【町田市の税理士が解説】受取配当等の益金不算入額に関する実務の手引き

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
2026年5月26日のテーマはなんでしょうか?

新屋賢人

今朝は「受取配当等の益金不算入額」に関する実務的な論点についてです。剰余金の配当等の帰属の時期や効力発生日、関連法人株式等の判定要件、そして金銭以外の資産による配当といった、実務で迷いやすいポイントを確認していきたいと思います。

ミミレイドン

一昨日から勉強している受取配当等の益金不算入制度の続きですね。法人税の計算において、二重課税を排除するための非常に重要な制度だと理解はしましたが、実務上の取り扱いについてはまだまだ不安です。

新屋賢人

制度の趣旨自体はシンプルですが、いざ実務となると、いつの時点で収益に計上するのかという帰属時期の問題や、保有期間の判定など、法令や通達を正確に読み解く必要があります。今日はそうした細かい部分まで確認していきましょう。

ミミレイドン

しっかり勉強させていただきます!

1. 剰余金の配当等の帰属の時期と収益計上の原則・特例

法人が他の法人から受ける剰余金の配当等は、法人税法上、いつの事業年度の収益として計上すべきかが厳密に定められています。これを「帰属の時期」と呼びます。

目次

原則的な取扱い

税務上、株式会社の行う剰余金の配当についての収益計上時期は、原則として「当該配当の効力を生ずる日」の属する事業年度となります。 会社法において、剰余金の配当については株主総会等の決議によって効力発生日を定めることとされていますので、基本的にはその定められた効力発生日において収益を認識することになります

例外的な取扱い(配当受領日ベースの特例)

原則は上記の通りですが、法人税基本通達2-1-28(剰余金の配当等の帰属時期の特例)において、より実務的な取扱いが認められています。 法人が他の法人から受ける剰余金の配当等の額について、継続して「その支払を受けた日の属する事業年度の収益」としている場合には、原則にかかわらず、その現金基準に近い処理が認められます。 ただし、この特例が適用できるのは、配当金の支払が通常の支払期間内に行われるものに限られます。仮に配当決議の日と実際に支払を受ける日との間に不必要に長期のタイムラグがあるような場合には、この通達の適用はなく、原則通り効力発生日で収益計上しなければならないことに留意が必要です。

新屋賢人

実務上、上場株式の配当金などは入金された日に収益計上している企業が多いですが、それはこの通達によって継続適用を条件に認められている処理なのです。ただし、子会社からの配当金などで支払が不当に遅延しているようなケースでは特例の適用が否認されるリスクがありますから、支払期間には十分に注意してくださいね。

2. 受取配当等の益金不算入における「基準日等」

受取配当等の益金不算入制度を適用するにあたり、保有期間の判定の起点・終点となるのが「基準日等」です。法人税法第23条第2項では、配当等の区分に応じて基準日等をつぎのように定めています。

配当等の区分基準日等となる日
株式会社がする剰余金の配当で基準日の定めがあるもの当該基準日
株式会社以外の法人がする配当等で基準日に準ずる日の定めがあるもの同日(基準日に準ずる日
基準日又は基準日に準ずる日の定めがない配当等当該配当等がその効力を生ずる日(定めがない場合は配当等がされる日)

このように、株式会社における一般的な剰余金の配当であれば、会社法第124条第1項に規定する基準日がそのまま税務上の基準日等となります。

新屋賢人

実務では「基準日」と「効力発生日」を混同してしまうケースが見受けられます。配当を受ける権利が確定するのは基準日ですが、実際に配当の効力が生じる日は株主総会等で定められた効力発生日です。益金不算入の要件判定にはどちらの日付を用いるのか、法令の文言を正確に確認する癖をつけましょう。

3. 関連法人株式等の判定と計算期間

受取配当等の益金不算入制度では、完全子法人株式等に係る配当等は原則として全額が益金不算入となり、関連法人株式等に係る配当等は、配当等の額から一定の負債利子相当額を控除した金額が益金不算入となります。ここでは実務で判定が複雑になりやすい「関連法人株式等」に焦点を当てます。

関連法人株式等の原則的な判定基準

関連法人株式等とは、内国法人が他の内国法人の発行済株式等の総数又は総額の3分の1を超える数又は金額を有する場合における当該他の内国法人の株式等をいいます。 ただし、単に配当をもらう時点で3分の1超を持っていればよいわけではなく、厳格な保有期間要件(計算期間の要件)が課されています。

具体的には、配当等の額に係る「配当等の前に最後に当該他の内国法人によりされた配当等の基準日等の翌日」から「その受ける配当等の額に係る基準日等」まで、引き続き3分の1超の株式等を有している必要があります

配当等の額の支払いにかかる基準日が二以上ある場合の特例(例外的な取扱い)

法人が継続して株式を保有している場合、上記の原則的な計算期間が非常に長くなるケースや、逆に短くなるケースがあります。そのため、法人税法施行令第22条第1項各号において、判定期間に関する特例が設けられています。

  1. 前回の基準日等から起算して6箇月前の日以前である場合
    前回の配当等の基準日等の翌日が、今回の配当等の基準日等から起算して6箇月前の日以前である場合(つまり配当と配当の間隔が6箇月を超えている場合)は、判定期間の起点は「当該6箇月前の日の翌日」となります。実務上は、配当基準日以前6箇月間継続して保有していればよい、と簡略化して理解されているのはこの規定があるためです。
  2. 設立後最初の配当等の場合
    受け取る配当等の額が、配当基準日以前6箇月以内に設立された他の法人からその設立の日以後最初にされる配当等である場合には、その「設立の日」から基準日等まで引き続き保有していれば足ります。
  3. 株式等を取得して最初の配当等の場合
    受け取る配当等の額が、その配当等の元本である株式等を発行した他の内国法人から、当該配当等の基準日等以前6箇月以内に取得した株式等につき、その取得の日以後最初にされる配当等である場合には、その取得の日から基準日等までが判定期間となります。なお、この規定は、単に第三者から株式を取得した場合一般を対象とするものではないため、取得先や取得の態様を確認する必要があります。
新屋賢人

保有期間の要件は「引き続き」有していることが求められます。計算期間の途中で株式を一部売却して保有割合が3分の1以下になり、その後に買い戻して基準日時点で3分の1超になっていたとしても、継続保有の要件を満たさないため関連法人株式等には該当しません。保有割合の変動には常に細心の注意を払ってください。
なお、3分の1超の保有割合の判定にあたっては、内国法人自身の保有分だけでなく、その内国法人との間に完全支配関係がある他の法人の保有分も含めて判定する点に注意が必要です。

4. 金銭以外の資産による配当等の額(みなし配当等)

法人が株主に対して行う配当等は、常に金銭で行われるとは限りません。現物配当や組織再編に伴う資産の交付など、金銭以外の資産による配当等の額についても、法人税法で厳格な取扱いが定められています。

配当等の額とみなす金額(みなし配当)

法人の株主等である内国法人が、非適格合併、非適格分割型分割、非適格株式分配、資本の払戻し、解散による残余財産の分配、一定の自己株式の取得などの事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合、その交付を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が、その法人の資本金等の額のうち交付の基因となった株式等に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額は、剰余金の配当等の額とみなされます(法人税法第24条第1項)。 このみなし配当部分についても、原則として受取配当等の益金不算入制度の対象となります。ただし、一定の自己株式取得に係るみなし配当など、法人税法上、益金不算入の適用が制限されるものがあります。また、適格現物分配に係るものは法人税法第23条の受取配当等の益金不算入ではなく、別規定により取り扱われるため、取引類型ごとの確認が必要です。

金銭以外の資産の価額の評価

金銭以外の資産が交付された場合には、原則としてその資産の価額を基礎としてみなし配当等の計算を行います。ただし、適格現物分配に係る資産については、法人税法第24条第1項上、交付直前の現物分配法人の帳簿価額に相当する金額によるものとされています。さらに、適格現物分配に係るものは法人税法第23条第1項の受取配当等の益金不算入の対象から除かれ、法人税法第62条の5の規定により別途益金不算入とされる点に注意が必要です。

新屋賢人

みなし配当が生じる取引は、自社株買い(自己株式の取得)への応募や、子会社の清算など、実務で頻繁に遭遇します。交付を受けた資産の中に非上場株式や不動産が含まれている場合、その時価算定が極めて重要になります。また、完全支配関係の有無によって適格現物分配に該当するかどうかが変わり、課税関係が全く異なる結果となるため、グループ内の組織再編では事前の綿密なシミュレーションが不可欠ですよ。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は受取配当等の益金不算入額に関する実務上の重要論点を解説しました。

剰余金の配当等の収益計上時期は効力発生日が原則ですが、継続適用を条件とした配当受領日ベースの特例があること。関連法人株式等の判定は、単なる持株割合だけでなく、前回の配当基準日などから起算する複雑な保有期間の要件を正確に判断する必要があること。そして、組織再編や現物配当に伴う金銭以外の資産の交付においては、みなし配当の計算や適格現物分配の判定など、高度な税務判断が求められることを確認しました。

新屋賢人

これらの規定は、表面的な理解だけで処理を進めると、後日の税務調査で思わぬ否認指摘を受けるリスクが潜んでいます。常に最新の法人税法、施行令、そして基本通達に立ち返り、それぞれの事案に即した正確な法的評価を行うよう心がけてください。
なお、受取配当等の益金不算入の適用を受けるためには、確定申告書等に益金不算入額及びその計算に関する明細を記載した書類を添付する必要があります。添付漏れや記載額の不足は、適用額に影響するため、別表の作成・確認も実務上重要です。
今回の解説が、皆様の実務の一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

コムレイド税理士事務所_代表新屋賢人のアバター コムレイド税理士事務所_代表新屋賢人 税理士(コムレイド税理士事務所 代表)

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。税理士(日本税理士会連合会登録)。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

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