ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



昨日は付加価値割の報酬給与額(中編)について整理しましたので、今朝は報酬給与額の後編として、整理して行きたいと思います。



長かった報酬給与額の説明もいよいよ最後ですね!



外形標準課税の“報酬給与額”は、給与台帳だけ見ていると簡単に落とし穴にハマります。
企業年金の掛金のうち「事務費掛金は除ける?」「年金資産から引かれている事務費は?」、退職給付信託を設定したときの扱い、出向者の給与・退職金の帰属、派遣契約料の75%特例、そしてJV(共同企業体)の配賦…。
一つでも処理を誤ると、付加価値割の課税標準がズレて申告リスクにつながるため、実務で迷いやすい論点を“結論→根拠→注意点”の順に整理して解説します。



外形標準課税の①概要や②所得割③付加価値割(概要)④報酬給与額(前編)⑤報酬給与額(中編)については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】法人事業税・外形標準課税とは?①概要編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?②所得割編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?③付加価値割の概要編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?④付加価値割の報酬給与額:前編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?⑤付加価値割の報酬給与額:中編
付加価値割の報酬給与額:後編
1.付加価値割とは?(おさらい)
法人事業税の付加価値割(ふかかちわり)は、資本金1億円超の法人などを対象とした「外形標準課税」の一部で、法人が事業活動によって生み出した「付加価値の大きさ」に対して課される税金です。
企業の利益(所得)ではなく、給与の支払いや賃借料の支払いといった事業規模(活動量)を基準にするため、赤字であっても納税義務が生じるのが最大の特徴です。
(1). 課税の仕組みと計算方法
付加価値割の課税標準(税額計算の基礎となる金額)は、「付加価値額」と呼ばれます。これは、以下の2つの要素の合計額です。
付加価値額=収益配分額+単年度損益
① 収益配分額
事業活動から生じた利益を、労働や資本の提供者にどう分配したかを示す指標で、以下の3つの合計です。
- 報酬給与額: 役員や従業員への給与、賞与、退職金などの総額。
- 純支払利子: 支払利子から受取利子を差し引いた金額(マイナスの場合は0)。
- 純支払賃借料: 土地・家屋の支払賃借料から受取賃借料を差し引いた金額(マイナスの場合は0)。



今朝もこの報酬給与額について、次章以降で詳しく整理していく予定です。
② 単年度損益
その事業年度の所得(税務上の利益)です。ただし、繰越欠損金を控除する前の金額を使います。
もし赤字(欠損)の場合は、収益配分額からその赤字分を差し引いて付加価値額を計算します(全体がマイナスになれば課税標準は0円)。
(2). 税率
- 標準税率:1.2%
- ただし、各都道府県の条例により、これより高い税率(超過税率)が適用される場合があります(例:東京都などでは1.26%など)。
(3). 対象となる法人
原則として、資本金の額(または出資金の額)が1億円を超える普通法人が対象です。
※2025年度以降の税制改正により、過去に外形標準課税の対象だった法人が減資して資本金1億円以下になっても、「資本金+資本剰余金」が10億円を超える場合などは対象として残る仕組みが導入されています。



令和6年度税制改正による外形標準課税の対象法人の変更については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】2024年度(令和6年度)税制改正でどう変わった?外形標準課税の対象法人について
(4). 重要な特徴と特例
- 赤字でも課税される
給与や家賃を支払っている限り「収益配分額」が発生するため、たとえ会社の利益が赤字であっても、付加価値割の納税が必要になるケースが一般的です。 - 雇用安定控除(負担軽減措置)
多くの雇用を維持している企業に配慮し、「報酬給与額」が「収益配分額」の70%を超える場合は、その超える部分を課税標準から控除できる特例があります。 - 会計上の扱い(損金算入)
法人事業税の「所得割」は「法人税、住民税及び事業税」として処理されますが、この「付加価値割」(および資本割)は、事業を行うためのコストとみなされ、「販売費及び一般管理費(租税公課)」として計上されます(損金算入可能です)。



雇用安定控除額=報酬給与額−収益配分額×70%(マイナスは0)として算定し、付加価値額の算定上控除します。



付加価値割の概要については一昨日のブログ記事で解説しておりますので宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?③付加価値割の概要編
2.付加価値割の報酬給与額とは?[定義](おさらい)
外形標準課税(付加価値割)の課税標準となる「報酬給与額」の定義と範囲について解説します。
(1). 報酬給与額の基本的な定義
報酬給与額とは、雇用関係またはこれに準ずる関係に基づいて提供される労務の対価として支払われるものをいいます。 原則として、所得税法において「給与所得」または「退職所得」とされるものが該当します。
- 対象者
役員(非常勤を含む)、正規従業員だけでなく、契約社員、パートタイマー、アルバイト、臨時雇いなど、名称を問わず雇用関係にあるすべての者が対象です。 - 支払形態
定期・定額(月給など)であるか、不定期・業績比例(賞与、歩合給など)であるかを問いません。
(2). 報酬給与額に含まれるもの
具体的には、以下の項目が報酬給与額に含まれます。
- 給与・賞与・退職金
報酬、給料、賃金、賞与、退職手当など。 - 現物給与(経済的利益)
金銭以外の物や権利で支給されるもので、所得税で給与所得・退職所得として課税され、かつ法人税で損金算入されるもの(例:食事の提供、自社製品の支給など)。 - 年金掛金等
確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、中小企業退職金共済などの掛金で、法人が拠出するもの。
※ただし、制度移行に伴う移管金や事務費掛金は除かれます。
(3). 報酬給与額に含まれないもの(除外項目)
以下の項目は、報酬給与額には含まれません。
- 法定福利費(事業主負担分)
健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの会社負担分は、強制的な公的負担であるため含まれません。 - 通勤手当・在勤手当(非課税分)
所得税法上で非課税とされる金額(実費弁償的な部分)は除かれます。 - 請負代金
労務の対価ではなく「仕事の完成」に対する対価であるため、原則として含まれません(ただし、実態が雇用関係と同じである「名目上の請負」は給与とみなされます)。 - 社宅の賃借料
法人が借り上げて従業員に貸している社宅の家賃は、「支払賃借料」として扱われるため、給与課税される経済的利益があっても報酬給与額には含めません。 - 福利厚生費
慶弔費やレクリエーション費用などで、給与所得とされないものは含まれません。



一方で、以下のような場合には、通勤手当(またはその相当額)が報酬給与額に含まれる、あるいは結果的に含まれて計算されることがあります。
①所得税法で定められた非課税限度額(たとえば公共交通機関の利用者で月額15万円など)を超えて支給された通勤手当は、その超過部分が「給与」として課税対象になります。したがって、この超過部分については「報酬給与額」に含まれます。
②出向元からの請求額(給与負担金)において、『給与本体』と『通勤手当(非課税分)』が明確に区分されていない場合は、出向先において全額が報酬給与額となります。 (ただし、契約や請求書等で非課税とされる通勤手当相当額が明確に区分されている場合には、その金額を報酬給与額から除外することができます。)
③派遣労働者を受け入れている法人は「派遣会社に支払う金額(派遣料)に75%を乗じた金額」を報酬給与額として計算します。この派遣料の中に、派遣労働者の通勤交通費相当額が上乗せされていたとしても、その交通費部分だけを抜き出して除外することはできず、一律で「総額の75%」として計算されます。そのため、結果的に通勤費相当額の一部が報酬給与額に算入されることになります。
(4). 特殊な取扱い
① 労働者派遣(人材派遣)
労働者派遣法等に基づく派遣契約の場合、特例計算が行われます。
- 派遣受入法人(派遣先)
「派遣契約料 × 75%」を報酬給与額に加算します。 - 派遣元法人
「派遣契約料 × 75%」を報酬給与額から控除します。
② 出向
出向者に対する給与は、形式的な支払者にかかわらず、実質的な負担者の報酬給与額となります。
- 出向元が給与を支払い、出向先が「給与負担金」を出向元に支払っている場合、その負担金部分は出向先の報酬給与額となり、出向元では控除します。
③ 計上時期(資産計上分)
原則として「法人税の損金に算入される事業年度」に計上しますが、棚卸資産、有価証券、固定資産、繰延資産(ソフトウェア開発費や建設仮勘定など)に含まれる労務費については、実際に支払った事業年度の報酬給与額として計上します(先取りして計算します)。
3.事務費掛け金等の取扱い
外形標準課税(付加価値割)の「報酬給与額」における事務費掛金等の取扱いについて解説します。
(1). 結論:報酬給与額には含まれない
原則として、事務費掛金等は報酬給与額には含めません。
通常、確定給付企業年金などの掛金は「報酬給与額」に含まれますが、「年金給付及び一時金等の給付に充てるため以外の目的」で支出する事務費掛金等については、労働の対価(将来の給付原資)としての性格を持たないため、対象から除外されます。
(2). 事務費掛金等の範囲
事務費掛金等とは、企業年金基金等が事業を管理・運営するために必要とする費用を賄うために支出されるものです。 具体的には以下のような費用に充てるための掛金が該当します。
- 年金基金の事務所経費
- 専従する役職員の給与
- 理事会を開催するための会議費 など
これらは通常、年金会計(年金資産等)とは別に、業務会計等において処理される掛金です。
(3). 注意点(年金資産から徴収される場合)
事務費掛金等として明確に区分して支出されたものは除外できますが、「年金資産等から徴収される事務費等」については、報酬給与額から除くことはできません。



つまり、法人が拠出した掛金が一旦すべて年金資産(給付原資)として積み立てられ、そこから事後的に事務費が捻出されるような仕組みの場合、法人が支出した段階では全額が「給付のための掛金」とみなされ、報酬給与額に含まれることになります。
4.退職給付信託を設定した場合の取扱い
外形標準課税(付加価値割)の報酬給与額における退職給付信託を設定した場合の取扱いについて解説します。



結論から申し上げますと、退職給付信託の信託財産から拠出された掛金等は、法人自身が支払ったものとみなされ、報酬給与額に含まれます。
(1). 基本的な取扱い
法人が退職給付信託を設定し、その信託財産から確定給付企業年金契約などの掛金等が拠出された場合、その掛金等は「当該退職給付信託を設定した法人が支払いを行ったもの」として取り扱います。
したがって、法人が直接支払った掛金と同様に、報酬給与額に算入します。
(2). この取扱いの理由
この取扱いは、法人税法上の退職給付信託の仕組みに基づいています。
- 法人税上の扱い
退職給付信託に拠出された有価証券等は、税務上は依然として委託者である法人が所有しているものとみなされます(所有権の移転はないものと扱われます)。 - 損金算入
信託財産から年金掛金等が支払われた時点で、その額は法人の費用の額(損金)に算入されます。 - 事業税の整合性
外形標準課税の報酬給与額は、原則として「法人税の損金に算入されるもの」かつ「給与等の性質を持つもの」を対象とします。信託財産からの拠出は、法人の損金となり、かつ従業員の将来の給与(退職給付)の原資となるため、報酬給与額として構成されます。
(3). 具体的な適用範囲
この取扱いは、以下のような支払いに適用されます。
- 年金掛金の拠出
信託財産から確定給付企業年金等の掛金として支払われた金額。 - 退職一時金の支給
退職給付信託から従業員に対して直接退職一時金が支払われた場合も、報酬給与額に含まれます。



要するに、退職給付信託を経由して支払われたとしても、「法人の財布から従業員のために支払われた」という実態は変わらないため、通常通り課税標準に含まれることになります。
5.出向者にかかる報酬給与額の取り扱い
外形標準課税(付加価値割)の「報酬給与額」における出向者(出向社員)の取扱いについて解説します。
出向者にかかる費用は、給与・賞与と退職金で扱いが大きく異なるため注意が必要です。原則として、給与は「実質的な負担者」、退職金は「形式的な支払者」で計上します。
(1). 給与・賞与の取扱い(原則:実質的負担者)
出向者に対する給与(月給、賞与など)については、形式的に誰が支払ったかではなく、実質的に負担した法人の報酬給与額となります。
① 出向元が給与を支払い、出向先が負担金を払う場合(一般的なケース)
- 出向先法人(受入)
出向元に支払った「給与負担金」(経営指導料等の名目であっても実質が給与負担であれば含む)を、報酬給与額として計上します。 - 出向元法人(送出)
本人に支払った給与の額から、出向先から受け取った「給与負担金」を控除します(結果として、出向元が実質負担していない部分は課税標準から除かれます)。
② 出向元が一部を負担する場合(較差補填金など)
出向先との給与水準の差を埋めるために、出向元が一部の給与(較差補填金)を負担している場合、その負担額は出向元法人の報酬給与額となります。



例えば、出向元が本人に支給する賞与のうち、出向先が負担できない部分を出向元が負担した場合、その部分は出向元の報酬給与額です。
(2). 退職給与の取扱い(例外:形式的支払者)
退職一時金については、給与とは異なり、「形式的な支払者(本人に直接支払った法人)」の報酬給与額となります。
- 出向先法人
出向期間に対応する退職金負担額を定期的に出向元へ支払っていても、それは報酬給与額になりません。 - 出向元法人
将来、出向者に対して退職金を支給した際に、その支給額全額を報酬給与額として計上します(過去に出向先から受け取った負担金を控除することはできません)。



理由としては、退職金負担金と実際の退職金支給にはズレがあり、個別に管理・控除するのは実務上困難であるためです。
(3). 企業年金掛金等の取扱い
退職金であっても、確定給付企業年金などの「掛金」として支出されるものについては、退職一時金(上記2)ではなく、給与(上記1)と同様に実質的負担者で判断します。



出向先法人が、あらかじめ定めた負担区分に基づき掛金(過去勤務債務分を含む)相当額を出向元へ支出した場合、その金額は出向先法人の報酬給与額となります。
(4). 経営指導料などの名目での支払い
出向先が出向元に支払う金銭が「経営指導料」や「業務委託費」などの名目であっても、実質的に出向者の給与負担金である場合は、その内容を区分した上で、給与相当額を報酬給与額に含める必要があります。
(5). まとめ表



実質負担者と形式支払者の判断は、私も受験時代に混乱した論点の一つです。これらの論点をまとめると以下の表の通りとなります。
| 項目 | 誰の報酬給与額になるか | 判定基準 |
|---|---|---|
| 給与・賞与 | 実質的に負担した法人 | 実質負担者主義(出向先が負担した分は出向先で計上) |
| 退職一時金 | 本人に支給した法人 | 形式支払者主義(負担金の授受は無視) |
| 年金掛金等 | 実質的に負担した法人 | 実質負担者主義 |
| 較差補填金 | 出向元法人 | 実質負担者主義 |
6.労働者派遣等にかかる報酬給与額の取り扱い
外形標準課税(付加価値割)の「報酬給与額」における、労働者派遣等(労働者派遣法または船員職業安定法に基づく派遣)の取扱いについて解説します。
労働者派遣については、派遣労働者が実質的に派遣先企業の事業に従事している実態を考慮し、「派遣契約料の75%」相当額を、派遣元から派遣先へ報酬給与額として付け替える特例計算が行われます。
(1). 基本的な計算ルール(75%特例)
① 派遣受入法人(派遣先)の取扱い
労働者派遣等の役務の提供を受けた法人は、その対価として支払う金額(派遣契約料)の 75%に相当する金額 を、自社の報酬給与額に加算します。
- 計算式: (派遣契約料 - 消費税等) × 75% = 加算する報酬給与額
② 派遣元法人(派遣会社)の取扱い
労働者派遣等をした法人は、派遣先から受け取る派遣契約料の 75%に相当する金額 を、自社の報酬給与額から控除します。
- 控除限度額
ただし、控除できる額は、その派遣労働者に支払う給与等の額が限度となります。 - 計算式
報酬給与額総額 - (派遣契約料(税抜) × 75%) = 課税標準となる報酬給与額
(2). 計算上の重要な留意点
(1) 消費税等の取扱い
報酬給与額の計算は消費税等を含まない金額を基礎とします。したがって、派遣契約料に消費税等が含まれている場合は、まず消費税等相当額を控除した後の金額に75%を乗じて計算します。
(2) 旅費・交通費等の取扱い
- 契約料に含まれる場合
派遣契約料の中に、派遣労働者に係る旅費や交通費が含まれている場合は、それらを含めた契約料全体が計算の対象となります。 - 別途支払う場合
派遣契約料とは別に、実費として交通費等を負担する場合は、その交通費部分は75%計算の対象(報酬給与額)には含めません(通常の旅費交通費扱いとなります)。
(3) 兼務している場合
派遣労働者が、派遣先の業務だけでなく、派遣元法人の業務にも従事している場合、派遣元法人の業務に係る給与部分は、派遣元の報酬給与額から控除できません。
(3). 「請負」との区別(名目上の請負)
この「75%特例」が適用されるのは、労働者派遣法等に基づく正規の労働者派遣契約に限られます。 契約名称が「請負」や「業務委託」であっても、実態として注文者が指揮命令を行っているなど、「名目上の請負契約」と認められる場合は、この75%特例は適用されません。
- 名目上の請負の場合
実質的な雇用関係があると認定された場合、労務対価相当額の全額が注文者の報酬給与額として取り扱われるリスクがあります(いわゆる偽装請負の認定)。
(4). 資本割や分割基準の従業者数への影響
外形標準課税の「資本割」の計算等で用いる「従業者数」のカウントにおいても、派遣労働者は派遣先法人(受入企業)の従業者として取り扱われます。
- 派遣先
従業者数に含める。 - 派遣元
従業者数に含めない(ただし、派遣元の業務にも従事する場合は双方に含める)。



外形標準課税の各都道府県への按分計算(分割基準)において用いる「従業者数」のカウントでは、派遣労働者は派遣先法人(受入企業)の従業者として取り扱われます。
一方で、均等割の税率区分の判定における従業者数とは取扱いが異なる場合があるため注意が必要です。
7.組合にかかる報酬給与額の取り扱い
外形標準課税(付加価値割)の「報酬給与額」における、組合(民法上の任意組合、匿名組合、投資事業有限責任組合など)や共同企業体(JV)に係る取扱いについて解説します。
(1). 基本的な取扱い(分配基準)
組合や共同企業体(JV)は法人格を持たないため、それ自体は納税義務者になりません。 そのため、組合の事業活動に伴い発生した「給与」、「利子」、「賃借料」については、組合契約の定める分配割合(利益配分割合など)に基づき各組合員(法人)に分配し、各組合員の付加価値額(報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料)として取り扱います。
- 対象
民法上の組合、共同企業体(JV)、有限責任事業組合(LLP)などが含まれます。 - 計算方法
組合全体の報酬給与額等のうち、法人税の計算上損金に算入されるものを、分配割合に応じて各法人の課税標準に取り込みます。
(2). 組合員から出向者がいる場合の特例(給与協定がある場合)
建設共同企業体(JV)などでよく見られるケースとして、各組合員(建設会社など)が自社の社員をJVに出向させ、給与は自社から直接支払う場合があります。
この場合、原則としては上記1と同様に分配割合で計算しますが、「給与協定」が締結されている場合は以下の調整が必要です。
- 調整内容
各組合員が「実際に支払った給与額」と、「給与協定に基づき定められた額」との間に差額が生じる場合、その差額分を各組合員の報酬給与額に加算または減算します。
【計算例】(東京都主税局Q&Aより)
- 前提
JV組合員がA社(出資70%)とB社(出資30%)。 - 給与協定額
A社社員分 110、B社社員分 90(合計200)。 - 実際の支払額
A社は80を支給、B社は50を支給。
各社の報酬給与額への加減算額
- A社: 80(実額) - 110(協定額) = ▲30(減算)
- B社: 50(実額) - 90(協定額) = ▲40(減算)



その差額分を、JVから取り込んだ報酬給与額(またはJVに対する請求額)に対して加算または減算するということは、 つまり、A社はJV上の評価額(協定額)にかかわらず、最終的には「自社が実際に本人に支給した額(80)」が報酬給与額になるように調整するという意味ですね。



なお、給与協定額の中に非課税手当や法定福利費が含まれていて区分できる場合は、それらを控除した額をベースに計算しても差し支えありません(ただし全組合員で統一する必要があります)。
(3). 会計処理との関係
法人税の申告において、組合損益の取り込み方には「純額法(利益だけ取り込む)」「総額法(収益・費用をすべて取り込む)」などがありますが、外形標準課税の計算においては、どの方法を採用していても、組合の「報酬給与額」「支払利子」「支払賃借料」の総額を把握し、自社の持分相当額を計上する必要があります。



単に利益分配額だけを見ていると、付加価値割の課税標準が過少になるおそれがあるため、幹事会社から明細を入手するなどの対応が必要です。
8.まとめ
企業年金の掛金でも、事務費掛金等(運営費用目的で区分されるもの)は原則として報酬給与額に含めません。ただし、請求書・通知書での区分や徴収方法によって扱いが変わり得るため、根拠資料の確認が重要です。 退職給付信託を経由して掛金や退職金が支払われても、税務上は法人負担として整理される場面があり、報酬給与額に算入が必要となります。出向は“給与=実質負担者/退職金=形式支払者”、派遣は“労働者派遣法に基づく契約なら75%特例”が基本。契約名目と実態がズレると取扱いが変わるため、契約書と実態確認が申告の安全性を左右します。



私は、合格者が年間40名程度となる税理士試験「事業税」科目に合格しており、事業税・外形標準課税をに関する数多くのご相談や計算をお受けしてきました。
「この処理で本当に合っているのか不安」「外形標準課税の対象になるのか判断できない」「報酬給与額等の集計方法がわからない」
このようなお悩みがございましたら、お気軽にこちらまでお問い合わせください。










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