ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?



個人の所得シリーズ第7弾として、事業所得の基礎知識について整理しようと思います。



事業所得、いよいよですね!



フリーランスや副業で活躍する皆さんが、「知らなかった」で損をしないように、事業所得の基礎から青色申告のメリット、そして税務調査で目をつけられないための実務上の注意点まで、わかりやすく解説します。
1. はじめに
(1).事業所得とは何か(給与所得や不動産所得との違い)
事業所得とは、農業、製造業、卸売業、サービス業などの事業主自身が独立して営む事業から生じた所得を指します。
所得(もうけ)を計算する際、まず大前提として「総収入」から「必要経費」を差し引きます。
| 所得の種類 | 概要 | 特徴的な処理 |
| 事業所得 | 継続的・反復的に、営利目的で独立して行う事業から生じる所得。 | 後述の青色申告を選択可能。節税メリットが最大級。 |
| 給与所得 | 会社などから受け取る給与、賞与。 | 必要経費の代わりに「給与所得控除」を適用。経費計上は不可。 |
| 雑所得 | 10種類ある所得のいずれにも該当しない所得。 | 原則、青色申告や損失の繰越控除(損益通算)ができない。 |
| 不動産所得 | 不動産の貸付けなどから生じる所得。 | 原則、事業的規模でない場合は事業所得と区別される。 |
特に、フリーランスや副業の方が注意すべきは、事業所得と雑所得の境界線です。
事業所得として認められるためには、「営利性・有償性」「継続性・反復性」があり、社会通念上事業と称する程度でなければなりません。たとえ帳簿をつけていたとしても、収入がわずかである、または営利を目的とした営業活動をしていないと判断された場合、雑所得となる可能性が高いです。



雑所得については、こちらの記事で解説しております。
【町田市の税理士が解説】個人の雑所得の基礎知識について
(2).フリーランスや副業者にとって重要な理由
事業所得として申告できるかどうかは、税制上の優遇措置を受けられるかどうかに直結します。
事業所得として認められれば、青色申告を選択でき、結果として納税額を大幅に抑えられる可能性が高くなります。例えば、事業が赤字になった場合、事業所得であれば給与所得など他の所得と相殺できる「損益通算」が可能です。
(3).確定申告との関係性
個人事業主は、1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行い納税します。
確定申告書を作成する際、事業所得がある場合は、青色申告なら青色申告決算書を、白色申告なら収支内訳書を添付する必要があります。これらの添付書類で計算された「収入金額」と「所得金額」を、確定申告書(第一表・第二表)に転記して申告が完了します。
参照:国税庁ホームページ 青色申告決算書
参照:国税庁ホームページ 収支内訳書
2. 事業所得の基本構造
(1).収入の範囲(売上、報酬、雑収入)
事業所得における総収入金額には、売上や報酬など、事業活動によって得られたすべての収益が含まれます。これには、商品の販売やサービスの提供による対価などが該当します。
(2).必要経費の考え方(仕入、外注費、通信費、旅費交通費など)
事業所得を計算する上で最も重要なのが必要経費です。必要経費とは、事業を行う上で直接的に関係する費用を指します。
経費を適切に計上することは、所得を正確に把握し、適切な納税を行うために非常に重要であり、結果として納税額を抑えることにもつながります。
一般的に経費として認められる主な項目には以下のようなものがあります。
• 仕入れ費用
• 家賃・光熱費(事業用部分)
• 通信費(インターネット、電話代など)
• 交通費
• 広告宣伝費
• 接待交際費(上限あり)
• 減価償却費(高額な資産を分割して経費にする)
• 消耗品費
• 専門家への報酬(税理士費用など)



経費は必ず証拠(領収書や帳簿)に基づいて計上しましょう。
(3).計算式:事業所得 = 総収入 − 必要経費
事業所得の計算式は非常にシンプルです。
事業所得=総収入金額−必要経費
この「事業所得」の金額から、さらに所得控除(基礎控除や社会保険料控除など)を引き、残った金額に税率をかけて税額が計算されます。
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)
3. 青色申告と白色申告の違い
確定申告の方法には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告は、より厳密な記帳(複式簿記)が必要になる代わりに、非常に大きな節税メリットが用意されています。
(1).青色申告のメリット
日本政府が「正確な帳簿付け」を推奨するために設けている青色申告の主な特典は以下の4つです。
1. 青色申告特別控除
- 最大65万円の所得控除が受けられます。この控除を受けるには、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して、法定申告期限内に提出することが必要です。
- さらに、e-Taxで提出するか、一定の要件を満たす優良な電子帳簿を備え付けることで、65万円控除の適用が可能です。
- 簡易簿記(またはe-Taxや電子帳簿の要件を満たさない複式簿記)の場合は、55万円控除または10万円控除となります。
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.2072 青色申告特別控除
2. 純損失の繰越控除・繰戻し還付
- 事業から生じた赤字(純損失)を、翌年以後3年間にわたって将来の所得から差し引くことができます(繰越控除)。
- 前年も青色申告をしている場合、損失を前年分の所得に繰り戻して控除し、所得税の還付を受けることも可能です(繰戻し還付)。
3. 青色事業専従者給与
- 生計を一にする配偶者や親族で、事業に専従している者へ支払った給与を必要経費として計上できます。ただし、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出するなどの要件があります。



青色事業専従者給与については、こちらの記事で解説しております。
【町田市の税理士が解説】家族に給与を出すなら必見!青色事業専従者給与の基礎知識について
参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
4. 少額減価償却資産の特例
- 通常は耐用年数に応じて分割して経費計上する10万円以上の固定資産について、取得価額30万円未満のものに限り、年間合計300万円まで、購入した年に一括で経費(即時償却)にできます。この特例は、初期投資が大きい場合に非常に強力な節税効果を発揮します。
(2).白色申告の特徴と制限
白色申告は、青色申告に比べて帳簿付けが簡易的(簡易帳簿)で済む点が特徴です。
しかし、白色申告には青色申告のような特別控除(65万円など)がありません。また、事業の赤字を翌年以降に繰り越す制度(繰越控除)も原則として利用できません。
特に副業などで「事業所得」を狙うなら、これらの強力なメリットが受けられない雑所得や白色申告は、税制面で不利になる可能性が高いです。
4. 損益通算と繰越控除
事業を始めたばかりの頃は、先行投資が多くなり、赤字(損失)が出やすいものです。この損失を有効活用できるのが損益通算と繰越控除です。
(1).赤字の場合の他所得との通算
事業所得が赤字になった場合、その損失は他の所得(給与所得など)の黒字と相殺できます。これを損益通算といいます。
例えば、会社員(給与所得)として働きながら副業(事業所得)で赤字が出た場合、この赤字を給与所得から差し引くことで、全体の課税所得を減らし、結果として源泉徴収された税金が還付される可能性があります。
損益通算を行う場合は、確定申告書の第一表・第二表に加えて、第四表(損失申告用)を提出する必要があります。
(2).青色申告による繰越控除の仕組み
青色申告者であれば、損益通算をしてもなお残った純粋な損失(純損失)を、翌年以後3年間にわたって順次各年分の所得金額から差し引くことができます(純損失の繰越し)。
また、前年も青色申告を行っている方は、この繰り越しに代えて、その損失額を前年分の所得金額に繰り戻して控除し、前年分の所得税の還付を受けることも可能です(繰戻し還付)。
(3).不動産所得や雑所得との違い
損益通算や繰越控除の適用範囲は、所得の種類によって異なります。
- 雑所得の損失
他の所得と損益通算することはできません。例えば、副業収入が雑所得と判断された場合、その赤字を本業の給与所得から引くことはできません。 - 不動産所得の損失
原則、事業所得と同様に損益通算が可能ですが、不動産所得や譲渡所得の損失申告には特有の条件があるため、税理士に相談することが推奨されます。
5. 実務上の注意点
(1).帳簿付け・領収書管理の重要性
事業所得を正確に計算し、青色申告などのメリットを享受するためには、帳簿付けと領収書管理が極めて重要です。
青色申告で最大控除(65万円)を受けるためには、正規の簿記の原則(複式簿記)に基づき、資産、負債、資本に影響を及ぼす一切の取引を整然と記録し、貸借対照表と損益計算書を作成する必要があります。
また、すべての経費について、その証拠となる領収書や請求書は必ず保管しなければなりません。
【電子帳簿保存法への対応】
さらに、電子メールやクラウド経由で受け取った請求書や領収書などの電子取引データは、電子保存が義務付けられています。改ざん防止措置や検索機能の確保といった要件を満たす必要がありますが、電子帳簿保存法に対応したクラウド会計システム(例:マネーフォワード クラウド確定申告 やfreee)を利用することで、要件への対応と経理業務の効率化を両立できます。
(2).家事按分(自宅兼事務所の光熱費・通信費)
自宅を事務所や作業場として利用している個人事業主の場合、家事関連費(事業用と私用が混在する費用)が発生します。
法律上、事業用の部分を明確に区分できる、または実際の状況に応じて合理的に算出できる場合に限り、その部分を必要経費として計上できます(家事按分)。
家事按分の対象となる主な費用は以下の通りです。
- 家賃(賃借物件の場合)
- 光熱費(電気、ガス、水道)
- 通信費(電話代、インターネットプロバイダ料)
- 自動車関連費用(減価償却費、ガソリン代、保険料、税金など。ただし、高速料金や事業目的の駐車場代は按分不要な場合もある)
按分方法の例
自宅の面積のうち事業用スペースが占める面積比や、通信機器を事業に使用する時間比など、合理的な根拠に基づいて割合を決めます。たとえば、自宅全体の20%を事業用に使っていれば、光熱費の20%を経費に計上できます。



案文比率について、合理的な根拠がない場合には、費用が認められない可能性がありますので、税務調査の際に、担当官に対して、しっかりと説明できる準備をしておきましょう!
(3).副業の場合の申告義務と会社への影響
会社員が副業を行っている場合、その副業所得が「事業所得」または「雑所得」に該当します。
所得が20万円以下のサラリーマン特例の例外
通常、給与所得者で給与以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要とされていますが、個人事業主としてすでに確定申告を行っている場合は、副業所得が10万円であっても金額にかかわらず申告しなければなりません。
会社への影響(副業バレ)について
会社に副業がバレる主な原因は、住民税の納付方法です。副業の所得が増えると住民税額が増加し、会社を通じて特別徴収される際に会社に知られる可能性があります。住民税の普通徴収(自分で納付)を選択することで、会社に知られるリスクを減らすことができますが、自治体によっては対応が異なる場合があるため、注意が必要です。
6. 節税の工夫と失敗事例
(1).経費計上の工夫(小規模企業共済、倒産防止共済など)
適切な節税対策は、手元に残る資金を最大化するために不可欠です。
- 小規模企業共済(所得控除)
個人事業主が事業を辞めた際などの生活資金(退職金)を積み立てるための制度です。毎月の掛金は全額が所得控除の対象となります。これは経費(必要経費)ではなく所得控除ですが、課税所得を減らす強力な節税策となります。 - 少額減価償却資産の特例
前述の通り、青色申告者は30万円未満の資産を一括で経費計上(即時償却)できる特例を活用しましょう。高額なパソコンや業務機器を導入する際に、その年の所得を大きく圧縮できます。 - 開業費の任意償却
開業前に支出した費用(開業費)は、繰延資産として計上し、事業開始後の任意のタイミングで経費にすることができます。開業後数年間は赤字が予想される場合、利益が出始めた年にまとめて償却するなど、事業の状況に応じて費用化の時期を選べるため、非常に柔軟な節税が可能です。



小規模企業共済や倒産防止共済については、こちらの記事で解説しております。
【町田市の税理士が解説】いまさら聞けない、小規模企業共済の概要とメリットについて
【町田市の税理士が解説】中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の基礎とメリット・デメリットについて
(2).よくある失敗(経費の過大計上、領収書不備)
税務調査で指摘されやすい、経費計上における失敗例を知り、予防することが重要です。
- 事業用と私用の区別が不明確
特に家事按分において、事業に使用している割合が合理的な根拠なく高く設定されていると、税務署に否認される可能性が高くなります。 - 領収書や帳簿の不備
経費の証拠となる領収書や請求書がない、または保存期間が守られていない(電子帳簿保存法の要件を満たしていない)といった不備は、経費否認の最大の原因となります。 - 赤字の継続と生活費の関連
個人事業の赤字が数年間にわたって続いている場合、「どうやって生活しているのか」と税務署に疑念を持たれることがあります。これは、「所得を隠すために赤字にしているのではないか」という見られ方につながるため、要警戒です。
(3).税務調査で指摘されやすいポイント
税務当局は、個人の申告内容をAIを活用して分析しています。同業者と比較して、不自然に高い経費割合があると、税務調査の「要チェック」対象になりやすいです。
特に注意すべきは、同業他社と比較して突出して割合が高い経費です。
- 高すぎる経費率
売上に対して経費の割合が異常に高い場合。 - 過度な消耗品費
たとえば、50万円の備品を一括で消耗品費として計上している場合など、同業者と比べてその割合がでかいと、AIがチェックしてきます。 - 高額な交際費
売上に対する接待交際費の割合が非常に高い場合(例:売上300万円で交際費が99.98%など)は「要注意」と判定されることがあります。
税務調査を避けるためには、「同業他社と比べて不自然ではないか」という視点を常に持ち、すべての経費について事業関連性を明確に説明できる状態にしておくことが最善の防御策です。
7. まとめ
(1).事業所得は「収入の範囲」と「経費の正しい計上」が肝心
事業所得を理解し、適切に申告する上で最も大切なことは、事業活動と私的活動を明確に区別することです。収入を漏れなく計上し、経費はその事業に必要不可欠であるという証拠(領収書、帳簿)を正しく残すこと。これが、事業所得を核とした健全なビジネス運営の土台となります。
(2).青色申告を活用することで節税効果が大きい
青色申告は、最大65万円の特別控除、3年間の損失繰越、そして専従者給与の計上など、個人事業主にとって最も強力な節税制度です。
特に事業開始当初に赤字が出る可能性がある場合や、設備投資を行う予定がある場合は、青色申告の承認申請書を開業後2ヶ月以内 に税務署に提出し、青色申告の体制を整えることを強く推奨します。










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