ミミレイドンボス、おはようございます!今朝のテーマは何でしょうか?
譲渡所得だけではなく、そろそろ別の所得の内容について教えて欲しいです!



それでは、先日お客様からご質問のあった、保険金を受け取った際の課税関係について、整理してみましょう!
1. はじめに
保険金を受け取ったときにどんな税金がかかるかは、「誰が保険料を負担し、誰が受取人か」という契約形態によって決まります。
所得税(一時所得・雑所得)が課税されるのは、原則として「保険料の負担者(契約者)と受取人が同一人」である場合です。受取人が別人の場合は、贈与税や相続税の対象となります。今回は所得税が課税されるケースについて、確認していきます。
保険金の確定申告に誤りが多い理由は、この入口の判断を間違えるケースが多いからです。保険金という名称でも一時所得と雑所得では取り扱いが全く異なります。一時所得と雑所得の違いが分かりにくい理由は、主に以下の4つの要因が重なっているためです。
1. 「受け取り方」だけで所得区分が変わる
同じ保険契約であっても、お金をどのように受け取るかによって所得の分類が自動的に切り替わります,。
- 一時所得: 満期保険金や解約返戻金を「一時金(一括)」として受け取った場合。
- 雑所得: 個人年金などを「年金形式(分割)」で毎年受け取る場合。
このように、出口(受取方法)の選択次第で税金の計算ルールが根底から変わる点が、混乱を招く大きな要因です。
2. 計算方法と「控除」の仕組みが全く異なる
一時所得と雑所得では、税額を算出する際の「差し引ける金額」や「課税される割合」が大きく異なります,。
| 項目 | 一時所得 (一括受取) | 雑所得 (年金受取) |
|---|---|---|
| 計算式 | (受取額 - 払込保険料 - 50万円) × 1/2 | 受取年金額 - 必要経費 |
| 特別控除 | 50万円の特別控除がある | なし |
| 課税割合 | 控除後の金額をさらに1/2にする | 全額が課税対象 |
一時所得は「50万円引いてさらに半分にする」という強力な優遇措置がある一方で、雑所得にはそれがありません。この計算構造のギャップが、どちらが有利かを判断しにくくさせています。
3. 「金融類似商品」という例外ルールがある
原則として一時所得になるケースでも、特定の条件を満たすと「源泉分離課税」という別ルールが適用されます。
- 条件
一時払養老保険などで保険期間が5年以下のもの、または5年超の契約を5年以内に解約した場合など。 - 仕組み
利益に対して一律20.315%の税金が天引き(源泉徴収)され、それで納税が完結します。この場合、確定申告は不要ですが、一時所得としての50万円控除などは使えません。
4. 確定申告が不要になるボーダーラインが複雑
会社員などの給与所得者の場合、所得の合計額によって申告義務が変わる「20万円ルール」が存在します。
- 一時所得の場合
「(一時所得の金額)×1/2」が20万円以下であれば申告不要。 - 雑所得の場合
「雑所得の金額そのもの」が20万円以下であれば申告不要。
このように、申告の要否を判定する基準値の出し方まで異なることが、制度をより難解にしています。
2. 保険金の課税関係の全体像(概要)
そもそも保険金はすべて課税されるわけではない
生命保険や損害保険の保険金・給付金には、受け取ったときに税金がかかるものと、原則としてかからないものがあります。 所得税法上、身体の傷害(疾病を含む)に基因して支払われるものや、資産の損害に対して支払われる保険金などは、原則として非課税と定められています。これらは利得を得るためのものではなく、被った損害を補填するという性質を持つため、金額に関わらず税金はかかりません。
非課税となる典型例
身体の病気やケガに関連して受け取る給付金は、基本的に非課税です。主な例は以下の通りです。
- 入院給付金・手術給付金・通院給付金
- 高度障害保険金(給付金)
- がん診断給付金・特定疾病(三大疾病)保険金
- リビング・ニーズ特約による生前給付金
- 所得補償保険の保険金(就業不能保険)
- 介護保険金(一時金・年金)
なお、死亡保険金については、受け取った側の所得(利益)とみなされるため原則として課税対象(相続税、贈与税、または所得税)となりますが、受取人が相続人の場合は「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠が設けられており、この範囲内であれば相続税はかかりません。
課税される場合は「一時所得」か「雑所得」に区分される
先ほども述べたように、保険料の負担者(契約者)と受取人が同一人の場合、受け取ったお金は「所得税・住民税」の対象となりますが、その区分は「受け取り方」によって決まります。
- 一時所得: 満期保険金や解約返戻金などを「一時金(一括)」で受け取った場合。
- 雑所得: 個人年金保険や学資保険などを「年金形式(分割)」で毎年受け取る場合。
所得区分が変わると税額も大きく変わる理由
上記1(4)と重複しますが、同じ保険契約から支払われるお金であっても、一時所得になるか雑所得になるかで、税金の計算式と控除の仕組みが全く異なるため、最終的な税額に大きな差が生じます。
- 50万円の特別控除の有無
一時所得には最高50万円の特別控除があります。利益(受取額-払込保険料)が50万円以下であれば、課税対象となる所得はゼロになります。一方、雑所得にはこのような一律の特別控除制度はありません。 - 「1/2課税」という強力な優遇
一時所得の場合、特別控除後の金額をさらに半分(1/2)にした金額のみが他の所得と合算されて課税されます。このため、一時所得は他の所得区分に比べて税負担が非常に軽く済む傾向があります。 - 計算のベース
雑所得は、受け取った年金額からそれに対応する経費(保険料)を引いた額がそのまま全額課税対象となるため、一時所得のような「50万円控除」や「1/2にする」ステップがない分、税額が高くなりやすい構造となっています。
このように、一時所得には「50万円を引いてさらに半分にする」という二重の優遇措置があることが、所得区分によって税額が大きく変わる最大の理由です。



今朝は一時所得となる保険金について、整理していきましょう!
雑所得となる保険金については、明日解説します!
Part1:一時所得となる保険金
3. そもそも一時所得とは
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない、一時的・偶発的に得られた臨時収入を指します。
わかりやすく言うと、「営利目的ではない、たまたま発生したラッキーな利益」が一時所得に該当します。以下に詳しく解説します。



一時所得については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の一時所得の基礎知識について
1. 一時所得に該当する主な収入
具体的には、次のようなものが一時所得に含まれます。
• 懸賞や福引きの賞金・賞品(業務に関するものを除く)
• 競馬や競輪の払戻金(営利目的の継続的行為から生じたものを除く)
• 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金(保険料負担者と受取人が同一の場合)
• 法人から贈与された金品(業務に関するものや継続的に受けるものを除く)
• 遺失物の報労金(拾得者が受けるお礼)
• ふるさと納税の返礼品
• マイナポイント



一方で、日本の宝くじやサッカーくじ(toto・BIG)の当せん金は、法律で所得税を課さないと定められているため、一時所得には該当せず非課税です。
2. 一時所得の計算方法
一時所得は、得た金額のすべてに税金がかかるわけではありません。以下の計算式で所得金額を算出します。
- 一時所得の金額の算出
一時所得の金額=総収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額(最大50万円)
◦ 「支出した金額」とは、その収入を得るために直接要した費用(払込保険料など)に限られます。
◦ 特別控除額は年間で最高50万円のため、利益(収入-経費)が50万円以下の場合は一時所得は発生しません。 - 課税対象額の算出
課税される一時所得の金額=一時所得の金額×1/2
計算した一時所得の金額をさらに半分(1/2)にした金額が、給与所得など他の所得と合算されて税額計算の対象となります。
3. 確定申告をすべきタイミングと条件
一時所得が発生した場合、以下の期間に確定申告を行う必要があります。
- 申告期間
所得を得た翌年の2月16日から3月15日までが原則です。 - 申告が必要なケース
給与所得者(会社員など)の場合、給与以外の所得が一時所得のみであれば、一時所得の収入金額から経費を引き、さらに50万円を引いた後の金額の1/2(課税対象額)が20万円を超える場合に申告義務が生じます。
※経費を0円と仮定した場合、一時所得の収入が年間90万円を超えると確定申告が必要です。
収入が一時所得のみの方は、課税対象額が基礎控除額を超える場合に申告が必要です。 - 住民税の注意点
所得税の確定申告が不要な場合でも、一時所得が1円以上あれば住民税の申告は別途必要になる場合があります。
4. 申告を怠った場合のペナルティ
期限までに正しく申告しなかった場合、以下のような厳しいペナルティ(附帯税)が課されるリスクがあります。
- 無申告加算税: 期限内に申告しなかったことに対して課される税金。
- 延滞税: 納期限の翌日から納付日までの日数に応じて課される利息のような税金。
- 重加算税: 隠ぺいや仮装など悪質な行為があった場合に課される非常に重い税金。
一時所得は支払者(保険会社など)から税務署へ報告されているケースも多いため、申告漏れは発覚する可能性が高いです。不安な場合は、領収書や支払通知書を保管し、早めに税理士や税務署へ相談することをお勧めします。



附帯税については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】修正申告でかかる罰則税とは?加算税・延滞税・利子税を徹底解説!
4. 一時所得となる保険金の具体例
一時所得に該当する保険金には、主に生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金などが挙げられます。具体的には、以下のようなものが一時所得として課税対象(経費や特別控除を差し引いた利益がある場合)となります。
一時所得となる保険金の具体例
- 生命保険の満期保険金・・・ 養老保険などが満期を迎えた際に受け取る保険金です。
- 学資保険の満期保険金・・・子どもの教育資金として積み立て、満期時に受け取る保険金です。
- 生命保険や損害保険の解約返戻金・・・保険を途中で解約した際に払い戻されるお金です。
- 生存給付金付定期保険などの生存給付金・・・一定期間ごとに生存していることを条件に支払われる給付金です。
一時所得として扱われるための重要な条件
保険金であれば何でも一時所得になるわけではなく、以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
1. 受取方法が「一時金(一括)」であること
保険金を一括で受領した場合は「一時所得」となりますが、年金形式(分割)で受け取る場合は「雑所得」に区分されます。
2. 「保険料の負担者」と「保険金の受取人」が同一人物であること
自分で保険料を支払い、自分でその保険金を受け取る場合にのみ、所得税(一時所得)の対象となります。
負担者と受取人が異なる場合は、所得税ではなく贈与税(または相続税)の対象となるため注意が必要です。



なお、上記でも述べた通り、非課税となる給付金・保険金や源泉分離課税となるものについては、一時所得(課税対象)にはなりませんので、ご注意ください。
5. 一時所得に該当する保険金の所得の計算方法
一時所得に該当する保険金(生命保険の満期保険金や解約返戻金など)を受け取った場合の所得金額は、以下のステップで計算します。
STEP1. 一時所得の金額を算出する
まず、その年中に受け取った保険金の総額から、経費と特別控除を差し引きます。
【計算式】 一時所得の金額 = 総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円)
- 総収入金額
受け取った満期保険金や解約返戻金の総額です。 - 収入を得るために支出した金額
その保険契約のためにこれまでに支払った保険料や掛金の総額を指します。
※保険会社から剰余金の分配がある場合は、支払保険料総額からその剰余金を差し引いた金額が経費となります。 - 特別控除額
一時所得には年間最高50万円の特別控除があります。
※「収入 - 支出」の残額が50万円に満たない場合は、その残額が特別控除額となり、一時所得の金額は0円になります。
STEP2. 課税対象となる金額(総所得金額に算入する金額)を算出する
上記で計算した「一時所得の金額」の全額に税金がかかるわけではありません。その2分の1だけが、給与所得など他の所得と合算される対象になります。
【計算式】 課税対象額 = 一時所得の金額 × 1/2
計算の具体例
例えば、自分でお金を払っていた保険が満期になり、以下の条件で保険金を受け取った場合を想定します。
- 受け取った満期保険金:500万円
- これまでに支払った保険料:400万円
- 一時所得の金額を計算
500万円(収入) - 400万円(支出) - 50万円(特別控除) = 50万円 - 課税対象額を計算
50万円 × 1/2 = 25万円
この25万円が、給与所得などの他の所得と合計され、所得税額が計算されることになります。
注意点
- 複数の一時所得がある場合
同じ年の中に、他にも一時所得(別の保険金や競馬の払戻金、懸賞金など)がある場合は、すべての収入とすべての支出を合計してから、最後に1回だけ50万円の特別控除を差し引きます。 - 受取人による違い
保険料を支払った人と保険金を受け取る人が異なる場合は、一時所得(所得税)ではなく、贈与税や相続税の対象となるため、計算方法が全く異なります。 - 源泉分離課税
繰り返しになりますが、一時払養老保険などで保険期間が5年以下のものなど、一定の要件を満たすものは20.315%の源泉分離課税が適用され、受け取り時に納税が完結するため、確定申告を行うことはできません。
6. 保険金の確定申告に必要な書類(情報)
一時所得に該当する保険金(満期保険金や解約返戻金など)を受け取り、確定申告を行う際に必要な書類や情報は、主に「受け取った金額の証明」「支払った経費の証明」「申告者本人の情報」の3つに分類されます。
1. 保険金の受取額を証明する書類
いくら受け取ったかを正確に把握し、税務署に証明するために必要です。
- 生命保険の支払通知書(保険金支払い計算書)
保険会社から送付される書類で、受け取った保険金の総額が記載されています。 - 支払調書
保険金が一定額(一時金は100万円、年金は20万円)を超える場合、保険会社から受取人と税務署に送付されます。これには受取額、既払込保険料、受取人の氏名などが記載されています。
2. 必要経費(払込保険料)を証明する書類
一時所得の計算では、収入から「その収入を得るために支出した金額(払込保険料)」を差し引くことができるため、そのエビデンスが必要です。
- 保険証券や保険料の支払い記録
これまでに累計でいくら保険料を支払ったかを確認するために必要です。 - 解約返戻金等がある場合の経費書類
保険会社から届く書面には、経費相当額がすでに記載されていることが多く、実務上の大きな助けとなります。



保険会社から届く「お支払い通知書(明細書)」が有効です。 通常、満期保険金の振込通知には、受取金額だけでなく「既払込保険料総額(これまで支払った合計額)」も記載されています。これが最も正確な経費の証明となります。
3. 確定申告の手続き全般に必要な書類・情報
保険金以外の所得情報や、本人確認のための書類です。
- 確定申告書(第一表・第二表)
所得金額や税額を記入して提出するメインの書類です。 - 源泉徴収票
会社員など給与所得がある方は、給与所得と合算して計算するために必要となります。 - 本人確認書類
マイナンバーカード、または通知カードと運転免許証などの身元確認書類のセットが必要です。 - 還付金の振込先口座情報
税金が戻ってくる場合に備え、申告者本人名義の金融機関の口座番号等を用意します。
4. 申告書への記入が必要な情報
書類から以下の情報を抜き出し、確定申告書の第二表や第一表に記入します。
- 支払者の名称・所在地(または法人番号)
保険会社の名前や住所。 - 収入金額と必要経費
受け取った額と、それに対応する払込保険料の額。 - 一時所得の計算結果
(収入 - 経費 - 特別控除50万円)の計算後の金額、およびその2分の1の課税対象額。



確定申告が終わった後も、収入や経費を証明する書類(領収書や通知書など)は5年間自宅等で保管しておく義務がありますので、ご注意ください。



明日は雑所得に該当する保険金を取り上げます!
税理士をお探しの方は、お気軽にこちらまでお問い合わせください。










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