ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年7月13日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、給与計算の実務で毎月必ず直面する『所得税法第185条(賞与以外の給与等に係る徴収税額)』についてです。



毎月のお給料から引かれる所得税の計算ルールですね。普段は給与計算ソフトが自動でやってくれていますが、法律の仕組みはよく分かっていませんでした。



その通りです。ソフト任せにしていると、月給や日給の違い、あるいは特殊な支給形態や日雇いの方の給与など、例外的なケースで対応を誤る危険があります。今日は原則的な取扱いから、基本通達に基づく細かい例外まで、確認していきたいと思います。



ありがとうございます。しっかりと仕組みを理解して、イレギュラーな事態にも対応できるように勉強させていただきます。
1. 所得税法第185条の概要と原則的な源泉徴収の仕組み
所得税法第183条第1項においては、居住者に対して国内で給与等の支払をする者は、その支払の際に所得税を徴収し、翌月10日までに国に納付しなければならないという、源泉徴収義務の大原則が定められています。
この大原則を受けたうえで、賞与以外の給与等(いわゆる毎月の基本給や各種手当など)について、具体的にいくらの所得税を源泉徴収すべきか、その税額の算定ルールを詳細に定めているのが、今回のテーマである所得税法第185条です。



所得税法第183条に関するブログ記事については、こちらをご覧ください。
【町田市の税理士が解説】給与所得の源泉徴収義務(所得税法第183条)について徹底解説
所得税法第185条では、源泉徴収税額を求めるにあたり、給与等の支払を受ける居住者が「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているかどうか、そして給与等の支給期(毎月、毎日など)がどのように定められているかによって、適用する税額表の区分(甲欄、乙欄、丙欄)を明確に分けています。
さらに、税額計算の前提として、所得税法第188条により、給与等の支払の際に控除される社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など)や小規模企業共済等掛金がある場合には、その給与等の金額からこれらの合計額を控除した残額を基準として、源泉徴収税額を算定することとされています。



実務上、給与計算を行う際は、まず総支給額から非課税通勤手当などを除いた課税対象額を計算し、そこから社会保険料等を差し引いた金額(社会保険料等控除後の給与等の金額)を求めます。この金額を所得税法第185条に基づく税額表に当てはめる、という流れを忘れないでくださいね。
2. 徴収税額の算定基準と適用される税額表(甲欄・乙欄・丙欄)
所得税法第185条に基づき、徴収すべき税額は以下の3つの区分に従って計算されます。
(1)給与所得者の扶養控除等申告書を提出している場合(甲欄適用)
給与等の支払を受ける際、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している居住者に対して支払う給与等は、原則として「甲欄」を適用して源泉徴収税額を求めます。この場合、申告書に記載された源泉控除対象配偶者や源泉控除対象親族の有無及びその数に応じて税額が変動します。
支給期ごとの計算方法は以下の通りです。
| 給与等の支給期 | 適用される税額表と計算方法 |
|---|---|
| 毎月 | 月額表(別表第二)の甲欄に掲げる税額 |
| 毎半月 | 半月分の社会保険料等控除後の給与等の金額を2倍した金額について月額表の甲欄により税額を求め、その税額の2分の1相当額を徴収する。 |
| 毎旬 | 旬分の社会保険料等控除後の給与等の金額を3倍した金額について月額表の甲欄により税額を求め、その税額の3分の1相当額を徴収する。 |
| 月の整数倍の期間 | 給与等の金額を倍数で割った金額につき月額表(別表第二)の甲欄に掲げる税額を求め、その税額に倍数を乗じて計算した金額 |
| 毎日 | 日額表(別表第三)の甲欄に掲げる税額 |
| 上記以外の場合 | 日割額(給与等の金額を基礎となった日数で除した金額)につき日額表(別表第三)の甲欄に掲げる税額を求め、その税額に支給日数を乗じて計算した金額 |
(2)給与所得者の扶養控除等申告書を提出していない場合等(乙欄適用)
扶養控除等申告書を提出していない者(複数の勤務先がある場合の従たる給与など)に対して支払う給与等については、「乙欄」を適用します。甲欄の場合と同様に、支給期に応じた計算が行われますが、税額は甲欄に比べて高く設定されています。
| 給与等の支給期 | 適用される税額表と計算方法 |
|---|---|
| 毎月 | 月額表(別表第二)の乙欄に掲げる税額 |
| 毎半月 | 半月分の社会保険料等控除後の給与等の金額を2倍した金額について月額表の乙欄により税額を求め、その税額の2分の1相当額を徴収する。 |
| 毎旬 | 旬分の社会保険料等控除後の給与等の金額を3倍した金額について月額表の乙欄により税額を求め、その税額の3分の1相当額を徴収する。 |
| 月の整数倍の期間 | 給与等の金額を倍数で割った金額につき月額表(別表第二)の乙欄に掲げる税額を求め、その税額に倍数を乗じて計算した金額 |
| 毎日 | 日額表(別表第三)の乙欄に掲げる税額 |
| 上記以外の場合 | 日割額につき日額表(別表第三)の乙欄に掲げる税額を求め、その税額に支給日数を乗じて計算した金額 |
なお、乙欄は一般には扶養控除等申告書を提出していない給与に適用されますが、法令上は「従たる給与についての扶養控除等申告書」の提出がある場合の取扱いも含めて定められています。
(3)日雇労働者に対する給与等(丙欄適用)
労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける給与等のうち、政令で定めるもの(日雇労働者の賃金など)については、日額表(別表第三)の「丙欄」を適用して源泉徴収を行います。 なお、政令で定める要件については、所得税法施行令第309条において、「日々雇い入れられる者が支払を受ける給与等(一の給与等の支払者から継続して2月を超えて支払を受ける場合におけるその2月を超えて支払を受けるものを除く。)」と定義されています。



甲欄が適用されるのは、1人につき1か所の勤務先のみです。扶養控除等申告書を提出していないアルバイトやパートの方、あるいは副業で働いている方への給与は乙欄適用となり、源泉徴収税額が高くなる点に実務上十分注意してください。
3. 支給期に関する実務上の特例(基本通達に基づく具体例)
所得税法第185条の規定を実務に適用するにあたり、様々なイレギュラーなケースが存在します。所得税基本通達では、それらの具体的な取扱いを明記しています。
支給期が毎月、毎半月等と定められている場合の考え方(基本通達185-1)
給与等の支給期が毎月、毎半月等と定められている場合とは、文字通り「給与等の収入すべき時期」をいいます。日額いくらというように給与の金額を定めている場合でも、これをまとめて月ごとに支払うこととしていれば、給与の支給期は毎月ということになります。逆に、月間給与の額を定めておき、これを毎日支払うことにしていれば、同様に毎日支給期が到来することになります。 また、月ごとに支払うと定められている給与等を月の中途で欠勤したことにより日割りで減額して支給する場合であっても、支給期が毎月と定められていることに変わりはないため、月額表の適用となります。
支給期が月の整数倍の期間ごとと定められている場合(基本通達185-2)
支給期を年2回と定めて支払う場合の給与等も、月の整数倍の期間ごと(この場合は6ヶ月ごと)に支払う給与等に該当し、月額表の税額を倍率(6倍)して計算することとなります。
ただし、定期給与とは別に支給される賞与・ボーナス・期末手当等に該当するものは、所得税法185条ではなく、賞与に対する源泉徴収税額の計算ルールによる点に注意が必要です。
特殊な給与等の支給期(基本通達185-3)
給与の支給期が週ごと又は20日ごとなど、法律で明記された期間のいずれにも該当しない場合は、日額表の甲欄又は乙欄の税額に支給日数を乗じて計算することとされています。 さらに、次のような特殊なケースにおける日割額の計算も示されています。
- 欠勤控除などにより、毎月支給の給与が結果として日割り減額された場合には、原則として月額表を使用することとなります。
- 中途入社・中途退職により、その月のうち実際に在籍した期間分だけを日割りで支給する場合には、原則として、法185条1項1号ヘ又は2号ヘにより、日額表を用いて支給日数を乗じて計算することとなります。
ただし、その期間が半月又は旬となっているときは、毎半月又は毎旬として計算して差し支えありません。
給与等の日割額の計算の基礎となった日数(基本通達185-4)
支給期が特殊な給与等について日割額を計算する際、その基礎となる日数は以下のようになります。
- あらかじめ定められた支給期が到来するごとに支払う給与等については、その給与等に係る計算期間の日数とします。実際に出勤した稼働日数は問いません。
- あらかじめ雇用契約の期間が定められている場合において、当該期間の終了により支払う給与等については、当該期間の日数とします(実際の稼働日数は問いません)。
- 上記以外の給与等については、その支払う給与等の計算の基礎となった実際の稼働日数とします。
4. 日雇労働者等の源泉徴収の例外的な取扱い(丙欄適用の詳細)
日雇労働者等に対する給与(日額表の丙欄適用)については、所得税法施行令や基本通達でさらに厳密な取扱いが定められています。
日々雇い入れられる者が継続して給与の支払を受けるかどうかの判定(基本通達185-9)
日額表丙欄を適用する給与等とは、日々雇い入れられる者の給与で、一の支払者から継続して2ヶ月を超えて支払を受けないものに限られます。 この「継続して2ヶ月を超えて支払を受けるかどうか」の判定にあたり、日々雇い入れられる者がたまたま雇用されない日があっても、それがその者の病気、支払者側の公休日、天候等による作業の都合等に基づくものであり、実質的にその支払者に専属して就業している状態にあると認められる場合には、これらの休日等を含む期間を通じて継続して雇用されているものとして判定します。
日額表丙欄を適用する給与等に対する税額の計算(基本通達185-8)
労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払われる給与等のうち、政令で定めるものに対する税額は、その労働した日以外の日に支払われるものであっても、労働した日ごとの給与等につき別表第三の丙欄を適用して計算した税額の合計額となります。 また、雇用契約の期間が2ヶ月以内の者に支払われる給与等で、労働した日又は時間によって算定されるものについても、労働した日以外の日に支払われるときは、上記と同様に労働した日ごとに丙欄を適用して計算した税額の合計額を徴収します。
1回の就労時間が著しく長時間である場合の計算(基本通達185-10)
一昼夜交替勤務のように、1回の就労時間が著しく長時間であるため翌日に就労することが通例となっている場合、その1回の就労に対する給与等については、2日間就労したことによる給与等として取り扱います。つまり、支払金額の2分の1に相当する金額につき日額表の丙欄から税額を求め、これを2倍した金額を源泉徴収税額とします。
既往の賃金の追加払を受ける場合の税額の計算(基本通達185-11)
日雇労働者に対して、通常の給与とは別に臨時で手当等を追加払いする場合、原則としては当該支払を受ける日の通常の給与等の額と合算して源泉徴収税額を計算します。 ただし、期末手当や越冬手当のように、既往の日雇賃金の追加払であることが明らかなものについては、その計算の基礎となった期間内の各日の日雇賃金に、その臨時の手当等の日割額を上積みして増差税額を求め、その日々の増差税額の合計額を徴収して差し支えないとされています。日々の増差税額を計算することが困難な場合は、当該臨時の手当等の日割額に対する増差税額に、当該期間内の稼働日数を乗じて計算した金額とすることも認められます。



日雇労働者等であっても、同一の支払者から継続して2か月を超えて給与等の支払を受けることとなる場合には、その2か月を超える部分の期間に係る給与等については丙欄を適用できず、扶養控除等申告書の提出状況等に応じて甲欄又は乙欄により計算する必要があります。この切替えを忘れて丙欄で計算し続けると源泉徴収もれとなりますので、雇用期間の管理は徹底してください。
5. その他の例外的な取扱いと関連法規
所得税法第185条の周辺には、源泉徴収に関するいくつか重要な特例が存在します。
電子計算機等による税額計算の特例(所得税法第189条)
給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者(甲欄適用者)に対し給与等を支払う際、その給与等の支払額の計算を事務機械(電子計算機・パソコン等の給与計算ソフト)によって処理しているときは、別表第二の甲欄に掲げる税額に代えて、当該税額が算定された方法に準ずるものとして財務大臣が定める方法(いわゆる電算機計算の特例)によって計算した金額を源泉徴収税額とすることができます。
源泉徴収を要しない給与等の支払者(所得税法第184条)
常時2人以下の家事使用人のみに対して給与等の支払をする者は、所得税法第183条の規定にかかわらず、その給与等について所得税を徴収し、国に納付する義務を要しないと定められています。事業としてではなく、個人的に家庭の家事使用人を1人又は2人だけ雇っているようなケースがこれに該当します。



給与計算ソフトが算出する税額と、国税庁の源泉徴収税額表を目視で確認した税額とで、数十円程度のわずかなズレが生じることがあります。これは多くの場合、ソフトが所得税法第189条に基づく『電算機計算の特例』を用いて計算しているためであり、どちらも適法な処理ですので安心してください。
まとめ
本記事では、所得税法第185条に基づく賞与以外の給与等に対する源泉徴収税額の取扱いについて、原則的な法令から基本通達が定める細かな例外までを網羅的に解説しました。 実務において重要なポイントは以下の通りです。
- 源泉徴収税額は、扶養控除等申告書の提出の有無と、給与の支給期(毎月、日雇など)によって、適用される税額表(甲欄・乙欄・丙欄)が明確に分かれること。
- 支給期が「毎月」と定められていれば、欠勤等による日割計算で支給額が減っても月額表を使用すること。
- 日雇労働者に対する丙欄適用は、同一の雇用主から継続して2ヶ月を超えて支払を受ける場合には適用できず、甲欄や乙欄に切り替える必要があること。



給与計算は毎月反復して行われる業務であるため、一度設定を誤ると継続的な源泉徴収もれや過大徴収に繋がります。法令と通達の基本的なルールをしっかりと理解し、イレギュラーな支給形態が生じた際にも適正な源泉徴収を行える体制を整えておくことが重要です。ぜひ本記事を実務の参考にしてください。



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