【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?⑦付加価値割の純支払利子:前編

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?

新屋賢人

昨日まで付加価値割の報酬給与額について整理してきました。今朝からは付加価値割の純支払利子を整理して行きたいと思います。

ミミレイドン

ようやく純支払利子ですね!

新屋賢人

付加価値割の計算で出てくる「純支払利子」。
言葉はシンプルですが、実際は「どこまでが利子?」「相殺できる?」「リースや延滞金は?」など、判断ポイントが意外と多い項目です。
今朝は、純支払利子の基本から“つまずきやすい落とし穴”まで、できるだけわかりやすく整理します。

付加価値割の純支払利子:前編

目次

1.付加価値割とは?(おさらい)

法人事業税の付加価値割(ふかかちわり)は、資本金1億円超の法人などを対象とした「外形標準課税」の一部で、法人が事業活動によって生み出した「付加価値の大きさ」に対して課される税金です。

企業の利益(所得)ではなく、給与の支払いや賃借料の支払いといった事業規模(活動量)を基準にするため、赤字であっても納税義務が生じるのが最大の特徴です。

(1). 課税の仕組みと計算方法

付加価値割の課税標準(税額計算の基礎となる金額)は、「付加価値額」と呼ばれます。これは、以下の2つの要素の合計額です。

付加価値額=収益配分額+単年度損益

① 収益配分額

事業活動から生じた利益を、労働や資本の提供者にどう分配したかを示す指標で、以下の3つの合計です。

  • 報酬給与額: 役員や従業員への給与、賞与、退職金などの総額。
  • 純支払利子: 支払利子から受取利子を差し引いた金額(マイナスの場合は0)。
  • 純支払賃借料: 土地・家屋の支払賃借料から受取賃借料を差し引いた金額(マイナスの場合は0)。
新屋賢人

今朝もこの報酬給与額について、次章以降で詳しく整理していく予定です。

② 単年度損益

その事業年度の所得(税務上の利益)です。ただし、繰越欠損金を控除する前の金額を使います
もし赤字(欠損)の場合は、収益配分額からその赤字分を差し引いて付加価値額を計算します(全体がマイナスになれば課税標準は0円)。

(2). 税率

  • 標準税率:1.2%
  • ただし、各都道府県の条例により、これより高い税率(超過税率)が適用される場合があります(例:東京都などでは1.26%など)。

(3). 対象となる法人

原則として、資本金の額(または出資金の額)が1億円を超える普通法人が対象です。
※2025年度以降の税制改正により、過去に外形標準課税の対象だった法人が減資して資本金1億円以下になっても、「資本金+資本剰余金」が10億円を超える場合などは対象として残る仕組みが導入されています。

ミミレイドン

令和6年度税制改正による外形標準課税の対象法人の変更については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】2024年度(令和6年度)税制改正でどう変わった?外形標準課税の対象法人について

(4). 重要な特徴と特例

  • 赤字でも課税される
    給与や家賃を支払っている限り「収益配分額」が発生するため、たとえ会社の利益が赤字であっても、付加価値割の納税が必要になるケースが一般的です。
  • 雇用安定控除(負担軽減措置)
    多くの雇用を維持している企業に配慮し、「報酬給与額」が「収益配分額」の70%を超える場合は、その超える部分を課税標準から控除できる特例があります。
  • 会計上の扱い(損金算入)
    法人事業税の「所得割」は「法人税、住民税及び事業税」として処理されますが、この「付加価値割」(および資本割)は、事業を行うためのコストとみなされ、「販売費及び一般管理費(租税公課)」として計上されます(損金算入可能です)。
新屋賢人

雇用安定控除額=報酬給与額−収益配分額×70%(マイナスは0)として算定し、付加価値額の算定上控除します。

ミミレイドン

付加価値割の概要については過去のブログ記事で解説しておりますので宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?③付加価値割の概要編

2.純支払利子とは?(概要)

それでは、外形標準課税(付加価値割)の「純支払利子」の概要について解説します。

純支払利子は、法人の事業活動によって生み出された付加価値のうち、「資本財への配分額」を示す指標です。

(1). 純支払利子の計算方法

各事業年度の純支払利子は、以下の計算式で算出します。

純支払利子 = 支払利子の合計額 - 受取利子の合計額

  • マイナスになる場合
    受取利子の合計額が支払利子の合計額を上回る(計算結果がマイナスになる)場合純支払利子は「ゼロ」とします。
  • 法人税との関係
    原則として、当該事業年度の法人税の所得計算上「損金」に算入される支払利子と、「益金」に算入される受取利子が対象となります。
    ※ただし、棚卸資産や固定資産などに計上された利子は、法人税での損金算入を待たず、実際に支出した事業年度の支払利子に算入します
  • 消費税の取扱い
    純支払利子の計算にあたっても、消費税および地方消費税を含まない金額(税抜金額)を基礎とします。
新屋賢人

給与と同様で、基本的には、利子に消費税は課税されませんので、そこまで警戒する必要はありません。

(2). 支払利子となるもの(控除前の金額)

支払利子とは、法人が各事業年度において支払う「負債の利子」および「それに準ずるもの」をいいます。具体的には以下のようなものが該当します。

  • 借入金の利息
  • 社債の利息、社債発行差金
  • コマーシャル・ペーパーの割引料等
  • 手形の割引料(手形売却損として処理している差額を含む)
  • 買掛金を手形によって支払った際に負担した割引料
  • 従業員預り金、営業保証金、敷金等の利息
  • 金融機関に支払う預金利息(マイナス金利等の場合)やコールマネーの利息
  • 信用取引に係る利息、現先取引等に係る利息相当額
  • 延滞金・利子税: 納期限の延長等に伴う「約定利息」の性質を持つ延滞金等は含まれます。
    ※不申告等による「遅延利息」的な延滞金は含まれません。
新屋賢人

次章以降で詳しく見ていきましょう。

(3). 受取利子となるもの(控除する金額)

受取利子とは、法人が各事業年度において支払いを受ける「利子」および「それに準ずるもの」をいいます。具体的には以下のようなものが該当します。

  • 貸付金の利息
  • 国債、地方債、社債の利息
  • 売掛金を手形によって受け取った際に相手方が負担した割引料
  • 営業保証金、敷金等の利息
  • 金融機関等の預貯金利息、コールローンの利息
  • 生命保険や損害保険の据置配当等の額に付されている利息相当額
  • 合同運用信託、公社債投資信託などの収益の分配
  • 還付加算金: 経済的な性質が利子に準ずるものとして含まれます。
新屋賢人

還付加算金は含まれますが、還付金は含まれませんので、ご注意ください。

2.支払利子の範囲

外形標準課税(付加価値割)の「純支払利子」を構成する「支払利子」の範囲について詳しく解説します。

(1). 支払利子の基本的な定義

支払利子とは、法人が各事業年度において支払う「負債の利子」および「これに準ずるもの(手形の割引料など)」をいいます。 原則として、当該事業年度の法人税の所得計算上、損金の額に算入されるものが対象となります。ただし、棚卸資産や固定資産などに計上された利子は、法人税での損金算入を待たず、実際に支出した事業年度に算入します。

(2). 支払利子に含まれる主なもの(原則)

法令や取扱通知において、主として以下のものが支払利子に該当するとされています。

  1. 借入金の利息
  2. 社債の利息
  3. 社債発行差金(社債を割引発行した際の発行価額と額面との差額で、均等償却されるもの)
  4. コマーシャル・ペーパーの券面価額から発行価額を控除した金額
  5. 手形の割引料
    • 受取手形の割引による受領金額との差額(手形売却損)
    • 買掛金を手形によって支払った際に、相手方に対して負担した割引料
  6. 従業員預り金、営業保証金、敷金など、預り金に対する利息
  7. 金融機関の預金利息(法人が銀行に支払うマイナス金利など)
  8. コールマネーの利息
  9. 信用取引に係る利息
  10. 現先取引および現金担保付債券貸借取引に係る利息相当額
  11. 上記に相当する内部取引の利子

(3). 税金に関連する利子の取扱い(重要)

納期限の延長等に伴うものと、ペナルティによるもので扱いが異なります。

  • 含まれるもの(約定利息的性質)
    申告期限の延長などに伴う「利子税」や、地方税法に基づく「延滞金」(納期限の延長に伴うものなど)は含まれます。
  • 含まれないもの(遅延利息的性質)
    不申告や納期限後の納付に係るペナルティとしての延滞金は、法人税で損金算入されないため、支払利子には含まれません

(4). 特殊な取引における取扱い

  • リース取引
    • 売買や金銭貸借があったものとされるリース取引(ファイナンス・リース等): 契約書等でリース資産の取得価額と利息相当額が明確かつ合理的に区分されている場合、その利息相当額は支払利子となります。
    • 賃貸借取引(オペレーティング・リース等): 利息相当額を区分せず、全額が純支払賃借料(支払賃借料)の対象となります。
  • ヘッジ処理・金利スワップ
    • 繰延ヘッジ処理や特例金利スワップ取引を行っている場合、その対象となった資産等の支払利子に、ヘッジによる受払額(損益)を加減算した後の金額を支払利子とします(実質的な資金コストで計算します)。
  • 遅延損害金
    • 借入金の返済遅延等により支払う遅延損害金は、一種の割増利息としての性格を持つため、含まれます
  • 貿易商社の輸入決済手形借入金
    • 委託買付契約で利息相当額を委託者に負担させる場合でも、原則として商社の支払利子となります(ただし、明確に区分されている場合は委託者の支払利子・商社の受取利子として処理します)。
新屋賢人

賃貸借取引(いわゆるオペレーティング・リース等)のリース料は、原則として純支払利子には含めません。
なお、リース対象が土地・家屋(等)である場合には、そのリース料は純支払賃借料の対象となり得ますが、機械設備等のリース料は純支払賃借料の対象外です。

(5). 支払利子に「含まれない」もの(除外項目)

利子や割引料に似ていても、以下のものは対象外です。

  • 売上割引料
    売掛金等を支払期日前に支払ってくれたことに対する報奨金的な割引であり、負債の利子ではないため含まれません
  • 債券の経過利息
    利息計算期間の中途で債券を購入した際に、法人が支払う「経過利息」は、支払利子とはなりません。その債券の購入後最初に到来する利払期日に受け取る利息の額から、当該経過利息(前払金等)を差し引いた金額を「受取利子」とします。
  • 債権譲渡差損
    売掛債権の譲渡による差額は資産譲渡の損益であり、原則含まれません(ただし償還請求権付きの場合は含まれます)。
  • 資産除去債務に係る利息費用
    将来の費用見積もりであり、現実の負債の利子ではないため含まれません

3.受取利子の範囲

外形標準課税(付加価値割)の「純支払利子」を構成する「受取利子」の範囲について詳しく解説します。

(1). 受取利子の基本的な定義

受取利子とは、法人が各事業年度において支払を受ける「利子」および「これに準ずるもの(手形の割引料など)」をいいます。 原則として、当該事業年度の法人税の所得計算上、益金の額に算入されるものが対象となります。

(2). 受取利子に含まれる主なもの(原則)

法令や取扱通知において、主として以下のものが受取利子に該当するとされています。

  1. 貸付金の利息
  2. 国債、地方債及び社債の利息(特別の法律により発行される利付き債券を含む)
  3. 償還有価証券(コマーシャル・ペーパー等)の調整差益
  4. 手形の割引料(売掛金を手形によって受け取った際、相手方が負担した割引料)
  5. 預け金の利息(営業保証金、敷金など)
  6. 金融機関等の預貯金利息および給付補てん備金(源泉所得税等を含めた総額)
  7. コールローンの利息
  8. 信用事業を営む協同組合等からの事業分量配当(預貯金の額に応じて分配されるもの)
  9. 相互会社の基金利息
  10. 保険契約に係る利息相当額
    • 生命保険契約等の据置配当や未収契約者配当に付される利息相当額
    • 損害保険契約(満期返戻金があるもの)の据置配当等に付される利息相当額
  11. 信用取引に係る利息
  12. 信託の収益分配(合同運用信託、公社債投資信託、公募公社債等運用投資信託)
  13. 現先取引および現金担保付債券貸借取引に係る利息相当額
  14. 上記に相当する内部取引の利子

(3). 特殊な取引等における取扱い

  • 還付加算金
    • 国税や地方税の還付の際に加算される「還付加算金」は、経済的な性質が利子に準ずるものとして、受取利子に含まれます。
  • 遅延損害金
    • 金銭債務の履行遅延により受け取る遅延損害金は、損害賠償としての性質を持ちつつも、実質的な割増利息として受取利子に含まれます。
  • リース取引
    • 税務上「資産の売買」または「金銭貸借」があったものとされるリース取引において、賃貸人における取得価額と利息相当額が明確かつ合理的に区分されている場合、その利息相当額は受取利子となります。
  • 金銭債権の取得差額
    • 金銭債権を債権金額より低い(または高い)金額で取得した場合、その差額(実質的な贈与を除く)が金利の調整により生じたものと認められるときは、期間の経過に応じて益金算入される金額を受取利子として取り扱います。

(4). 受取利子計算時の注意点(控除・除外されるもの)

  • 債券の経過利息の控除
    • 利息計算期間の中途で国債等の債券を購入し、「経過利息」を前払金として支払った場合、購入後最初に受け取る利息の額から、その前払金額(経過利息)を差し引いた金額が受取利子となります。
  • 売上割引料(含まれない)
    • 売掛金等について支払期日前に代金を受け取ったことに対する報奨金的な割引(売上割引料)は、負債の利子に準ずるものではないため、受取利子から減算(または支払利子に加算)することはできません
  • ヘッジ処理等による調整
    • 金利スワップ取引や繰延ヘッジ処理を行っている場合、そのヘッジ対象となった資産等に係る受取利子に、ヘッジによる受払額(損益)を加減算した後の実質的な金額を受取利子とします。

4.繰延ヘッジ処理または特例金利スワップ取引等を行っている場合の取扱い

外形標準課税(付加価値割)の「純支払利子」の計算における、繰延ヘッジ処理または特例金利スワップ取引等を行っている場合の取扱いについて詳しく解説します。

新屋賢人

結論から申し上げますと、ヘッジ目的でこれらの取引を行っている場合、支払利子および受取利子は、名目上の利子ではなく「実質的な資金コスト(受払額を加減算した後の金額)」で計算します。

ミミレイドン

ちなみに、繰延ヘッジ処理とは、法人が金銭の額の変動等による損失をヘッジするためにデリバティブ取引等を行った場合、原則は期末に時価評価して損益を計上しますが、ヘッジ対象の譲渡等が未済で、かつヘッジとして有効である等の一定要件を満たす場合に、その損益の計上を繰り延べる(直ちに益金・損金に入れない)例外的な処理のことです。
また、特例金利スワップ取引等とは、金利変動損失を減少させる目的で行われるスワップ取引やオプション取引のうち、取引の元本とヘッジ対象の金額がおおむね同額であること、期間が同一であること、金利の指標がおおむね一致していることなど、一定の厳格な要件を満たすものを指します。

(1). 基本的な計算方法

金利の変動に伴って生ずるおそれのある損失を減少させる目的で、法人税法の規定により「繰延ヘッジ処理」や「特例金利スワップ取引等」を行っている場合、以下の計算により算出された金額を基礎として支払利子・受取利子とします。

  • 計算式
    対象となった資産等に係る「本来の支払利子または受取利子の額」 +(又は-) 繰延ヘッジ処理による損益の額や特例金利スワップ取引等に係る受払額

(2). なぜ、この取扱いとなるのか(制度の趣旨)

負債の利子の計算においては、実質的な資金コストにより計算すべきであると考えられています。 資金調達に伴って発生する負債利子と、繰延ヘッジ処理等によるデリバティブ取引が「一体の取引」を構成している場合、単に本来の利息だけを計上するのではなく、ヘッジ処理等によって実際に授受する金銭を加減算した金額を基礎とする必要があります。外形標準課税の純支払利子においても、原則として法人税の取扱いに合わせるため、この実負担額(実質的な資金コスト)で計算することとされています

(3). 具体的な計算例(金利スワップの場合)

  • 前提
    銀行から「変動金利(実質年2%)」で借入をしている法人が、金利上昇リスクを回避するため、「固定金利(年3%)」との交換契約(金利スワップ取引)を結び、実質的な負担が固定金利3%分となったとします。
  • 取扱い
    この場合、借入金に係る本来の支払利子(2%分)に、金利スワップ取引によって支払うこととなった利子(1%分)を加算した「実負担である3%分」が、その法人の支払利子の額となります。

5.長期割賦販売等契約の取り扱い

外形標準課税(付加価値割)の「純支払利子」における長期割賦販売等契約の取扱いについて詳しく解説します。

(1). 基本的な取扱い

「長期割賦販売等契約(これらに類する契約を含みます)」によって資産を購入または販売した場合、その割賦期間分の「利息相当額」は、特定の要件を満たす場合に限り、外形標準課税上の「支払利子」及び「受取利子」として取り扱われます

新屋賢人

長期割賦販売等契約とは、主に以下の3つの要件すべてに適合する条件で行われる資産の販売等を指します。
①月賦、年賦その他の賦払の方法により3回以上に分割して対価の支払を受けること。
②目的物の引渡し(又は役務の提供)の期日の翌日から、最後の支払期日までの期間が2年以上であること。
③引渡しの期日までに支払期日が到来する金額の合計額が、対価の額の3分の2以下であること。

(2). 算入するための要件(明確な区分)

利息相当額を支払利子・受取利子として扱うためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 契約書等において、「購入代価(又は販売代価)」と「割賦期間分の利息相当額」とが明確かつ合理的に区分されていること
新屋賢人

この「明確かつ合理的に区分」とは、単に内部で計算しているだけでなく、契約書等において契約の当事者双方がその金額を認識でき、かつ、その金額が合理的に区分されている必要があるとされています。

(3). この取扱いとされる理由

割賦払いの合計額のうち、何割を利子相当額に充当するかは、当事者間の契約(了解)によって決定されるものと考えられます。 契約において利子相当額が明示されている場合、その実態は「金融機関等から資金を借り入れて、製品等を購入する場合」と同じ(金融取引に類似するもの)と言えます。そのため、通常の支払利子・受取利子の取扱いと均衡を図る目的から、純支払利子に含めることとされています。

6.資産の売買があったものとされるリース取引の取り扱い

ご提示いただいた資料に基づき、外形標準課税における「純支払利子」の計算において、「資産の売買があったものとされるリース取引(いわゆるファイナンス・リース取引など)」をどのように取り扱うかについて詳しく解説します。

(1). 基本的な取扱い(利息相当額が対象)

法人税法上「資産の売買があったものとされるリース取引」に該当する場合、各事業年度に支払う(または受け取る)リース料の合計額のうち、「利息相当額」に該当する部分が純支払利子(支払利子および受取利子)として取り扱われます

新屋賢人

法人税法上、以下の2つの基本要件(税務上のリース取引の要件)を満たし、かつ、所有権移転などの特定条件を満たすものが該当します。
中途解約不能(ノンキャンセラブル): リース期間の中途において契約解除ができないこと。
②フルペイアウト: 賃借人がリース資産から経済的な利益を実質的に享受でき、かつ、使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すること。
上記の基本要件を満たした上で、さらに以下のいずれかに該当すると、「売買があったもの」とみなされます。
①リース期間終了後等に、無償または名目的な対価で賃借人に譲渡されるもの。
②賃借人に著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているもの。
③賃借人のみによって使用されると見込まれるもの(特注品など)。
④リース期間が耐用年数に比べて著しく短いなど、相当の差異があるもの(租税回避目的とみなされるもの)。

(2). 算入するための要件(明確かつ合理的な区分)

利息相当額を純支払利子として扱うためには、原則として以下の要件を満たす必要があります。

  • 原則
    契約書等において、当該リース資産の「賃貸人における取得価額」と「利息相当額」とが明確かつ合理的に区分されていること。
  • 例外(契約書に明記されていない場合)
    契約書に利息相当額の区分がない場合であっても、会計処理において合理的な見積もり金額によりリース資産の取得価額と利息相当額を区分し、会計処理に沿った法人税の取扱いにより利息相当額が区分され、損金の額(または益金の額)に算入されている場合には、支払利子(または受取利子)に含めることとなります。

(3). このような取扱いとなる理由(制度の趣旨)

この種のリース取引は、形式的には賃貸借契約であっても、実質的には「金融機関から資金を借り入れて資産を購入した」こと(割賦販売等)と同じ金融取引であるとみなされます。

そのため、割賦販売との均衡を図る観点から、リース料の全額を家賃やレンタル料として処理するのではなく、元本返済部分(減価償却費となる部分)と利息部分に分け、その利息部分の実態を純支払利子に反映させるルールとなっています。

7.金銭賃借とされるリース取引の取り扱い

外形標準課税の「純支払利子」における、「金銭貸借とされるリース取引」の取扱いについて詳しく解説します。

以前の回答でも触れました通り、税務上「金銭貸借」とされるリース取引の対価は「賃借料」ではなく金融取引として扱われるため、そのリース料の中に含まれる「利息相当額」が純支払利子(支払利子および受取利子)の対象となります。

(1). 基本的な取扱い(利息相当額の算入)

法人税法において「金銭貸借とされるリース取引」に該当する場合、各事業年度のリース料の額のうち、通常の金融取引における元本と利息の区分計算の方法に準じて合理的に計算された「利息相当額」を、支払利子(賃借人側)および受取利子(賃貸人側)として取り扱います

当該事業年度の法人税の所得計算において、損金とされる額を「支払利子」に、益金とされる額を「受取利子」として計上します。

新屋賢人

ここで対象となる金銭貸借とされるリース取引とは、「実質的に金銭の貸借である」と認定される取引で、セール・アンド・リースバック取引などがあげられます。 セール・アンド・リースバック取引とは、法人が、譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース)を条件に資産の売買を行った場合において、その売買及び賃貸に至る事情などから、実質的に「資産を担保にした資金の借入れ(金銭の貸借)」であると認められる取引です。
税務上の扱いとしては、このような取引は、法人税において「資産の売買はなかったもの」とされ、金銭の貸付け(借入れ)があったものとして扱われます。外形標準課税においてもこの金融取引としての実態に合わせ、通常の金融取引との均衡を図る目的から利息相当額を純支払利子として取り扱います。

(2). 利息相当額の計算方法(均等区分の容認)

利息相当額の計算は、原則として通常の金融取引(借入金など)に準じて合理的に行う必要があります。

ただし実務上の配慮として、リース料の額のうちに「元本返済額が均等に含まれている」ものとして利息相当額を計算(簡便的な計算)しても差し支えないこととされています。

(3). 算入にあたっての留意点

リース取引の利息相当額を支払利子・受取利子として取り扱うためには、契約書等において当事者双方がその金額を認識でき、かつ、その金額が明確かつ合理的に区分されている必要があると考えられています。
(※リース取引ではない「通常の金銭貸借」であれば、契約書等で利息が明確に区分されていなくても合理的な利率等で計算されていれば利子として扱われますが、リース取引においては区分計算が求められる点に留意が必要です。)

8.まとめ

純支払利子は、付加価値割の課税標準を構成する要素の一つで、支払利子-受取利子(マイナスはゼロ)で算定します。
原則は法人税の損金/益金に準拠しますが、資産計上利子は支出年度で把握する点、消費税等は除外する点、そしてリース・延滞金・金利スワップ等の例外論点がある点は要注意です。
“利子の範囲”の判断に迷う場合は、取扱通知等の根拠に立ち返って、個別取引の実態に即して整理することが重要です。

新屋賢人

私は、合格者が年間40名程度となる税理士試験「事業税」科目に合格しており、事業税・外形標準課税をに関する数多くのご相談や計算をお受けしてきました。
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この記事を書いた人

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

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