【町田市の税理士が解説】受取配当等の益金不算入額の計算において控除する株式等にかかる負債の利子の範囲

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
2026年5月27日のテーマはなんでしょうか?

新屋賢人

今朝は、受取配当等の益金不算入額の計算において配当等の額から控除する株式等にかかる負債の利子の額、特にその支払利子の範囲について確認していきたいと思います。

ミミレイドン

配当をもらった時に、借入金の利子を一定のルールで引かないといけないという計算ですね。でも、実務ではどのような費用がその『負債の利子』に含まれるのか、よく迷ってしまいます。

新屋賢人

その通りです。原則的な借入金利子だけでなく、利子税や延滞金、割賦購入資産の利息相当額、輸入決済手形借入金利息など、個別に判断すべき項目が多くあります。本日は法令や通達に基づいて、確認していきましょう。

受取配当等の益金不算入と負債の利子控除の基本ルール

法人税の計算において、内国法人が受け取る配当等の額は、二重課税を排除する観点から一定のルールのもとに益金不算入とされています。 しかし、その配当等を生み出す元となった株式等を取得するために借入金などの負債がある場合、その負債の利子は法人の所得計算上損金に算入される一方で、配当等の額が全額益金不算入となると、税務上二重に有利な状態が生じてしまいます。 これを調整するため、関連法人株式等に係る配当等の額については、当該配当等の額からその株式等にかかる負債の利子の額に相当するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額を益金不算入額とすることと定められています。

目次

負債利子控除の原則的な計算と特例

控除すべき負債の利子の額については、法人税法施行令において具体的な計算方法が規定されています。 原則として、関連法人株式等に係る配当等の額の益金不算入額から控除される負債の利子の額は、その配当等の額の4パーセントに相当する金額とされています。 一方で、特例的な計算も用意されています。 その適用事業年度に係る支払利子等の額の合計額の10パーセントに相当する金額が、受領する関連法人株式等に係る配当等の額の合計額の4パーセント相当額以下である場合には、支払利子等の額の合計額の10パーセント相当額を各配当等の額の比で配分した金額を控除することができるとされています。 このように、企業が実際に支払う利子等の全体額が少ない場合には、有利な特例計算を選択できるようになっています

新屋賢人

受取配当等の益金不算入の負債利子控除は、簡便的な4パーセント控除が原則となりましたが、全体の支払利子額が少ない企業にとっては特例計算を適用する方が有利になるケースがあります。実務上は両方の計算を行い、有利な方を選択することが重要ですよ。

控除の計算の基礎となる「支払利子等」の範囲

前述の特例計算における「支払利子等の額の合計額」を算定するためには、そもそも何が「支払利子等」に該当するのかを正確に把握しなければなりません。 法人税法施行令第19条第2項において、支払利子等とは「法人が支払う負債の利子又は手形の割引料、金銭債務の償還差損益に規定する満たない部分の金額その他経済的な性質が利子に準ずるものの額」と定義されています。 単なる借入金の利息だけでなく、手形の割引料や、社債などを割り引いて発行した場合の償還差損、さらには生命保険会社の責任準備金のうち保険料積立金に係る利子に相当する金額なども、経済的な性質が利子に準ずるものとして含まれます。

新屋賢人

名目が利子でなくても、実質的な資金調達コストとして機能しているものは支払利子等に含まれる点に注意が必要です。契約書の実質を見極めることが重要となります。

ミミレイドン

国税庁の法人税基本通達3-1-3では、支払利子等の額に含まれるものとして、さらに次のようなものが例示されています。
・受取手形の割引による手形金額と受領金額との差額を手形売却損として処理している場合の当該差額
・買掛金を手形で支払った場合に、相手方に対して負担した手形割引料相当額
・従業員預り金、営業保証金、敷金その他これらに準ずる預り金の利子の額
・金融機関の預金利息の額及び給付補塡備金繰入額
・相互会社の支払う基金利息の額

実務で迷いやすい!支払利子の範囲の個別具体例

ここからは、実務でよくご質問をいただく具体的な項目について、それぞれ支払利子等の範囲に含まれるかどうかを解説します。

利子税または延滞金の取扱い

国税の納付が遅れた場合に課される利子税の額又は地方税の延滞金の額については、法人税基本通達3-1-3の2において、法人がこれらの金額を支払利子等の額に含めないで計算した場合にはこれを認めることとされています。したがって、受取配当等の益金不算入額の計算における支払利子等の額を算定する際には、これらを含めない処理が認められます。

一方、 法人税法第38条の規定により、国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税、並びに地方税法の規定による延滞金や加算金などは、原則として各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されません。 これらは資金調達に伴う費用ではなく、行政上のペナルティという性質を有しているため、経済的な性質が利子に準ずるものには該当せず、支払利子等の範囲には含まれないと解されます。

割賦購入資産の取得価額に算入しない利息相当額

固定資産などを割賦販売契約等により購入した場合の利息部分の取扱いです。 法人税基本通達7-3-2によると、割賦販売契約等によって購入した固定資産の取得価額には、契約において購入代価と割賦期間中の利息及び売手側の代金回収のための費用等に相当する金額とが明らかに区分されている場合、その利息相当額を含めないことができるとされています。 このように取得価額に算入せず、期間の経過に応じて利息として損金経理を行った部分については、実質的な資金調達コストであるため、経済的性質が利子に準ずるものとして支払利子等の額に含まれることになります。

売上割引料の取扱い

売上割引は、売掛金を期日前に回収した場合に、その期間に応じた金利相当額を割り引くものです。 法人税基本通達2-1-1の11等において、値引きや割戻し等の事実により変動する可能性のある対価の取扱いが示されています。 売上割引は金融取引の性質を併せ持ちますが、税務上はあくまで売上代金の控除項目としての性質を持つと整理されます。 したがって、手形割引料が支払利子等に該当すると法令上明文で規定されているのとは異なり、売上割引料は資金調達コストとしての負債の利子には含めない取扱いとなります。

輸入決済手形借入金利息

貿易商社などで見られる輸入決済手形借入金利息の取扱いです。 法人税基本通達16-3-19の4において、国外源泉所得の計算における負債の利子の配分に関して、「共通費用の額に含まれる負債の利子」の例示として「手形の割引料、貿易商社における輸入決済手形借入金の利息等を含む」と明記されています。 このように、輸入決済手形借入金利息は税務上も明確に負債の利子として認識されているため、受取配当等の計算においても支払利子等の額に含まれます

原価に算入した負債の利子

固定資産を取得するための借入金利子を、その固定資産の取得価額に含めた場合の取扱いです。 法人税基本通達7-3-1の2の注書きにおいて、固定資産を取得するために借り入れた借入金の利子の額を建設中の固定資産に係る建設仮勘定に含めたときは、当該利子の額は固定資産の取得価額に算入されたことになると規定されています。 また、一度取得価額に算入した借入金利子を、後から抜き出して損金算入するような経理は認められないとされています。 このように固定資産その他の資産の取得価額に算入した負債の利子の額や、繰延資産として経理した負債の利子の額であっても、当該事業年度において支払ったものは、受取配当等の益金不算入額の計算における「支払利子等の額」に含まれる点に注意が必要です。会計上、支払利息として費用処理されているか、資産の取得価額に算入されているかにかかわらず、法人税法施行令19条2項にいう当該適用事業年度に係る支払利子等に該当するものは、支払利子等の額に含めて判定します

新屋賢人

実務では、これらの費用が会計上どの科目で処理されているかではなく、法人税法や通達における本質的な取扱いが何であるかを確認することが大切です。特に原価に算入した利息や割賦購入の利息相当額については、取得価額の構成要素となっている場合の集計漏れについて、注意が必要です。

支払利子等の範囲の判定表

これまでの解説の要点を以下の表に整理しました。実務での判定の参考にしてください。

項目支払利子等の額に含まれるか取扱いの根拠と理由
一般的な借入金利息含まれる法人が支払う負債の利子であるため。
手形の割引料含まれる法令上、支払利子等として明記されているため。
金銭債務の償還差損含まれる経済的な性質が利子に準ずるものとして明記されているため。
利子税・地方税の延滞金含めない処理が認められる法人税基本通達3-1-3の2により、法人がこれらを支払利子等の額に含めないで計算した場合には認められるため。
割賦購入資産の利息相当額(区分経理分)取得価額に含めない場合は含まれる法人税基本通達3-1-3の3により、取得価額に含めないこととした場合に限り、支払利子等の額に含めるため。
売上割引料含まれない手形割引料と異なり、売上対価の減額としての性質を持つため。
輸入決済手形借入金利息含まれる通達において負債の利子に含まれることが示されているため。
原価に算入した負債の利子含まれる固定資産その他の資産の取得価額に算入した負債の利子又は繰延資産として経理した負債の利子であっても、当該事業年度において支払ったものは支払利子等の額に含まれるため。

まとめ

本日は、受取配当等の益金不算入額の計算において控除する株式等にかかる負債の利子、特に「支払利子等の範囲」について解説しました。 原則的な4パーセント控除だけでなく、支払利子額全体の10パーセントを基準とする特例計算を正しく適用するためには、負債の利子の範囲を正確に特定することが不可欠です。

新屋賢人

表面的な勘定科目にとらわれず、経済的実態と法令・通達の規定に照らし合わせて適切に処理を行ってください。

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この記事を書いた人

コムレイド税理士事務所_代表新屋賢人のアバター コムレイド税理士事務所_代表新屋賢人 税理士(コムレイド税理士事務所 代表)

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。税理士(日本税理士会連合会登録)。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

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