【町田市の税理士が解説】保険金を受け取ったときの税金:Part3:相続税がかかる保険金

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?

新屋賢人

今朝は保険金を受け取った時の税金Part3として相続税がかかる保険金について整理していこうと思います。

ミミレイドン

Part1、2は所得税がかかる保険金でしたが、今回は相続税なのですね!所得税よりは身近ではないため、ちょうど知りたかった論点です。

新屋賢人

どのような保険金が相続税の対象となるのかについて、相続税の節税のヒントなども含めて解説します。

Part3:相続税がかかる保険金

目次

11. 相続税がかかる保険金

生命保険の死亡保険金は、被相続人(亡くなった方)が保険料を負担していた場合、税法上「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。

相続税がかかる保険金の詳細について、制度の仕組みや計算方法、注意点を整理して解説します。

1. 相続税の対象となる判定基準

死亡保険金にどの税金(相続税、所得税、贈与税)がかかるかは、「保険料の負担者」「被保険者」「保険金受取人」の関係によって決まります。

  • 相続税がかかる場合保険料の負担者(契約者)被保険者が同一人(例:父)で、受取人が別の人(例:子)の場合です。
  • 所得税がかかる場合保険料の負担者受取人が同一人の場合です(一時金なら一時所得、年金なら雑所得)。
  • 贈与税がかかる場合保険料の負担者被保険者受取人すべて異なる人の場合です。
新屋賢人

実務では、まず保険証券を確認し、どの税区分に該当するかを特定することが不可欠です。

2. 死亡保険金の非課税枠

死亡保険金には、残された遺族の生活保障という目的があるため、受取人相続人」である場合に限り、一定額まで相続税がかからない「非課税枠」が設けられています

非課税限度額の計算式

500万円 × 法定相続人の数

法定相続人の数え方の注意点

  • 相続放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の人数で計算します。
  • 養子を人数に含める場合、実子がいれば1人まで、いなければ2人までという制限があります。
  • 相続人以外の受取人(孫、内縁の配偶者、友人など)が取得した保険金には、この非課税枠は適用されません。
新屋賢人

非課税枠については、次の章で詳しく見ていきましょう。

3. 特別なケースにおける注意点

孫が受取人の場合

孫が受取人である場合、原則として非課税枠は使えません。(ただし、孫が「代襲相続人として相続人」になっている場合は、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人)を適用できます。)さらに、その孫が代襲相続人(子が既に亡くなっており、代わりに相続人となる孫)でない限り、相続税額が2割加算される対象となります。

相続放棄をした場合

相続を放棄した人でも、保険金の受取人に指定されていれば、保険金自体を受け取ることは可能です。ただし、その人は税法上の「相続人」ではなくなるため、非課税枠の適用を受けることはできません

年金形式で受け取る場合

死亡保険金を年金形式で受け取る場合、まず死亡時点の「年金受給権(年金を受け取る権利)」の評価額に対して相続税が課税されます。その後、毎年支払われる年金には所得税がかかりますが、相続税との二重課税を避けるため、一定の計算方法に基づき、相続税の対象となった部分は非課税となります

外貨建て保険の場合

ドル建てなどの外貨建て保険も日本の相続税の対象です。評価額は、原則として被相続人の死亡日(相続開始日)のTTBレート(対顧客電信買相場)を用いて円換算して算出します。死亡日が銀行の休業日の場合は、その日に最も近い前営業日のレートを使用します。

4. 申告と納税

  • 申告期限
    被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に、管轄の税務署へ申告・納税を行う必要があります。
  • 申告の要否
    死亡保険金の非課税枠や基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の範囲内にすべての遺産が収まれば、原則として申告は不要です。ただし、特例(配偶者の税額軽減など)を適用して税額が0円になる場合は申告が必要です。

なお、支払調書は提出省略となる範囲もありますが(例:一時金で1回の支払が100万円以下等)、一定額以上の支払では税務署に情報提供される仕組みがあるため、申告漏れに注意が必要です。

参照:国税庁タックスアンサー No.1750 死亡保険金を受け取ったとき

13.非課税枠

先ほども少し触れたように、生命保険の死亡保険金には、残された遺族の生活保障という観点から、相続税の負担を軽減するための非課税枠が設けられています。

この制度の詳細や計算方法、注意点について解説します。

1. 非課税限度額の計算式

死亡保険金の非課税限度額(非課税枠)は、以下の算式によって算出されます。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

相続人全員が受け取った保険金の合計額がこの限度額以下の場合、相続税はかかりません。限度額を超える場合は、その超える部分のみが相続税の課税対象となります。

2. 「法定相続人の数」の数え方

非課税枠を計算する際の「法定相続人の数」には、独自のカウントルールがあります。

  • 相続放棄をした人がいる場合
    相続を放棄した人がいても、その放棄がなかったものとした場合の人数で計算します。
  • 養子がいる場合
    法定相続人の数に含めることができる養子の数には制限があり、実子がいる場合は1人まで実子がいない場合は2人までとなります。ただし、特別養子縁組による養子や、配偶者の連れ子を養子にした場合などは実子とみなされ、この制限は受けません
  • 代襲相続人
    被相続人の子が既に亡くなっているなどの理由で、代わりに相続人となった孫(代襲相続人)も人数に含まれます

3. 非課税枠が適用される条件と対象外となるケース

非課税枠を適用するためには、一定の要件を満たす必要があります。

適用される条件

  1. 被相続人が保険料を負担していた「みなし相続財産」としての保険金であること。
  2. 保険金受取人が「相続人」であること。

適用されないケース(全額課税)

  • 相続人以外(相続人ではない孫、内縁の配偶者、第三者など)が受け取った保険金
  • 相続を放棄した人が受け取った保険金(相続放棄をしても受取人であれば保険金を受け取れますが、税法上の「相続人」ではなくなるため非課税枠は使えません)
  • 生存保険金、入院給付金、特約還付金などは非課税枠の対象外です。

4. 各相続人への非課税枠の割り振り

死亡保険金の非課税枠は、受け取り人ごとに一律で決まっているわけではなく、「家族全体の非課税限度額」を、各相続人が実際に受け取った保険金額の比率に応じて割り振る(按分する)仕組みとなっています。

各相続人への割り振りについて、具体的な数値を交えて解説します。

1. 割り振りの基本算式

各相続人が適用を受けられる非課税額は、以下の計算式で求められます。

家族全体の非課税限度額 ×(その相続人が受け取った保険金額 ÷ 全相続人が受け取った保険金の合計額)= その人の非課税額
※非課税枠の対象となる「相続人」について、相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。

ミミレイドン

家族全体の非課税限度額 は、「500万円 × 法定相続人の数」で計算されます。

2. 具体例1:相続人が異なる金額を受け取った場合

法定相続人が3人(配偶者・長男・長女)で、合計3,000万円の保険金を受け取ったケースを想定します。

前提条件
  • 法定相続人の数:3人
  • 家族全体の非課税限度額:500万円 × 3人 = 1,500万円
各人の受取額と非課税額の計算
  • 配偶者(2,000万円受取): 1,500万円 × (2,000万円 / 3,000万円) = 1,000万円が非課税(課税対象:1,000万円)
  • 長男(600万円受取): 1,500万円 × (600万円 / 3,000万円) = 300万円が非課税(課税対象:300万円)
  • 長女(400万円受取): 1,500万円 × (400万円 / 3,000万円) = 200万円が非課税(課税対象:200万円)
新屋賢人

このように、保険金を多く受け取った人ほど非課税枠も多く割り振られます。

3. 具体例2:相続放棄をした人が受け取った場合

相続を放棄した人が受け取った保険金には、この非課税枠を割り振ることはできません

法定相続人が妻・長男・次男の3人で、次男が相続放棄をしたが、3人とも各400万円の保険金を受け取ったケースで考えます。

前提条件
  • 法定相続人の数:3人(放棄した人もカウントされるため
  • 家族全体の非課税限度額:500万円 × 3人 = 1,500万円
各人の計算
  • 妻と長男(相続人)
    この2人の受取合計額は800万円です。非課税枠1,500万円を2人の受取比率(1:1)で分けると各750万円となりますが、実際の受取額400万円が上限となるため、2人とも400万円全額が非課税となります。
  • 次男(相続放棄者)
    相続人ではないため非課税枠の適用はなく、受け取った400万円の全額が相続税の課税対象となります

5. 受取人指定に関する注意点

  • 孫を受取人にする場合
    孫が代襲相続人でない限り、非課税枠が使えないだけでなく、その孫にかかる相続税額が2割加算される対象となります。
  • 配偶者が受取人の場合
    配偶者には「配偶者の税額軽減(最低1億6,000万円まで非課税)」があるため、あえて配偶者が保険金を受け取ると非課税枠を有効に使い切れない場合があります。そのため、節税の観点からは、この非課税枠の恩恵を受けにくい子供を受取人に指定することが推奨されるケースがあります
新屋賢人

非課税枠の注意点としては、特定の相続人に優先的に非課税枠を割り当てることはできず、受取金額の比率で自動的に決まる点、相続人以外は対象外である点、また、二次相続への影響を考えると、節税の観点からは子供を受取人に指定した方が将来的に有利になる場合がある点などに注意しましょう。

参照:国税庁タックスアンサー No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金

14.相続税がかかる保険金の具体例

生命保険の死亡保険金は、民法上は受取人の固有財産とされますが、税法上は被相続人が保険料を負担していた場合、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。

相続税が課税される保険金の具体例について、契約形態や受け取り方の違いに基づき詳しく解説します。

1. 相続税の課税対象となる基本的なケース

先ほども述べた通り、死亡保険金にどの税金がかかるかは、「保険料の負担者」「被保険者」「受取人」の関係で決まります。相続税がかかるのは、保険料の負担者(契約者)」と「被保険者」が同一人である場合です。

具体例:父が自分のために保険をかけ、母や子が受け取る

  • 保険料負担者:父
  • 被保険者:父
  • 受取人:母または子

この場合、受け取った保険金は「みなし相続財産」として、他の遺産と合算して相続税の計算に含まれます。

2. 受取人の属性による課税の違い

受取人が「法定相続人」か「それ以外か」によって、非課税枠の適用や税額の加算が変わります。

  • 孫が受取人となる場合(親が健在なケース)
    孫が法定相続人でない場合、死亡保険金の非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)を適用することはできません。さらに、原則として相続税額が2割加算される対象となります。
  • 相続を放棄した人が受取人となる場合
    相続放棄をした人でも保険金を受け取る権利はありますが、税法上の「相続人」には該当しなくなるため、その人が取得した保険金に非課税枠は適用されず、全額が相続税の課税対象となります。ただし、非課税枠の計算上の「法定相続人の数」には、放棄した人もカウントされます。

3. 「死亡保険金」以外の保険に関連する権利

亡くなった時に支払われる現金だけでなく、保険契約そのものの権利も相続税の対象となる場合があります

生命保険契約に関する権利

被相続人が保険料を負担していたものの、相続開始時点でまだ保険事故が発生していない契約がある場合、その契約を解約した場合に支払われる「解約返戻金相当額」が相続税の対象となります。

    父が保険料を支払い母を被保険者としていた保険で、父が先に亡くなった場合などです。

剰余金や割戻金

死亡保険金とともに支払われる剰余金や割戻金、前納保険料なども、みなし相続財産として課税対象に含まれます。これらも死亡保険金に含まれ、みなし相続財産として非課税枠の適用対象となります。

4. 課税対象に含まれない(非課税となる)例

以下のものは、相続税の課税対象から除外されるか、特別な非課税枠があります。

  • 非課税枠内の保険金
    受取人が相続人である場合、「500万円 × 法定相続人の数」までは非課税です。
  • 公的な遺族年金
    国民年金や厚生年金などの遺族年金には、相続税も所得税もかかりません。
  • 損害保険の賠償金
    無保険車傷害保険など、損害賠償的な性格を持つものは、みなし相続財産に含まれません。
  • 生前に本人が受け取った給付金
    入院給付金やリビング・ニーズ特約による生前給付金は、受け取った本人の所得税は非課税ですが、使い切れずに残った現金は「本来の相続財産」として課税対象となります。
新屋賢人

入院給付金や手術給付金などは非課税枠の対象外であり、 みなし相続財産にならず、被相続人が受取人であった場合は「本来の相続財産」として全額が課税対象に含まれます。

15.相続税申告で必要な書類(情報)

死亡保険金を受け取った際の相続税申告では、保険金特有の書類に加え、相続人や他の財産を証明する一般的な添付書類が必要となります。

実務上必要となる主な書類と情報は以下の通りです。

1. 保険金に関する直接的な書類・情報

保険金の正確な金額や契約内容を把握するために使用します。

  • 保険金支払証明書(または支払通知書)
    保険会社から送付される、実際に支払われた金額を証明する書類です。
  • 生命保険証券の写し
    契約者、被保険者、受取人の関係を確認するために必要です。
  • 相続税の申告書「第9表(生命保険金などの明細書)」
    申告書の一部として、保険会社名、受取金額、受取人の情報などを記入して提出します。

2. 相続人の特定と本人確認に関する書類

誰が法定相続人であるかを証明し、申告者の本人確認を行うために必要です。

  • 被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本
    相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたものが必要です。なお、「図形式の法定相続情報一覧図の写し」で代用することも可能です。
  • 相続人全員の印鑑証明書
    遺産分割協議書に押印したものが必要です。
  • マイナンバー(個人番号)確認書類および身元確認書類
    申告書にはマイナンバーの記載が必須であり、マイナンバーカード(両面)や、通知カードと運転免許証の組み合わせなどの写しを添付します。

3. 遺産の分割状況を証明する書類

  • 遺言書の写し または 遺産分割協議書の写し
    保険金は受取人固有の財産であり遺産分割協議の対象外ですが、申告書全体の整合性をとるために提出が求められます。

4. 特定のケースで必要となる情報

  • 外貨建て保険の場合
    被相続人の死亡日のTTBレート(対顧客電信買相場)の情報が必要です。死亡日が銀行休業日の場合は、その日に最も近い前営業日のレートを使用します。
  • 年金形式で受け取る場合
    死亡時点における年金受給権」の評価額を算出するための契約内容(受取期間、予定利率等)の情報が必要となります。
  • 相続放棄をした場合
    相続放棄をしていても保険金を受け取れますが、その事実を証明するために家庭裁判所の「相続放棄申述受理証明書」などが必要になることがあります。
新屋賢人

申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。保険会社から税務署へ「支払調書」が提出される仕組みがあるため、申告漏れがないようこれらの書類を揃えて正確に手続きを行う必要があります。

17.まとめ

生命保険の死亡保険金は、契約形態(保険料負担者・被保険者・受取人の関係)によって、相続税・所得税・贈与税のいずれが課税されるかが決まります。相続税となる場合でも、受取人が相続人であれば「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が使える一方、相続人以外や相続放棄者が受け取ると適用できない点に注意が必要です。また、年金受取や外貨建てなどは評価・課税関係が複雑になりやすく、申告漏れも起こりがちです。保険証券等で契約関係を確認し、期限(原則10か月)を意識して、早めに資料を揃えて対応しましょう。税理士をお探しの方は、お気軽にこちらまでお問い合わせください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

コメント

コメントする

目次