ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



今朝は昨日の続きとして、付加価値割の純支払利子(後編)を整理して行きたいと思います。



純支払利子もいよいよラストですね!



「利息に見えるもの」は、全部“利息”とは限りません。
外形標準課税(付加価値割)の「純支払利子」は、借入利息だけを集計すれば終わりと思われがちですが、実際には 遅延損害金、経過利息、売上割引料、金銭債権の取得差額など、紛らわしい論点がいくつもあります。
しかも、ひとつ判断を誤ると、付加価値額がズレて税額にも影響し、申告リスクに直結します。
今朝は、昨日に引き続き取扱通知の整理に沿って、間違えやすい5論点を整理していきたいと思います。



外形標準課税の①概要や②所得割③付加価値割(概要)④報酬給与額(前編)⑤報酬給与額(中編)⑥報酬給与額(後編)⑦純支払利子(前編)については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】法人事業税・外形標準課税とは?①概要編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?②所得割編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?③付加価値割の概要編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?④付加価値割の報酬給与額:前編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?⑤付加価値割の報酬給与額:中編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?⑥付加価値割の報酬給与額:後編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?⑦付加価値割の純支払利子:前編
付加価値割の純支払利子:後編
1.付加価値割とは?(おさらい)
法人事業税の付加価値割(ふかかちわり)は、資本金1億円超の法人などを対象とした「外形標準課税」の一部で、法人が事業活動によって生み出した「付加価値の大きさ」に対して課される税金です。
企業の利益(所得)ではなく、給与の支払いや賃借料の支払いといった事業規模(活動量)を基準にするため、赤字であっても納税義務が生じるのが最大の特徴です。
(1). 課税の仕組みと計算方法
付加価値割の課税標準(税額計算の基礎となる金額)は、「付加価値額」と呼ばれます。これは、以下の2つの要素の合計額です。
付加価値額=収益配分額+単年度損益
① 収益配分額
事業活動から生じた利益を、労働や資本の提供者にどう分配したかを示す指標で、以下の3つの合計です。
- 報酬給与額: 役員や従業員への給与、賞与、退職金などの総額。
- 純支払利子: 支払利子から受取利子を差し引いた金額(マイナスの場合は0)。
- 純支払賃借料: 土地・家屋の支払賃借料から受取賃借料を差し引いた金額(マイナスの場合は0)。



今朝もこの報酬給与額について、次章以降で詳しく整理していく予定です。
② 単年度損益
その事業年度の所得(税務上の利益)です。ただし、繰越欠損金を控除する前の金額を使います。
もし赤字(欠損)の場合は、収益配分額からその赤字分を差し引いて付加価値額を計算します(全体がマイナスになれば課税標準は0円)。
(2). 税率
- 標準税率:1.2%
- ただし、各都道府県の条例により、これより高い税率(超過税率)が適用される場合があります(例:東京都などでは1.26%など)。
(3). 対象となる法人
原則として、資本金の額(または出資金の額)が1億円を超える普通法人が対象です。
※2025年度以降の税制改正により、過去に外形標準課税の対象だった法人が減資して資本金1億円以下になっても、「資本金+資本剰余金」が10億円を超える場合などは対象として残る仕組みが導入されています。



令和6年度税制改正による外形標準課税の対象法人の変更については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】2024年度(令和6年度)税制改正でどう変わった?外形標準課税の対象法人について
(4). 重要な特徴と特例
- 赤字でも課税される
給与や家賃を支払っている限り「収益配分額」が発生するため、たとえ会社の利益が赤字であっても、付加価値割の納税が必要になるケースが一般的です。 - 雇用安定控除(負担軽減措置)
多くの雇用を維持している企業に配慮し、「報酬給与額」が「収益配分額」の70%を超える場合は、その超える部分を課税標準から控除できる特例があります。 - 会計上の扱い(損金算入)
法人事業税の「所得割」は「法人税、住民税及び事業税」として処理されますが、この「付加価値割」(および資本割)は、事業を行うためのコストとみなされ、「販売費及び一般管理費(租税公課)」として計上されます(損金算入可能です)。



雇用安定控除額=報酬給与額−収益配分額×70%(マイナスは0)として算定し、付加価値額の算定上控除します。



付加価値割の概要については過去のブログ記事で解説しておりますので宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?③付加価値割の概要編
2.純支払利子とは?(おさらい)
まず初めに、昨日確認した外形標準課税(付加価値割)の「純支払利子」の概要をおさらいしましょう。
純支払利子は、法人の事業活動によって生み出された付加価値のうち、「資本財への配分額」を示す指標です。
(1). 純支払利子の計算方法
各事業年度の純支払利子は、以下の計算式で算出します。
純支払利子 = 支払利子の合計額 - 受取利子の合計額
- マイナスになる場合
受取利子の合計額が支払利子の合計額を上回る(計算結果がマイナスになる)場合、純支払利子は「ゼロ」とします。 - 法人税との関係
原則として、当該事業年度の法人税の所得計算上「損金」に算入される支払利子と、「益金」に算入される受取利子が対象となります。
※ただし、棚卸資産や固定資産などに計上された利子は、法人税での損金算入を待たず、実際に支出した事業年度の支払利子に算入します。 - 消費税の取扱い
純支払利子の計算にあたっても、消費税および地方消費税を含まない金額(税抜金額)を基礎とします。



給与と同様で、基本的には、利子に消費税は課税されませんので、そこまで警戒する必要はありません。
(2). 支払利子となるもの(控除前の金額)
支払利子とは、法人が各事業年度において支払う「負債の利子」および「それに準ずるもの」をいいます。具体的には以下のようなものが該当します。
- 借入金の利息
- 社債の利息、社債発行差金
- コマーシャル・ペーパーの割引料等
- 手形の割引料(手形売却損として処理している差額を含む)
- 買掛金を手形によって支払った際に負担した割引料
- 従業員預り金、営業保証金、敷金等の利息
- 金融機関に支払う預金利息(マイナス金利等の場合)やコールマネーの利息
- 信用取引に係る利息、現先取引等に係る利息相当額
- 延滞金・利子税: 納期限の延長等に伴う「約定利息」の性質を持つ延滞金等は含まれます。
※不申告等による「遅延利息」的な延滞金は含まれません。



次章以降で詳しく見ていきましょう。
(3). 受取利子となるもの(控除する金額)
受取利子とは、法人が各事業年度において支払いを受ける「利子」および「それに準ずるもの」をいいます。具体的には以下のようなものが該当します。
- 貸付金の利息
- 国債、地方債、社債の利息
- 売掛金を手形によって受け取った際に相手方が負担した割引料
- 営業保証金、敷金等の利息
- 金融機関等の預貯金利息、コールローンの利息
- 生命保険や損害保険の据置配当等の額に付されている利息相当額
- 合同運用信託、公社債投資信託などの収益の分配
- 還付加算金: 経済的な性質が利子に準ずるものとして含まれます。



還付加算金は含まれますが、還付金は含まれませんので、ご注意ください。
3.輸入決済手形借入金の利息の取り扱い
外形標準課税(付加価値割)の「純支払利子」における「輸入決済手形借入金の利息」の取扱いについて詳しく解説します。
主に貿易商社などが輸入決済のために借り入れる手形借入金に関連する規定です。
(1). 基本的な取扱い(原則として貿易商社の「支払利子」となる)
貿易商社が支払う輸入決済手形借入金の利息は、原則として当該貿易商社の「支払利子」となります。
この取扱いは、その輸入が「委託買付契約」に基づくものであり、実質的にその利息相当額を委託者(買い手)に負担させることとしている場合であっても同様です。
(2). なぜ貿易商社の支払利子となるのか(制度の趣旨)
この取扱いは法人税の考え方に基づいています。 商社が銀行等に利息を支払う取引と、商社が委託者からその利息相当額を徴収する取引は、それぞれ別個の独立した取引であるという前提に立っています。そのため、委託者にコストを転嫁していたとしても、商社が自ら調達した資金に対する利息である以上、まずは商社自身の負債の利子(支払利子)として該当することとされています。
(3). 明確に区分されている場合の例外(受取利子・支払利子としての両建て)
上記が原則ですが、委託買付契約において、「当該利息相当額が明確かつ合理的に区分されている」場合には、以下のようになります。
- 貿易商社の取扱い
当該利息相当額を「受取利子」として取り扱います(商社自身の支払利子に計上した上で、同額を受取利子として計上し、純支払利子の計算上相殺されます)。 - 委託者の取扱い
当該利息相当額を「支払利子」として取り扱います。



これは、商社が実際に支払った利息のうち、委託者に転嫁した額が契約上明確に区分されているのであれば、実態に合わせて委託者の資金コスト(支払利子)として反映させることが合理的であるためです。
したがって、原則は、委託者に負担させても、「貿易商社の支払利子」となりますが、例外として、委託買付契約等で利息相当額が明確かつ合理的に区分されていれば、その部分は「委託者の支払利子」および「貿易商社の受取利子」として処理する。
4.遅延損害金の取り扱い
外形標準課税(付加価値割)の「純支払利子」における「遅延損害金」の取り扱いについて詳しく解説します。



結論から申し上げますと、借入金の返済遅延等に伴う遅延損害金は、「支払利子」および「受取利子」の双方に含まれます。
(1). 遅延損害金(遅延利息)とは
ここでの遅延損害金とは、契約当事者の一方が定められた期日までに金銭の支払いをしない場合などに課せられる損害賠償額であり、遅延期間に応じて一定の利率に基づいて算定して支払うものを指します。金銭債務の履行遅延に伴うものであるため、一般に「遅延利息」とも呼ばれます。
(2). なぜ支払利子・受取利子に含まれるのか
遅延損害金が純支払利子の対象となる理由として、主に以下の2点が挙げられます。
- 「割増利息」としての性格
遅延損害金は、本来の契約通りに返済されなかったことに対する「損害賠償金」としての性質を持ちます。しかし実態としては、借主が返済を遅延しても直ちに期限の利益を失うわけではなく、「遅延損害金という一種の割増利息を支払うことによって返済期限を延期できる」という性格を持つものと認められています。そのため、金銭債務を元本とする「負債の利子」に該当すると判断されます。 - 法人税の取り扱いとの一致
純支払利子における支払利子および受取利子の範囲は、原則として法人税法上の「負債の利子」と一致させることとされています。遅延損害金は、法人税における受取配当等の益金不算入の計算において「負債の利子」として扱われ、現実に支払った日(または受け取った日)の属する事業年度の損金(または益金)に算入できることとされているため、外形標準課税においてもこれに合わせて純支払利子に含めることとされています。



したがって、法人が支払う遅延損害金は「支払利子」として加算し、相手方から受け取る遅延損害金は「受取利子」として控除して、純支払利子を計算することになります。
5.売上割引料の取り扱い
外形標準課税の「純支払利子」における「売上割引料」の取り扱いについて詳しく解説します。



結論から申し上げますと、売上割引料は「支払利子」および「受取利子」のいずれにも含まれません(対象外となります)。
(1). 売上割引料とは
売上割引料とは、法人が一定の支払期間を与えた売掛金などの債権について、相手方が支払期日より前に代金を支払ってくれた場合(早期決済)に、その期間に応じて一定の割合を割り引いて(支払って)あげる金額のことを指します。
(2). なぜ支払利子・受取利子に含まれないのか
売上割引料が純支払利子の対象から除外される理由として、主に以下の2点が挙げられます。
- 「報奨金」としての性格(負債の利子ではない)
売上割引料は、その額の計算方法が利息の計算に似ているため利子のように見えます。しかし、実際には法人が借入金などの「負債」を抱えていてその利息を支払うわけではなく、単に「期限前に早く支払ってくれたことに対する報奨金(値引き)」として支払うものです。したがって、法的な意味での「負債の利子」には該当しないと判断されます。 - 法人税の取り扱いとの一致
外形標準課税における純支払利子(支払利子・受取利子)の範囲は、原則として法人税における受取配当等の益金不算入の計算で用いられる「負債の利子」の範囲と一致させることとされています。法人税法上も、売上割引料はこの「負債の利子」には含まれないとされているため、外形標準課税においても同様に対象外として取り扱われます。



したがって、法人が得意先に支払う売上割引料を「支払利子」として加算したり、逆に仕入先から受け取る仕入割引料を「受取利子」として控除したりすることはできません。手形の割引料が純支払利子に含まれることと混同しやすいため、計算時には明確に区別して除外する必要があります。
6.経過利息の取り扱い
外形標準課税(付加価値割)の純支払利子の計算における「経過利息」の取り扱いについて詳しく解説します。
(1). 経過利息とは
経過利息とは、国債、地方債、社債などの利付債券を「利息の計算期間の中途」で購入(売買)した際に、前回の利払日の翌日から売買の受渡日までの経過日数に応じて日割り計算され、買い手から売り手に対して支払われる利息相当額のことをいいます。



外形標準課税において、この経過利息を支払った側(買い手)と受け取った側(売り手)で取り扱いが異なります。
(2). 経過利息を「支払った」法人(買い手)の取り扱い
債券を購入して経過利息を支払った法人については、以下のようになります。
- 支払利子としての取り扱い(含まれない)
法人が支払った経過利息に相当する金額は、法人の負債から生じた利子ではないため、「支払利子」としては取り扱いません(支払利子に加算することはできません)。 - 受取利子としての取り扱い(受取額からの差し引き)
法人が支払った経過利息を「前払金」として経理した場合、その債券の購入後、最初に到来する利払期において支払いを受ける利息の額から、当該前払金額(支払った経過利息)を差し引いた金額が「受取利子の額」となります。つまり、実質的に自分が保有していた期間に対応する利息のみが受取利子を構成します。
(3). 経過利息を「受け取った」法人(売り手)の取り扱い
債券を売却して経過利息を受け取った法人については、会計処理の方法によって決まります。
- 経過利息に相当する金額を受け取った法人が、当該金額を「利息」として経理した場合には、当該金額は「受取利子」として取り扱います。
(4). なぜこの取り扱いとなるのか(背景)
この取り扱いは、法人税のルール(受取配当等の益金不算入の計算)と歩調を合わせたものです。 法人税においても、買い手が支払う経過利息は「負債の利子」には該当しないとされており、外形標準課税の支払利子もこれに一致させるため対象外とされています。また、前払金経理した場合の最初の利払期における控除処理も、法人税における実務上の取り扱いに準じたものとなっています。
7.金銭債権の取得差額の取り扱い
外形標準課税(付加価値割)の「純支払利子」における「金銭債権の取得差額」の取り扱いについて詳しく解説します。



結論から申し上げますと、金銭債権を額面(債権金額)より低い(または高い)金額で取得した場合、その差額が「金利の調整」によるものと認められる部分については、「受取利子」として取り扱われます。
(1). 受取利子となる要件
金銭債権をその債権金額と異なる金額で取得した場合において、その債権金額と取得価額との差額(実質的な贈与と認められる部分の金額を除く。以下「取得差額」)の全部又は一部が「金利の調整により生じたもの」と認められる場合が対象となります。



この場合、会計処理において金銭債権の取得価額を帳簿価額として付し、金利の調整により生じた額について取得価額の修正を行っていることが前提となります。
(2). 計算と計上の方法
取得差額を一括で受取利子とするわけではなく、当該金銭債権の支払期日までの期間の経過に応じ、「利息法」又は「定額法」に基づき計算された金額(期間対応分)を、その事業年度の受取利子として取り扱います。 これは、法人税法においても当該金額が益金の額に算入されるため、外形標準課税においてもこれに合わせて受取利子として扱うこととされているためです。
(3). 受取利子とならないケース(対象外)
以下のような場合は、差額が生じていても受取利子には含まれません。
- 信用リスクを反映した差額(不良債権の取得など)
あくまで「金利の調整」によって生じた部分が対象です。債務者の信用リスクを反映して、不良債権を債権金額より著しく低く取得したような場合の差額は、金利の調整とは認められないため適用されません。 - 取得時に「債権金額」を帳簿価額とした場合
金銭債権の取得時に、実際の取得価額ではなく「債権金額」をそのまま帳簿価額として付した場合は、税務上「異なる金額で取得した場合」には当たらないとされます。この場合、割引額には負債の利子の性質がないとみなされ、受取利子とはなりません。 - 実質的な贈与
取得差額のうち、実質的な贈与と認められる部分の金額は除外されます。
8.まとめ
今回は、外形標準課税の純支払利子における特殊な論点について解説しました。
純支払利子の判定における重要なポイントは、以下の2点に集約されます。
- 「負債の利子」としての性格があるか
売上割引のように、計算方法が利息に似ていても、実質が「報奨金」や「値引き」であるものは対象外となります。逆に、遅延損害金のように、実質的に資金の使用対価(割増利息)としての性質を持つものは対象となります。 - 法人税法との整合性
外形標準課税独自の規定がない限り、原則として法人税法における「受取配当等の益金不算入」規定等の計算における「負債の利子」の範囲と一致します。
輸入決済手形利息における商社・委託者の区分や、経過利息の処理など、個別の契約内容や経理処理の方法によって取扱いが変わる項目もあります。
誤った処理は過大納付や過少申告に直結しますので、判断に迷う特殊な取引がある場合には、契約書の内容を改めて確認するとともに、税理士へ相談することをお勧めいたします。



私は、合格者が年間40名程度となる税理士試験「事業税」科目に合格しており、事業税・外形標準課税をに関する数多くのご相談や計算をお受けしてきました。
「この処理で本当に合っているのか不安」「外形標準課税の対象になるのか判断できない」「報酬給与額等の集計方法がわからない」
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