ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年6月3日のテーマはなんでしょうか?



昨日、外国税額控除を全体的に解説いたしましたが、今朝は「外国税額控除の控除限度額の計算方法」について詳しく確認していきたいと思います。



外国税額控除ですね。内国法人が海外で外国法人税を納付した場合に、二重課税を排除するために日本の法人税額から差し引くことができる制度ですよね。でも、必ずしも、払った全額がそのまま引けるわけではないと言ってましたよね。



その通りです。日本の税法では、全世界所得に対して課される日本の法人税額のうち、国外源泉の所得に対応する部分の金額を限度として控除を認める仕組みになっています。これを「控除限度額」と呼びます。この計算は、法人税法、同法施行令、そして通達の規定が複雑に絡み合っており、実務上も非常に間違えやすい重要なポイントなのです。



そうなんですね。実務でミスをしないように、しっかりと計算方法を教えてください!



もちろんです。原則的な取り扱いから特例、そして実務で悩ましい共通費用の配賦計算に至るまで、法令と通達に基づいて確認していきたいと思います。
1. 外国税額控除の控除限度額の基本算式
外国税額控除の控除限度額は、法人税法第69条第1項および法人税法施行令第142条において規定されており、原則として以下の算式によって計算されます。
控除限度額 = 当期の全世界所得に対する法人税額 × (当期の調整国外所得金額 / 当期の全世界所得金額)
この算式の意味するところは、当期の全世界所得に対して我が国の税法により課税されるべき法人税額のうち、国外源泉の所得に対応する部分の金額を限度として外国税額の控除を認めるというものです。換言すれば、国内源泉の所得に対して課されるべき法人税額にまで食い込んで控除を認めることはしない、という趣旨になります。
ここでの計算の基礎となる各項目の具体的な定義は次のようになります。
当期の全世界所得に対する法人税額
これは、各事業年度の所得に対する法人税の額を指します。ただし、特定同族会社の特別税率などの特定の規定や、外国税額控除そのものの規定を適用しないで計算した法人税額を用います。また、附帯税の額は除かれます。
当期の全世界所得金額(分母)
算式の分母となる「当期の全世界所得金額」は、繰越欠損金の控除(法人税法第57条)や、組合事業等による損失がある場合の課税の特例(租税特別措置法第67条の12等)などの規定を適用しないで計算した場合の、当該事業年度の所得の金額をいいます。つまり、過去の赤字と相殺する前の、その事業年度単独で生じた所得金額をベースにします。
当期の調整国外所得金額(分子)
算式の分子となる「当期の調整国外所得金額」は、分母と同様に繰越欠損金の控除などの規定を適用しないで計算した場合の国外所得金額から、外国法人税が課されない国外源泉所得に係る所得の金額(非課税国外源泉所得)を控除した金額となります。



控除限度額の算式は一見シンプルに見えますが、分母も分子も欠損金の繰越控除等を適用する前の金額を用いる点に注意が必要です。申告書上の最終的な所得金額をそのまま当てはめると計算を誤ることになりますので、別表における計算の過程を正確に把握しておくことが実務上の肝となります。
なお、本記事では主として単体法人を前提に説明しています。通算法人については、通算グループの要素を用いる別途の計算が必要となります。
2. 調整国外所得金額の計算における上限と非課税所得の控除
調整国外所得金額を計算する際には、法令によって定められた特例や例外的な取り扱いに留意する必要があります。
外国法人税が課されない国外源泉所得の除外
国外所得金額の中には、その源泉となった国や地域において外国法人税が課されない所得(非課税国外源泉所得)が含まれる場合があります。このような所得は二重課税の対象となっていないため、調整国外所得金額の計算上、国外所得金額から控除しなければなりません。
具体的には、国外源泉所得を生じた国または地域がその所得につき外国法人税を課さないこととしている場合が該当します。また、国外事業所等(海外支店など)に帰せられる所得については、所得が生じた国と、国外事業所等の所在する国の両方が外国法人税を課さないこととしている場合が該当します。
90%シーリングの適用
調整国外所得金額には上限が設けられています。計算された調整国外所得金額が、当期の全世界所得金額(分母の金額)の90%に相当する金額を超える場合には、その調整国外所得金額は「当期の全世界所得金額の90%相当額」に制限されます。これを実務上「90%シーリング」と呼んでいます。
この上限規定は、国外所得金額が全世界所得金額に比して過大となる場合でも、控除限度額が国内源泉所得に対応する法人税額部分にまで及ばないようにするための調整規定といえます。
| 項目 | 取扱い |
|---|---|
| 非課税国外源泉所得 | 調整国外所得金額の計算上、国外所得金額から控除する |
| 調整国外所得金額の上限(90%シーリング) | 全世界所得金額の90%を超える場合、90%相当額に制限される |



例えば、国内事業では大きな赤字が出ている一方で、国外事業で多額の黒字が出ているようなケースでは、計算上の調整国外所得金額が全世界所得金額を超える(またはそれに近くなる)ことがあります。このような場合に、上限である90%シーリングに引っかからないか必ず確認するようにしてください。
3. 国外所得金額(国外源泉所得)の範囲
分子となる調整国外所得金額のベースである「国外所得金額」は、法人税法第69条第4項に規定される「国外源泉所得」に係る所得の金額の合計額(合計額がゼロを下回る場合はゼロ)とされています。
国外源泉所得は、大きく分けて次の2つに分類されます。
国外事業所等帰属所得に係る所得の金額
内国法人が国外事業所等(国外にある恒久的施設など)を通じて事業を行う場合において、その国外事業所等が内国法人(本店)から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、その国外事業所等が果たす機能、使用する資産、本店との間の内部取引などを勘案して、その国外事業所等に帰せられるべき所得のことです。具体的には、国外事業所等を通じて行う事業に係る益金の額から、その事業に係る損金の額を控除して計算します。
その他の国外源泉所得に係る所得の金額
国外事業所等を通じないで行う取引などから生じる国外源泉所得です。国外にある資産の運用または保有により生ずる所得、国外にある資産の譲渡により生ずる所得、国外において人的役務の提供を主たる内容とする事業を行う法人のその提供による所得などが該当します。これらは、全世界所得と同じ計算原理によって計算されなければならず、現地の外国法人税の課税標準とされた所得金額そのものではないことに留意が必要です。



実務上、国外事業所等帰属所得を計算する際には、本店と国外事業所等との間の内部取引をどのように認識するかが非常に重要です。独立企業原則に基づいて内部取引を適正に認識し、益金と損金を把握しなければなりません。
4. 実務上の最難関:共通費用の配賦
国外所得金額を計算するためには、国外業務に係る益金の額から国外業務に係る損金の額を控除する必要があります。ここで最大の問題となるのが「共通費用の配賦」です。
販売費、一般管理費その他の費用のうち、国外業務とそれ以外の業務(国内業務など)の双方に関連して生じた費用を共通費用といいます。法人の課税標準である所得の金額は、もともと全世界所得を一括計算することが基本となっているため、その中から国外業務に係る損金だけを正確に分離することは容易ではありません。
原則的な取り扱い(個々の費用ごとの合理的な基準)
法人税法施行令第141条の3第6項および第141条の8第2項では、共通費用の額は、個々の業務ごと、かつ、個々の費目ごとに、収入金額、資産の価額、使用人の数その他の基準のうち、これらの業務の内容および費用の性質に照らして合理的と認められる基準により、国外業務に係る損金の額として配分すべき金額を計算しなければならないとされています。
しかし、このような個別の費目別計算を行うことは、かなり複雑であり実務上困難な場合も少なくないと考えられます。
基本通達に示された簡便法
そこで、法人税基本通達16-3-12(国外事業所等帰属所得に係る共通費用の額の配賦)および16-3-19の3(その他の国外源泉所得に係る共通費用の額の配賦)において、個々の費目別の計算が困難な場合の簡便法が示されており、実務上はこの方法によることが認められています。
簡便法による配分計算の算式は以下の通りです。
国外業務に配分すべき共通費用 = 共通費用の総額 × ( 分母の金額のうち国外業務に係る売上総利益等の額 / (棚卸資産の販売その他の事業に係る売上総利益の額 + 利子、配当等及び使用料の収入金額) )
この算式は、売上総利益の額と、利子、配当等および使用料の収入金額の合計額を配分の基礎とするものです。事業に係る売上総利益と投資等の収入金額がおおむね同等のものとみなすことが合理的であるとの考え方に基づいています。
簡便法に関する実務上の留意点と例外
この簡便法を適用するにあたって、基本通達ではいくつかの重要なルールや例外的な取り扱いが定められています。
- 配分対象となる共通費用の範囲の限定
国外業務に係る収入金額の全部または大部分が利子、配当等または使用料であり、かつ、当期の全世界所得のうちに占める調整国外所得金額の割合が低いなどの理由により課税上弊害がないと認められる法人(金融および保険業を主として営む法人を除きます)にあっては、配分の対象とする共通費用の範囲を国外業務との関連性が極めて明白な費用に限定して差し支えないとされています。 例えば、国外支店を管理する部門の人件費や海外出張者への較差補填金などに限定できるため、国内での卸売業などが主たる事業である法人が海外の投資先から配当等を得ているようなケースでは、実態に応じた配分計算が可能になります。 - 外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度との関係
外国子会社から受ける配当等については、法人税法第23条の2により、原則として配当等の額の95%相当額が益金不算入となり、残りの5%相当額のみが益金に算入されます。このため、外国税額控除の控除限度額の計算において当該配当等に係る国外所得金額を計算する場合には、共通費用の配賦にもこの益金不算入の効果を反映させる必要があります。具体的には、法人税基本通達16-3-12および16-3-19の3の注書において、外国子会社配当等に係る「国外業務に係る売上総利益の額」は、外国子会社配当等の収入金額から、法人税法第23条の2第1項により益金の額に算入されない金額を控除した金額によるものとされています。したがって、通常は、配当等の額の全額ではなく、益金算入される5%相当額を基礎として共通費用の配賦計算を行うことになります。益金不算入となる95%部分にまで共通費用を配分して国外所得金額を圧縮する取扱いではありません。なお、国外業務に直接関連して生じた費用についても、当該外国子会社配当等に対応する損金として国外所得金額から控除するのは、原則としてその全額ではなく、益金算入部分に対応する5%相当額として取り扱う点に留意が必要です。 - 銀行業等を営む法人の特例
銀行業を営む法人が上記の簡便算式による共通費用の配分計算を行う場合、経常収益からそのコストを控除した金額(一般管理費その他の費用を控除する前の経常利益)が売上総利益であるものとして、その計算を行うこととされています。
| 共通費用の配賦方法 | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 費目ごとに収入金額、資産価額等の合理的な基準で配分 |
| 簡便法 | 売上総利益+利子・配当・使用料収入を用いた算式で配分 |
| 配分の特例(関連性の明白な費用への限定) | 国外収入の大部分が配当等であり、かつ調整国外所得の割合が低い場合等に適用可能 |
| 配当等益金不算入額に係る配賦 | 益金不算入となる95%相当額についても共通費用を配賦し、国外所得金額を圧縮する |



共通費用の配賦は、税務調査でも細かく見られやすい論点です。簡便法を採用する場合でも、どの費用を共通費用とし、どの費用を直接費用とするかの区分は法人側で説明できるようにしておく必要があります。特に、外国子会社配当益金不算入制度を利用している法人は、95%部分に対応する共通費用が控除限度額を押し下げる要因となることを失念して、控除限度額を過大に計算してしまうミスが散見されますので十分に注意してくださいね。
5. まとめ
今回は外国税額控除の控除限度額の計算方法について詳細に解説しました。全体を総括すると、以下のようになります。
- 控除限度額は「全世界所得に対する法人税額 × (調整国外所得金額 / 全世界所得金額)」で計算され、分母分子の各所得金額は欠損金控除前等の金額を用いるのが原則です。
- 調整国外所得金額の計算においては、外国法人税が非課税となる所得を除外し、また全世界所得の90%を上限とするシーリング規定が適用されます。
- 調整国外所得金額を算出する際の「共通費用の配賦」は、原則として費目別の合理的な基準によりますが、実務上は基本通達に基づく売上総利益等の割合を用いた簡便法が広く利用されます。
- 外国子会社配当益金不算入の適用を受ける配当等については、通常、配当等の額の95%相当額が益金不算入となるため、控除限度額計算上の国外所得金額の算定においても、益金算入される5%相当額を基礎として共通費用等を対応させる必要があります。95%の益金不算入部分にまで共通費用を配分して国外所得金額を圧縮する取扱いではない点に注意が必要です。



外国税額控除は、企業のグローバル化に伴って適用する機会が増加していますが、国内外の事業活動が複雑に絡み合うため、法令や通達の正確な理解が不可欠です。本日の解説を、適正な実務の運用にお役立ていただければ幸いです。










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