【町田市の税理士が解説】年末調整シリーズ第5回: 年末調整前に知りたい、新年収の壁!!令和7年度税制改正の影響で大混乱確実!

年収の壁
年収の壁
ミミレイドン

ボス!年収の壁って何ですか?今年から大幅に変更になると、巷では大騒ぎみたいですが。

新屋賢人

パートやアルバイトで働く方が「この年収を超えると損をするかも…」と、働く時間をセーブしてしまう現象、それが「年収の壁」です。

ミミレイドン

働いて損をする?何を言ってるんですか!そんな訳ないじゃないですか~

新屋賢人

それが、注意しないと、年収の壁を越えた途端に手取りがガクッと落ちることも、、、今日は令和7年(2025年)から大幅に変更となった年収の壁について、最新の情報をわかりやすく解説します。昨日のブログで解説した、令和7年度税制改正が大きく影響しているので、気になる方はこちらの記事もご覧ください。
【町田市の税理士が解説】年末調整シリーズ第4回: 年末調整に影響がある令和7年度税制改正について!

目次

1. はじめに(「年収の壁」とは何か?)

「年収の壁」とは何か?

「年収の壁」とは、パート・アルバイトなどの年収が一定額を超えると、税金や社会保険料の負担が生じたり、配偶者や親の扶養から外れたりする“境目”のことです。壁には、制度ごとに異なる基準が設定されており、主に「税金の壁(所得税・住民税)」「社会保険の壁(健康保険・厚生年金)」の2種類があります。制度目的も判定方法も別々のため、複数の壁が併存します。

なぜ多くの人が気にするのか?(手取り・扶養・社会保険への影響)

年収の壁がこれほどまでに注目される最大の理由は、壁を超えると一時的に「手取り収入が減ってしまう」現象(働き損)が発生するからです。

例えば、配偶者の扶養内で働いている方が壁を超えると、自身で社会保険料を支払う義務が生じ、その負担によって収入が増えてもかえって手元に残るお金(手取り)が少なくなるのです。

野村総合研究所(NRI)の試算によると、年収の壁を超えたことで発生する手取り減は、世帯全体で最大24万円減にも相当すると推計されています。特に、多くの企業が「妻が扶養家族であること」を支給条件としている家族手当(平均年額約21万円)が支給されなくなることが、手取り減の大きな要因となっています。
参照:政府は「『年収の壁』による働き損」の解消を

この手取り減少を避けるため、年収を一定額以下に抑えようとする「働き控え」をする人が多数発生しており、労働力不足の背景の一つとして問題視されてきました。

本記事でわかること(改正前の壁、改正後の税金の壁、社会保険の壁の違い)

令和7年分(2025年分)の税制改正では、基礎控除と給与所得控除の見直しにより、税金に関する壁が大きく緩和されました。具体的には、本人の所得税がかからない「非課税ライン」が拡大し、従来の「103万円の壁」から「160万円の壁」へと移行。また、親や配偶者が扶養控除を受けられるかどうかの判定も、合計所得金額の要件引き上げにより「103万円目安 → 123万円目安」へ改まっています。一方で、社会保険の壁(106万円・130万円)に加え、2025年10月1日からは「150万円の壁(社会保険の扶養判定に関する新基準)」が追加され、社会保険面の注意点は引き続き重要です。

本記事では、改正前・改正後・制度の違いを一気に整理していきたいと思います。

改正前の壁

従来の「103万円の壁」「130万円の壁」「106万円の壁」が何を意味していたかを、収入・所得・扶養の用語から丁寧に解説。

改正後の税金の壁

基礎控除・給与所得控除の見直しにより、本人の「非課税ライン160万円」と、親や配偶者側の「扶養控除の判定123万円」がどう変わったかを整理。

改正後も残る社会保険の壁

「106万円」「130万円」に加え、「150万円(2025年10月追加)」の具体的な仕組みと注意点を、被扶養者認定の考え方とともに解説。

自分に合う働き方の設計

手取り・保険料・家族手当・将来の年金といった要素を総合的に比較し、世帯の前提(就業先規模、勤務時間、学業との両立、家族の健康保険の種類等)に合わせた意思決定のポイントを提示。

2. 改正前の「年収の壁」

103万円の壁:所得税がかかるライン、扶養控除が外れるライン

長年、主婦や学生アルバイトの方が最も意識してきたのが、この「103万円の壁」でした。

103万円という数字は、以下の2つの控除額を合計した金額です。

1. 基礎控除(全国民に認められる控除): 48万円
2. 給与所得控除(会社員・パート等に認められる控除の最低保障額): 55万円
48万円 + 55万円 = 103万円

給与収入が103万円以下であれば、課税所得がゼロとなり、本人に所得税はかかりません。

しかし、103万円を超えると本人に所得税が発生するだけでなく、配偶者が受けていた 「配偶者控除」 の対象から外れるため、扶養する側の税負担が増えるケースがありました。

また、これとは別に、住民税については多くの自治体で「年収100万円超」で均等割が課税されるため、実務上は「100万円の壁」も意識されてきました。

3. 改正後の「税金の壁」

令和7年(2025年)度の税制改正により、「税金の壁」は大きく動きました。原則として、令和7年分以後の所得税に適用されます(令和7年12月以降の源泉徴収事務に変更が生じます)。

基礎控除・給与所得控除の見直しにより、所得税の非課税ラインが「160万円の壁」へ

基礎控除と給与所得控除が見直され、所得税がかからないラインが大幅に引き上げられました。

  • 基礎控除:48万円 → 最大95万円(合計所得金額200.4万円未満の場合)
  • 給与所得控除(最低保障額):55万円 → 65万円
    合計: 95万円 + 65万円 = 160万円

つまり、給与収入が160万円以下であれば、本人に所得税はかかりません
これは「103万円の壁」が「160万円の壁」へと移行したことを意味します。

新屋賢人

ちなみに、地方の税収不足を意識した影響なのか、住民税の基礎控除は増えませんでした。ただ、給与所得控除が10万円増えましたので、住民税の壁が100万円から110万円へ増加しました。お住まいの市区町村によって、この壁は多少前後しますので、ギリギリになりそうな方は、お住まいの市区町村のホームページをご覧ください。

扶養控除・配偶者控除の判定ラインは「123万円の壁」へ

注意すべきは、本人の非課税ライン(160万円)と、扶養控除の判定ライン(123万円)は別物だという点です。改正前は、一括りに103万円の壁で覚えやすかったのですが、分裂しました。恐らく、皆様が一番混乱するポイントだと思います。
扶養親族や配偶者が「扶養控除・配偶者控除」の対象となるかどうかは、合計所得金額58万円以下(給与収入123万円以下)が基準となります。例えば、高校生のお子さんが、160万円の壁まで働いてOK!だと思い込み、150万円稼いだ場合、確かにその高校生の給与から税金が引かれることはありませんが、年収123万円を超えると、扶養する側(親)は扶養控除を受けられなくなりますので、税金が一気に増加してしまいますので、注意が必要です!

ミミレイドン

えー!巷では160万円まで働けるー!って大騒ぎだったのに、トラップじゃないですか!

新屋賢人

意外と知られていないんですよね。所得税率の低い子供の所得税が若干発生するかどうかより、所得税率が高い親側で扶養控除を受けられないほうが、家計としては大ダメージなので、トラップと言われても仕方ないですね。ただ、配偶者と大学生世代はもう少し働けますので、詳しく見ていきましょう!

特定親族特別控除の新設(大学生世代への支援)

19歳から23歳未満の大学生世代の子を持つ親に対し、新たに特定親族特別控除が創設されました。お客様から質問が多く、勘違いされやすい項目としては、対象者が大学生か否かは実は関係なく、重要なのは、19歳から23歳未満であるか否かなのです。

この制度は、特定親族の年収が123万円を超えて扶養控除の対象外になったとしても、年収150万円以下であれば、親は従来の扶養控除と同額の控除(63万円)を受けられるというものです。

子の年収が150万円を超えると控除額は段階的に減少し、188万円(所得で123万円)を超えると控除は完全にゼロになります。学生アルバイトを持つ親御さんにとって、この150万円の壁は重要なボーダーラインです。

ミミレイドン

これにより、大学生がアルバイトで収入を増やしても、親の税負担が急激に増えることを避けられるようになったのですね!

新屋賢人

特定親族特別控除について、さらに詳しく知りたい方は、表付きで解説しているこちらの記事もご覧ください。
【町田市の税理士が解説】年末調整シリーズ第3回: 令和7年税制改正で新たに追加された特定親族特別控除とは?大学生の子を持つ親御さんに朗報!

配偶者特別控除の範囲拡大

配偶者特別控除とは、配偶者の年収が扶養控除の対象(123万円以下)を超えた場合でも、扶養する側の所得に応じて段階的に控除を受けられる仕組みです。

この配偶者特別控除を満額(最大38万円)160万円に引き上げられました

配偶者の年収が160万円を超えると控除額は段階的に減少し、最終的に201万6千円以上になると控除はゼロになります。まとめると次のようになります。

  • 改正前:満額控除(38万円)は配偶者年収150万円以下まで
  • 改正後:満額控除(38万円)は配偶者年収160万円以下まで拡大
  • 160万円超〜201.6万円以下:控除額が段階的に減少
  • 201.6万円超:控除ゼロ

これにより、配偶者がより柔軟に働けるようになりました!
配偶者は税金の壁だけなら160万円の壁を意識すればよいですね!税金の壁だけなら。。。

4. 社会保険の壁(改正後も残る課題)

税金の壁が緩和された一方で、社会保険の壁は依然として存在しており、手取り減少の最も大きな要因となっています。配偶者が会社員の社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養に入っている方は、これらの壁に特に注意が必要です。

106万円の壁:週20時間以上勤務+従業員数51人以上の企業などで加入義務

現在の106万円の壁

現在、以下の要件をすべて満たす短時間労働者は、勤務先の社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する義務があります。これがいわゆる 「106万円の壁」 です。

1. 週の所定労働時間が20時間以上であること
2. 月額賃金が88,000円以上(年収換算で約106万円以上)であること
3. 雇用期間の見込みが2か月以上であること
4. 学生ではないこと
5. 勤務先が特定適用事業所(現行は厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業)であること

この106万円の壁を超えて社会保険に加入すると、保険料の負担(労使折半)が発生し、手取りが一時的に減少します。手取りを維持するためには、年収を125万円以上に増やす必要があるとのシミュレーションもあります。

106万円の壁の今後は?(賃金要件の撤廃へ)

2026年10月を目途に、この「月額88,000円(年収106万円)の賃金要件」が撤廃される方針が決定しています。これは、最低賃金の上昇に伴い、週20時間働けば多くの地域で月額88,000円を超える人が増えているためです。賃金要件が撤廃されれば、将来的に学生以外で週20時間以上働く人全員が厚生年金に加入することになります。また、企業規模要件も段階的に縮小・撤廃され、2027年10月には従業員数36人以上、2035年10月には従業員数要件自体が撤廃される見通しです。

130万円の壁:被扶養者から外れる基準(中小企業勤務や専業主婦世帯で重要)

上記の106万円の壁の条件(企業規模など)を満たさない企業に勤務している場合や、正社員の所定労働時間の4分の3未満で働いている場合でも、年収130万円を超えると、配偶者の社会保険上の被扶養者(第3号被保険者)から外れてしまいます
扶養から外れると、自身で国民健康保険国民年金に加入し、保険料を全額負担する必要があります。年収130万円の壁を超えて手取りを減らさないためには、年収153万円以上を目指す必要があるとの試算もあります。

130万円の壁を計算する際、通勤手当(交通費)や残業代も含めた実収入ベースで判断される点に注意が必要です。

ミミレイドン

繁忙期などで、一時的に月20万円稼いでしまった場合、年収ベースだと240万円とみなされて、加入義務が生じていまうということですか?

そうなんです!税金のように、暦年(1月-12月)で130万超えたかどうかの判定をするわけではないので、注意が必要です!ただ、2023年10月からは、繁忙期などで一時的に年収130万円を超えた場合、事業主がその増収が一時的なものであることを証明すれば、連続2年までは引き続き扶養認定されるという特例措置が導入されています。

150万円の壁(2025年10月新設)

社会保険の扶養認定基準に関しても、2025年10月を目途に新たなルールが設けられました。

19歳以上23歳未満の人の社会保険適用対象が、従来の年収130万円から150万円以上に引き上げられました。これは、大学生世代のアルバイト収入に関する特定親族特別控除(税制)と足並みを揃える動きです。

19歳以上23歳未満の人がアルバイトで150万円まで稼いでも、直ちに社会保険の扶養から外れにくくなり、学業と就労の両立を後押しする仕組みとなっています。

5. 年収の壁を整理した早見表

税金の壁、社会保険の壁を整理した早見表を作成してみました。早見表の青色ハイライトが税金関係の壁赤色ハイライトが社会保険の壁となります(緑色ハイライトは税金も社会保険も両方影響がある壁です。)。

スクロールできます
年収ライン制度・名称影響の内容(改正後)備考
106万円の壁社会保険の壁(特定)特定事業所(51人以上など)の短時間労働者を対象として、厚生年金・健康保険の加入義務が発生2026年10月を目途に賃金要件が撤廃予定
110万円の壁住民税の壁住民税(均等割・所得割)が発生する(全員対象)自治体によって異なるので注意が必要(都市部は110万円など)
123万円の壁所得税扶養の壁配偶者控除・扶養控除の所得要件の上限(配偶者・扶養親族が対象)旧103万円の壁
親の扶養控除が使えるかどうかの分岐点
130万円の壁社会保険の壁(一般)配偶者の扶養(第3号被保険者)から外れ、自身で社会保険に加入交通費、残業代を含む実収入ベースで判定する
150万円の壁特定親族特別控除
/学生の社保壁
親が特定親族特別控除を満額受けられる上限 / 19-23歳の社会保険扶養上限(19-23歳の親族が対象)学生(19-23歳の親族)の場合、150万円を超えると控除額が段階的に減少(188万円まで)とともに、学生でも社会保険加入義務
160万円の壁所得税非課税
/配偶者特別控除の壁
自身の所得税が非課税となる上限 / 配偶者特別控除の満額控除を受けられる上限税制改正による新基準
ミミレイドン

壁多すぎです!結局どの壁を越えてはならないのですか?

新屋賢人

心苦しいのですが、対象となる人、勤務先によるとしか言えないのです。私は高校時代と大学時代はコンビニエンスストアでアルバイトをしていましたが、もし、今の時代にコンビニエンスストアでアルバイトをしていたら、高校生なら123万円まで、大学生なら150万円まで働くと思いますので、ご参考ください。あと、もし主夫(パート)なら、130万円まで働くと思います。

ミミレイドン

税金は、その人の状況・方針によるとか、前提条件が少しでも違うと、とるべき対策が全然違うんですね。

新屋賢人

そうなんです。話しは逸れますが、税理士の業務がAIに代替できない理由の一つだと思います。
税金の壁は緩和されましたが、社会保険の壁は依然として「働き方」に大きな影響を与えます。今後の制度改正スケジュールも踏まえ、「どの壁を意識すべきか」 を整理して働き方を設計することが重要です。

6. 実務アドバイス

給与所得者・学生アルバイトへ

社会保険に関する年収の壁を超えて社会保険に加入すると、大幅に手取りが減少しますので、税金の壁よりも注意が必要です。一応、加入メリットもいくつかありますので、確認しておきましょう。

将来の年金額が増える

厚生年金に加入することで、老後に受け取れる年金額が国民年金のみの場合よりも増加します。終身で受け取れるため、長期的な安心につながります(ただ、元を取れるかは別の話し。)。

手厚い保証が受けられる

病気やケガで働けなくなった場合の「傷病手当金」、出産時の「出産手当金」など、国民健康保険にはない保障を受けられます。

キャリアアップの自由度が増す

「扶養内に収めるために労働時間を調整する」必要がなくなり、働き方の選択肢が広がります。結果として、スキルアップや昇給の機会が増え、世帯収入全体の底上げにつながります。

新屋賢人

将来の保障やキャリアを重視するなら、社会保険の壁を越えて働くという考え方ももちろんあります。その場合、125万円(106万円の壁対象者) または 153万円(130万円の壁対象者) といった、いわゆる「手取り換算で損しない年収ライン」を目安に働き方を検討するのがおすすめです。

親御さんへ

お子さんがアルバイトをしている場合、その収入は親の税負担や社会保険の扶養に直結します。特に学生のお子さんは年収の壁に関する情報を得ていないケースもありますので、親御さんからしっかりとアドバイスしてあげましょう。親御さんの年収にもよりますが、扶養から外れることによって、とんでもない税負担増となる可能性があります。

お子さんが一般扶養親族の場合(大学生以外)

子の年収が123万円を超えると、親の扶養控除が適用されなくなり、親の税負担が増加します。

お子さんが特定親族(19~23歳)の場合

子の年収が150万円を超えると「特定親族特別控除」が減少し始め、188万円を超えると控除はゼロになります。親の税負担は徐々に増加する仕組みです。

社会保険の扶養について

学生は原則として「106万円の壁」の強制加入対象外ですが、社会保険の扶養認定では 19〜23歳は150万円が上限 とされました(2025年10月改正)。

新屋賢人

お子さんの収入が増えると、親御さんの税金や社会保険に影響します。事前にシミュレーションを行い、家族で話し合っておくことがトラブル防止につながります。

ミミレイドン

「店長、年収の壁を超えるから、12月はアルバイトできないっす!」となると、バイト先困っちゃいますもんね!

新屋賢人

私もアルバイト時代に、シフト表を作っていた経験がありますが、年末はクリスマスや年末やらで、ただでさえ人繰りが厳しいので、一人でも年収の壁を理由に12月は働けませんと言われてしまうと、お店側は大変ですので、シミュレーションはお早めに!

事業主・経理人事労務担当者へ

「年収の壁」への理解不足は、従業員の働き控えや不信感、離職リスクにつながります。人材活用の観点からも、以下の対応が重要です。

最新の改正内容を正確に把握する

令和7年度(2025年度)改正の内容を正確に把握する。また、特に2026年10月に予定されている「106万円の壁」の賃金要件撤廃など、社会保険の適用拡大の動向を常に確認しましょう。

自社の従業員状況を把握する

扶養の範囲内で働きたい従業員をリストアップして、予想年収を常に計算し、年収の壁を超えるペースではないかチェックする。そのほか、改正により新たに社会保険加入対象となる従業員をリストアップし、企業の保険料負担や従業員の手取りへの影響をシミュレーションしておくことが必要です。

従業員への周知徹底する

社内説明会や個別面談を通じて、従業員の不安を解消しましょう。年収の壁を超えるペースで働く従業員には、個別でアドバイスしてあげましょう

7. まとめ|最新版「年収の壁」を正しく理解して働き方を選ぶ

今回の税制改正は、働く人々、特にパート・アルバイトなど短時間労働者に大きな変化をもたらしました。簡潔にまとめると以下の通りとなります。

改正後は「税金の壁」は大幅に緩和(103万 → 160万)

従来の「103万円の壁」は、基礎控除48万円+給与所得控除55万円の合計によって生じていました。
2025年(令和7年)分以降は、基礎控除が最大95万円、給与所得控除の最低額が65万円に引き上げられ、非課税ラインは160万円に拡大しました。
さらに、配偶者控除や扶養控除の判定基準も「103万円 → 123万円」に緩和され、税金面での就業調整プレッシャーは大きく軽減されました。

税制上は「働きすぎると損」という状況が大幅に改善されたといえます。

しかし「社会保険の壁(106万・130万・150万)」は依然として存在

税制上の壁が緩和された一方、社会保険料の負担が生じる106万円、130万円、そして学生にとって重要な150万円の壁は、依然として手取り減少の大きな課題として残っています

106万円の壁といわれる壁は、週20時間以上勤務+月額賃金8.8万円以上などの条件を満たすと社会保険加入義務が生じます。また、2026年10月には「賃金要件」が撤廃され、週20時間以上働く人の加入が一層進む見込みです。
130万円の壁といわれる壁は、中小企業勤務や専業主婦世帯で注意すべき壁であり、年収130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、国保・国民年金に加入し保険料を全額負担する必要があります。
2025年10月に新設された150万円の壁は、19〜23歳の学生アルバイトについて、社会保険の扶養認定基準が130万円から150万円に引き上げられました。税制上の「特定親族特別控除」と足並みを揃えた改正です。

制度は複雑ですが、最適な働き方を設計するために、次の点を意識することが重要です。
短期的な手取り減少と長期的な保障(年金・手当)のバランスを考える
家族の税負担や扶養控除の有無をシミュレーションする
③最新の改正スケジュールを把握し、将来の働き方を見据える

ミミレイドン

複雑すぎて、正直一度では理解できた気がしません。。。令和7年の年末調整は大混乱確実と言われている理由がわかってきました。

税制や社会保険制度は毎年のように見直され、複雑さを増しています。
しかし、今回の税制改正を正しく理解すれば「働き控え」を避け、キャリアアップや世帯収入の底上げにつなげることができます。
相談できる税理士がいない場合には、お気軽にこちらまでお問い合わせください。

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この記事を書いた人

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

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