ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝は法人事業税や外形標準課税について、その概要を整理して行きたいと思います。



外形標準課税を詳しく知ってる人は少ないですもんね。



「法人事業税」と「外形標準課税」、名前は聞いたことがあるものの、「自社は外形標準課税の対象なのか?」「赤字でも本当に税金がかかるのか?」「最近の税制改正で何が変わったのか?」
こうした疑問を正確に説明できる方は、実は多くありません。
そこで、今朝は、法人事業税の基本から、外形標準課税の仕組み、そして令和6年度税制改正による対象法人の見直しまで、年間で40名程度しか受からない税理士試験の事業税合格者である私が解説していきたいと思います。
【法人事業税・外形標準課税の概要編】
1.法人事業税の概要
法人事業税は、法人が行う事業活動そのものに対して課される地方税(都道府県税)です。法人が事業を行うにあたって、道路や警察、消防などの各種公共サービスを享受していることから、その維持にかかる経費を分担すべきであるという「応益課税」の考え方に基づいています。
1. 納税義務者
原則として、都道府県内に事務所または事業所を設けて事業を行うすべての法人が対象となります。
- 普通法人
株式会社や合同会社など。 - 特別法人
医療法人や農業協同組合など。 - 公益法人・人格のない社団等
原則として収益事業を行っている場合にのみ課税されます。
国や地方公共団体、一部の独立行政法人などの「公共法人」は課税対象外です。
2. 法人事業税の大きな特徴(損金算入)
法人事業税の最大の特徴は、「経費(損金)に算入できる」点です。これは、利益に対して課される法人税(国税)とは異なり、事業を行うための「コスト(場所代や利用料)」としての性質を持つためです。



原則として、法人事業税は「申告納税方式」の税金であるため、原則として「納税申告書を提出した事業年度」の損金になります。例えば、3月決算の法人が、前年度(4月〜3月)分の事業税を5月末に申告・納付した場合、その事業税は「申告した年度」の損金になります。
注意点としては、会計では、発生主義に基づいて「その期に発生した税金」として決算時に「未払法人税等」を計上し、費用とすることが一般的です。しかし、税法上は上記のように「申告時(翌期)」に損金となるため、決算期には「損金不算入」として調整(申告書別表で加算)し、翌期に「認容(減算)」することで損金化します。
3. 課税方式と計算の仕組み
法人の規模(主に資本金の額)によって、計算方法が大きく異なります。
① 資本金1億円以下の法人(所得課税)
原則として、法人の「所得(利益)」に対してのみ課税されます。
- 所得割
税金計算上の所得に税率をかけて算出します。赤字(所得がマイナス)の場合は、原則として税額は発生しません。
② 資本金1億円超の法人(外形標準課税)
大規模な法人は、所得の有無に関わらず、事業規模を外形的指標で測って課税される「外形標準課税」が適用されます。以下の3つの合算で税額が決まります。
- 所得割
所得に対して課税(所得課税法人より低い税率が設定されています)。 - 付加価値割
報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料、単年度損益の合計に対して課税。 - 資本割
資本金等の額に対して課税。



赤字であっても、付加価値割や資本割によって納税義務が生じるのが特徴です。各内容は明日以降の記事で解説します。
4. 税率
税率は各都道府県が条例で定めるため、地域によって異なります。
- 超過税率
資本金や所得が一定基準を超える法人に対し、標準税率よりも高い税率を適用する自治体(東京都など)もあります。 - 所得割の軽減税率
所得が低い場合に税率を段階的に下げる「軽減税率」が適用される場合があります(例:年400万円以下、年800万円以下など)。



以下のすべての条件を満たす法人は「軽減税率不適用法人」と呼ばれ、所得の金額にかかわらず、全所得に対して高い税率(年800万円超の区分の税率など)が一律で適用されます。
• 条件1: 資本金の額(または出資金の額)が 1,000万円以上 であること
• 条件2: 事務所または事業所を設けている都道府県の数が 3以上 であること



つまり、「資本金1,000万円以上」かつ「3つ以上の都道府県に展開している」法人は、軽減税率を使えず、最初から高い税率で計算することになるということですね!
参考:東京都の税率
1. 外形標準課税の対象となる法人
外形標準課税対象法人は、「所得割」「付加価値割」「資本割」の3つを合算して計算します。
| 区分 | 課税標準 | 税率(東京都) |
|---|---|---|
| 所得割 | 全額 | 1.18% |
| 付加価値割 | 付加価値額(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料+単年度損益) | 1.26% |
| 資本割 | 資本金等の額(資本金+資本準備金など) | 0.525% |
2. 外形標準課税の対象とならない法人
原則として「所得」に対してのみ課税されます。 東京都では、所得や資本金の規模に応じて「超過税率」と「標準税率」の使い分けがあります。
| 区分 | 課税標準 | 超過税率(※1) | 標準税率(※2) |
|---|---|---|---|
| 所得割 | 年400万円以下の所得 | 3.75% | 3.5% |
| 年400万円超 800万円以下の所得 | 5.665% | 5.3% | |
| 年800万円を超える所得 | 7.48% | 7.0% |
(※1) 超過税率が適用される法人 以下のいずれかに該当する場合。
• 資本金または出資金の額が1億円以下で、年所得金額が2,500万円を超える法人
• 資本金または出資金の額が1億円以下で、年収入金額が2億円を超える法人
(※2) 標準税率が適用される法人
• 上記「超過税率」の基準(所得2,500万円超または収入2億円超)に該当しない法人(所得が低い中小企業など)。
5. 税制改正による対象法人の見直し(2024・2025年度〜)
近年、外形標準課税を避けるための「減資(資本金を1億円以下にする)」が問題視され、基準が見直されました。
- 減資への対応(2025年4月1日以後開始事業年度〜)
前事業年度に外形標準課税対象(資本金1億円超)であった法人が資本金を1億円以下に減らしても、「資本金+資本剰余金」が10億円を超える場合は、引き続き外形標準課税の対象となります。 - 100%子法人等への対応(2026年4月1日以後開始事業年度〜)
大企業(資本金+資本剰余金が50億円超)の100%子会社等で、「資本金+資本剰余金」が2億円を超える場合も対象となります。



令和6年度税制改正による外形標準課税の対象法人の変更については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】2024年度(令和6年度)税制改正でどう変わった?外形標準課税の対象法人について
6. 特別法人事業税(国税)との関係
2019年より、地域間の税収格差を是正するため、法人事業税の一部を分離して「特別法人事業税」が創設されました。これは国税ですが、法人事業税と併せて都道府県に申告・納付します。
参考:東京都の税率
| 法人区分 | 特別法人事業税(国税) |
|---|---|
| 外形標準課税対象 | 所得割額(標準税率分)× 260% |
| 外形標準課税対象外 | 所得割額(標準税率分)× 37% |
7. 申告と納税
- 期限
原則として、事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内です。 - 中間申告
事業年度が6ヶ月を超える法人のうち、一定の基準(前年度の法人税額が20万円超など)を満たす場合は中間申告と納税が必要です。 - 分割基準
2つ以上の都道府県に事務所がある場合は、従業員数や事業所数などの基準で課税標準を分割(按分)して、それぞれの自治体に申告します。
2.外形標準課税の概要
外形標準課税(がいけいひょうじゅんかぜい)とは、法人事業税の課税方式の一つで、法人の所得(利益)だけでなく、事業活動の規模を示す「付加価値額」や「資本金等の額」といった外形的な指標を課税標準として税額を算定する制度です。
1. 外形対象法人
外形標準課税の対象法人は、「1. 原則的な基準(資本金1億円超)」、「2. 減資への対応(2025年4月1日~)」、「3. 100%子法人等への対応(2026年4月1日~)」のいずれかに該当する法人です。
1. 原則的な基準(従来の基準)
事業年度終了の日における資本金の額 または 出資金の額 が1億円を超える法人が対象となります。
- 判定のタイミング
事業年度終了の日(決算日)の現況で判断します。期中に資本金が1億円を超えていても、期末までに減資して1億円以下になっていれば、この基準では対象外となります(ただし、後述の「2. 減資への対応」に該当する場合があります)。 - 資本金のみで判断
「資本準備金」や「資本剰余金」は含めず、あくまで「資本金」の額で判定します。
2. 減資への対応(令和7年4月1日以後開始事業年度から)
資本金を1億円以下に減資することで外形標準課税の対象から外れる動きに対応するため、以下の要件をすべて満たす法人は、資本金が1億円以下であっても対象となります。
- 要件
- 前事業年度において外形標準課税の対象法人であったこと。
- 当該事業年度末日の資本金の額が1億円以下であること。
- 当該事業年度末日の払込資本の額(資本金 + 資本剰余金)が10億円を超えること。



つまり、実質的な株主からの払込資本が多額(10億円超)に残っているにもかかわらず、形式的に資本金だけを1億円以下に減らした法人が対象となります。
3. 100%子法人等への対応(令和8年4月1日以後開始事業年度から)
大規模な法人(特定法人)の100%子会社等について、資本金1億円以下であっても対象とする基準です。以下の要件をすべて満たす法人が対象となります。
- 要件
- 当該事業年度末日の資本金の額が1億円以下であること。
- 当該事業年度末日の払込資本の額(資本金 + 資本剰余金)が2億円を超えること。
- 特定法人との間に、その特定法人による完全支配関係(100%保有)があること(または100%グループ内の複数の特定法人に全株式を持たれていること)。
【特定法人とは】
- 払込資本の額(資本金+資本剰余金)が50億円を超える法人(公共法人等を除く)。
- 保険業法に規定する相互会社(外国相互会社を含む)。
※親会社が外国法人であっても、要件を満たせば特定法人に該当します。
4. 外形標準課税の対象とならない法人
資本金の額等の条件を満たしていても、以下の法人は制度の対象から除外され、非課税又は所得のみに課税されます。
- 公共法人
地方公共団体、国立大学法人など - 公益法人等
公益社団・財団法人、NPO法人、管理組合法人など(収益事業を行う場合に限る) - 特別法人
農業協同組合、漁業協同組合、信用金庫、医療法人など - 人格のない社団等
- 特定の形態の法人
- 投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)
- 特定目的会社(資産の流動化に関する法律)
- 一般社団法人及び一般財団法人(非営利型・普通型問わず対象外)
まとめ(フローチャート)
法人が外形標準課税の対象になるかどうかは、以下の順で判定します。
- 法人形態は対象外(公益法人、特別法人、一般社団法人等)ですか?
- Yes → 対象外
- No → 2へ
- 期末の資本金は1億円を超えていますか?
- Yes → 対象(基準1)
- No → 3へ
- 【2025/4/1~】前年度外形対象で、かつ払込資本(資本金+資本剰余金)が10億円超ですか?
- Yes → 対象(基準2:減資対応)
- No → 4へ
- 【2026/4/1~】特定法人(払込資本50億円超など)の100%子会社等で、かつ払込資本が2億円超ですか?
- Yes → 対象(基準3:100%子法人対応)
- No → 対象外



令和6年度税制改正による外形標準課税の対象法人の変更についてはこちらの記事で解説しておりますので宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】2024年度(令和6年度)税制改正でどう変わった?外形標準課税の対象法人について
2. 税額の構成
外形標準課税対象法人の事業税は、以下の3つの割(区分)の合算額となります。
① 付加価値割(ふかかちわり)
事業活動によって生み出された「付加価値」の大きさに応じて課税されます。赤字であっても、給与の支払いや利子の支払いなどの活動規模があれば課税が生じます。
- 課税標準(付加価値額): 以下の合計額です。
- 収益配分額(報酬給与額 + 純支払利子 + 純支払賃借料)
- 単年度損益
- 各要素の概要
- 報酬給与額: 役員や従業員への給与、賞与、退職金など。労働者派遣の受け入れに係る費用の一部も含みます。
- 純支払利子: 支払利子から受取利子を控除した額(マイナスの場合は0)。
- 純支払賃借料: 土地・家屋の賃借料から受取賃借料を控除した額(マイナスの場合は0)。
- 単年度損益: 当該事業年度の益金から損金を引いた額(黒字または赤字)。ただし、繰越欠損金の控除は行いません(赤字の場合はマイナスし、付加価値額全体がマイナスなら0となります)。
- 雇用安定控除: 報酬給与額が収益配分額の70%を超える場合、一定額を控除する措置があります。
② 資本割(しほんわり)
法人の資本の大きさに応じて課税されます。
- 課税標準(資本金等の額)
- 原則として、法人税法上の「資本金等の額(資本金+資本積立金額)」がベースとなります。
- 無償増資や無償減資等による欠損填補を行った場合は、加算・減算の調整を行います。
- 上記調整後の額が、「資本金 + 資本準備金」の合算額を下回る場合は、「資本金 + 資本準備金」の額が課税標準となります。
- 特例措置
- 持株会社
子会社株式の割合が高い場合、課税標準から一定額を控除できます。 - 海外事業
外国に支店等がある場合、外国事業帰属分を控除できます。 - 大規模法人
資本金等の額が1,000億円を超える場合、超過分について課税標準を段階的に圧縮(減額)する措置があります。
- 持株会社
③ 所得割(しょとくわり)
法人の所得(利益)に応じて課税されます。
- 課税標準(所得)
法人税の計算例と同様に益金から損金を引いて計算しますが、外形標準課税対象法人の場合、標準税率が低く設定されています(付加価値割・資本割との負担調整のため)。 - 税率
外形標準課税対象法人は、所得の多寡にかかわらずフラットな税率(軽減税率不適用)となるのが一般的です(東京都などの超過税率適用自治体では異なります)。
3. 特徴と制度の趣旨
- 応能原則と応益原則
法人の所得のみに課税するのではなく、都道府県が提供する行政サービス(道路や警察など)を享受して事業活動を行っていることに対して、その規模に応じた負担を求めるという「応益原則」に基づいています。 - 税収の安定化
法人の所得は景気変動に大きく左右されますが、外形的な指標は比較的安定しているため、地方自治体の貴重な財源の安定確保に寄与します。 - 公平性の確保
所得が赤字で所得割を納税していない法人であっても、広く薄く負担を分かち合うことで、税負担の公平性を高める狙いがあります。
4. その他留意点
- 外国の事業の控除
特定内国法人が外国に恒久的施設(支店など)を有する場合、付加価値額や資本金等の額から外国の事業に帰属する分を差し引くことができます。 - 申告
2以上の都道府県に事務所等を持つ法人は、従業員数などの分割基準を用いて課税標準を按分し、それぞれの自治体に申告納付します。 - 税率
東京都など一部の自治体では、標準税率を上回る「超過税率」が適用される場合があります。
3.まとめ:概要編
法人事業税は、単なる「利益にかかる税金」ではなく、事業活動そのものに対する応益課税という性格を持っています。
特に資本金1億円超の法人に適用される外形標準課税は、赤字であっても一定の税負担が生じる点や、令和6年度税制改正によって実質的に大規模な法人が新たに対象となった点など、正確な理解が欠かせません。
自社がどの課税方式に該当するのか、今後の組織再編や資本政策にどのような影響があるのかについては、早めに税理士へ相談することが重要です。










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