ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年5月30日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、企業のグローバル化が進む昨今において実務で直面することの多い「外国子会社から受ける配当等」の税務上の取扱いについてです。



外国子会社からの配当ですか。国内の子会社からの配当の益金不算入とは、何か異なるルールがあるのでしょうか?



はい、内国法人が外国子会社から受ける配当等については、国際的な二重課税を排除するための専用のルールが法人税法第23条の2に規定されています。国内配当とは要件や計算方法が異なりますので、注意が必要です。



なるほど、専用のルールがあるのですね。適用要件や計算方法など、詳しく教えてください!
1. 外国子会社から受ける配当等の原則的な取扱い
まず、外国子会社から受ける配当等についての原則的な取扱い(益金不算入制度)の概要を解説いたします。
内国法人が「外国子会社」に該当する外国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、または剰余金の分配の額がある場合には、その配当等の額から、その配当等に係る「費用の額」に相当する金額を控除した金額を、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しないこととされています(法人税法第23条の2第1項)。
ここで控除される「費用の額」とは、法令上、配当等の額の「100分の5に相当する金額」と一律に定められています(法人税法施行令第22条の4第2項)。
つまり、計算構造としては、外国子会社から受け取った配当等の額の「95%相当額」が益金不算入となり、残りの「5%相当額」は益金として課税対象に残るということになります。これは、国内の受取配当等の益金不算入制度における負債利子の控除計算とは異なり、個別具体的な費用の額を計算するのではなく、一律に5%を費用相当額とみなす簡便的な仕組みが採用されているためです。
なお、配当等の一部が外国子会社所在地国で損金算入され、法人税法23条の2第3項を適用する場合の損金算入対応受取配当等の額として益金不算入の対象外とする場合には、費用相当額である5%は、配当等の総額ではなく、当該損金算入対応受取配当等の額を控除した残額を基礎として計算します。



実務上、この5%相当額の控除を忘れて配当等の全額を益金不算入として申告してしまうミスが散見されます。外国子会社からの配当等のうち、益金不算入となるのはあくまで「95%」であるという点を、まずはしっかりと基本として押さえておいてください。
2. 「外国子会社」に該当するための要件
この益金不算入制度の適用を受けるためには、配当の支払元である外国法人が、税務上の「外国子会社」に該当していなければなりません。外国子会社に該当するかどうかは、以下の「保有割合要件」と「保有期間要件」の両方を満たしているかどうかで判定されます(法人税法施行令第22条の4第1項)。
| 要件の名称 | 具体的な判定基準 |
|---|---|
| 保有割合要件 | 内国法人が、外国法人の発行済株式または出資(自己株式等を除く)の総数または総額の「25%以上」に相当する株式または出資を保有していること。※議決権割合で25%以上保有している場合も認められます。 |
| 保有期間要件 | 上記の保有割合を、その配当等の額の「支払義務が確定する日」以前「6ヶ月以上」継続して満たしていること。※設立日から確定日までが6ヶ月未満の法人の場合は、設立日から継続して保有していれば足ります。 |
なお、保有割合要件について特例があります。我が国と相手国との間で締結されている租税条約において、二重課税を排除するための要件として「25%未満」の割合(例えば10%など)が定められている場合には、その租税条約に定める割合以上を保有していれば、保有割合要件を満たすものとして取り扱われます(法人税法施行令第22条の4第7項)。



租税条約の適用による保有割合の緩和規定は非常に重要です。25%未満であっても、租税条約の規定により10%以上で適用できる国は多く存在します。ただし、租税条約で割合が緩和されている場合でも、保有期間要件(6ヶ月以上)が短縮されるわけではない点には十分にご注意ください。なお、グループ通算制度を適用している通算法人については、外国子会社該当性の判定において他の通算法人の保有分を考慮する場面があるため、法人税法施行令22条の4および法人税基本通達3-3-1から3-3-3の確認が必要です。
3. 例外的な取扱いと特例(益金不算入の対象とならない配当等)
すべての外国子会社からの配当等が益金不算入となるわけではありません。租税回避を防止する観点等から、例外的な取扱いが規定されています。
(1)外国子会社の所在地国で損金算入される配当等(損金算入配当)
内国法人が外国子会社から受ける配当等の額のうち、その配当等の額の全部または一部が、その外国子会社の本店等がある国または地域の法令において、その外国子会社の所得計算上「損金の額に算入されるもの」は、本制度の益金不算入の対象から除外されます(法人税法第23条の2第2項第1号)。これは、外国子会社側で損金算入(課税の圧縮)が行われているにもかかわらず、日本側でも益金不算入とすると、どちらの国でも課税されない所得が生じてしまうためです。
(2)配当等の一部が損金算入される場合の特例計算
上記の損金算入配当について、配当等の額の「一部」のみが外国子会社の所在地国で損金算入されている場合には、受け取った配当等の額のうち、その損金算入された部分に対応する金額として政令で定める金額(損金算入対応受取配当等の額)を、益金不算入の対象外とすることができます(法人税法第23条の2第3項)。 具体的には、受け取った配当等の額に、「外国子会社の所得計算上損金に算入された配当等の額」が「外国子会社が支払った配当等の総額」に占める割合を乗じて計算するなどの合理的な方法により算出されます(法人税法施行令第22条の4第4項)。
(3)予定されていた事由に基因するみなし配当等
内国法人が取得した外国子会社株式等について、その取得時において、自己株式の取得等の一定のみなし配当事由が生ずることが予定されていた場合には、その予定されていた事由に基因して生じる一定のみなし配当等については、外国子会社配当益金不算入の適用対象外とされます。なお、この取得には、適格合併や適格分割型分割による引継ぎも含まれます。



近年、海外で発行される優先株式やハイブリッド金融商品などで、現地国では負債の利子として損金算入されるものの、日本では株式の配当として取り扱われるケースが増えています。こういった金融商品からのインカムについては、外国子会社の所在地国の税制をしっかりと確認し、損金算入配当に該当しないかどうかを慎重に見極める必要があります。
4. 外国源泉税等と外国税額控除の関係について
外国子会社から配当を受け取る際には、相手国の国内法や租税条約により、現地で源泉税が課されることがあります。この源泉税に関する日本側での税務処理は、非常に重要な論点となります。
(1)外国源泉税等の損金不算入と外国税額控除の不適用
外国子会社から受ける配当等の額について、本制度の益金不算入の適用を受ける場合、その配当等の額に対して課される外国源泉税等の額は、内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されません(法人税法第39条の2)。 また、この損金不算入とされる外国源泉税等は、外国税額控除の対象となる外国法人税の額からも除外されます。つまり、二重課税排除の仕組みとして「配当の益金不算入」を適用している以上、それに係る外国源泉税等について「損金算入」や「外国税額控除」による二重の救済は認めないという仕組みになっています。
(2)基本通達に基づく共通費用の配分計算の実務
外国税額控除の限度額を計算する際、国外源泉所得の金額を算出する必要があります。
外国税額控除の計算において、国外所得金額は「課税標準」となるべき事業年度の所得の金額に相当する金額とされ、共通費用の配分は合理的な基準により行うとされています。この共通費用の配分において、益金の額に算入されない配当等の額(95%相当額)に係る分の共通費用を配分してしまい、結果的に国外所得金額を不当に圧縮することは相当ではないとされています。 そのため、共通費用の配分にあたっては、益金の額に算入されない配当等の額(95%相当額)を控除した残額、すなわち「課税標準に含まれる5%相当額」を基準として共通費用の金額を計算し、その算出された金額を配当等に係る共通費用の国外業務に係る損金の額として配分すべきことが明らかにされています。
具体例として、国外業務に直接関連して生じた費用(直接費用)であっても、国外業務に係る損金の額とするのはその直接費用の全額ではなく、5%相当額として取り扱い、配当等に係る国外所得金額を算出することに留意する必要があるとされています。



外国源泉税が引かれているからといって、無意識に租税公課として損金処理したり、外国税額控除の対象に含めたりしてしまう誤りが絶えません。外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける部分に係る外国源泉税等については、原則として損金算入も外国税額控除も認められません。ただし、損金算入配当等として益金不算入制度の適用対象から除外される部分がある場合には、その部分に係る外国源泉税等の取扱いは別途検討が必要です。また、外国税額控除の国外所得金額の計算において、外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける配当等については、共通費用の配賦計算上、当該配当等に係る国外業務に係る売上総利益の額を、配当収入金額から益金不算入額を控除した金額、すなわち通常は5%相当額として取り扱います。また、共通利子の配賦においても、当該外国子会社株式等の帳簿価額について同様の調整が必要となります。
5. 子会社株式簿価減額特例との関係について
令和2年度の税制改正により創設された「子会社株式簿価減額特例(法人税法施行令第119条の3第10項、同令第119条の4等)」との関係についても触れておきます。
この特例は、他の法人から多額の配当(対象配当等の額)を受け取り、その配当が益金不算入となることで、意図的に子会社株式の含み損を創出し、その後に株式を譲渡して譲渡損を計上する租税回避行為を防止するための規定です。
外国子会社から受ける配当等がある場合、配当等の額のうち費用相当額(5%)を控除した残りの「95%相当額」が、益金不算入規定により益金の額に算入されない金額となります。したがって、子会社株式簿価減額特例の適用対象となる「益金不算入相当額」は、この「95%相当額」となることが通達上明確にされています。



外国子会社から巨額の配当を受け取った後に、その外国子会社の株式を譲渡したり、清算したりする計画がある場合には、この簿価減額特例の適用によって株式の帳簿価額が引き下げられ、想定していた譲渡損(または清算損)が計上できなくなるリスクがあります。タックスプランニングの際には、配当の益金不算入だけでなく、その後の出口戦略も含めて総合的に検討しなければなりません。
6. 適用を受けるための手続き・添付書類等の要件
最後に、この制度の適用を受けるための手続き要件を解説します。いかに実体として要件を満たしていても、手続きを怠れば適用は受けられません。
外国子会社から受ける配当等の益金不算入の規定は、確定申告書等に「益金の額に算入されない剰余金の配当等の額およびその計算に関する明細を記載した書類」を添付し、かつ、「財務省令で定める書類」を保存している場合に限り適用されます(法人税法第23条の2第5項)。
保存すべき財務省令で定める書類とは、具体的に以下の書類です(法人税法施行規則第8条の5第1項)。
- 配当を支払う外国法人が外国子会社に該当することを証する書類
- 外国子会社の配当等に係る事業年度の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、利益の処分に関する計算書その他これらに類する書類
- 外国源泉税等が課されたことを証する申告書の写しや納付を証する書類(外国源泉税等が課されている場合)
なお、配当の一部が現地で損金算入される特例(法人税法第23条の2第3項)の適用を受ける場合には、これらに加えて、確定申告書にその特例の適用を受けようとする旨や計算明細を記載し、かつ「外国子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入された剰余金の配当等の額を明らかにする書類」や「現地国の法人税に相当する税に関する申告書の写し」などを保存しておく必要があります(法人税法第23条の2第7項、法人税法施行規則第8条の5第2項)。



実務調査の現場において、申告書への別表の添付はされていても、これらの「保存書類」が整備されていないケースがよく見受けられます。法令上、書類の保存が要件とされている以上、税務調査で提示を求められた際に速やかに提示できるよう、配当を受け取った事業年度の申告時に、必ず現地の財務諸表や源泉税の納付書等を外国子会社から取り寄せてファイルしておく習慣をつけてください。
まとめ
本日は「外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度」について、基礎から実務上のディープな論点まで幅広く解説いたしました。
本制度は、配当等の額の95%が益金不算入となるという非常に強力な二重課税排除の仕組みです。しかし、その恩恵を受けるためには、25%以上・6ヶ月以上という外国子会社の保有要件(租税条約の特例を含む)を満たし、現地での損金算入配当に該当しないことを確認した上で、適切な申告書類の添付と保存書類の整備を行うという、厳格なプロセスが求められます。
また、それに付随して生じる外国源泉税の損金不算入処理や、外国税額控除の国外所得計算における5%相当額の共通費用の配分計算、さらには子会社株式簿価減額特例への影響など、波及する税務論点も多岐にわたります。



外国子会社からの配当が見込まれる場合には、単なる配当処理と侮らず、事前に現地税制の確認と日本の税務上の要件チェックを綿密に行うことが、税務リスクを回避し、最適なタックスマネジメントを実現するための鍵となります。この記事が、実務に携わる皆様の深い理解の一助となれば幸いです。






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