ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?



もうすぐで2月となりますのでいよいよ確定申告シーズン本番ですね!
そこで本日から事業所得の計算や注意点について、業種別で整理して行きたいと思います!



この時期一番知りたい内容ですね!



今朝取り上げる業種は飲食店業になります。飲食店業は、不正している事業者が一定数いるため、税務署がマークしている業種の一つでもあります。飲食店業の所得の計算の基礎から、税務調査でチェックされるポイントまで整理していきましょう!
【飲食店業編】
1.事業所得とは?
事業所得とは、飲食店業、小売業、製造業、農業、あるいは医師、弁護士、作家などの自由職業といった、事業から生じる所得(儲け)のことを指します。個人の事業主が1月1日から12月31日までの1年間で得た収益を計算し、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行って納税します。
(1).事業所得の計算方法
事業所得の計算は、基本的に以下の式で行われます。
事業所得 = 総収入金額 - 必要経費
各項目の概要は以下のとおりです。



詳細については、次章以降で解説します。
総収入金額
店舗での売上金額のほか、事業に伴って生じる「雑収入」も含まれます。雑収入には、空箱や作業くずの売却代金、仕入割引、事業上の貸付利息、あるいはコロナ関係などの給付金が該当します。また、お店の食材や商品を自分や家族のために消費した「自家消費(家事消費)」分も、原則として売上に計上しなければなりません。
必要経費
その収入を得るために直接必要であった金額のことです。飲食店などの場合、主な項目は以下のとおりです。
- 売上原価(仕入)
料理や飲み物を提供するために仕入れた食材や飲料の費用。 - 人件費(給料賃金)
従業員に支払う給料や手当。 - 地代家賃
店舗の賃料など。自宅兼店舗の場合は、面積や使用時間に応じて事業分のみを計算する「家事按分」を行います。 - 水道光熱費・通信費・広告宣伝費
事業運営に必要なインフラ費用や宣伝費。 - 減価償却費
厨房機器や車両など、10万円以上で長期間使用する資産の取得費用を、耐用年数に応じて分割して計上する費用。
(2).申告の種類と特典
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
- 青色申告
複式簿記による記帳などの要件を満たすことで、「青色申告特別控除(最大65万円)」を所得金額から差し引くことができ、大きな節税効果があります。また、赤字を翌年以降3年間繰り越せる制度や、家族への給与を経費にできる特典も受けられます。 - 白色申告
事前の申請が不要で記帳も比較的簡単ですが、青色申告のような特別控除の特典はありません。
(3).申告の要否
原則として、年間の所得金額が基礎控除額を超える場合に確定申告と納税の義務が生じます。ただし、所得がそれ以下であっても、収入の証明が必要な場合や、還付金を受け取る場合などは申告を行うメリットがあります。なお、2025年度の税制改正により、基礎控除の内容が変更されました。



事業所得については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の事業所得の基礎知識について
2.飲食店業の収入
飲食店業における収入は、単にお客様から受け取る飲食代金だけではありません。税務上の「総収入金額」には、日々の売上に加えて、自家消費や事業に伴って発生する様々な「雑収入」が含まれます。
飲食店業の収入となるものを詳しく解説します。
(1).主要な営業売上
飲食店の最も中心的な収入は、店舗でのサービス提供によって得られる売上高です。
- 現金売上
その場で現金で受け取る売上です。 - キャッシュレス決済売上
クレジットカード、電子マネー、バーコード決済(PayPayなど)による売上です。
計上時期の注意点: これらは銀行口座に入金された日ではなく、顧客がカードやアプリを利用した日(サービス提供日)に売上を計上しなければなりません。
手数料の扱い: クレジット手数料などが差し引かれて入金される場合でも、入金額ではなく手数料を差し引く前の総額を売上に計上します。
(2).自家消費(家事消費)
個人経営の飲食店において、店の商品や仕入れた食材を経営者自身や家族が消費した分も売上に計上する必要があります。
- 計上金額
原則として「定価」で計上しますが、特例として「仕入価格」または「通常販売価格の70%」のいずれか高い方の金額で計上することも認められています。
(3).雑収入
本業の飲食サービス以外で、事業に関連して生じた収益は雑収入として総収入金額に算入します。
- 助成金・給付金
コロナ関係の給付金なども含めて雑収入に該当します。 - 廃品売却代金
空箱、空き瓶、作業くずなどの売却代金です。 - 仕入割引・リベート
仕入先から受け取る割引やリベートも収入に含まれます。 - 専属契約料・協賛金
酒類メーカーなどから受け取る専属契約料や協賛金も収入になります。 - まかない代
従業員に提供する「まかない」について、従業員から徴収した代金は収入(雑収入等)として計上します。 - その他
買掛金の免除益、使用人の寄宿舎使用料などが該当します。



国内の銀行などで受け取る預貯金利息は、利子所得であり、原則として支払時に 源泉徴収(所得税・復興特別所得税 15.315% +住民税 5%) され、それで納税が完結する「源泉分離課税」 です。したがって 原則、確定申告に入れません(入れられません)。「税務上は事業所得に入れない」一方で、通帳残高と帳簿残高を合わせるために記帳は必要です。実務的には、個人事業主の場合、預金利息は事業の売上等ではないため、帳簿上は 「事業主借」 で処理する例が一般的です。
仕訳例:現金預金●●円/事業主借●●円
(4).収入のマイナス項目(売上値引き)
お客様が割引券やポイントカードを利用した場合は、それを利用した日の「売上値引き」として処理し、実質的にその日の収入を減らす形で調整します。



クーポンやポイントの処理は「誰が負担する値引きか」で異なります。自店が負担する値引き(自店クーポン・自店ポイント)は売上値引きとして処理するのが一般的です。一方、メーカー等が負担するクーポン(いわゆるメーカークーポン)は、実質的にメーカーのキャッシュバック相当額を小売店が立替える取引と整理され、消費税等の扱いが異なるため注意が必要です。後日解説します。



正確な収入を把握するためには、特にキャッシュレス決済の計上漏れや、自家消費・雑収入の計上忘れに注意し、日々の売上をレジの記録と照合して管理することが重要です。
3.飲食店業の売上原価(仕入)と棚卸
飲食店業における売上原価(仕入)と棚卸は、正確な所得(儲け)を算出し、適正な確定申告を行うために極めて重要な要素です。飲食店は食材や飲料などの在庫が日々変動するため、適切な管理が経営改善や税務リスク回避に直結します。
売上原価に関する会計・税務上の処理と実務上のポイントを詳しく解説します。
(1).売上原価の会計処理と計算方法
売上原価とは、売れた料理や飲み物に対応する原材料費のことです。以下の計算式で算出します。
• 売上原価 = 期首商品棚卸高(年初の在庫) + 当期仕入高(年間の仕入額) - 期末商品棚卸高(年末の在庫)
仕入高(原材料費)の範囲
- 内容
料理やドリンクを提供するために仕入れた食材、飲料、調味料などの購入費用です。 - 消費税
飲食店の場合、食材の仕入れには(酒類を除き)8%の軽減税率が適用される点に注意が必要です。
(2).棚卸(在庫管理)の実務手順
棚卸とは、期末時点で残っている在庫の数量と価値を確定させる作業です。
実施のタイミングと対象
• 時期
原則として12月31日の営業終了後(決算日当日)に実施します。
• 範囲
店舗にある食材、飲料、調味料のほか、割り箸や紙ナプキンなどの消耗品も対象に含めるのが一般的です。
• 開封済みの扱い
開封済みの調味料や酒類なども、残量(例:1/3など)を記録し、在庫として数えます。
在庫の評価方法
飲食店では、以下の最終仕入原価法が最も一般的です。
- 最終仕入原価法
最後に仕入れた時の単価(税抜)に在庫数量を掛けて算出する方法です。 - その他の方法
移動平均法(仕入の度に平均単価を更新)や先入先出法(古いものから消費されると仮定)などがありますが、簡便な最終仕入原価法が広く使われています。
(3).実務上の重要なポイント
廃棄ロス(廃棄損)の計上
賞味期限切れやオーダーミス等で廃棄した食材は、以下のいずれかで処理します。
- 棚卸資産に計上しない
在庫から除外することで、自動的に「仕入高(経費)」に含まれます。 - 棚卸資産廃棄損として計上
仕入高から振り替え、別勘定で計上します。



私のお客様には、廃棄率を把握できるため、経営管理の観点からは「廃棄損」として別管理することをお勧めしております。
自家消費(家事消費)と「まかない」
- 自家消費
経営者や家族が店の食材を飲食した分は、売上に計上します。金額は「仕入価格」または「通常販売価格の70%」のいずれか高い方で計上する特例が認められています。 - まかない
従業員から徴収した代金は収入(雑収入等)になります。無料提供した場合は福利厚生費として認められず、従業員への「現物給与」として課税されるリスクがあるため注意してください。



まかないは飲食店業の税務調査で気を付けるポイントとなります。後ほど解説します。
(4).税務調査での指摘を避けるために
飲食店は「不正発見割合が高い業種」として税務署に注視されています。
- 不自然な原価率の回避
仕入量に対して売上が極端に少ないと、売上除外(中抜き)や棚卸資産の過少申告を疑われます。 - 証憑の保存
仕入伝票や納品書は原則7年間保存し、棚卸表とともに計算根拠を説明できるように整理しておく必要があります。 - インボイス制度への対応
原則課税を選択している場合、仕入先が適格請求書発行事業者でないと仕入税額控除が受けられず、税負担が増える可能性があります。



正確な棚卸は、売上総利益(粗利益)を把握し、経営状態を正しく判断するための基盤となります。日頃から整理整頓を心がけ、手順をマニュアル化して複数人で分担することで、ミスや不正を防ぎ効率的に進めることができます。
4.飲食店業の経費
飲食店業における必要経費とは、事業の収入を得るために直接必要であった金額のことを指します。食材の仕入れから人件費、店舗の維持管理費まで多岐にわたり、正確な所得(儲け)を算出するために正しく分類・記録することが重要です。
飲食店業における主な経費項目と、取り扱いに注意が必要な事項を詳しく解説します。
(1). 主要な営業経費
- 仕入高
料理や飲み物を提供するために必要な食材、飲料、調味料などの購入費用です。 - 給料賃金
正社員やアルバイト、パートに支払う給与、手当、退職金が含まれます。 - 地代家賃
店舗の賃料や駐車場の料金などです。 - 水道光熱費
調理や店舗運営に使用する水道、電気、ガス、灯油などの費用です。
(2).消耗品および維持管理費
- 消耗品費
取得価額が10万円未満、または使用可能期間が1年未満の什器備品が該当します。具体的には、食器、割り箸、紙ナプキン、文房具、清掃用具などが含まれます。 - 修繕費
店舗の内装や厨房機器、車両などの修理にかかった費用です。 - 衛生費(雑費等)
消毒液、マスク、ユニフォームのクリーニング代、専門業者による清掃費用などが該当します。
(3).販売促進および運営費
- 広告宣伝費
チラシやショップカードの作成、グルメサイトへの掲載料、ウェブサイトの運営費などが含まれます。 - 接待交際費
取引先との打ち合わせ時の飲食代や中元・歳暮の費用です。 - 荷造運賃
デリバリーや通販を行う際の梱包材料費や配送運賃です。 - 通信費
店舗の電話代、インターネット料金、切手代などです。 - 損害保険料
店舗の火災保険や、食中毒に備える保険などの掛金です。
(4).飲食店特有の経費処理と注意点
「まかない」の取り扱い
従業員に提供する食事(まかない)を「福利厚生費」とするには、以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
- 従業員が食事の価額の半分以上を負担していること。
- お店側の負担額が1ヶ月あたり3,500円(税抜)以下であること。



これらを満たさない場合は「現物給与」として扱われ、従業員に所得税が課税されるリスクがあります。なお、食事の価額とは、お店で作って提供する場合は、材料費などの原価を指します。お店のメニュー価格ではありません。
参照:国税庁タックスアンサー No.2594 食事を支給したとき
参照:所得税基本通達36-38の2
【通達解説】所得税基本通達36-38の2
所得税基本通達36-38の2は、「食事の支給による経済的利益はないものとする場合」について定めた規定です。
使用者が役員や使用人に対して支給する食事(残業や宿日直の際に支給されるものを除く)について、以下の2つの要件をいずれも満たす場合には、受けた利益を給与所得として課税しなくてよい(経済的利益はないものとする)とされています。
1. 役員または使用人が、食事の価額の50%相当額以上を負担していること。
ここでいう「食事の価額」は、基本通達36-38に基づき、調理して支給する場合は材料費等の直接費用の額、店等から購入して支給する場合はその購入価額によって評価します。
2. 使用者の負担額(食事の価額から本人が支払った対価を引いた残額)が、月額3,500円以下であること。
この月額3,500円の判定は、消費税および地方消費税の額を除いた金額により行います。
注意点
- 使用者の負担額が月額3,500円を超えた場合には、3,500円を超える部分だけでなく、使用者が負担した全額が課税対象となります。
- 残業や宿日直を執り行った者に対して支給される食事については、別途「基本通達36-24」の規定があり、これに該当するものは本通達の対象から除かれます(原則として課税されません)。
【通達解説】所得税基本通達36-24
所得税基本通達36-24は、「残業または宿日直をした者に支給する食事」の取り扱いについて定めた規定です。
出典資料に基づき、その内容は以下の通りです。
1. 原則的な取り扱い
使用者が、残業(通常の勤務時間外の勤務)宿日直を行った者に対し、その業務を行うために支給する食事については、受ける利益を給与所得として課税しなくてよい(経済的利益はないものとする)とされています。
2. 適用要件
• 対象者: 実際に残業や宿日直の勤務を行った者に限定されます。
• 支給形態: あくまで「食事」の現物支給を想定しています。
例えば、午前9時から午後5時までの正規の勤務時間を超え、午後9時まで残業をした者に支給する夕食や、宿日直者に支給する夜食・朝食などが該当します。これらは、業務を遂行する上で直接必要な実費弁償的な性格が強いものと考えられています。
3. 宿日直料(現金)との関係
宿日直の勤務に際して、金銭(宿日直料)が支払われるとともに食事が無料で提供される場合、その食事の価額は宿日直料の非課税限度額(1回につき4,000円)の判定に影響します。
• 具体的には、4,000円から支給された食事の価額を差し引いた残額が、宿日直料としての非課税枠となります。
• この場合に無料で支給される食事自体については、本通達に基づき課税されません。
4. 通常の食事(36-38の2)との違い
先ほど解説した「基本通達36-38の2」は通常の昼食などの支給に関するルール(月額3,500円枠など)ですが、この残業や宿日直の際に支給される食事は、その枠組みからは除外されます。つまり、残業等の食事は、通常の食事支給の限度額計算に含める必要はありません。



残業や宿日直を実際に行った人に対して現物で提供される食事は、実費弁償的なものとして、金額の多寡にかかわらず原則として所得税は非課税となります。
自宅兼店舗の「家事按分」
自宅の一部を店舗として使用している場合、家賃や水道光熱費を事業で使用している割合(面積や使用時間)に応じて按分し、事業分のみを経費に計上します。



経費の家事按分については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人事業主(フリーランス)の経費の家事按分について
減価償却費
厨房機器や店舗の内装工事など、10万円以上で長期間使用する資産は、一括ではなく法定耐用年数に応じて分割して経費計上(減価償却)します。
- 青色申告の特例
青色申告者であれば、30万円未満の資産は年間合計300万円まで、取得した年に一括で経費にできる特例があります。



先月公表された、令和8年度の税制改正大綱では、少額減価償却資産の取得価額について、現行の「30万円未満」から「令和8年4月1日以降に取得した資産は40万円未満」へと引き上げることとされました。
在庫管理と廃棄損
期末(12月31日)時点で残っている食材は「棚卸資産」として経費から除外する必要があります。一方で、賞味期限切れなどで廃棄した食材は、「棚卸資産廃棄損」として経費に計上できます。
開業準備費用
オープン前に支出したチラシ作成費や市場調査費などは、「開業費」として繰延資産に計上し、任意のタイミングで経費(任意償却)にすることが可能です。



これらの経費を計上する際は、必ず領収書やレシートを保管し、日々の取引を帳簿に記録しておくことが税務調査対策として極めて重要です。
5.確定申告の際の飲食店業ならではの注意点
繰り返しにはなりますが、確定申告における飲食店業ならではの注意点は、現金管理の徹底、自家消費や「まかない」の適切な処理、期末の棚卸(在庫管理)、および固定資産の管理に集約されます。
(1).飲食店業における税務上の注意点
• 売上管理と現金管理
飲食店は現金取引が多いため、税務署から売上除外を疑われやすい傾向にあります。毎日の営業終了時には、レジの記録と実際の現金残高が一致しているか必ず確認し、現金出納帳に正確に記録する必要があります。また、クレジットカードやバーコード決済などの売上は、入金日ではなく「サービスを提供した日(お客様の利用日)」に売上を計上しなければなりません。
• 自家消費(家事消費)の計上
経営者自身や家族が店の食材を飲食したり、商品を譲渡したりした場合は、「自家消費」として売上に計上する義務があります。計上額は原則として定価(通常販売価格)ですが、特例として「仕入価格」または「通常販売価格の70%」のいずれか高い方の金額で計上することも認められています。
• 「まかない」の取り扱い
従業員に提供する「まかない」を福利厚生費とするには、「従業員が食事価額の半分以上を負担していること」および「店側の負担額が1ヶ月あたり3,500円(税抜)以下であること」の両方を満たす必要があります。これらを満たさない無料提供などの場合は「現物給与」とみなされ、従業員に所得税が課税されるリスクがあります。
• 在庫の棚卸(たなおろし)
飲食店では12月31日の営業終了時点で、未使用の食材や飲料などの在庫を数えて棚卸資産を確定させなければなりません。この棚卸を正しく行わないと利益を正確に算出できず、税務調査でペナルティを受ける可能性があります。賞味期限切れ等で廃棄した食材は、「棚卸資産廃棄損」として経費に計上できます。
• 減価償却
10万円以上の厨房機器や店舗内装などは、固定資産として耐用年数に応じて数年に分けて経費化(減価償却)します。飲食店業用設備の厨房機器の法定耐用年数は、一般的に8年と定められています。



厨房関係の資産の耐用年数は、資産区分により異なります。機械及び装置に該当する「飲食店業用設備」は8年とされますが、器具備品(例:電気冷蔵庫等)などは別の年数が定められているため、資産の内容に応じた区分判定が必要です。
(2).飲食店業に関わる主な提出・添付書類
飲食店に特化した独自の様式はありませんが、業種特有の項目を正確に記載した以下の書類が必要となります。
• 青色申告決算書(青色申告者の場合)
損益計算書や貸借対照表のほか、「給料賃金の内訳」や「地代家賃の内訳」などを詳細に記載して提出します。売上のページには、自家消費分を「家事消費」の欄に記入します。
• 収支内訳書(白色申告者の場合)
青色申告決算書より簡略化されていますが、売上や経費の総額をまとめて提出します。
• 棚卸表
提出義務はありませんが、期末在庫の計算根拠として作成し、7年間保存しなければなりません。
• 適格請求書(インボイス)の控え
インボイス発行事業者の場合、発行したレシートや領収書の控えを7年間保存する必要があります。不特定多数に販売する飲食店では、氏名等の記載を省略した「適格簡易請求書(簡易インボイス)」の発行が認められています。
• 家事按分の計算根拠資料
自宅兼店舗の場合、床面積や使用時間などに基づいた按分比率の根拠(間取り図など)を説明できるように準備しておく必要があります。
6.飲食店業が税務調査で指摘されるポイント
飲食店業は現金取引の割合が高く、売上の管理が不透明になりやすいため、税務調査の対象に選ばれやすく、かつ不正の発見割合も高い業種とされています。国税庁のデータ(令和5年度)では、バー・クラブで約59%、一般飲食店でも約42%という高い割合で不正が把握されています。
既に解説した内容と重複する論点ばかりですが、税務調査で特に指摘されやすいポイントをお示しいたします。
(1).売上(収入)に関する指摘ポイント
現金管理の不備や、売上の計上時期・範囲の誤りが厳しくチェックされます。
• 現金残高と帳簿の不一致
日々の営業終了時に、レジ内の現金と現金出納帳の残高が一致しているかが最も重要です。差異が大きいと売上除外を疑われます。
• 売上の計上漏れ(売上除外)
忙しい時間帯の注文をレジに通さない、あるいは伝票を破棄して売上を無かったことにする行為は、重加算税の対象となる悪質な脱税とみなされます。
• キャッシュレス決済の計上時期
クレジットカードやバーコード決済の売上は、入金日ではなく、「サービスを提供した日(お客様の利用日)」に計上しなければなりません。
• 自家消費(家事消費)の未計上
経営者や家族が店の食材を飲食したり、商品を譲渡したりした分は売上に計上する義務があります。計上額は原則「定価」ですが、特例として「仕入価格」または「通常販売価格の70%」のいずれか高い方で計上することも認められています。
• 雑収入の漏れ
空き瓶の売却代金、仕入割引(リベート)、酒類メーカーからの専属契約料や助成金なども収入として計上する必要があります。
(2).棚卸(在庫)と売上原価の指摘ポイント
仕入れと売上のバランスから不正を見抜かれます。
• 不自然な原価率
仕入れた食材の量に対して売上が少なすぎる場合、売上を除外しているか、在庫を過少に申告していると疑われます。
• 期末棚卸の未実施
12月31日時点の食材・飲料の在庫を正しく数えていない場合、利益が不正確になり、不当に利益を下げていると判断される可能性があります。
(3).人件費・「まかない」に関する指摘ポイント
• 「まかない」の現物給与課税
従業員への食事提供を無償で行うと「現物給与」として課税対象になります。非課税(福利厚生費)とするには、「従業員が食事価額の半分以上を負担」し、かつ「店側の負担額が月3,500円(税抜)以下」である必要があります。
• 架空の人件費
実際に働いていない家族や知人の名前を借りて給与を計上する行為や、源泉所得税の徴収漏れが厳しくチェックされます。
• 青色事業専従者給与の妥当性
家族への給与が、労働実態や仕事内容に対して高額すぎないかが精査されます。
(4).経費の公私混同に関する指摘ポイント
• 家事按分の不適切さ
自宅兼店舗の場合、家賃や光熱費のうち事業で使用している割合(面積や時間)が合理的か、証拠となる間取り図等があるかを確認されます。
• 不透明な接待交際費
個人的な飲食代を経費に入れていないか、相手先や人数、目的が記録されているかがチェックされます。
• 減価償却の誤り
10万円以上の厨房機器や内装工事を、耐用年数に応じた減価償却を行わずに一括で経費にしていないか確認されます。
(5).書類管理とインボイス制度
• 証憑の保存不備
レジペーパー、領収書の控え、仕入伝票などは原則7年間の保存義務があります。
• 伝票の管理
伝票が連番になっていない、あるいは書き損じ伝票を破棄していると、売上隠しを疑われる原因になります。
• インボイス対応
適格請求書(インボイス)の要件を満たした領収書を発行しているか、また仕入先が免税事業者の場合の経過措置を正しく処理しているかどうかも、今後の調査では重要なポイントとなります。



これらのポイントで不備を指摘されると、本来の税金に加え、過少申告加算税(10〜15%)や重加算税(35〜40%)、さらに延滞税などの重いペナルティが科せられる可能性があります。



インボイス制度や過少申告加算税などについては、次の記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
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【町田市の税理士が解説】修正申告でかかる罰則税とは?加算税・延滞税・利子税を徹底解説!
7.まとめ
飲食店経営における確定申告は、単なる納税義務の履行だけでなく、1年間の経営状況を正しく把握し、将来の節税や資金繰りに活かすための重要な機会です。
今回の内容をまとめると、特に以下の3つのポイントが重要になります。
- 「青色申告」の特典を最大限に活用する
複式簿記による記帳とe-Taxでの申告を行うことで、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。また、赤字を翌年以降3年間繰り越せる制度や、家族への給与を経費にできる特典は、経営が不安定になりやすい創業期において非常に強力な支えとなります。 - 飲食店特有の処理に細心の注意を払う
税務調査で指摘されやすい現金売上の管理(現金出納帳とレジ残高の突合)や、適切な在庫の棚卸しは日頃からの習慣化が欠かせません。また、従業員への「まかない」が福利厚生費として認められるための「従業員の半分負担」かつ「店側の負担額が月3,500円以下」という条件や、自家消費の売上計上なども、忘れずに行う必要があります。 - インボイス制度への対応と事務の効率化
接待や法人客が多い店舗では、適格請求書(インボイス)の発行が顧客離れを防ぐ鍵となります。こうした煩雑な経理業務や確定申告書類の作成は、クラウド会計ソフトなどのデジタルツールを導入することで、自動仕訳やデータ連携機能を活用し、大幅に負担を軽減することが可能です。



確定申告の直前になって慌てないよう、日々のレシートの整理や記帳を計画的に進め、クリーンで健全な店舗経営を目指しましょう。もし処理に迷うことがあれば、税理士に早めに相談することも検討してみてください。飲食店業に精通している税理士をお探しの方は、お気軽にこちらまでお問い合わせください。










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