲内)で損金の額に算入されます。 - 譲渡損益の計上
法人に暗号資産を寄附する行為は「無償による譲渡」に該当します。そのため、譲渡時における暗号資産の時価と、帳簿価額との差額(譲渡損益額)を、その事業年度の益金の額または損金の額に算入する必要があります。



法人が寄附した場合の税務上の取り扱いについては、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければ、ご覧ください。
【町田市の税理士が解説】寄附金の損金不算入制度の基礎知識について
【具体例】
- 暗号資産の帳簿価額(取得にかかった費用):500万円
- 寄附した時点での暗号資産の時価:540万円
上記の場合、寄附金の額は540万円として控除(または損金算入)の対象となりますが、同時に時価と帳簿価額の差額である40万円が暗号資産の譲渡利益として課税対象となります。
5.暗号資産の取得価格
暗号資産の取得価額は、その取得の方法により次のように税務上の取り扱いが異なります。
(1).対価を支払って取得(購入)した場合
購入時に支払った対価の額に、購入手数料など暗号資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額となります。



例えば、2,000,000円で購入し、購入時に手数料550円(消費税等込)を支払った場合、取得価額は2,000,550円となります。
(2). 自己が発行することにより取得した場合
その暗号資産の発行のために要した費用の額となります。
(3). 贈与又は遺贈により取得した場合(※4のケースを除く)
贈与又は遺贈を受けた時の価額(時価)が取得価額となります。
(4).相続人に対する死因贈与、相続、包括遺贈又は相続人に対する特定遺贈により取得した場合
被相続人の死亡の時に、被相続人が暗号資産について選択していた方法により評価した金額(被相続人が死亡時に保有していた暗号資産の評価額)が引き継がれます。
(5).上記以外の場合(暗号資産同士の交換、マイニング、分裂など)
原則として、その取得時点の価額(時価)が取得価額となります。 ただし、暗号資産の分裂(分岐)に伴い新たに誕生した暗号資産を取得した場合、分裂時点においては取引相場が存しておらず価値を有していなかったと考えられるため、その取得価額は「0円」となります。
【その他の重要な取り扱い】
- 取得価額が分からない場合
取引履歴を残していない等の理由で取得価額が不明な場合は、売却価額の「5%相当額」を取得価額とすることが認められています(例:500万円で売却した場合、取得価額を25万円とすることができます)。 - 時価より著しく低い価額(低額)で取得した場合
他の個人や法人から時価の70%相当額未満という低額で取得(または無償で取得)した暗号資産を後日売却する場合、その売却時の取得価額は、「実際に支払った対価の額」に「実質的に贈与したと認められる金額(取得時の時価と対価の差額等)」を合計した金額となります。 - 消費税の処理(課税事業者で税抜経理方式を適用する法人の場合)
暗号資産交換業者に支払う仲介手数料は消費税の課税対象(課税仕入れ)となるため、手数料に含まれる消費税額と税抜きの対価の額を区分し、税抜きの対価の額を購入代価に加算して取得価額とします。
6.まとめ:暗号資産の税金は「計算のタイミング」と「記録」が命
今回は、暗号資産取引における様々なパターンの税務処理について解説しました。 ポイントを振り返ると、以下の3点が特に重要です。
- 「利益」の定義が広い
単に日本円に換金した時だけでなく、「商品購入」「他コインへの交換」「法人への寄付」など、保有する暗号資産を手放した瞬間に課税のタイミングが訪れます。 - 損失は繰り越せない (個人)
株式投資とは異なり、損失が出ても給与所得と相殺(損益通算)できず、翌年以降への繰越控除もできません。その年ごとの利益管理がシビアに求められます。 - 取得価額の管理が鍵
相続や贈与(個人間)で取得した場合、元の持ち主の取得価額が引き継がれます。過去の購入履歴や取得価額が不明になると、税額計算で大きく損をする可能性があるため、取引履歴や帳簿は確実に保存しておきましょう。
暗号資産の税制は、法改正や国税庁の通達により解釈が変更されることもあります。ご自身の取引額が大きく計算が複雑な場合や、判断に迷う特殊なケース(ハードフォークやステーキング報酬など)については、自己判断せず、暗号資産に詳しい税理士に相談することを強くおすすめします。










コメント