【町田市の税理士が解説】所得の種類別、確定申告が必要なボーダーライン(確定申告が必要な人・不要な人)

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
今朝のテーマはなんでしょうか?

新屋賢人

先日、10種類の所得の概要について、全10回の記事で解説しましたが、今回は、その10種類の所得の確定申告の必要性について、簡単にまとめてみようかと思います。

ミミレイドン

この時期一番多い質問ですもんね。

新屋賢人

そうですね。毎年2月になると、「自分は確定申告が必要なのか?」と悩む方は非常に多いです。特に副業や投資、年金など、給与所得以外の収入源が多様化する現代では、その判断基準は複雑になりがちです。
この記事では、個人が得る10種類の所得 のそれぞれについて、「申告が必要なボーダーライン」と「不要なケース」を明確に解説します。これを読めば、あなたが今年「損をせず」「義務を果たせる」最適な道筋が見つかることでしょう。

目次

1. はじめに

(1).確定申告の基本的な意義(税金の精算・還付・追加納税)

所得税は、個人が1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に対してかかる税金です確定申告とは、この1年間の所得金額とそれに対する所得税等の額を計算し確定させる手続きを指します

この手続きの主な意義は、源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合の過不足を精算する ことにあります。

  • 還付(税金が戻る): 源泉徴収された税金や予定納税額が、本来納めるべき年税額よりも多かった場合。
  • 追加納税(税金を納める): 算出した年税額が、すでに納めた税額よりも多かった場合。

(2).「申告が必要な人」と「申告不要な人」の違い

所得税の申告が必要な人は、原則として総所得金額と分離課税が適用される所得金額の合計額が所得控除の合計額を超え、その超える所得金額に対する税額が配当控除額等の合計額よりも多い人です。

一方、会社員(給与所得者)のように、勤務先で年末調整を受けており、かつ給与所得以外の所得が一定額以下である場合は、原則として確定申告が不要とされています

(3).どの所得がどの条件で申告義務になるか

所得は、その性質に応じて10種類に分類されており、申告の要否はこれらの種類ごとに、また金額のボーダーラインによって決まります。あなたの収入がどの所得に該当し、どの条件で申告義務が発生するのか、これから確認していきましょう。

2. 確定申告の必要性【利子所得】

利子所得とは、預貯金や公社債の利子、公社債投資信託の収益の分配などに係る所得です。

区分   確定申告が必要なケース不要なケース
利子所得源泉分離課税の対象とならないもの(例:国外で支払われる預金等の利子など、日本の所得税等が源泉徴収されていないもの)は、総合課税の対象となり申告が必要です。国内の銀行預金利子 など、源泉徴収によって課税が完結する源泉分離課税 の対象となる所得は申告不要です。
新屋賢人

特定公社債等(国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債などの一定の公社債や公社債投資信託)の利子等については、税率15.315%(他に地方税5%)により所得税等が源泉徴収されるとともに、税率15.315%(他に地方税5%)の申告分離課税の対象となりますが、確定申告しないことも選択できます。
なお、確定申告においてこれらのいずれかを選択した後は、修正申告や更正の請求において、この選択を変更することはできませんので、注意が必要です。

ミミレイドン

利子所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください
【町田市の税理士が解説】個人の利子所得の基礎知識について

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)

3. 確定申告の必要性【配当所得】

配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける剰余金の配当や、投資信託の収益の分配などから生ずる所得です。

区分   確定申告が必要なケース不要なケース    
配当所得1. 配当控除の適用を受けたい場合
配当控除は、法人税と所得税の二重課税を調整するための制度です。この配当控除の適用を受けるためには、原則として配当所得を総合課税として申告する必要があります。
2. 総合課税または申告分離課税を選択する場合
一定の上場株式等の配当等について、確定申告不要制度を選択せずに、他の所得と合算して累進税率で計算する総合課税、または他の所得と分離して計算する申告分離課税を選択する場合、確定申告が必要です。
3.大口株主等からの配当金
上場株式等の配当等であっても、大口株主等(発行済株式等の3%以上を保有する方) が受け取る配当等は総合課税の対象とされ、申告分離課税を選択できません。このため、原則として確定申告が必要です。
4. 特定口座(源泉徴収なし)または一般口座での取引
特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で配当金を受け取った場合、納税を完了させるために確定申告が必要です。
5. 配偶者控除等の判定に含めたい場合
源泉徴収によって課税が完結し申告不要を選択した配当所得などは、合計所得金額に含まれませんが、確定申告を行った所得は合計所得金額に含まれます。配偶者控除や扶養控除などの所得要件の判定に配当所得を含めたい場合(通常は所得が増えるため不利な判定になる)は、確定申告が必要です。
1. 確定申告不要制度を選択した場合
上場株式等の配当等や、非上場株式の少額配当等(一定の要件を満たすもの)について、確定申告不要制度を選択した場合、源泉徴収により課税が完結するため申告は不要となります。
2. 特定口座(源泉徴収あり)で申告不要を選択した場合
金融商品取引業者等に開設した特定口座のうち、源泉徴収口座(源泉徴収あり)に受け入れた上場株式等の配当等について、確定申告不要制度を選択した場合、申告は不要です。
3. 源泉分離課税の対象となる所得
私募特定目的信託の社債的受益権の収益の分配などのように、源泉分離課税が適用される所得は、所得を受け取る際に税金が源泉徴収され課税が完了するため、確定申告することはできません。
4. NISA口座内の配当
NISA(少額投資非課税制度)の非課税口座内で得た上場株式等の配当等は、そもそも非課税となるため、確定申告は不要です。
新屋賢人

配当所得は、原則として総合課税の対象となる所得として、確定申告の対象とされますが、上場株式等の配当等(大口株主等の場合を除く)については、総合課税によらず、申告分離課税を選択することができます。なお、申告分離課税の選択は、確定申告する上場株式等の配当所得の全額についてしなければなりませんので、ご注意ください。
なお、配当所得のうち、少額の配当や上場株式等の配当等(大口株主等の場合を除く)は納税者の判断により確定申告をしなくてもよいこととされています。これを「確定申告不要制度」といいます。

ミミレイドン

配当所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の配当所得の基礎知識について

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)

4. 確定申告の必要性【不動産所得】

不動産所得とは、土地や建物などの不動産の貸付け、地上権などの権利の貸付け、船舶や航空機の貸付けなどから生ずる所得です。

区分    確定申告が必要なケース不要なケース
不動産所得1. 不動産所得に利益(黒字)がある場合
家賃収入や地代収入などがあり、総収入金額から必要経費を差し引いた結果、所得金額がプラスになった場合、原則として確定申告が必要です。
2. 不動産所得に損失(赤字)があり、他の所得と損益通算したい場合
不動産所得の金額に損失(赤字)があるとき、確定申告をすることで、他の所得(給与所得、事業所得など)の黒字からその損失を差し引く(損益通算) ことができます。これにより、全体の課税所得が減り、税負担を軽減できるため、申告が推奨されます。
3. 給与所得者や年金受給者で、不動産所得を含めた「その他の所得」が一定額を超える場合
本業が会社員(給与所得者)や年金受給者で、不動産所得を含む給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えている 場合、確定申告が必要です。(例:給与所得者で、不動産所得のみが20万円を超えた場合や、不動産所得と副業の雑所得の合計が20万円を超えた場合。)
4. 事業的規模の不動産貸付けを行っている場合 不動産の貸付けが事業的規模で行われていると判断される場合(例:アパート10室以上または戸建て5棟以上など)、所得金額の規模にかかわらず、青色申告や専従者給与などの特典を受けるため に確定申告が必要です。 ただし、不動産所得が事業的規模でない場合、青色申告特別控除は最大10万円です。
1. 不動産所得がない場合
そもそも不動産の貸付けを行っておらず、不動産所得の収入がない場合は確定申告は不要です。
2. 給与所得者や年金受給者で、その他の所得が20万円以下の場合
会社員(年末調整済み)または年金受給者(確定申告不要制度の要件を満たす場合)で、不動産所得を含む給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下 である場合、所得税の確定申告は不要です。
3. 所得控除を差し引いた結果、納める税金がない場合
総所得金額と分離課税が適用される所得金額の合計額が所得控除の合計額を超えても、その超える所得金額に対する税額が配当控除額などの合計額よりも少ない場合、確定申告をする必要はありません。
4. 損失が損益通算の対象外となる場合
不動産所得の損失であっても、別荘等のように趣味、娯楽などの目的で所有する不動産の貸付け に係る損失や、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の損失 は、損益通算の対象となりません。この場合は、損失が出ても申告するメリットがないため、申告しないという選択が可能です。
新屋賢人

不動産所得(総収入金額から必要経費を差し引いて計算)がある場合、原則として確定申告が必要となります。なお、所得税の確定申告が不要な「その他の所得が20万円以下」のケースであっても、住民税については申告が必要です。所得税の確定申告をしない場合、市区町村は住民税を計算するために所得情報を把握できないため、原則として別途住民税の申告をしなければなりませんので、注意しましょう。以下の所得も同様となります。

ミミレイドン

不動産所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の不動産所得の基礎知識について

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

5. 確定申告の必要性【事業所得】

事業所得とは、農漁業、小売業、サービス業など、対価を得て継続的に行う事業から生じる所得(医師や弁護士などの自由職業を含む)です。

区分   確定申告が必要なケース不要なケース    
事業所得1. 事業所得の金額が基礎控除額等を超える場合
事業所得(売上から必要経費を差し引いた金額)が、基礎控除額(2025年分以降、最大95万円)などの所得控除の合計額を超え、納税すべき税額が算出される場合、確定申告が必要です。
2. 赤字(損失)を将来に繰り越したい場合
事業所得で生じた純損失(赤字)を3年間繰り越して将来の黒字所得から控除(繰越控除)できます。この特典を適用するためには、赤字の年であっても申告書の提出が必須です。
3. 源泉徴収された所得税を還付したい場合
報酬から所得税が源泉徴収されている(天引きされている)場合で、年間の所得税額が源泉徴収された額よりも少ないとき(特に所得が控除額以下で本来納税額がゼロになる場合)、確定申告(還付申告)を行うことで、払い過ぎた税金を取り戻すことができます。
1. 事業所得の金額が基礎控除額以下の場合
事業所得が、基礎控除額(2025年分以降、合計所得金額132万円以下であれば最大95万円)やその他の所得控除の合計額以下となり、所得税の課税所得が生じない場合、原則として所得税の確定申告は不要です。
2. 給与所得者で副業所得が20万円以下の場合
会社員などで年末調整を受けており、かつ、事業所得を含む給与所得・退職所得以外の所得の合計額が年間20万円以下である場合、所得税の確定申告は不要です。
3. 他に所得がない場合
事業所得以外に所得がなく、所得控除を差し引いた結果、納めるべき所得税がない場合、所得税の確定申告は不要です。
新屋賢人

事業所得の金額は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算されます。個人事業主やフリーランスにとって、確定申告は納税義務を果たすだけでなく、青色申告による税制優遇を受けるための重要な手続きです。

ミミレイドン

事業所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の事業所得の基礎知識について

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)

6. 確定申告の必要性【給与所得】

給与所得とは、給料、賞与、賃金などの所得を指します。

区分   確定申告が必要なケース不要なケース
給与所得1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
年間の給与収入が2,000万円を超える方は、年末調整の対象外となるため、必ずご自身で確定申告を行わなければなりません。
2. 給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合
給与を1か所から受けており、その給与の全額が源泉徴収の対象となっている場合でも、給与所得や退職所得以外の各種所得(事業所得、雑所得、不動産所得など)の合計額が20万円を超えるとき(損失の繰越控除の適用を受ける人などを除く)は、確定申告が必要です。
3. 給与を2か所以上から受けている場合
給与を2か所以上から受けており、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となっている場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超えるときも確定申告が必要です。
4. 源泉徴収されない給与がある場合
在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税等が源泉徴収されないこととなっている方や、海外において給与の支給を受けている方などは、確定申告が必要です。
5. 同族会社の役員などで、給与以外の支払いを受けている場合
同族会社の役員やその親族などで、その会社から給与のほかに、貸付金の利子、不動産の賃貸料、機械器具の使用料などを受け取っている人は、確定申告が必要です。
6. 災害減免法の適用を受けている場合
給与について、災害減免法により所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人は、確定申告が必要です。
1. 勤務先が1か所のみで年末調整が済んでいる
給与が1か所のみから支払われ、かつ給与の全額について年末調整を済ませている場合、原則として確定申告は不要です。
2. 給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下の場合
給与を1か所から受けており、年末調整が済んでいる場合、給与所得および退職所得以外の各種所得(副業収入など)の合計額が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。
3. 複数の給与があっても、合計所得が少額な場合
給与を2か所以上から受けている人でも、年末調整を受けなかった給与の収入金額と、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下であれば、申告は不要です。
新屋賢人

申告義務がない場合でも、医療費控除、雑損控除、寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を利用しない場合)、または住宅ローン控除の初年度の適用を受けたい場合などは、確定申告(還付申告)を行うことで源泉徴収された税金が還付される可能性があります。また、年の途中で退職し年末調整を受けていない人も、還付を受けられる可能性が高いです。

ミミレイドン

給与所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の給与所得の基礎知識について

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1410 給与所得控除

7. 確定申告の必要性【退職所得】

退職所得とは、退職手当や一時恩給など、退職により一時に受ける給与による所得です。

区分   確定申告が必要なケース不要なケース
退職所得1. 「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合
この申告書を提出しなかった場合、退職金の支払者は、退職金等の支給額に対して一律20.42%の税率(所得税および復興特別所得税)で源泉徴収を行います。この源泉徴収額は、本来の控除(退職所得控除など)を適用して計算した税額よりも高額になることが多いため、精算(還付または追加納付)のために確定申告が必要となります。
2. 源泉徴収されない退職所得がある場合
外国企業から受け取った退職金 など、日本国内で所得税等が源泉徴収されていない退職所得がある場合は、納税のために確定申告が必要です。
3. 計算した所得税額が源泉徴収額よりも多くなる場合
上記1の理由(申告書不提出)により20.42%が源泉徴収された場合でも、その後の適切な計算に基づいて算出した税額が、すでに源泉徴収された税額より大きくなるときには、追加で納付するために確定申告をしなければなりません。
4. 還付申告をする場合(申告が推奨されるケース)
たとえ申告義務がない場合でも、上記の理由(申告書不提出)で20.42%が源泉徴収されており、適切な控除を適用して再計算した税額が、源泉徴収額よりも少ない場合、確定申告(還付申告)を行うことで払い過ぎた税金を取り戻すことができます
5. その他の控除適用を目的として確定申告書を提出する場合
医療費控除や寄附金控除など、退職所得以外の理由で確定申告書を提出する場合、退職所得の金額も確定申告書に含めて記載する必要があります。
1. 「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合
退職金の支払者に対して「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、支払者側で適正な退職所得控除額を計算し、所得税等が源泉徴収(特別徴収)されます。これにより課税関係が完結するため、原則として確定申告は不要です。
2. 退職金を一時金ではなく年金形式で受け取る場合
退職金を年金として受け取る場合、その所得は退職所得ではなく雑所得に分類されるため、退職所得としての確定申告は不要です。 ただし、雑所得として公的年金等の収入が400万円を超え、かつ公的年金等以外の所得が20万円を超えるなど、雑所得の確定申告が必要となる場合があります。
3. 通常の退職金で、源泉徴収により課税が完了している場合
上記1の申告書を提出した結果、源泉徴収によって税金の精算が完了しており、他に確定申告すべき所得や控除(医療費控除など)がない場合、申告は不要です。
4. 死亡退職金の場合
死亡を原因として相続人に支給された退職金は、所得税・住民税の課税対象ではなく、相続税の課税対象となります(ただし、死亡後3年を超えて支給が確定した場合は一時所得となります)。
新屋賢人

退職所得は、他の所得とは分けて分離課税され、退職所得控除という大きな非課税枠が適用されるなど、税制上の優遇措置が講じられています。
確定申告の必要性は、「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払者(勤務先など)に提出したかどうかによって大きく異なります。

ミミレイドン

退職所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の退職所得の基礎知識について

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

8. 確定申告の必要性【山林所得】

山林所得とは、所有期間が5年を超える 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによる所得です。

区分   確定申告が必要なケース不要なケース
山林所得1. 山林所得が生じた場合(原則)
所有期間が5年を超える山林の伐採または譲渡による所得がある場合、確定申告が必要です。山林所得は他の所得と分離して、特別な累進税率(5分5乗方式)を適用して税額が計算されます。
2. 損失(赤字)を繰り越したい場合
山林所得に損失(赤字)が生じた場合、確定損失申告を行うことで、その損失を翌年以降3年間繰り越して、将来の黒字所得から控除(繰越控除)できます。この繰越控除を適用するためには、損失が生じた年に確定申告書を提出する必要があります。
3. 青色申告の承認を受けている場合
山林所得を生ずる業務を行う人で、青色申告の承認を受けた場合、確定申告が必要です。青色申告特別控除(最大65万円、55万円、または10万円)の適用を受けることができます。
1. 所有期間が5年以内の山林を譲渡した場合
この所得は山林所得にはならず、事業所得または雑所得として扱われます。この場合は、事業所得または雑所得の申告基準に従います。
3. 山林所得の譲渡益が特別控除額(50万円)以下の場合
山林所得の特別控除額は最高50万円ですが、譲渡益が50万円より少ないときはその金額となります。所得金額がゼロまたはマイナスとなり、他の所得がない場合は、申告義務は生じません。
新屋賢人

山林所得の金額は、総収入金額から必要経費(取得費、管理費、譲渡費用など)と特別控除額(最高50万円)を差し引いて計算されますので、山林所得が50万円を超えているか否かが一つの目安となります。

ミミレイドン

山林所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の山林所得の基礎知識について

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1480 山林所得

9. 確定申告の必要性【譲渡所得】

譲渡所得とは、土地、建物、株式等、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得です。

区分   確定申告が必要なケース不要なケース
譲渡所得1. 譲渡所得金額(利益)が発生した場合
土地や建物を売却した結果、譲渡所得金額(利益)がある方は、原則として確定申告が必要です。譲渡所得金額は「譲渡価額 –(取得費+譲渡費用)」の算式で計算されます。
2. 一般口座または特定口座(源泉徴収なし)で取引した場合
株式等の譲渡所得について、一般口座を利用している場合や、特定口座のうち源泉徴収なしを選択している場合、利益が出た際には自分で税額を計算し確定申告を行う必要があります。
3. 申告分離課税の対象となる所得
土地や建物、借地権、株式等の譲渡による所得は申告分離課税の対象です。これらの申告分離課税の所得を得た場合、確定申告が必要です。
4. 譲渡損失を繰越控除したい場合(還付申告)
株式等の譲渡で損失(譲渡損)が出た場合、その損失を翌年以降3年間繰り越して、将来の利益と相殺する損失繰越控除の特例を適用するためには、損失が発生した年に確定申告書を提出する必要があります。
5. 譲渡所得の特例の適用を受ける場合
譲渡所得の特別控除(例えば、マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除)や、居住用不動産の売却損を他の所得と損益通算する特例などの譲渡所得の特例の適用を受ける場合は、納税すべき税額がゼロであっても確定申告が必要です。
6. 給与所得者で、譲渡所得を含めた給与・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合
給与所得者で年末調整を受けている方でも、譲渡所得(総合課税の対象となる譲渡所得や申告分離課税となる株式等の譲渡所得など)を含めた給与所得および退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
1. 特定口座(源泉徴収あり)で取引し、申告不要を選択した場合
金融商品取引業者等に開設された特定口座のうち、源泉徴収ありを選択した口座での取引によって生じた上場株式等の譲渡による所得は、源泉徴収によって課税が完結するため、確定申告不要制度を選択できます
2. NISA(ニーサ)口座で取引した場合
NISA口座(非課税口座)内で得た上場株式等の譲渡益は、非課税となるため、確定申告は不要です。
3. 生活用動産を売却した場合
生活に通常必要な動産(衣類、家具、家電など)の譲渡による所得は、非課税とされるため、申告は不要です(ただし、1個または1組で30万円を超える貴金属や骨董品などを除きます)。
4. 譲渡損失が発生し、他に確定申告の義務がない場合
土地や建物の譲渡による損失(赤字)が生じても、原則として給与所得や事業所得などの他の所得との損益通算はできません。また、株式等の譲渡損失について、繰越控除の適用を受けない場合は、申告義務がなければ申告は不要です。
新屋賢人

譲渡所得の課税方法は資産の種類や所有期間によって「総合課税」または「申告分離課税」に分かれますので、注意が必要です。

ミミレイドン

譲渡所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の譲渡所得の基礎知識について

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

10. 確定申告の必要性【一時所得】

一時所得とは、営利目的の継続的行為から生じたものでなく、労務や資産の譲渡の対価ではない、懸賞金、保険の満期返戻金などの一時的な所得です。

区分   確定申告が必要なケース不要なケース
一時所得1. 一時所得の金額が特別控除額(50万円)を超える場合
一時所得の金額(収入金額から収入を得るために支出した金額を差し引いた額)が、特別控除額50万円を超えた場合、確定申告が必要です。一時所得は総合課税の対象とされ、所得税の計算においては、その所得金額の2分の1の金額が他の所得と合算されます。
2. 給与所得者で、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える場合
会社員などで年末調整を受けている給与所得者の場合、一時所得(特別控除適用後の金額)を含めた給与所得および退職所得以外の各種所得の合計額が20万円を超えるとき(損失の繰越控除の適用を受ける人などを除く)は、確定申告が必要です。
3. 源泉分離課税の対象とならない所得がある場合
例えば、一時払養老保険の差益のうち、保険期間等が5年以内のものは源泉分離課税の対象となり申告は不要ですが、5年を超えているものは総合課税の対象となるため、上記の金額基準に基づき確定申告が必要となります。
1. 一時所得の金額が特別控除額(50万円)以下のため課税所得が生じない場合
一時所得の金額(収入金額から支出した費用を差し引いた金額)が、特別控除額50万円以下である場合、所得はゼロまたはマイナスとなり、原則として所得税の確定申告は不要です。
2. 非課税所得である場合
宝くじの当選金品 や、損害保険の保険金(一定の入院給付金、慰謝料、損害賠償金など)は非課税所得と定められているため、申告は不要です。
3. 源泉分離課税の対象となる場合
保険期間等が5年以下の一時払養老保険の差益など、源泉分離課税が適用される所得は、所得を受け取る際に税金が源泉徴収され課税が完了するため、確定申告することはできません。
4. 給与所得者で、他の所得と合わせた合計額が20万円以下の場合
会社員などで年末調整を受けており、かつ一時所得を含む給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下である場合、所得税の確定申告は不要です。
新屋賢人

所得税法第9条第1項第18号において、保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他政令で定めるものを非課税所得とする旨が定めています。したがって、不要なケース2の通り、一定の損害賠償金等は非課税となります。

ミミレイドン

一時所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の一時所得の基礎知識について

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1490 一時所得

11. 確定申告の必要性【雑所得】

雑所得とは、公的年金等、非営業貸金の利子、副業(原稿料、講演料など)の収入、仮想通貨・FXなどの利益のように、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいいます。

区分  確定申告が必要なケース不要なケース            
雑所得1. 給与所得者で雑所得が多い場合(20万円の壁)
給与を勤務先から受けており年末調整を受けている方でも、給与所得や退職所得以外の所得の合計額が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。この「20万円」は収入(売上)ではなく、収入から必要経費を差し引いた所得金額を指します。なお、 2か所以上から給与を受け取っている場合、年末調整されなかった給与の収入金額と、雑所得を含むその他の所得金額との合計額が20万円を超える場合も申告が必要です。
2. 公的年金受給者で所得が多い場合
公的年金等に係る確定申告不要制度の要件を満たさない場合、確定申告が必要です。具体的には以下のいずれかに該当するときです。
公的年金等の収入金額が年間400万円を超える場合。
公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が年間20万円を超える場合(給与所得や個人年金、副業など)。
3. その他(分離課税所得や還付申告)
先物取引に係る雑所得等がある場合:FXや先物取引などの所得は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象とされ、確定申告が必要です。
還付を受けたい場合:雑所得(例:原稿料や講演料)から所得税が源泉徴収されている場合で、年間の所得税額が源泉徴収された税額より少ないとき、還付を受けるために確定申告(還付申告)が必要です。
1. 給与所得者で雑所得が少ない場合
会社員などで年末調整を受けている方が、給与所得や退職所得以外の所得の合計額が年間20万円以下である場合、所得税の確定申告は不要です。
2. 公的年金受給者が確定申告不要制度の要件を満たす場合
年金受給者には、以下の全ての要件を満たす場合に所得税の確定申告が不要となる「公的年金等に係る確定申告不要制度」があります。
• 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下である。
• その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となっている(源泉徴収を要しない公的年金等を除く)。
• 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である。
3. 非課税所得である場合
遺族年金や障害年金など、法令により非課税所得と定められている所得は、確定申告が不要です。
新屋賢人

雑所得は原則として総合課税の対象となり、他の所得と合算して課税されます。確定申告の要否は、納税者の状況(給与所得者か、年金受給者かなど)によって異なります。

ミミレイドン

雑所得については、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】個人の雑所得の基礎知識について

参照:国税庁ホームページタックスアンサー No.1500 雑所得

12. 確定申告が不要でも「申告した方が得」なケース

たとえ確定申告の義務がなくても、自主的に申告(還付申告)することで、払い過ぎた税金を取り戻したり、将来の節税につなげたりできる場合があります

(1).医療費控除やふるさと納税で還付を受けられる場合

  • 医療費控除
    年末調整では適用できない 控除の代表格です。年間で支払った医療費の合計額が10万円を超える場合(所得金額が200万円未満の場合は所得の5%を超える場合)、控除を適用することで税金が還付される可能性が高くなります。
  • ふるさと納税
    原則として確定申告が必要な寄附金控除の対象です。ワンストップ特例制度を利用していない場合や、6団体以上に寄附をした場合、または医療費控除などで確定申告を行うことでワンストップ特例が無効になった場合は、必ず確定申告で寄附金控除の適用を申告する必要があります。

(2).配偶者控除・扶養控除の適用確認

2025年税制改正により、配偶者控除や扶養控除の対象となる扶養親族等の合計所得金額の要件が「48万円以下」から「58万円以下」に引き上げられました(2025年分以降)。

これにより、パートやアルバイト収入がある配偶者や親族の収入が多少増えても、控除の対象から外れにくくなりました。控除の適用を確実に受けるためには、年末調整で申告漏れがないか確認し、必要に応じて確定申告を行うことが推奨されます

(3).副業収入(事業所得)が少額でも青色申告で節税できる可能性

個人事業主として青色申告をしている方が事業で赤字(純損失)を出した場合でも、翌年以降3年間繰り越して、将来の黒字と相殺(繰越控除) することができます。この繰越控除を適用するためには、赤字が生じた年に確定申告を行っておくことが必須条件です。将来の税負担を軽減するためにも、赤字でも申告しましょう。

13. まとめ

(1).所得の種類ごとに「申告義務の有無」を整理することが重要

確定申告が必要か不要かを判断するためには、まずあなたの収入を10種類の所得に正しく分類し、それぞれのボーダーラインを確認することが重要です特に給与所得者の方は、給与以外の所得が「20万円以下」であれば所得税の申告義務は免除されますが、住民税の申告は必要である点を見落とさないように注意しましょう。

(2).「不要」でも申告すれば還付や控除が受けられるケースがある

申告義務がない場合でも、医療費控除、ふるさと納税、源泉徴収された報酬の還付、または事業の赤字繰越 などのメリットを享受できる可能性があります。申告することで税金が戻ってくる(還付)場合は、対象年の翌年1月1日から5年間いつでも申告が可能です。

(3).読者への行動提案:自分の所得を種類別に確認し、必要に応じて申告準備を

さあ、今日から以下の行動を始めましょう。

  1. 全ての収入源を書き出す
    給与、副業、配当、年金など、全ての収入を10種類の所得に分類します。
  2. ボーダーラインをチェック
    各所得の「申告必要」の基準を超えていないか確認します。
  3. 還付の可能性を検討
    医療費控除やふるさと納税の証明書、源泉徴収票(源泉徴収額の確認)を集め、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」などでシミュレーションしてみましょう。
新屋賢人

本来必要な申告を行わなかったり、又は誤った申告を行うことで、罰則税の対象となってしまいます。迷ったときや申告の負担を軽減したい場合は、税理士へ相談することも検討し、賢く、正確に 申告を完了させましょう。
相談できる税理士がいない場合には、お気軽にこちらまでお問い合わせください。

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この記事を書いた人

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

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