ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝は昨日に引き続き法人の保険に関する税務論点について、整理して行きたいと思います。
昨日の記事では、法人保険の税務論点のうち実務で押さえるべき3つの核心に触れましたが、今朝はそのうちの1つ目【入口】、保険料の損金算入の可否と割合について、確認して行きたいと思います。



昨日の記事では、法人保険の税務論点の概要について、触れておりますので、内容はこちらの記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】法人契約の保険に関する税務論点:Part1導入
3. 【入口】保険料支払時:損金?資産?給与?
法人保険の保険料を支払った際、それが「損金(費用)」になるのか、「資産」として積み上がるのか、あるいは「役員給与」として課税されるのか。この判断は、2019年(令和元年)の通達改正によって非常に緻密なルールへと整理されました。
法人保険の「入口(支払時)」の処理は、保険の種類やその保険の貯蓄性の高さ(解約返戻率)、誰に保障がついているかによって、大きく3つの結論に分かれます。
3-1. 定期保険・第三分野(前払部分が大きくない場合)の原則
解約返戻金がまったくない、あるいは極めて低い「掛け捨て型」に近い保険の場合、処理はシンプルです。



定期保険とは、一定期間内に被保険者が死亡した場合にのみ保険金が支払われる生命保険をいい、養老保険のように生存保険金の支払はありません。また、第三分野保険とは、保険業法第3条第4項第2号に掲げる保険(これに類するものを含み、例えば、被保険者が病気や怪我等の一定の事由に該当した場合に保険金または給付金が支払われる保険)をいいます。
原則:期間の経過に応じて損金算入
原則として、支払った保険料は期間の経過に応じて損金の額に算入します。



受取人が法人でも被保険者またはその遺族である場合でも同様です。ただし、受取人が被保険者またはその遺族である場合には、次の注意点を必ずご確認ください。
注意点:役員給与認定の火種
ただし、保険金・給付金の受取人が「被保険者またはその遺族」である場合で、かつ特定の役員や特定の従業員のみを被保険者としている場合は、その保険料は法人側では「給与」とみなされます。この場合、法人側での損金算入が制限されるだけでなく、個人側でも所得税が課税されるため注意が必要です。



ちなみに、給与と認定された保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となります。
参照:国税庁タックスアンサー No.5364 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
3-2. 定期保険・第三分野(前払部分が相当多額の場合)
保険期間が3年以上で、最高解約返戻率が50%を超える定期保険や第三分野保険は、国税庁の定める厳格なルールに従う必要があります。 「返戻率が高い = 将来お金が戻る前払い金」とみなされ、支払保険料の一定割合を「前払保険料(資産)」として計上しなければなりません。
【損金・資産の早見表】
最高解約返戻率の区分に応じて、当初の損金割合が機械的に決まります。
| 最高解約返戻率の区分 | 資産計上期間 | 当期の資産計上額(資産) | 当期の損金算入額(費用) |
|---|---|---|---|
| 50%超 ~ 70%以下 | 保険期間の開始の日から、その保険期間の100分の40相当期間を経過する日まで | 支払保険料× 40% | 支払保険料× 60% |
| 70%超 ~ 85%以下 | 支払保険料× 60% | 支払保険料× 40% | |
| 85%超 | 保険期間の開始の日から、最高解約返戻率となる期間(その期間経過後の各期間において、その期間における解約返戻金相当額からその直前の期間における解約返戻金相当額を控除した金額を年換算保険料相当額で除した割合が100分の70を超える期間がある場合には、その超えることとなる期間)の終了の日まで※ | 当初10年は 支払保険料×最高返戻率×90% 11年目以降は 支払保険料×最高返戻率×70% | 残りの額(10%~30%程度) |
※上記の資産計上期間が5年未満となる場合には、保険期間の開始の日から、5年を経過する日まで(保険期間が10年未満の場合には、保険期間の開始の日から、その保険期間の100分の50相当期間を経過する日まで)とします。



資産計上した金額は、保険期間の後半(原則として75%経過後など)に均等に取り崩して損金に算入します。
参照:国税庁タックスアンサー No.5364-2 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
3-3. 30万円特例
事務負担軽減のため、少額の保険には「資産計上しなくてよい」という例外ルールが存在します。
- 適用条件
最高解約返戻率が70%以下で、かつ被保険者1人あたりの年換算保険料が合計30万円以下であること。 - 結論
この場合、資産計上ルール(上記3-2)ではなく、原則的な全額損金処理(上記3-1)が認められます。 - 実務のポイント
「30万円」の判定は契約ごとではなく、被保険者ごとに合算して判定します。複数の保険会社で加入している場合も合算が必要なため、管理に注意が必要です。
3-4. 「解約返戻金相当額なし」×「短期払」契約の扱い
2019年(令和元年)10月8日以後の契約で、特に注目すべきなのが「掛け捨て型なのに、保険料を短期間で払い終える」契約です。
ルール
保険期間を通じて解約返戻金がない(または極めて少額)で、かつ保険料の払込期間が保険期間より短いものについても、年換算保険料が1人あたり30万円以下であれば、支払った年度の損金として処理することが認められます。
注意点
以前は「医療保険の短期払い」を利用した過度な損金算入スキームがありましたが、現在は本ルールの整備により、30万円を超える場合は、原則として支払保険料の全額を資産に計上し、保険期間(保障期間)の経過に応じて損金に算入する処理(期間按分)が求められます。
参照:国税庁タックスアンサー No.5364 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)



法人保険の支払時の処理は、まず「最高解約返戻率」を確認し、次に「30万円特例」の枠内に収まるかをチェックするのが実務の定石です。設計書を正しく読み解き、適切な仕訳を行ってください。
3-5. 終身の第三分野保険の特有論点(計算上の保険期間=116歳)
医療保険やがん保険などの終身保障タイプは、制度上「いつ終わるか」が定まっていません。しかし、税務計算上は期間を定めなければ資産計上の割合が算出できないため、以下の基準が設けられています。
基準:116歳ルール
保険期間が終身である第三分野保険については、「契約日から被保険者が116歳に達する日まで」を計算上の保険期間として取り扱います。
例えば、50歳で終身の医療保険に加入した場合、116歳までの「66年間」を保険期間として、前述の「当初4割の期間(約26年間)」などの計算を行うことになります。
参照:国税庁タックスアンサー No.5364-2 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
3-6. 養老保険の保険料の取扱い
法人が契約者となり、役員や使用人を被保険者とする養老保険(満期または死亡によって保険金が支払われる生命保険)の保険料は、保険金の受取人を誰に設定するかによって、「資産計上」「給与」「損金算入」のいずれかに取り扱いが分かれます。



養老保険とは、満期または被保険者の死亡によって保険金が支払われる生命保険です。
改正後のルールは、原則として令和元年7月8日以後に新規加入した契約、または同日以後に契約内容を変更(転換や特約付加など)した契約に適用されます。
(1). 死亡保険金・生存保険金の受取人が「法人」の場合
この契約形態は、将来的に保険金が必ず法人に戻ってくるため、貯蓄性が極めて高いとみなされます。
処理の結論:全額「資産計上」
支払った保険料は、保険事故の発生、契約の解除、または失効によって契約が終了する時まで損金の額に算入することはできず、資産として積み立てる必要があります。
(2). 死亡保険金・生存保険金の受取人が「被保険者またはその遺族」の場合
この形態は、法人が保険料を負担して役員や従業員個人の財産を形成しているとみなされます。
処理の結論:全額「給与」
- 詳細
支払った保険料の全額が、対象となる役員または使用人に対する給与となります。 - 給与認定のポイント
役員に対する給与のうち、法人が経常的に負担する保険料は、役員が受ける経済的利益が毎月おおむね一定であるため、税務上の「定期同額給与」に該当します。 - 個人の税務
給与として課税されますが、その役員や使用人本人の所得税確定申告において生命保険料控除の対象に含めることができます。
(3). 死亡受取人が「遺族」、生存受取人が「法人」の場合(ハーフタックスプラン)
死亡時の保障は遺族に、満期時のお金は法人に支払われる「福利厚生型」の設計です。
処理の結論:1/2を「資産計上」、残りの1/2を「損金算入」
- 資産計上部分
保険料の2分の1相当額は、上記1と同様に資産として計上します。 - 損金算入部分
残りの2分の1相当額は、期間の経過に応じて損金(福利厚生費等)に算入できます。
【注意:役員給与認定のリスク】
この「1/2損金」の処理が認められるのは、原則として役員・従業員の全員を加入対象とするなど、福利厚生としての合理性がある場合に限られます。
役員、部課長、その他特定の者のみを被保険者としている場合には、本来損金に算入できるはずの残額(2分の1相当額)も、その者に対する「給与」として取り扱われます。この給与部分も、役員が受ける利益が一定であれば「定期同額給与」とみなされます。
養老保険の保険料の取扱い一覧(令和元年7月8日以後契約分)



養老保険の保険料の取り扱いを表にまとめると次のようになります。
| 保険金受取人のパターン | 死亡保険金受取人 | 満期保険金受取人 | 法人の経理処理(結論) | 摘要・注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 貯蓄型(法人受取) | 法人 | 法人 | 全額 資産計上 | 保険契約終了時まで損金算入は認められません。 |
| 2. 給与型(個人受取) | 被保険者またはその遺族 | 被保険者またはその遺族 | 全額 給与 | 被保険者の所得税課税対象となりますが、個人で生命保険料控除が受けられます。 |
| 3. 福利厚生型(ハーフタックス) | 被保険者の遺族 | 法人 | 1/2 資産計上1/2 損金算入 | 役員・従業員の全員加入など、福利厚生としての合理性が必要です。 |
| 4. 特定者のみ限定型 | 被保険者の遺族 | 法人 | 1/2 資産計上1/2 給与 | 特定の役員や部課長のみを対象とする場合、損金部分は給与として扱われます。 |



特約に係る保険料を支払う場合は、その特約の内容が養老保険・定期保険・第三分野保険のいずれに該当するかによって、それぞれのルールに従って処理する必要があります。
参照:国税庁タックスアンサー No.5363 養老保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
3-7. 定期付養老保険等の保険料の取扱い
最後に定期付養老保険等(養老保険に定期保険または第三分野保険を付加したもの)の保険料の処理について見ていきましょう。
定期付養老保険等の税務判断は、まず「保険料が証券上で区分されているか」、次に「それぞれの受取人が誰か」、そして定期保険部分の「解約返戻率の高さ」というステップで決まります。
(1). 保険料が「区分されている」場合の処理
生命保険証券などにおいて、養老保険部分と定期保険・第三分野保険部分の保険料が明確に分けられている場合は、それぞれの通達ルールに従って按分して処理します。
① 養老保険部分(主契約)の取り扱い
保険金の受取人の設定によって、以下の3パターンに分かれます。
- 全額資産計上
死亡保険金・生存(満期)保険金の受取人がともに「法人」の場合。 - 全額給与認定
死亡・生存保険金の受取人がともに「被保険者またはその遺族」の場合。 - 1/2資産・1/2損金(福利厚生型)
死亡受取人が「遺族」、生存受取人が「法人」の場合。
※ただし、役員や特定の従業員のみを対象としている場合は、損金相当額も「給与」となります。
② 定期保険・第三分野保険部分(特約等)の取り扱い
この部分は、その保険料に「相当多額の前払部分(貯蓄性)」が含まれるかどうかで判定します。
- 原則として「損金算入」
最高解約返戻率が50%以下、または30万円特例(被保険者1人あたりの年換算保険料が30万円以下)に該当する場合、期間の経過に応じて損金に算入します。 - 「資産計上」が必要なケース
保険期間3年以上で、最高解約返戻率が50%を超える場合は、その返戻率の区分(50%超、70%超、85%超)に応じて、支払保険料の一定額を資産に計上し、後年に取り崩して損金に算入します。



詳しい取り扱いについては、上記3-2と同様となりますので、3-2をご覧ください。
(2). 保険料が「区分されていない」場合の処理
生命保険証券等において定期保険部分と養老保険部分の保険料が区分されていない場合には、保守的な判断が下されます。
結論:全額を「養老保険料」とみなす。
支払った保険料の全額を養老保険のルール(上記(1)-①)に当てはめて処理します。例えば、死亡受取人を遺族にしている場合、定期保険部分も含めた全額の1/2を資産計上、1/2を損金(または給与)として扱うことになります。
(3). 「役員給与」として課税されるリスクと注意点
保険料が特定の個人に対する「給与」とみなされる場合、法人の損金算入の可否だけでなく、個人の所得税にも影響します。
- 給与認定の条件
役員、部課長、その他特定の従業員のみを被保険者として、受取人を本人や遺族に設定している場合、法人が支払った保険料はその者に対する「給与」となります。 - 定期同額給与の適用
役員に対する給与とされる保険料のうち、法人が経常的に負担するものは、役員が受ける経済的利益が毎月一定であるため、税務上の「定期同額給与」に該当します。
◦ 他の役員報酬と合算して不相当に高額でなければ、法人側で給与(損金)として処理できますが、本人には所得税が課税されます。
(4). 特約保険料の取り扱い
付加されている特約の内容(死亡保障、医療保障など)が養老、定期、第三分野のいずれに該当するかを確認し、それぞれ該当する保険の取り扱いによって処理を行います。
(5).まとめ表
| 保険料区分の有無 | 受取人の設定 | 経理処理の結論 |
|---|---|---|
| 区分あり | 養老部分:法人 / 定期部分:法人 | 全額 資産計上(※定期部分が50%以下ならその分は損金) |
| 区分あり | 死亡:遺族 / 満期:法人 | 養老の1/2は資産、1/2は損金。定期部分は返戻率次第 |
| 区分あり | 全て個人受取 | 全額 給与(特定の者のみの場合) |
| 区分なし | 死亡:遺族 / 満期:法人 | 全額を養老とみなし、1/2資産・1/2損金 |



定期付養老保険は、区分経理の有無で損金割合が大きく変わる可能性があるため、必ず設計書や証券を確認してください。また、役員のみの加入は給与認定のリスクが非常に高いため、福利厚生規程との整合性を税理士と確認することが重要です。
参照:国税庁タックスアンサーNo.5365 定期付養老保険等の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)



明日は保険金を受け取った場合の処理について、確認していく予定ですので、お楽しみに!



個人が保険金を受け取った場合の取り扱いについては、こちらの記事をご覧ください。
保険金を受け取ったときの所得税:Part1:一時所得となる保険金
保険金を受け取ったときの所得税:Part2:雑所得となる保険金
保険金を受け取ったときの税金:Part3:相続税がかかる保険金
保険金を受け取ったときの税金:Part4:贈与税がかかる保険金










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