ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマは何でしょうか?



昨日まで付加価値割の純支払利子について整理してきましたが、今朝から純支払賃借料について、整理して行きたいと思います。



いよいよ付加価値割の最後の論点ですね!



外形標準課税の付加価値割で、意外と“落とし穴”になりやすいのが「純支払賃借料」です。
家賃・地代だから簡単……と思いきや、1か月要件、共益費の区分、礼金・更新料の扱い、さらにはインボイス制度後の消費税等の扱いまで絡むと、集計ミスが税額に直結します。
今朝は、「どこまでが純支払賃借料になるのか」という申告実務で迷いやすいポイントを整理していきたいと思います。



外形標準課税の①概要や②所得割③付加価値割(概要)④報酬給与額(前編)⑤報酬給与額(中編)⑥報酬給与額(後編)⑦純支払利子(前編)⑧純支払利子(後編)については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】法人事業税・外形標準課税とは?①概要編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?②所得割編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?③付加価値割の概要編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?④付加価値割の報酬給与額:前編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?⑤付加価値割の報酬給与額:中編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?⑥付加価値割の報酬給与額:後編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?⑦付加価値割の純支払利子:前編
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?⑧付加価値割の純支払利子:後編
付加価値割の純支払賃借料(前編)
1.付加価値割とは?(おさらい)
法人事業税の付加価値割(ふかかちわり)は、資本金1億円超の法人などを対象とした「外形標準課税」の一部で、法人が事業活動によって生み出した「付加価値の大きさ」に対して課される税金です。
企業の利益(所得)ではなく、給与の支払いや賃借料の支払いといった事業規模(活動量)を基準にするため、赤字であっても納税義務が生じるのが最大の特徴です。
(1). 課税の仕組みと計算方法
付加価値割の課税標準(税額計算の基礎となる金額)は、「付加価値額」と呼ばれます。これは、以下の2つの要素の合計額です。
付加価値額=収益配分額+単年度損益
① 収益配分額
事業活動から生じた利益を、労働や資本の提供者にどう分配したかを示す指標で、以下の3つの合計です。
- 報酬給与額: 役員や従業員への給与、賞与、退職金などの総額。
- 純支払利子: 支払利子から受取利子を差し引いた金額(マイナスの場合は0)。
- 純支払賃借料: 土地・家屋の支払賃借料から受取賃借料を差し引いた金額(マイナスの場合は0)。



今朝はこの純支払賃借料について、次章以降で詳しく整理していく予定です。
② 単年度損益
その事業年度の所得(税務上の利益)です。ただし、繰越欠損金を控除する前の金額を使います。
もし赤字(欠損)の場合は、収益配分額からその赤字分を差し引いて付加価値額を計算します(全体がマイナスになれば課税標準は0円)。
(2). 税率
- 標準税率:1.2%
- ただし、各都道府県の条例により、これより高い税率(超過税率)が適用される場合があります(例:東京都などでは1.26%など)。
(3). 対象となる法人
原則として、資本金の額(または出資金の額)が1億円を超える普通法人が対象です。
※2025年度以降の税制改正により、過去に外形標準課税の対象だった法人が減資して資本金1億円以下になっても、「資本金+資本剰余金」が10億円を超える場合などは対象として残る仕組みが導入されています。



令和6年度税制改正による外形標準課税の対象法人の変更については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】2024年度(令和6年度)税制改正でどう変わった?外形標準課税の対象法人について
(4). 重要な特徴と特例
- 赤字でも課税される
給与や家賃を支払っている限り「収益配分額」が発生するため、たとえ会社の利益が赤字であっても、付加価値割の納税が必要になるケースが一般的です。 - 雇用安定控除(負担軽減措置)
多くの雇用を維持している企業に配慮し、「報酬給与額」が「収益配分額」の70%を超える場合は、その超える部分を課税標準から控除できる特例があります。 - 会計上の扱い(損金算入)
法人事業税の「所得割」は「法人税、住民税及び事業税」として処理されますが、この「付加価値割」(および資本割)は、事業を行うためのコストとみなされ、「販売費及び一般管理費(租税公課)」として計上されます(損金算入可能です)。



雇用安定控除額=報酬給与額−収益配分額×70%(マイナスは0)として算定し、付加価値額の算定上控除します。



付加価値割の概要については過去のブログ記事で解説しておりますので宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】法人事業税の外形標準課税とは?③付加価値割の概要編
2.純支払賃借料とは?(概要)
外形標準課税(付加価値割)における「純支払賃借料」の概要について解説します。
純支払賃借料は、法人の事業活動規模を測る指標(付加価値額)を構成する要素の一つであり、法人が生み出した付加価値のうち「土地等への配分額」を表すものです。
(1). 純支払賃借料の計算方法
各事業年度の純支払賃借料は、以下の計算式で算出します。
純支払賃借料 = 支払賃借料(損金算入額) - 受取賃借料(益金算入額)
- マイナスになる場合
受取賃借料の合計額が支払賃借料の合計額を上回る(計算結果がマイナスになる)場合、純支払賃借料は「ゼロ」とします。 - 法人税との関係
原則として、当該事業年度の法人税の所得計算上「損金」に算入される支払賃借料と、「益金」に算入される受取賃借料が対象となります。
※ただし、棚卸資産や固定資産などに計上された賃借料は、法人税での損金算入を待たず、実際に支出した事業年度に算入します。
(2). 対象となる物件(客体)
対象となるのは、原則として「土地」または「家屋(住宅、店舗、工場、倉庫など)」です。



詳細は第5章で整理していきます。
(3). 対象となる権利
土地または家屋の「使用または収益を目的とする権利」の対価が対象となります。具体的には以下の権利です。
- 賃借権
- 地上権
- 永小作権
- 行政財産を使用する権利(道路占用料など)



詳細は第6章で整理していきます。
(4). 存続期間の要件(重要)
対象となる賃借権等は、その使用または収益できる期間が「連続して1か月以上」であるものに限られます。



1か月未満の短期契約や、時間貸しの駐車場、一時的な会議室の利用などは対象外です。
契約上は1か月未満でも、実質的に連続して1か月以上使用していると認められる場合は対象となります。
(5). 算定上の主な留意点
(1) 消費税等の取扱い
支払賃借料および受取賃借料の計算にあたっては、消費税および地方消費税を含まない金額(税抜金額)を基礎とします。



その法人が「税抜経理」を採用しているか「税込経理」を採用しているかに関わらず、常に税抜金額で計算することになります。



収益配分額(報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料)の算定は、原則として消費税及び地方消費税を除いた金額を基礎とします。
ただし、インボイス制度の下で仕入税額控除の適用を受けられない取引について、税抜経理で対価と区分した「消費税等相当額」を計上している場合などは、取扱通知により収益配分額へ含める取扱いとなり得ます(経過措置の適用関係を含め個別判断が必要です)。
(2) 共益費や役務提供の対価
- 区分されている場合
水道光熱費、管理費、清掃費などの共益費や、倉庫の荷役料など(役務の提供の対価)が、契約等で賃借料と明確かつ合理的に区分されている場合は、純支払賃借料に含めません。 - 区分されていない場合
区分されていない場合は、役務提供の対価等も含めた全額が純支払賃借料となります。
(3) 権利金や保証金等
- 権利金・更新料
賃借権の「設定」や「追加」の対価であり、使用の対価ではないため、原則として対象外です(ただし、前払家賃相当分が含まれる場合はその部分は対象)。 - 保証金・敷金
担保的性格の預り金であるため対象外です。ただし、退去時に未払家賃に充当されて返還されない額などは対象となります。
(4) 変動家賃(歩合家賃)
売上高等に応じて金額が変動する賃借料であっても、土地・家屋の賃借権等の対価であると認められる限り、対象となります。
3.支払賃借料の範囲
外形標準課税(付加価値割)の純支払賃借料を構成する「支払賃借料」の範囲について詳しく解説します。
(1). 支払賃借料の基本的な定義
支払賃借料とは、法人が「土地」または「家屋」を、連続して1か月以上使用または収益する権利(賃借権、地上権など)の対価として支払う金額をいいます。
原則として、その事業年度の法人税の所得計算上「損金の額」に算入されるものが対象となります。ただし、棚卸資産や固定資産などに計上された賃借料は、法人税での損金算入を待たず、実際に「支出した事業年度」の支払賃借料として算入します。



計算にあたっては、消費税等を含まない税抜金額を基礎とします。
(2). 支払賃借料に「含まれる」もの(具体例)
通常の家賃や地代のほか、以下のようなものも支払賃借料に該当します。
- 変動家賃(歩合家賃)
売上高等に応じて金額が変動する賃借料であっても、土地・家屋の対価と認められる限り含まれます。 - 区分されていない共益費・役務対価
契約等において、水道光熱費や管理費、倉庫の荷役料などが賃借料と明確かつ合理的に区分されていない場合、それらも含めた全額が支払賃借料となります。 - 違約金等
明渡しの遅滞により支払う違約金等のうち、実質的に「土地・家屋の使用対価」としての性質を持つもの(例:遅延期間に応じて家賃の2倍を支払うなど)は含まれます。 - 社宅の借上げ費用
法人が第三者からアパート等を借り上げ、役員や従業員に社宅として貸与している場合、法人が貸主に支払う賃借料は支払賃借料となります。 - 荷物の保管料
契約等において「1か月以上荷物を預け、一定の土地又は家屋を使用・収益している」と認められる場合は含まれます。 - 立体駐車場等の賃借料
家屋に該当しなくても、土地と一体となっていると認められる場合は含まれます。



倉庫業者に対する保管料(寄託契約)は、物品の管理という『役務の提供』に対する対価であるため、原則として対象外です。ただし、倉庫内の特定のスペースを専有して使用する契約(賃貸借契約の性質を持つもの)である場合は、支払賃借料に含まれます。
(3). 支払賃借料に「含まれない」もの(除外項目)
- 1か月未満の短期契約
時間貸しの駐車場や一時的な会議室利用などは対象外です。 - 明確に区分された共益費等
水道光熱費や管理費などが、契約等で賃借料と明確かつ合理的に区分されている場合は含まれません。 - 権利金・更新料・名義書換料
賃借権の「設定」や「追加」の対価であり、使用の対価ではないため含まれません(※ただし、前払家賃相当分が含まれる場合はその部分は含まれます)。 - 保証金・敷金
将来の債務を保全する担保的性格の預り金であるため含まれません。 - 売買や金銭貸借とされるリース取引の対価
法人税法上「資産の売買があったものとされるリース取引(ファイナンス・リース等)」や「金銭貸借とされるリース取引(セール・アンド・リースバック等)」に該当する場合、そのリース料は支払賃借料には含まれません(※利息相当額が「支払利子」となります)。 - 消化仕入契約の控除額
百貨店等での売上から一定割合が控除される契約で、法人税の所得計算上、損金(および相手方の益金)に算入されていない場合は含まれません。
4.受取賃借料の範囲
外形標準課税(付加価値割)の純支払賃借料を構成する「受取賃借料」の範囲について詳しく解説します。
受取賃借料は、法人が他の者に土地や家屋を使用・収益させることによって受け取る対価です。これを支払賃借料から差し引くことで、法人の実質的な「土地等への配分額(純支払賃借料)」を算出します。
(1). 受取賃借料の基本的な定義
受取賃借料とは、法人が「土地又は家屋」の使用又は収益を目的とする権利(賃借権等)の対価として、支払を受けることとされている金額をいいます。
- 法人税との関係
原則として、当該事業年度の法人税の所得計算上、「益金の額に算入されるもの」が対象となります。 - 消費税等の取扱い
受取賃借料の計算にあたっては、消費税および地方消費税を含まない金額(税抜金額)を基礎とします。



支払賃借料と同様に、土地または家屋を使用・収益できる期間が「連続して1か月以上」であるものに限られます。
(2). 具体的な取引における取扱い(留意点)
受取賃借料の範囲については、実務上以下の点に留意する必要があります。
- 役員・従業員からの社宅負担金
法人が借り上げている、または自社で所有している家屋を社宅として役員や従業員に貸し付け、給与天引き等で受け取る賃借料(社宅負担金)は、受取賃借料となります。 - 変動家賃(歩合家賃)
ショッピングセンターのテナント料のように、賃借人の売上高等に応じて金額が変動する家賃であっても、土地・家屋の対価と認められる限り受取賃借料となります。 - 共益費や役務提供の対価
水道光熱費や管理費などの「共益費」や、倉庫の荷役料など(役務提供の対価)が、契約書等で家賃と明確かつ合理的に区分されている場合は対象外です。区分されていない場合は、全額が受取賃借料となります。 - 荷物の保管料
契約等において1か月以上荷物を預け、一定の土地・家屋を使用・収益していると認められる場合(継続的な倉庫保管料など)は、受取賃借料に含まれます。 - 立体駐車場等
固定資産税において「家屋」に該当しない立体駐車場等であっても、土地と一体となっていると認められる場合は、対象となります。 - 明渡しの遅滞による違約金等
賃借人が退去を遅延したことによる違約金等で、実質的に「賃借権等の対価」としての性質を有するもの(例:遅延期間中の家賃倍額規定など)は対象となります。
(3). 受取賃借料に「含まれない」もの
以下のものは受取賃借料から除外されます。
- 権利金や更新料
賃借権の設定や追加の対価であり、対象外です(ただし、前払家賃相当分が含まれる場合はその部分は対象)。 - 保証金や敷金
担保的性格の預り金であるため対象外です。 - 売買や金銭貸借とされるリース取引
ファイナンス・リース等に該当する取引のリース料(受取額)は、対象外です(利息相当額が「受取利子」となります)。 - 特定の消化仕入契約による売上控除
百貨店等での消化仕入において、土地等の賃借対価に相当する額が、売場提供側の「益金」に計上されていない(売上から直接控除されている)場合は、対象外となります。
5.支払賃借料及び受取賃借料の対象となる土地又は家屋
外形標準課税の純支払賃借料(支払賃借料および受取賃借料)の対象となる「土地又は家屋」の範囲について詳しく解説します。
(1). 基本的な「土地」と「家屋」の定義
純支払賃借料の対象となる「土地」や「家屋」は、原則として固定資産税や不動産取得税における定義と同様に扱われます。
- 土地
田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地をいいます。 - 家屋
住宅(住家)、店舗、工場、倉庫その他の建物をいいます。



これらの使用又は収益を目的とする権利(存続期間1か月以上)の対価が対象となります。
(2). 「一体となって効用を果たす構築物・附属設備」の取扱い(重要)
単なる土地や建物だけでなく、「土地又は家屋と一体となって効用を果たす構築物や附属設備」も「土地又は家屋」に含まれ、純支払賃借料の対象となります。
この取扱いの判定ルールは以下の通りです。
- 原則(一体として取引される場合)
土地や家屋に構築物が定着、または設備が附属しており、かつ、それらが同一の契約で一体となって賃貸借されている場合には、当該構築物等の賃借料相当額も含めて純支払賃借料の対象となります。 - 別個の契約である場合(原則は対象外)
土地や家屋の契約と、構築物・設備の契約が別個に独立している場合、その構築物等の賃借料は原則として対象外となります。 - 別個の契約である場合の例外(実質的な一体性)
形式的に別契約であっても、物理的に一体となっており、毀損しなければ分離できないなど、独立して賃貸借されないと認められる場合(例:駐車場に舗装されたアスファルト敷、建物に備えられたエレベーター設備など)には、例外として対象に含まれます。
(3). 具体的なケース別の取扱い
取扱通知やQ&Aで示されている具体的な判断例は以下の通りです。
- 立体駐車場等
タワー式駐車場や自走式立体駐車場などで、固定資産税において「家屋」に該当しないもの(構築物扱い)であっても、土地と一体となって使用可能に設置されていると認められる場合は、実態として土地の賃借権等の対価に当たるものとして対象となります。 - 建物の壁面使用料
土地や家屋の「一部」の使用であっても対象となるため、袖看板を設置する目的で建物の壁面(家屋の一部)を借りる場合の壁面使用料は、支払賃借料に該当します。
※逆に、建物に既に設置されている袖看板(構築物)のみを借りて社名を表示する場合は対象外です。 - 自社で保有・賃借している土地に設置する構築物
法人が自ら保有または賃借している土地の上に、別途賃借してきた構築物(プレハブなど)を設置する場合、その構築物の賃借料は純支払賃借料にはなりません。土地の賃借とは関係のない、構築物単体の賃借とみなされるためです。 - 高架道路等
高架道路等の構築物を賃貸借する際、高架下の土地とは別に利用が可能であるため、土地や家屋の賃借権等と別個に取引されている場合には、その構築物の賃借料は対象外となります。
6.土地又は家屋の使用又は収益を目的とする権利
外形標準課税(付加価値割)の純支払賃借料の対象となる「土地又は家屋の使用又は収益を目的とする権利」について詳しく解説します。
事業税において純支払賃借料(支払賃借料および受取賃借料)の対象となるのは、他人の土地又は家屋の使用や収益を「直接的な目的」とする権利の対価です。
(1). 対象となる権利(含まれるもの)
具体的には、以下のような権利が該当します。
- 賃借権
賃貸借契約等に基づき、賃借人が対価を支払って土地や家屋を使用・収益する権利です。
※ただし、法人税法上「資産の売買があったものとされるリース取引」などに該当する賃借権は除かれます。 - 地上権
工作物又は竹木の所有を目的として、他人の土地を使用する権利です。土地上空や地中などの「区分地上権(道路空中の占用など)」も含まれます。 - 地役権
他人の土地を自己の土地の便益に供する権利です。 - 永小作権
耕作又は牧畜を目的として、他人の土地を使用する権利です。 - 行政財産を使用する権利
国有財産法や地方自治法に基づく使用許可により、行政財産(土地・家屋)の使用又は収益を行う権利です。
(2). 対象とならない権利(含まれないもの)
土地等に関連する権利であっても、使用や収益を「直接的な目的」としないものや、単なる債権の保全を目的とする以下の権利などは含まれません。
- 鉱業権、土石採取権、温泉利用権
鉱物の採取や温泉水の利用などを直接の目的とする権利であるため対象外です。 - 質権、留置権、抵当権
債権の担保や保全を目的とする権利であり、土地・家屋の使用・収益を目的とするものではないため対象外です。
(3). 存続期間の要件(1か月以上)
これらの権利の対価が純支払賃借料となるためには、その土地又は家屋を使用又は収益できる期間が「連続して1か月以上」である必要があります。



契約等で定められた期間で判定しますが、契約上は1か月未満であっても、実質的に連続して1か月以上使用・収益できる状態になっていると認められる場合は対象となります。
(4). 実務上の留意点(Q&Aより)
- 契約の名称や主目的によらない実態判断
「業務委託契約」など、契約の名称や主たる目的にかかわらず、実質的に「土地又は家屋の使用又は収益を目的とする権利」が含まれていれば、その対価の額が純支払賃借料となります。契約等で金額の明確な区分がない場合は、全額が対象となります。 - 行政財産を使用する権利の具体例
- 道路の占用料、河川占用料: 土地の使用対価にあたるため、原則として含まれます。
- 公有水面の占用料: 公有水面は土地又は家屋にあたらないため、原則として含まれません。ただし、土地と水面双方の使用を対象とし、金額が区分されていない場合は全額が含まれます。
7.土地又は家屋等の賃借権等の存続期間
外形標準課税(付加価値割)の純支払賃借料における「土地又は家屋の賃借権等の存続期間」について詳しく解説します。
先ほどから申し上げている通り、純支払賃借料(支払賃借料および受取賃借料)の対象となるのは、土地又は家屋を使用又は収益できる期間(存続期間)が「連続して1か月以上」である権利の対価に限られます。
この要件に関する具体的な判定基準や取扱いは以下の通りです。
(1). 期間の判定基準(原則と例外)
- 原則(契約上の期間)
使用又は収益できる期間の判定は、原則として「契約等において定められた期間」によって行います。 - 例外(実質的な期間)
契約で定められた期間が1か月に満たない場合であっても、契約の更新等により、実質的に連続して1か月以上使用・収益できる状態になっていると認められる場合には、支払賃借料又は受取賃借料の対象となります。
(2). なぜ「1か月以上」の要件があるのか(制度の趣旨)
一時的又は短期間の土地・家屋の利用は、「法人の事業活動の基本となる生産要素として土地等を利用している」という色彩が希薄であると考えられています。また、一時的な会議室利用や時間貸し駐車場のようなものまですべて課税対象に含めると、納税者にとって事務負担が過大になることを避けるため、1か月以上という基準が設けられています。
(3). 具体的事例における期間の判定
取扱通知の解説において、以下のような具体的な判断事例が示されています。
- 毎週日曜日に限り、1年間会議室を借りる場合
年間の合計利用日数は1か月を超えますが、「連続して1か月以上」にはなっていないため、その賃借料は対象外となります。 - 3週間契約を更新して、引き続き3週間借りた場合
個々の契約期間は1か月に満たなくても、更新によって実質的に連続して1か月以上使用・収益できる状態となっているため、その賃借料は対象となります。 - 1年間の賃貸借契約を結んだが、実際には使用しなかった場合
実際に使用したかどうかにかかわらず、契約上「使用又は収益できる期間」が1か月を超えているため、その賃借料は対象となります。 - 年度末に1年契約を結び、当期の利用期間が1か月未満の場合
例えば、3月末決算法人が3月10日から1年間の賃貸借契約を結んだ場合、最初の事業年度における使用期間は1か月に満たない(22日間)ですが、契約全体としては連続して1か月以上となっているため、3月10日から3月末までの分の賃借料も、最初の事業年度の支払賃借料として対象となります。



3月10日~3月末の契約と、4月1日からの1年契約を別々に結んでいる場合も、実質的に連続して1か月以上借りているため同様に対象となります。
8.まとめ
今回は、外形標準課税の付加価値割における「純支払賃借料」について、判定基準や具体的な取扱いを解説しました。
最後に、実務上の重要ポイントを改めて整理します。
- 原則は「土地・家屋」の賃借対価
機械装置や車両、ソフトウェアのリース料などは対象外です。 - 「連続して1か月以上」がボーダーライン
契約期間だけでなく、実質的な使用期間や更新の有無で判定します。 - 勘定科目名だけで判断しない
「保管料」や「業務委託費」という科目であっても、実質的にスペースを賃借している場合は対象となる可能性があります。逆に「地代家賃」でも、役務提供対価(明確に区分された共益費など)は除外可能です。 - 「区分」が節税のカギ
共益費や役務提供対価が契約書上で明確に区分されていれば、課税標準から除外できます。契約更新時などに契約書の記載を見直すことも有効な対策となります。
純支払賃借料の集計は、個々の契約書の中身を確認する必要があり、非常に手間のかかる作業です。しかし、正しく理解して区分することで、適正な納税額の算出につながります。迷った際は、必ず契約書等の原資料に立ち返って判定するようにしましょう。



私は、合格者が年間40名程度となる税理士試験「事業税」科目に合格しており、事業税・外形標準課税をに関する数多くのご相談や計算をお受けしてきました。
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