【町田市の税理士が解説】個人の利子所得の基礎知識について

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?

新屋賢人

個人の所得シリーズ第4弾として、利子所得について整理しようと思います。

ミミレイドン

利子所得、確定申告が必要なイメージないですね。

新屋賢人

そうなんです。個人の利子所得は原則確定申告が不要となります。ただし、一部申告が必要となる利子所得もあります。今回は、身近な利子所得の例などを挙げながら、なぜ、確定申告が不要なのかなどについて解説します。

目次

1. はじめに

(1).利子所得とは何か?

皆さんは、銀行口座に利子が入ったとき、「あれ、税金ってどうなってるんだろう?」と考えたことはありませんか? 利子所得とは、所得税法で定められた10種類の所得区分の一つであり、文字通り「利子として得られた所得」を指します。

個人の利子所得の大きな特徴は、原則として確定申告が不要だということです。なぜなら、利子が支払われる際に、金融機関が納税者(私たち)の代わりに税金を天引きし、納税を完了させてくれる「源泉分離課税」という仕組みが採用されているためです。

(2).利子所得の身近な例

利子所得には、私たちの日常生活に非常に身近なものが含まれます。最も一般的な例は、銀行預金や郵便貯金などの利子です。

また、国や企業が発行する債券、例えば国債、地方債、社債(公社債)の利子、さらには特定の投資信託の分配金 も利子所得に該当します。

これらの利子は、私たちが実際に受け取る前に、すでに税金(所得税・復興特別所得税・住民税)が差し引かれているため、意識する機会が少ないかもしれませんが、資産運用を考える上ではその税務上の扱いを理解しておくことが非常に重要です。

2. 利子所得の定義と範囲

利子所得と一口に言っても、その種類によって税金の扱いが大きく異なります。

ミミレイドン

源泉分離課税申告分離課税総合課税などの違いについては、次の3の項目でご説明します。

(1).預貯金の利息

銀行預金、郵便貯金、勤務先預金など、金融機関の預貯金から生じる利子は、すべて利子所得に含まれます。これらの利子は、通常、「源泉分離課税」が適用され、確定申告は不要となります。

(2).公社債の利息(国債・地方債・社債)

国債、地方債、社債といった公社債の利子も利子所得です。

原則として申告分離課税の対象ですが、申告不要を選択できます

  • 特定公社債には、国債地方債外国国債外国地方債が含まれます。
  • その他、公募公社債上場公社債、および2015年(平成27年)以前に発行された公社債(一部除く)などが該当します。
  • 個人向け国債の利子も利子所得であり、特定公社債に含まれ申告分離課税(申告不要選択可)の対象となります。

(3).投資信託(公社債投資信託・合同運用信託)の分配金

利子所得に含まれる投資信託の収益の分配金には、合同運用信託公社債投資信託、および公募公社債等運用投資信託の収益の分配金が該当します。特にMRF(マネーリザーブ・ファンド)やMMF(マネー・マーケット・ファンド)は公社債投資信託に該当します。

なお、課税方式については、原則として、源泉分離課税が適用されますが、国外公社債投資信託の場合は、源泉徴収されないため、申告分離課税で確定申告が必要となります。

新屋賢人

国外公社債投資信託については、国内証券会社経由で購入した場合は源泉徴収されるケースもあります。

(4).海外預金の利息など特殊ケース

外国の金融機関の口座の利子は、利子所得に分類されますが、国内預金と異なり、原則として総合課税の対象となり、確定申告が必要です

また、国内の利子でも、同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の役員等が受け取るものについては、総合課税の対象となります。

(5).利子所得に該当しないが利息の性質を持つもの

迷いやすい例として、次のものは、利子の性質を有するものの、税務上、「利子所得」ではなく、雑所得または事業所得となります。これらの所得は源泉徴収がされず、一定額を超えると確定申告が必要です

該当しない所得源        分類される所得区分  課税方法の原則
金銭の貸付金利子事業に付随する場合:事業所得
それ以外(友人などへの個人的な貸付):雑所得
総合課税(源泉徴収されないため、確定申告が必要)
定期積金の利子(給付補填金)雑所得。ただし、源泉分離課税が適用され、確定申告は不要となることが一般的です。源泉分離課税(実務上)
外貨預金の為替差益雑所得総合課税(原則)
特定の勤務先預金の利子役員や退職者、従業員の家族などが預けた勤務先預金の利子。雑所得
所得税等の還付加算金雑所得雑所得

特に、外貨建ての投資商品から得られる収益について、利子や配当は別の所得区分で扱われますが、為替部分の損益雑所得となります。外貨預金の利息自体は国内金融機関であれば源泉分離課税の利子所得に該当しますが、海外支店や海外の金融機関に直接預け入れた場合は源泉分離課税が適用されず、総合課税の対象となります

ミミレイドン

雑所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の雑所得の基礎知識について

3. 課税方法の基本

利子所得の課税方法には、主に「源泉分離課税」「申告分離課税(申告不要選択可)」「総合課税」の3パターンがあります。

(1).源泉分離課税:国内預金利息は源泉徴収で完結(所得税15.315%+住民税5%)

国内の銀行や郵便局の預貯金利子は、原則として源泉分離課税が適用されます。

税率: 一律20.315%

  • 所得税:15%
  • 復興特別所得税:0.315% (所得税額の2.1%)
  • 住民税:5%

納税の完結

利息を受け取る際に税金が天引きされるため、原則として確定申告は不要(できません)

(2).申告分離課税/申告不要:特定公社債や公募公社債投資信託の利息は選択可能

平成28年1月1日以降に支払いを受ける特定公社債等(公募公社債投資信託を含む)の利子等については、申告分離課税の対象となりますが、確定申告をしない(申告不要)ことを選択することも可能です。

この場合も税率は一律20.315%ですが、申告分離課税を選択し確定申告を行うことで、後述する損益通算のメリットを享受できます

(3).総合課税:海外預金利息や同族会社の社債利息などは給与・事業所得と合算

利子所得は本来、所得税法上は総合課税とされていますが、租税特別措置法によって分離課税とされているのが現状です。しかし、以下の例外的なケースでは総合課税の対象となり、給与所得や事業所得など、他の所得と合算して課税されます。

  1. 国外の金融機関の口座の利子
  2. 同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の役員等(株主等)が支払いを受けるもの

総合課税の場合、日本の所得税の税率は累進課税(所得金額に応じて5%から45%まで変動)が適用されます。

4. 確定申告が必要になるケース

原則確定申告不要の利子所得ですが、以下のケースに該当する場合は確定申告が必須、あるいは申告した方が有利になります。

(1).国外で得た利子所得がある場合

海外の金融機関に預け入れた預金から得た利子は、原則として総合課税の対象となるため、確定申告が必要です。もし外国で現地税が源泉徴収されている場合は、日本での確定申告時に外国税額控除を適用することで、二重課税を防げる可能性があります。国税庁はCRS(共通報告基準)に基づき海外口座の情報を把握しており、申告漏れは税務調査で指摘されるリスクがあります

(2).源泉徴収されない国内の利子所得がある場合

国内の利子所得であっても、同族会社が発行した社債の利子をその会社の役員等が受け取る場合は、総合課税の対象となり、確定申告が必要です。

(3).利子所得を総合課税に切り替える場合(損益通算や控除目的)

国内の預貯金利子は確定申告できませんが、特定公社債の利子については、申告分離課税を選択し確定申告を行うことで、税制上のメリットを得られます

例えば、上場株式や特定公社債等の譲渡で損失(赤字)が出た場合、この特定公社債の利子と損失を相殺できる(損益通算できる)ため、結果的に税金が還付される可能性があります。この手続きには確定申告が必要です。

(4).国外居住者からの利息を受け取った場合

事業に関係のない貸付金の利息は雑所得に分類され、源泉徴収されないため、年間20万円を超える雑所得がある給与所得者などは確定申告が必要です。国外居住者からの利息も、この雑所得または事業所得として扱われます。

5. 非課税となる利子所得

すべての利子に税金がかかるわけではありません。国が推進する特定の制度や、福祉的な配慮から非課税となる優遇措置があります

(1).障害者等の少額貯蓄非課税制度(マル優・特別マル優)

この制度は、国内に住所を有する身体障害者手帳の交付を受けている人寡婦年金・遺族基礎年金を受けることができる妻など、特定の障害者等が利用できます

  • マル優(少額貯蓄非課税制度)
    元本の額が350万円までの預金、貯金、利付公社債、公社債投資信託などの利子等が非課税になります。
  • 特別マル優
    元本の額が350万円までの国債、公募地方債の利子が非課税になる制度で、マル優とは別枠で適用を受けることができます。

この制度の適用を受けるには、最初に公社債等を購入する日までに「非課税貯蓄申告書」または「特別非課税貯蓄申告書」を金融機関を通じて税務署に提出する必要があり、これらの申告書には個人番号(マイナンバー)を記載する必要があります。

また、郵政民営化前に非課税の適用を受けて預け入れられた一定の郵便貯金の利子は、満期(または解約)までの間、引き続き非課税とされています。

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1313 障害者等のマル優(非課税貯蓄)

(2). 勤労者財産形成住宅貯蓄および年金貯蓄の利子非課税制度

勤労者の持ち家取得促進や老後の生活安定を目的とした優遇制度です。

  • 対象:
    財形住宅貯蓄および勤労者財産形成年金貯蓄の利子。
  • 非課税限度額
    両方の貯蓄の元本の額の合計が550万円までの利子等が非課税とされます。なお、財形住宅貯蓄のみを利用する場合は元本350万円までが非課税限度です。
  • 適用対象者
    年齢55歳未満の勤労者で、「給与所得者の扶養控除等申告書」を勤務先に提出している人に限られます。

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1316 財形住宅貯蓄

(3). その他の非課税となる利子

上記のマル優・財形以外にも、以下の利子については非課税とされています。

納税貯蓄組合預金の利子
納税準備預金の利子
子供銀行の預貯金等の利子
• NISA(少額投資非課税制度)の口座内で運用する債券や預金の利子、配当、譲渡益。

これらの制度を利用することで、利子所得にかかる税負担を軽減し、効率的な資産形成を図ることができます。特にマル優制度や財形制度を利用する場合は、要件の確認と所定の申告書提出が必須となります。

6. 実務上の注意点

利子所得の取り扱いにおける、実務上知っておきたい3つの重要なポイントを解説します。

(1).利子所得は必要経費を差し引けない(収入=所得)

利子所得の金額を計算する際、受け取った利子の収入金額(源泉徴収される前)が、そのまま利子所得の金額となります

給与所得や事業所得とは異なり、利子所得には原則として必要経費を差し引くという概念がありません。もし株式等の購入のために借り入れをし、その負債の利子を支払っていたとしても、配当所得のように経費として控除することはできませんので、注意が必要です。

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)

(2).確定申告不要でも「申告分離課税」を選べば株式譲渡損失と損益通算可能

特定公社債の利子は、原則として申告不要を選択できますが、あえて申告分離課税を選択して確定申告するメリットがあります

これは、申告分離課税を選択した特定公社債の利子は、上場株式等グループ(上場株式、公募株式投資信託、特定公社債など)の売却損や償還差損と損益通算ができるためです。もし株式投資で大きな損失を抱えていた場合、この利子と相殺することで、所得税の負担を軽減し、源泉徴収された税金の一部または全部の還付を受けられる可能性があります。

(3).申告方法を一度選択すると後から変更不可

特定公社債の利子等について、一度「申告分離課税」を選択し確定申告を行うと、その後の修正や更正の請求において、「申告不要」に変更することはできません

申告するかどうかは、その年の他の金融商品の損益状況(特に譲渡損失の有無)を総合的に判断した上で、慎重に選択する必要があります。

7. まとめ

利子所得の税務処理は、一見シンプルですが、投資商品の種類や運用場所(国内か海外か)によって複雑にルールが変わります。

(1).利子所得は原則「源泉分離課税」で確定申告不要

国内の預貯金利子など、最も身近な利子所得は、一律20.315%の源泉分離課税が適用され、納税は金融機関が自動的に行ってくれるため、原則として確定申告の手間はかかりません。この利便性が利子所得の最大の特徴です。

(2).例外的に「総合課税」や「申告分離課税」となるケースを理解することが重要

しかし、以下の例外を把握しておくことが、適切な納税と節税の第一歩です。

総合課税が必要なケース: 海外預金利子、同族会社が発行した社債の利子。

申告分離課税を選択できるケース: 特定公社債の利子。

特に、海外資産をお持ちの方は、税務調査で申告漏れを指摘されないよう、国外の利子所得は必ず確定申告で総合課税として申告する必要があります。

新屋賢人

特定公社債などの利子について申告分離課税を選択すれば、株式等の譲渡損失と損益通算が可能になり、税金を取り戻せるチャンスが生まれます。
利子所得は「自動で税金が終わる」と思われがちですが、特に資産運用や投資を行っている方は、この「源泉分離」「申告分離」「総合課税」の三つの選択肢と違いを理解しておくことで、賢く資産を守り、育むことができます。
相談できる税理士がいない場合には、お気軽にこちらまでお問い合わせください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

コメント

コメントする

目次