ミミレイドンボス、おはようございます!
昨日は同時文書化(ローカルファイルの作成)について、取り上げていただきありがとうございました!今朝はどのようなテーマでしょうか?



今朝は移転価格税制への対応に必要な書類について、整理していこうと思います。



昨日のローカルファイルだけじゃダメなんですか?



移転価格対応では「独立企業間価格をどう説明するか」と同じくらい、“説明の土台となる文書”を期限どおり整えることが重要です。
日本では、BEPS行動13を踏まえて、国別報告事項(CbCR)・事業概況報告事項(マスターファイル)・ローカルファイル等の制度が整備されており、最終親会社の所在国によって対応が変わります。
本記事では、制度の全体像→書類ごとの義務→実務の注意点、の順に整理します。



移転価格税制の①制度の概要編、②独立企業間価格の算定編、③比較対象取引の選定編、④移転価格税制の税務調査(執行)編、⑤同時文書化(ローカルファイルの作成)編については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】移転価格税制とは?①制度の概要編
【町田市の税理士が解説】移転価格税制とは?②独立企業間価格の算定編
【町田市の税理士が解説】移転価格税制とは?③比較対象取引の選定編
【町田市の税理士が解説】移転価格税制とは?④移転価格税制の税務調査(執行)編
【町田市の税理士が解説】移転価格税制とは?⑤同時文書化(ローカルファイルの作成)編
【独立企業間価格の算定のために必要な書類編】
0.必要書類の概要
独立企業間価格の算定および移転価格税制への対応に必要な書類は、BEPSプロジェクトの勧告に基づき、主に「国別報告事項(CbCR)」「事業概況報告事項(マスターファイル)」「ローカルファイル」の3層構造で構成されています。
多国籍企業グループの最終親事業体(最終親会社等)が日本にある場合と外国にある場合では、税務当局への書類の提供義務や提供ルートが異なります。
(1). 最終親事業体が「日本」にある場合
日本の最終親会社等が、グループ全体の情報を集約して日本の税務当局へ提供する役割を担います。
- 最終親会社等届出事項
特定多国籍企業グループ(連結総収入1,000億円以上)に該当する場合、最終親会社等が誰であるかを、会計年度終了の日までにe-Taxで届け出る必要があります。 - 国別報告事項 (CbCR)
最終親会社等が、グループが事業を行う国・地域ごとの収入、利益、税額などの配分状況を、会計年度終了後1年以内に英語で提供します。 - 事業概況報告事項 (マスターファイル)
最終親会社等(または国内の構成会社等)が、グループ全体の組織構造、事業概要、無形資産、財務活動などの「青写真」を、会計年度終了後1年以内に日本語または英語で提供します。 - ローカルファイル
国外関連取引を行う各事業体(最終親会社等および国内子会社)が、個別の取引内容や独立企業間価格の算定根拠を記載した書類を作成・保存します(一定の少額取引を除き、確定申告期限までの作成義務があります)。
(2). 最終親事業体が「外国」にある場合
原則として、外国の最終親会社等が所在国の税務当局に書類を提出し、日本の当局は情報交換制度を通じてこれを入手します。
- 最終親会社等届出事項
日本国内にある子会社や恒久的施設(PE)が、外国の最終親会社等に関する情報を日本の所轄税務署長に届け出ます。 - 国別報告事項 (CbCR)
- 原則
外国の最終親会社等が所在国の税務当局へ提出し、租税条約等に基づく自動的情報交換によって日本の国税庁へ提供されます。 - 子会社方式(例外)
最終親会社等の居住地国が日本と情報交換を行えない場合などに限り、日本の子会社等が直接日本の当局へ提供する義務を負います。
- 原則
- 事業概況報告事項 (マスターファイル)
日本国内の子会社やPEが、グループ全体のマスターファイルを会計年度終了後1年以内にe-Taxで提供します。最終親会社等の居住地国と日本との間に租税条約がない場合でも、提供義務は免除されません。 - ローカルファイル
日本国内の子会社やPEが、自らが行う国外関連取引について作成・保存します。
(3).書類別の概要と留意点
| 書類名 | 主な内容 | 作成・提供の基準(免除基準) |
|---|---|---|
| 国別報告事項 (CbCR) | 国・地域ごとの収入、利益、税額、従業員数、有形資産の配分等。 | 直前の最終親会計年度の連結総収入金額が1,000億円以上のグループが対象。 |
| 事業概況報告事項 (マスターファイル) | グループ全体の組織図、事業の源泉、サプライチェーン、無形資産戦略、金融活動等。 | CbCRと同じく連結総収入金額が1,000億円以上のグループが対象。 |
| ローカルファイル | 個別取引の内容、機能・リスク分析、比較対象取引の選定、算定手法の適用結果、財務情報。 | 一の国外関連者との取引につき、前期の取引合計50億円以上、または無形資産取引3億円以上の場合に同時文書化義務が生じる。 |
補足事項
- 提出期限
CbCRとマスターファイルは、最終親会社等の会計年度終了の日の翌日から1年以内です。 - 罰則
CbCRやマスターファイルを正当な理由なく提出しなかった場合、30万円以下の罰金が科されることがあります。 - 言語
CbCRは英語、マスターファイルは日本語または英語、ローカルファイルは特段の指定はありませんが、調査時に日本語訳を求められる場合があります。



各書類については、次章以降で整理していきましょう。
必要書類1.最終親会社等届出事項
最終親会社等届出事項とは、多国籍企業グループの最終親会社等および代理親会社等に関する情報の届出を指します。これは、BEPSプロジェクト(税源浸食と利益移転)の勧告に基づき導入された移転価格文書化制度の一環です。
以下に、その概要、対象者、記載事項、および提出ルールについて詳述します。



最終親会社等とは、企業グループの他の構成会社等を支配し、その上に親会社が存在しない事業体を指します。



代理親会社等とは、最終親会社等に代わって、その居住地国の税務当局に国別報告事項(CbCR)を提供することを指定された一の構成会社等を指します。 日本に所在する法人が代理親会社等として指定できるのは、最終親会社等の居住地国が外国である場合に限られます。
日本の最終親会社等が外国の構成会社を代理親会社に指定しても、日本における国別報告事項の提供義務は免除されない点に留意が必要です。
(1). 対象となる企業グループ
この届出義務が生じるのは、「特定多国籍企業グループ」に該当する場合です。
- 直前の最終親会計年度(最終親会社等の財産・損益の計算単位となる期間)における連結総収入金額が1,000億円以上である多国籍企業グループを指します。
- 連結財務諸表が作成されていない場合は、最終親会社等が作成した財務諸表等に基づき、それに相当する合計額で判定します。
(2). 提供義務者
原則として、特定多国籍企業グループの構成会社等である内国法人、または日本国内に恒久的施設(PE)を有する外国法人の全てに提供義務があります。
- 特例(代表者による提供)
日本国内に提供義務者が複数ある場合、そのうちのいずれか一の法人が、他の法人の名称などを併せて届け出たときは、その一の法人以外の法人は提供義務が免除されます。
(3). 提供期限と方法
- 提供期限
報告対象となる最終親会計年度終了の日までです。 - 提供方法
e-Tax(電子データ)による提供が義務付けられており、書面での提出は認められません。 - 頻度
特定多国籍企業グループに該当し続ける限り、構成会社等や最終親会社等の情報に変更がない場合であっても、毎年提供する必要があります。
(4). 届出事項の主な内容
最終親会社等および代理親会社等について、以下の情報を届け出ます。
- 名称、所在地(本店または主たる事務所、あるいは事業が管理・支配されている場所)。
- 法人番号を有している場合は必ず記載します。(提供期限までに付与されていない場合は、記載せずに提供します。)
- 代表者の氏名。
- 代表提供を行う場合は、代表して提供する法人の情報に加え、提供を免除される法人の名称や法人番号等。



国別報告事項や事業概況報告事項(マスターファイル)と同様に、正当な理由なく期限までに提供しなかった場合には、法人の代表者等および法人に対して、30万円以下の罰金が適用されることがあります。
必要書類2.国別報告事項
国別報告事項(CbCレポート)は、多国籍企業グループの国・地域ごとの収入金額、所得の配分、納税額、および経済活動の場所を明らかにするためのグローバルな報告書です。
BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの勧告に基づき導入された「三層構造の移転価格文書」の一つであり、税務当局がハイレベルな移転価格リスク評価を行うために使用されます。
主な内容は以下の通りです。
(1). 提供義務の対象(免除基準)
この報告事項を提供しなければならないのは、「特定多国籍企業グループ」に該当する場合です。
- 基準
直前の最終親会計年度の連結総収入金額が1,000億円以上(OECD基準では7.5億ユーロ相当)であるグループが対象です。 - 判定
連結財務諸表に計上された売上高だけでなく、受取利息、受取配当金、有価証券売却益、為替差益など、全ての収益の額を含めて判定します。
(2). 提供義務者と提供方式
原則として、グループの頂点に立つ最終親会社等が、自国の税務当局に提出します。
- 条約方式(原則)
日本の最終親会社等が日本の税務当局へ提供し、その後、租税条約等に基づき関係国の税務当局へ自動的に情報交換されます。 - 子会社方式(例外)
外国の最終親会社等の居住地国と日本との間で情報交換が行えない場合などに限り、日本国内の子会社や恒久的施設(PE)が直接日本の当局へ提供する義務を負います。
(3). 国別報告事項の構成内容
国別報告事項は、主に以下の3つの表で構成されます。
- 表1:国・地域別の財務指標の配分
- 関連者間および非関連者との取引による収入金額。
- 税引前当期利益(損失)の額。
- 納付税額(キャッシュ・ベース)および発生税額。
- 資本金の額および利益剰余金の額。
- 従業員の数。
- 現金・現金同等物以外の有形資産の額。
- 表2:国・地域別の全ての構成事業体のリスト
- 各事業体の名称、納税者番号、および主要な事業活動の性質(製造、販売、R&Dなど)の一覧。
- 表3:追加情報
- 報告書作成に使用した情報のソースや、為替換算の基準など、理解を助けるための補足説明。
(4). 提供のルール(時期・方法・言語)
- 提供期限
最終親会計年度終了の日の翌日から1年以内です。 - 提供方法
e-Tax(電子データ)による提供が義務付けられています。 - 使用言語
英語のみとされています。 - 情報ソース
連結財務諸表、法定単体財務諸表、内部管理会計データなどのうち、毎年同じソースを継続して使用する必要があります。
(5). 適切な使用と機密保持
- リスク評価への限定
税務当局は、この情報を調査対象選定のためのリスク評価や統計分析には使用できますが、国別報告事項のデータのみに基づいて移転価格課税を行うことは禁止されています。 - 秘密保持
提供された情報は、租税条約等に基づき厳格に秘密として保持されることが求められています。



正当な理由なく、提供期限までに国別報告事項を提供しなかった場合には、法人の代表者等および法人に対して、30万円以下の罰金が科されることがあります。
このように、国別報告事項は、多国籍企業のグローバルな利益配分と納税実態を可視化する、国際課税における透明性確保のための重要なツールとなっています。
必要書類3.事業概況報告事項(マスターファイル)
事業概況報告事項(マスターファイル)は、多国籍企業グループの全世界における事業の全体像(「青写真」)を税務当局に提供するための書類です。
以下に、その概要、提供義務、記載事項、および実務上の留意点について解説します。
(1). 概要と目的
マスターファイルは、BEPSプロジェクトの勧告に基づき導入された「三層構造の移転価格文書」の一つです。
- 目的
税務当局がグループ全体の事業実態や包括的な移転価格ポリシーを把握し、重要な移転価格リスクを効率的に評価できるようにすることです。 - 特徴
個別の取引を詳細に記載する「ローカルファイル」とは対照的に、グループ全体のグローバルな活動のハイレベルな概観を提供することに主眼が置かれています。
(2). 提供義務者と免除基準
- 対象
特定多国籍企業グループに属する内国法人、または日本国内に恒久的施設(PE)を有する外国法人が対象となります。 - 免除基準
直前の最終親会計年度におけるグループの連結総収入金額が1,000億円未満である場合は、提供義務が免除されます。 - 代表提供
日本国内に提供義務のある法人が複数ある場合、いずれか一の法人が代表して提供することで、他の法人の義務を免除させることができます。
(3). 提供期限・方法・言語
- 提供期限
最終親会計年度終了の日の翌日から1年以内です。 - 提供方法
e-Tax(電子データ)による提供が義務付けられており、ワードやエクセルで作成した書類をPDF形式に変換して送信します。 - 使用言語
日本語または英語です。ただし、英語で提出した場合でも、調査において日本語による翻訳文の提出を求められることがあります。
(4). マスターファイルの具体的な記載事項
マスターファイルに記載すべき情報は、大きく以下の5つのカテゴリーに分類されます。
- 組織体系
グループの法的・資本関係の系統図と各事業体の所在地。 - 事業概要
収益の重要な源泉、主要な5種類の商品・役務のサプライチェーン、重要な役務提供の取決め、主要マーケット、機能分析の概要、事業再編の状況など。 - 無形資産
無形資産の開発・所有・使用に関する戦略、重要な無形資産のリスト、グループ内の移転価格ポリシー、対象年度中の重要な譲渡の概要など。 - グループ内金融活動
資金調達方法の概要、中心的な金融機能を果たす拠点の特定、金融に関する移転価格ポリシーの概要。 - 財務状況及び納税状況
連結財務諸表、および当局と合意したユニラテラルAPA(事前確認)等のリスト。
(5). 実務上の留意点
- 情報の粒度
詳細で網羅的なリスト(例:保有する全特許の羅列など)を作成する必要はなく、独立企業間価格の算定において重要と思われる情報を適切に記載することが求められます。 - 不提供時の罰則
正当な理由なく期限までに提供しなかった場合、法人の代表者等および法人に対して、30万円以下の罰金が科されることがあります。 - 毎年の更新
内容に変更がない場合であっても、最終親会計年度ごとに作成・提供する必要があります。 - 自動的情報交換
国別報告事項(CbCR)とは異なり、マスターファイルは税務当局間での自動的情報交換の対象ではありません。そのため、進出先の国ごとに現地の法令に従って提出する必要があります。



このように、マスターファイルはグループ全体の経済活動を透明化し、移転価格のリスク評価の基盤となる重要な文書です。
必要書類4.独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)
独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)とは、多国籍企業グループの個々の構成会社が、国外関連取引の内容やその価格が独立企業間原則に則っていることを証明するために作成する書類です。
BEPSプロジェクトの勧告に基づき導入された「三層構造の移転価格文書」の一つであり、以下の通りその内容や作成義務、提出期限などが詳細に定められています。



同時文書化(ローカルファイルの作成)については、こちらの記事で解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】移転価格税制とは?⑤同時文書化(ローカルファイルの作成)編
(1). ローカルファイルの主な構成事項
ローカルファイルには、大きく分けて「対象事業体に関する情報」「関連者間取引に関する情報」「財務情報」を記載する必要があります。
- 対象事業体に関する情報
- 経営体系、組織図、および経営報告先の所在国等の説明。
- 事業及び事業戦略の詳細な説明(事業再編や無形資産譲渡の影響を含む)。
- 主要な競合他社のリスト。
- 関連者間取引(国外関連取引)に関する情報
- 取引の内容: 製造、商品購入、役務提供、ライセンス、金融取引等のカテゴリー別の背景と支払・受領金額の明細。
- 契約関係: 重要なグループ内取決めの写し。
- 機能・リスク分析: 納税者および関連者の詳細な比較可能性分析(果たしている機能、使用資産、負担リスクの分析)。
- 算定手法の選定: 最適な移転価格算定方法を選択した理由と、検証対象企業の選定理由の説明。
- 比較可能性分析: 選定した比較対象取引のリスト、選定方法、情報ソース、および差異調整の内容。
- 結論: 選定された手法に基づき、独立企業間価格で行われたと結論付ける理由。
- 財務情報
- 対象年度の年次財務諸表(監査済があればそれを優先)。
- 移転価格算定手法の適用に使用した財務指標と財務諸表とのつながりを示す情報(切出損益の配賦計算表等)。
- 分析で使用された比較対象取引の財務データ。
(2). 同時文書化義務と免除基準
法人は原則として、確定申告書の提出期限までにローカルファイルを作成または取得し、保存しなければならない「同時文書化義務」を負います。
- 免除基準
一の国外関連者との前事業年度の取引金額が、以下のいずれの基準も下回る場合は、申告期限までの作成義務が免除されます(ただし、調査時には原則として提示が求められます)。- 国外関連取引の対価の額の合計:50億円未満
- 無形資産取引の対価の額の合計:3億円未満
※判定にあたっては、相殺前の総額で計算します。
- 保存期間
原則として7年間(欠損金が生じた事業年度は10年間)の保存が必要です。
(3). 税務調査における提示・提出期限
調査において税務当局からローカルファイル等の提示・提出を求められた場合、指定された期日までに提出する必要があります。この期限を守れない場合、推定課税や同業者調査の対象となるリスクが生じます。
- ローカルファイル
提示・提出を求めた日から45日以内の範囲内で調査官が指定する日。 - 重要書類(ローカルファイルの基礎資料等)
提示・提出を求めた日から60日以内の範囲内で調査官が指定する日。
(4). 実務上の留意点
- 使用言語
言語の指定はありませんが、英語等で作成した場合には日本語による翻訳文の提出を求められることがあります。 - 事前確認(APA)との関係
APAを受けている取引については、APA関連書類がローカルファイルの役割を果たすため、通常は追加で新たな書類を作成する必要はありません。 - 国外関連者作成書類の利用
国外関連者が作成したローカルファイル相当の書類を集約して自社のローカルファイルとすることも可能ですが、日本の法令(措置法施行規則第22条の10第6項)に定める事項が網羅されている必要があります。



ローカルファイルは「厳密な科学」ではなく、信頼できる情報に基づいて独立企業間の結果を合理的に見積もるためのプロセスを記録したものであることが重要視されます。
5.必要書類作成のための移転価格ガイドブックの公表
国税庁が公表した『移転価格ガイドブック』について、その公表時期、構成、および目的などの詳細は以下の通りです。
(1). 公表時期と発行主体
平成29年(2017年)6月に、国税庁より公表されました。
(2). ガイドブックの全体構成
このガイドブックは、移転価格税制の円滑な運用のために、以下の3部構成となっています。
- 第I部:移転価格に関する国税庁の取組方針
- 内容:平成28年度(2016年度)の税制改正で導入された「移転価格文書化制度(3層構造の文書化)」の整備を踏まえ、今後の税務当局の方針や具体的な取組について解説しています。
- 第II部:移転価格税制の適用におけるポイント
- 内容:移転価格税制の実務において、実際に検討や判断が必要となる具体的な項目や留意すべきポイントをまとめています。
- 第III部:同時文書化対応ガイド 〜ローカルファイルの作成サンプル〜
- 内容:納税者が作成・保存する義務を負う「ローカルファイル(独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類)」について、具体的な作成イメージをサンプル形式で提供しています。
(3). 公表の目的と背景
- 自発的なコンプライアンスの醸成
移転価格税制の内容をより分かりやすく解説することで、企業側が自律的に適正な移転価格を設定・文書化することを支援し、コンプライアンス(法令遵守)を高めることが期待されています。 - 透明性の向上
平成28年度の税制改正により、一定規模以上の取引について確定申告期限までにローカルファイルを作成する「同時文書化義務」が課されたことを受け、納税者の予見可能性(あらかじめ税務上の扱いを予測できること)を高めるための実務的な手引として作成されました。



このガイドブックは、国税庁の基本的な事務運営の指針である「移転価格事務運営要領」や、具体的な適用例を示した「参考事例集」と併せて、実務において非常に重要な参照資料となっています。
6.必要書類まとめ
移転価格文書化は、「対象判定」→「誰が提出するか」→「期限管理」の3点を押さえると迷いません。
- まず、グループが特定多国籍企業グループ(連結総収入1,000億円以上)に該当するか確認します。
- 該当する場合、最終親会社等届出事項は会計年度末まで、CbCRとマスターファイルは会計年度終了後1年以内にe-Taxで提供する必要があります(CbCRは英語、マスターファイルは日本語または英語)。
- ローカルファイルは、一定規模以上の取引で申告期限までの同時文書化が必要です。基準未満でも調査で求められれば期限内提出が必要となるため、平時から“説明できる状態”を作っておくことが肝要です。
期限・言語・対象範囲のズレが、実務上いちばん大きなリスクになります。グループの実態に合わせて、毎期の早い段階でスケジュールを固定しておくことをおすすめします。










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