ミミレイドンボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?



今朝は、昨日に引き続き2025年12月19日(金)に公表された「令和8年度税制改正大綱」のうち、個人課税編として、個人に影響がある主な論点の概要を整理していきたいと思います。



この記事は、2025年12月19日に公表された「令和8年度税制改正大綱」速報に基づいています。今後の国会審議等により細部が変更される可能性があるため、実務にあたっては必ず最新の法令をご確認ください。
1.はじめに
令和8年度税制改正大綱が公表され、個人の税務に関わる制度にもいくつか重要な見直しが示されました。
制度改正は毎年行われますが、今年は住宅税制や資産形成支援など、生活に密接に関わる項目が多い点が特徴です。
本記事では、個人の皆さまに影響する主要な改正点を中心に、ポイントを整理してお伝えします。
2.所得控除に関する改正
今回の改正は、一言で言えば「インフレ(物価高)への徹底抗戦」です。物価が上がっているのに税金のルールがそのままでは、実質的な増税になってしまいますよね。そこで政府は、暮らしを守るための「アメ」を投入してきました。
特に注目なのが「年収の壁」の変化です。それでは、項目ごとに見ていきましょう!
(1).給与所得控除額の引き上げ(最低保障額のアップ)
会社員やパート・アルバイトの方にとっての「概算経費」にあたる給与所得控除が、物価高に合わせて底上げされます。
- 制度の概要と改正内容
給与所得控除の最低保障額(これだけは引けるという枠)が、現行の65万円から69万円へと恒久的に4万円引き上げられます。 さらに、令和8年・9年の2年間限定で5万円の特例加算が上乗せされ、合計で74万円まで控除されるようになります。 - 対象となる個人
給与収入があるすべての個人が対象です。 - 注意点
月次の源泉徴収(毎月の給料からの天引き)に反映されるのは令和9年1月以降からであり、令和8年中は年末調整での対応となる点に注意が必要です。企業側(法人)は、令和8年分の年末調整からこの新しい計算式をシステムに反映させる必要があります。
(2).基礎控除の引き上げ
誰にでも適用される基礎控除も、物価上昇に連動する画期的な仕組みが導入されます。
- 制度の概要と改正内容
合計所得2,350万円以下の個人の基礎控除が、物価連動により58万円から62万円へと4万円引き上げられます。 加えて、低中所得者への配慮として、合計所得489万円以下の人には42万円の上乗せ(特例)「103万円の壁」が「178万円」へと大幅に引き上がるのです。 - 注意点
扶養親族の所得判定基準も変わるため、従業員の申告書確認の実務に影響します。
(3).生命保険料控除の拡充
子育て世帯の保障を支えるため、生命保険料控除にも期間限定のボーナスが加わります。
- 制度の概要と改正内容
23歳未満の扶養親族がいる場合、3種類ある控除枠のうち「一般生命保険料控除」の控除上限額が、現行の4万円から6万円へと2万円上乗せされます。 この特例は1年延長され、令和9年分まで適用されることになりました。 - 対象となる個人・法人
23歳未満の子などを養っている納税者が対象です。 - 注意点
一般・介護医療・個人年金の3つの合計上限(12万円)自体は変わらないため、他の枠ですでに上限に達している場合は恩恵を受けられないことがあります。法人の給与計算担当者は、年末調整の際にこの上乗せが適用されているか、保険料控除証明書のチェックが必要になります。
(4).ひとり親控除の拡充
深刻な物価高の影響を受けやすいひとり親世帯への支援も手厚くなります。
- 制度の概要と改正内容
ひとり親控除の額が、所得税で35万円から38万円へ、住民税で30万円から33万円へと、それぞれ3万円引き上げられます。 - 対象となる個人・法人
一定の所得要件を満たすひとり親が対象です。また、判定基準となる「子の所得要件」も、基礎控除の改正に合わせて48万円から62万円以下へと引き上げられ、対象者が広がりました。 - 注意点
この改正は所得税が令和9年分、住民税が令和10年度分からとなるため、他の改正項目より1年遅れての適用となる点に気をつけてください。



所得控除の改正をまとめると、「デフレ時代の古い基準を脱ぎ捨て、インフレ時代の新しい基準(178万円)へシフトした」と言える歴史的な転換点です。
特に、基礎控除や給与所得控除に「物価連動制」が導入されたことで、今後は2年ごとに物価に合わせて控除額が見直されることになる可能性も。
給与計算を担当する事務の方や法人経営者の皆様、今回の改正は適用時期が項目によってバラバラ(令和8年、9年、10年…)なので、システム対応のスケジュール管理が大変かと思われますが、一緒に乗り越えていきましょう!
3.NISAの年齢制限を廃止(18歳未満も利用可能)
NISAに関する改正では、政府が掲げる「資産運用立国」の実現に向けた一歩として、これまでは18歳以上の成人が対象だったNISAが、「次世代」へとバトンをつなぐ仕組み作りに着手した印象です。
(1). NISA改正の目玉:0歳からOK!「未成年者つみたて投資枠」の誕生
今回の最大のトピックは、NISAの口座開設可能年齢の下限が撤廃され、0歳から17歳の未成年者でもNISAが利用可能になることです。
- 制度の開始時期
2027年(令和9年)1月1日から、新たな枠組みで運用がスタートします。 - 名称
正確には「未成年者特定累積投資勘定」という名称で、実質的な「未成年つみたて投資枠」として機能します。 - 投資できる枠
◦ 年間投資枠: 60万円
◦ 非課税保有限度額(生涯枠): 600万円 - 18歳になったら?
18歳に達した時点で、自動的に通常の成人向けNISA(年間投資枠360万円、生涯枠1,800万円)の制度へ移行・統合されます。
2. 投資対象商品がもっと魅力的に!債券中心の投信も追加
未成年枠の新設だけでなく、投資できる「中身」についても改善が行われます。
- 債券中心の投資信託が対象へ
これまでは「株式が50%超」という厳しい要件がありましたが、これが緩和され、債券が運用資産の50%を超える投資信託も対象に加わります。 - 対象指数の追加
国内市場をより広くカバーするため、「読売株価指数」や「JPXプライム150指数」といった一定の株式指数が新たに対象となります。
3. 改正の対象となる個人
- 0歳から17歳の日本国内に住む個人
次世代の資産形成を支援するため、口座保有者がその年の1月1日時点で18歳未満であれば、この未成年枠を設定できます。 - 既存のNISA利用者
成人の利用者にとっても、対象指数の追加や債券型商品の導入は、より多様なリスク分散を可能にするメリットがあります。
4. 制度の注意点:知らないと困る「引き出し」のルール
ここが一番の注意ポイントです。通常のNISAとはルールが異なります。
- 原則18歳まで引き出し不可
こどもの将来のための長期積立が目的であるため、原則として18歳になるまで非課税口座の外へ払い出すことはできません。 - 12歳以上なら「例外」あり
ただし、12歳以上であれば、進学時の入学金や授業料などの教育資金、生活費といった特定の理由に限り、「子の同意」を得た上で親権者が払い出すことが可能です。 - 災害時の特例
12歳未満であっても、災害により自宅が全壊した場合などは特例として引き出しが認められます。 - 成長投資枠との関係
未成年者特定累積投資勘定を利用する場合、成人が利用できる「成長投資枠」を同時に設けることはできない点に留意が必要です。



令和8年度のNISA改正は、投資をこども世代まで広げる大きな変化です。
かつて存在した「ジュニアNISA」が終了し、未成年向けの非課税枠が空白となっていましたが、今回の改正でより使い勝手の良い仕組みとして復活しました。年間60万円という枠は、教育資金の準備として非常にバランスが良い設定だと思います。
「お金のなる木」をこどもの頃から育ててあげることは、こどもへのプレゼントになりますし、こどものお金の勉強にもなりますね。
4.住宅ローン控除に関する改正
今回の改正は、一言で言えば「中古住宅(既存住宅)への本気支援」と「災害に強い国づくり」へのシフトです。
(1).住宅ローン控除を5年延長
住宅ローンを組んで家を買うと、毎年のローン残高に応じて税金が戻ってくる「住宅ローン控除」。2025年末で終わる予定でしたが、5年間の延長が決定しました。
①制度の概要と改正内容
今回の改正で、特に「中古住宅」の優遇が手厚くなったのが大きな特徴です。
- 適用期限の延長
令和12年(2030年)12月31日までに入居すればOKとなりました。 - 中古住宅の控除期間を13年に拡大
既存住宅(中古)についても、省エネ基準適合以上の一定の性能を満たす場合には、新築と同様に控除期間13年の対象とする方向で見直しが行われます。 - 借入限度額の引上げ
中古住宅でも、認定住宅なら3,500万円、ZEH水準なら3,000万円と、以前より枠が広がっています。 - 「40㎡」への面積緩和
原則50㎡以上必要だった床面積要件が、40㎡以上へ引き下げられました。これにより、単身者や共働きのコンパクトマンション購入も対象になりやすくなります(※合計所得1,000万円以下の個人限定)。 - 子育て世帯への「特別枠」
19歳未満の子がいる、または夫婦どちらかが40歳未満の「子育て世帯等」は、借入限度額がさらに最大5,000万円(認定住宅の場合)まで上乗せされます。
②対象となる個人
- 自ら居住するために住宅を取得し、ローンを組む個人です。
- 所得制限として、合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。
③注意点:知らないと損をする「期限」と「立地」
- 新築の「省エネ基準適合住宅」は要注意
令和10年(2028年)以降に建築確認を受ける新築の省エネ基準適合住宅は、原則として控除の対象外となります。新築ならより高性能なZEH以上が求められる時代です。 - 災害レッドゾーンの除外
安全性の観点から、土砂災害特別警戒区域などの「災害レッドゾーン」に建てる新築住宅は、令和10年以降入居分から控除の対象外となります。
(2).住宅リフォームに関する減税措置
「今ある家を直して住み続ける」ことへの支援もパワーアップしています。
①制度の概要と改正内容
耐震、省エネ、バリアフリー、子育て対応などのリフォームをした際に、税金が安くなる制度です。
- 所得税(投資型減税(リフォーム減税))の延長
工事費用の10%相当額を所得税から控除できる制度が、3年間(令和10年末まで)延長されました。 - 固定資産税の減額延長
リフォーム翌年度の固定資産税が安くなる措置も、5年間(令和13年3月末まで)延長です。 - 床面積要件の緩和
所得税・固定資産税ともに、下限面積が40㎡以上に緩和されました(※所得税は合計所得1,000万円以下限定)。 - 計算基準の見直し
控除額の計算に使う「標準的な工事費」の単価が、近年の物価高の実情に合わせて引き上げられます。
②対象となる個人
自己の居住用家屋について、特定の改修工事(耐震・省エネ・バリアフリー・子育て対応・三世代同居など)を行う個人です。



令和8年度税制改正大綱は、「新築至上主義から、中古+リフォームへ」という国からの強力なメッセージに感じました。住宅ローン控除が13年間に延びる中古住宅は、資産形成の強力な味方になるでしょう。ただし、床面積の緩和(40㎡〜)や立地規制(レッドゾーン除外)など、細かい「条件」が成否を分けます。
また、所得制限が2,000万円というラインは変わっていませんので、高所得者の方は特に「合計所得金額」の計算を慎重に行ってくださいね!
5.暗号資産取引を申告分離課税へ移行
仮想通貨投資家が長年待ち望んでいた「改正」、暗号資産取引の申告分離課税への移行が実現しそうです。総合課税により、これまで最大55%という重い税率に苦しんできた皆様にとって、今回の令和8年度(2026年度)税制改正大綱は、まさに「暗号資産冬の時代の終わり」を告げる歴史的な転換点となりそうです。
(1). 制度の概要と改正内容:ついに「20%」の固定税率へ
今回の改正の目玉は、これまで「雑所得」として他の所得と合算されていた暗号資産の利益を、株式やFXと同様の「申告分離課税」へと移行させることです。
- 税率の一律化
現行の最大55.945%(所得税・住民税・復興含む累進課税)から、一律20.315%(所得税15%、個人住民税5%、復興含む)へと大幅に引き下げられます。 - 3年間の損失繰越控除
大きな赤字を出してしまった場合、その損失を確定申告することで、翌年以降3年間にわたって利益から差し引ける(相殺できる)ようになります。 - 対象取引の拡大
現物取引だけでなく、デリバティブ取引や暗号資産ETF(上場投資信託)から生じる所得も分離課税の対象に含まれます。 - 消費税の取り扱い変更
暗号資産の譲渡は「支払手段」から「有価証券」に類するものへと整理され、引き続き非課税となりますが、事業者の場合は課税売上割合の計算に影響(対価の5%を算入)が出るようになります。
(2). 対象となる個人と資産(適用条件)
すべての暗号資産取引が20%になるわけではありません。ここが非常に重要なポイントです。
- 特定暗号資産に限定
対象は、金融商品取引業者登録簿に登録されている取引所等を通じて取引される「特定暗号資産」に限られます。 - 対象者
国内の登録業者を利用して譲渡等を行う居住者が対象となります。
(3). 実施時期:いつから安くなる?
残念ながら、今すぐではありません。この改正は「金融商品取引法(金商法)」の改正が前提となっています。
- 適用開始日
改正金商法の施行日の属する年の翌年1月1日以後に行う取引から適用されます。 - 目安
最短でも2027年以降、現実的には2028年1月からの適用になると予測されています。
(4). 制度の注意点:知らないと損する「落とし穴」
- 未登録業者の取引は「55%」のまま
国内未登録の海外取引所や、個人間での直接取引などで得た利益は、引き続き「雑所得・総合課税」の対象となる可能性が高いです。 その場合、損失の損益通算も認められません。 - 「筒抜け」になる報告制度
改正後は、暗号資産取引業者が利用者の氏名、住所、マイナンバー、取引内容などを税務署に報告する制度が始まります。 つまり、税務当局は皆様の利益を完全に把握することになりますので、より正確な履歴管理と申告が不可欠です。 - ステーキングやレンディングの扱いは不透明
大綱では「現物・デリバティブ・ETF」の譲渡所得については言及されていますが、ステーキング報酬やレンディング利息が分離課税に含まれるかは現時点で明記されておらず、今後の詳細を待つ必要があります。



令和8年度の暗号資産税制改正は、まさに「暗号資産を真っ当な金融商品として認める」という国の方針転換です。
20%の分離課税と損失の繰越控除が可能になれば、これまで税金が怖くて「利確」できなかった層の参入が加速し、市場はさらに活性化するでしょう。
適用開始まではまだ時間があります。今のうちに過去の取引履歴を整理し、改正後に「特定暗号資産」として扱われる取引所への集約を検討するなど、戦略的な準備を始めましょう!
6.極めて高い水準の所得に対する負担の適正化
1. 制度の概要と改正内容
この制度は、通常の所得税額よりも「所得に応じた一定の最低負担額」の方が高い場合に、その差額を追加で納税させる仕組みです。今回の改正では、計算式の「控除額」が半分になり、「税率」がアップします。
- 特別控除額の引き下げ
基準所得金額から差し引ける控除額が、現行の3.3億円から1.65億円へと「半減」されます。 - 税率の引き上げ
計算に用いる税率が、現行の22.5%から30%へと「7.5%上乗せ」されます。
【新しい計算式】
(基準所得金額 - 1.65億円)× 30% > 通常の所得税額 となる場合、その差額を追加で申告納税することになります。
2. 対象となる個人
すべての高額所得者が対象になるわけではありません。主に「株式や不動産の譲渡所得などの分離課税所得」が多い方がターゲットです。
- 所得の構成
所得の大半が給与や事業所得(総合課税)で、すでに高い実効税率(30%超)を支払っている人には原則として適用されません。 - 具体的な層
相当規模のM&Aによる株式売却、不動産や金融商品の譲渡、事業承継、相続後の自己株式取得などを行う企業オーナーや地主、富裕層が広く対象に含まれます。 - 基準の目安
全所得が分離課税(15%)と仮定した場合、改正前は所得10億円超がボーダーでしたが、改正後は年間所得3.3億円〜3.5億円程度から追加負担が発生し始めます。
3. 制度の注意点:知らないと1億円の損!?
実務上、以下の点に注意しないと、納税額のシミュレーションが大きく狂います。
- 適用時期
この改正は、2027年(令和9年)分以後の所得税から適用されます。 - 所得控除が「無意味」になる
本制度の対象(追加課税が発生する状態)になると、iDeCoやふるさと納税、医療費控除などの所得控除を受けても、実質的に税負担が減らなくなるという恐ろしい影響があります。 - 売却タイミングの重要性
会社や不動産の売却を検討している場合、「2026年中に売るか、2027年以降に売るか」で、納税額が1億円以上変わるケースも出てきます。 - 計算の範囲
基準所得金額には、株式譲渡だけでなく、土地建物、給与、事業所得など、NISA等の一部非課税所得を除いたほぼすべての所得が合算されます。



特に3億円以上の利益が出る売却を予定している方は、今すぐ税理士とタッグを組んで、令和9年(2027年)の「Xデー」が来る前に戦略を練ることをお勧めいたします。



超富裕層を対象とした追加の課税措置については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】2025年から導入されるミニマムタックス(超富裕層を対象とした追加の課税措置)について
7.青色申告特別控除の見直し
令和8年度(2026年度)税制改正大綱で打ち出された、個人事業主にとって極めて重要な「青色申告特別控除の見直し」について、確認していきましょう。
令和8年度(2026年度)税制改正大綱で示された本件に関する内容を一言で言えば、国からの「デジタル化に対応する人には手厚いボーナスを、紙にこだわる人には厳しい現実を」という非常に明確なメッセージだと受け止めました。
(1). 制度の概要と改正内容:控除額の「4段階ピラミッド」へ
これまでの青色申告特別控除は、主に「65万円・55万円・10万円」の3段階でしたが、改正後はデジタル対応の度合いに応じて、控除額が最大75万円に引き上げられる一方で、紙申告の優遇が廃止されます。
令和9年(2027年)分以降の所得税から、以下のような体系に変わります。
| 控除額 | 主な要件 | 評価(私見) |
| 75万円 | 複式簿記 + e-Tax申告 + 優良電子帳簿保存等(※) | 最高のご褒美 |
| 65万円 | 複式簿記 + e-Tax申告 | 標準的な対応 |
| 10万円 | 複式簿記 + 書面(紙)申告 または 簡易簿記 | 厳しい減額 |
| 0円 | 前々年の収入1,000万円超 + 簡易簿記 | 事実上のペナルティ |
(※)優良電子帳簿とは、訂正削除の履歴が残る等の一定の要件を満たす電子帳簿や、請求書データ等との自動連携を行っているものを指します。
(2). 対象となる個人(誰が影響を受けるのか)
- 青色申告を行っている個人事業主や不動産オーナーが対象です。
- 特に、これまで複式簿記で帳簿を付けつつも、申告書を「紙」で郵送・持参していた方は、控除額が55万円から10万円へと激減するため、最大の注意が必要です。
(3). 改正のポイントと注意点:知らないと損する「落とし穴」
- 「紙申告」の優遇廃止(ムチ)
これまでは、e-Taxを使わなくても複式簿記であれば55万円の控除が受けられましたが、改正後はe-Taxを使わない限り一律10万円に縮小されます。 - 「売上1,000万円」の足切りルール(ムチ)
ここが非常に重要です。前々年の収入金額(売上)が1,000万円を超える事業者が、複式簿記を行わず「簡易簿記(お小遣い帳のような記帳)」のままでいる場合、10万円の控除すら受けられなくなります(控除額0円)。 規模が大きい事業者は、きちんとした記帳をしなさいという国の強い姿勢の表れです。 - 適用時期のズレ
この改正が適用されるのは、令和9年(2027年)分の所得税からです。 令和8年度(2026年度)の改正大綱に盛り込まれましたが、実施までに準備期間が設けられています。 - 「優良電子帳簿」へのハードル
最高額の75万円を受けるには、単なる会計ソフトの使用だけでなく、データの訂正履歴が残る設定など、ソフト側の対応と適切な運用が必要になります。
8.福利厚生
(1).マイカー通勤に係る通勤手当の所得税非課税限度額の見直し
自動車やバイクで通勤する人に会社が支給する「通勤手当」のうち、税金がかからない枠(非課税限度額)が大幅に拡充されました。
①制度の概要と改正内容



前提として、令和7年11月20日の政令改正に伴い、令和7年4月1日以後に受けるべき通勤手当については、一定の引き上げ(65km以上の距離区分について、38,700円に引き上げ等)を行ったうえで、さらに今回の改正が入ります。
これまでの非課税枠は、片道55km以上であれば一律で月額38,700円が上限でしたが、遠距離通勤の実態に合わせて区分が細分化・引き上げられました。
- 片道65km以上75km未満: 45,700円
- 片道75km以上85km未満: 52,700円
- 片道85km以上95km未満: 59,600円
- 片道95km以上: 66,400円
②【新設】駐車場代の加算
一定の要件(有料駐車場の利用など)を満たす場合、上記の距離区分に応じた限度額に、月額5,000円を上限として駐車場料金相当額を加算できるようになりました。
③対象となる個人
マイカー等を使用して通勤している給与所得者です。
④制度の注意点
この改正は、原則として令和8年(2026年)4月1日以後に受けるべき通勤手当から適用されます。遠距離の従業員が多い会社は、早めに支給基準の検討を始めましょう。
(2).従業員への食事の支給に係る課税関係
会社がランチ代などを補助してくれる際の非課税ルールが、ついに「現代のランチ相場」に見合う水準まで引き上げられます。
- 制度の概要と改正内容
会社が従業員に食事を現物支給する場合、一定の条件を満たせば「給与(所得)」として課税されません。今回の改正で、その非課税枠が約2倍になりました。
→食事の支給(現物): 使用者の負担額の上限が月額3,500円から7,500円へ引き上げられました。
→深夜勤務の夜食代: 現物支給の代わりに支給する金銭の非課税上限が、1回300円から650円へ引き上げられました。 - 対象となる個人
会社から食事の支給(現物)や、深夜勤務時の夜食補助を受ける従業員や役員です。 - 制度の注意点
ここが一番重要です。金額が上がっても「従業員が食事価額の50%以上を自ら負担していること」という条件は維持されます。 例えば、1ヶ月のランチ総額が15,000円の場合、会社が7,500円、従業員が7,500円を負担すれば全額非課税ですが、会社が10,000円負担してしまうと、その全額(10,000円)が給与として課税されてしまいます。



1,000円のランチが当たり前の時代に、月3,500円の補助じゃ少なすぎるという不満もありましたが、月7,500円(1日あたり約375円)まで広がれば、福利厚生としての効果はグッと高まります。
ちなみに、食事補助の「50%負担ルール」の判定は、消費税抜きの金額で行います。限度額が上がったことで、新たに食事補助制度を導入するチャンスとなります。駐車場代の加算ルールもあわせて、自社の社内規定をアップデートして、優秀な人材を引き留める材料にしましょう。
9.ふるさと納税制度の特例控除額の見直し
令和8年度(2026年度)税制改正大綱の内容を一言で言えば、「過熱する寄附獲得競争にブレーキをかけ、高所得者の無限の優遇に上限を設ける」という、制度の健全化(適正化)を狙った内容になっています。
(1). 制度の概要と改正内容:2つの大きな「壁」の設置
今回の改正では、①寄附をする「個人」側と、②寄附を受ける「自治体」側の両方に新しいルールが導入されます。
① 個人の特例控除額に「金額上限」を新設(所得税・住民税)
ふるさと納税は、自己負担2,000円を除いた全額が控除される「特例控除」という仕組みがありますが、これまでは「住民税所得割額の2割」という基準があるだけで、所得が上がれば上がるほど、上限なく控除額が増えていく仕組みでした。
- 改正内容: 特例控除額の上限を、「個人住民税所得割額の2割」と「193万円」のいずれか低い金額に制限します。
- 基準の目安: この193万円という数字は、給与収入1億円相当の人が上限に達する計算です。
- 寄附額の目安: この上限をフルに活用できる寄附金額は約438万円となります。
② 自治体の指定基準に「60%ルール」を導入
ふるさと納税の本来の趣旨である「地域振興」にお金が回るよう、自治体が寄附金を集める際にかかる「経費」の制限が厳しくなります。
- 改正内容
寄附金額から募集費用(ポータルサイトへの手数料や返礼品調達費など)を差し引いた「寄附金活用可能額」を、寄附金の60%以上にすることが義務付けられます。 - 使途の公表
あわせて、その寄附金をどのように活用したのか、使途の公表も必須となります。 - 段階的な引き上げ
令和8年10月から順次、52.5% → 55% → 57.5% → 60%(令和11年度)と基準が引き上げられていきます。
(2). 対象となる個人(誰に影響があるのか)
- 超高所得者
年収が1億円を超えるような富裕層が主なターゲットです。これまでは所得に比例して何千万円分もの寄附が実質2,000円で行えていましたが、今後は控除額にキャップがかかるため、持ち出しが増えることになります。 - 一般の納税者
年収1億円未満の方については、今回の「193万円の上限設定」による直接的な影響はほぼありません。ただし、自治体側の経費制限(60%ルール)により、返礼品の内容がこれまでより少し控えめになったり、ポータルサイトで付与されるポイントなどが削減されたりする可能性はあります。
(3). 実務上の注意点(ここをチェック!)
- 適用のタイミング
◦ 特例控除の上限(193万円)は、「令和10年度分」の個人住民税から適用されます。,, つまり、令和9年(2027年)1月1日以降に行う寄附からが対象です。
◦ 自治体向けの「60%ルール」は、令和8年(2026年)10月1日以後に行われる指定から適用されます。,, - 指定都市での計算
上限193万円の内訳は、道府県民税77.2万円(指定都市は38.6万円)、市町村民税115.8万円(指定都市は154.4万円)と細かく設定されています。,, - ポータルサイトの手数料削減
今回の改正背景には、寄附金の約13%(約1,656億円)がポータルサイトの手数料等として域外に流出している現状があります。,, 今後は「仲介サイトのポイント付与」などに対する風当たりがさらに強まることが予想されます。



令和8年度税制改正大綱の本件に関する内容は、ふるさと納税を「節税ショッピング」から「純粋な寄附」へと戻そうとする強い意志の表れだと感じました。
特に自治体に対し、「寄附金の6割は地域のプロジェクトに使いなさい」と定めたのは画期的です。これまでの「返礼品の豪華さ」だけで選ぶ時代から、「その自治体が何に寄附金を使っているか」という応援したい中身で選ぶ時代への大きな転換点になるでしょう。
また、「うちは年収的に上限にひっかかるかな?」と心配な富裕層の方は、令和9年が来る前に一度、しっかりとした税金シミュレーションを行っておくことをお勧めいたします。
経済団体からは「返礼品を希望しない寄附まで上限を設けるのはいかがなものか」という反対意見も出ていますが、まずは公平性の観点からこの形に落ち着きそうです。制度を賢く使いつつ、地域の未来を応援していきましょう!
10.まとめ



今回の税制改正は、個人の税務判断に影響する項目が多く、早期の理解が重要になります。
特に住宅税制や資産形成支援策は、制度の選択によって税負担が大きく変わる可能性があります。
本記事が、皆さまの今後の判断に役立つ視点となれば幸いです。具体的な適用可否や最適な選択は個別事情によって異なるため、必要に応じて税理士へ相談することもご検討ください。
なお、令和8年度税制改正大綱および公表済みの解説資料をもとに、執筆時点の情報を整理したものです。今後の法案審議や政省令・通達の策定により、制度内容や適用要件が変更される可能性があります。実際の適用をご検討の際には、必ず最新の法令・公表資料をご確認のうえ、顧問税理士等の専門家にご相談ください。
相談できる税理士がいない場合には、お気軽にこちらまでお問い合わせください。



令和8年度税制大綱の法人課税編はこちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】令和8年度税制大綱の概要について:法人課税編


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