ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年6月2日のテーマはなんでしょうか?



今朝は「外国税額控除の基礎」についてです。企業のグローバル化が進み、海外でビジネスを行う法人が増える中で、日本と外国での二重課税を排除するための非常に重要な制度となります。



二重課税ですか。日本と外国の両方で同じ利益に対して税金がかかってしまうのを防ぐということですね。



その通りです。ただ、控除限度額の計算方法や適用要件、控除の対象となる税金の範囲の判定など、実務上で注意すべき点が多岐にわたります。



なるほど、しっかり理解しておかないと損をしてしまったり、申告ミスにつながりそうですね。



ええ。ですので、今回は法令や通達に基づき、原則的な取扱いから特例、例外的な取扱いまで、確認していきたいと思います。
外国税額控除制度の概要と趣旨
外国税額控除の原則的な枠組みについて解説します。 法人が海外で事業を行い利益を得た場合、その所得に対しては源泉地国である外国の法令に基づいて税金が課されます。一方で、日本の法人税法では内国法人の全世界所得に対して課税するという原則をとっているため、海外で得た所得に対しても日本の法人税が課されることになります。このままでは同一の所得に対して日本と外国で二重に課税されてしまうため、法人税法第69条第1項において、内国法人が各事業年度において外国法人税を納付することとなる場合には、一定の限度額の範囲内で、その外国法人税の額を日本の法人税の額から控除することが認められています。
この制度の趣旨については、当期の全世界所得に対して我が国の税法により課税されるべき法人税額のうち、国外源泉の所得に対応する部分の金額を限度として外国税額の控除を認めるものと説明されています。換言すれば、国内源泉の所得に対して課されるべき法人税額にまで食い込んで外国税額の控除を認めることはしないという考え方に基づいています。



外国税額控除は、あくまで「日本での法人税額のうち、海外で稼いだ所得に見合う部分」を上限として外国の税金を差し引く制度です。日本での税金以上に海外で高額な税金を払っていたとしても、無制限に控除できるわけではないという全体像をまずはしっかりとイメージしてください。
控除対象となる外国法人税と対象外となる税金
次に、どのような税金が外国税額控除の対象となるのか、その範囲について確認します。 法人税法施行令第141条第1項によれば、控除の対象となる外国法人税とは、外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税と定義されています。これには、超過利潤税その他法人の所得の特定の部分を課税標準として課される税や、法人の所得を課税標準として課される税の付加税なども含まれます。
一方で、外国で納付した税金であっても、外国税額控除の対象とならない例外的な税金が存在します。法人税法施行令第141条第3項や第142条の2などで規定されている主な対象外の税金は以下の通りです。
- 納付後任意に還付請求ができる税
- 税の納付が猶予される期間を任意に定めることができる税
- 複数の税率の中から合意により決定された税のうち、最も低い税率を上回る部分
- 外国税額のうち、所得に対する負担が高率な部分(原則として35パーセントを超える部分の金額)
- 内国法人の通常行われる取引と認められない取引に基因して生じた所得に対して課される外国法人税
- 内国法人の法人税に関する法令の規定により法人税が課されないこととなる金額を課税標準として、外国法人税に関する法令により課される税(受取配当等の益金不算入や外国子会社から受ける配当等の益金不算入となる部分など)
以下の表に、控除の対象となるものと対象外となるものを整理します。
| 区分 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 控除対象となる外国法人税 | 外国の法令に基づき外国等により法人の所得を課税標準として課される税、超過利潤税、所得課税の付加税など |
| 控除対象とならない外国法人税 | 任意に還付請求可能な税、納付猶予期間を任意に定められる税、高率負担部分(35%超)の税、通常行われない取引に基因する所得への税、日本の法令で非課税となる所得に対して課された税など |



実務上、海外で納付した税金だからといってすべてが控除できると早合点してはいけません。特に、外国子会社配当等の益金不算入制度の適用を受ける配当等に係る外国源泉税等については、外国税額控除の対象とならないだけでなく、法人税法39条の2により損金算入も制限される場合があります。そのため、外国子会社配当等に係る源泉税については、通常の外国法人税とは区別して確認する必要があります。
なお、35%超の高率負担部分の除外が原則ですが、利子等の収入金額を課税標準として源泉徴収に類する方法で課される外国法人税については、所得率等に応じた別の高率負担部分の判定ルールが設けられているため、利子・使用料等に係る源泉税については個別確認が必要です。
控除限度額の計算と国外所得金額の把握
外国税額控除の額は、無制限に認められるわけではなく「控除限度額」が設定されています。法人税法施行令第142条第1項によれば、控除限度額は、概ね「当期の所得に対する法人税額 × 調整国外所得金額 ÷ 当期の所得金額」により計算されます。ただし、調整国外所得金額については、外国法人税が課されない国外源泉所得を除外する調整が行われるほか、その金額が当期の所得金額の90%相当額を超える場合には、90%相当額を上限とするいわゆる90%シーリングが設けられています。
ここで重要になるのが、計算式の分子となる「調整国外所得金額」の算定です。ここでいう国外所得金額は、単に外国で課税された所得金額そのものではなく、国外源泉所得について日本の法人税法等を適用して計算した場合に課税標準となるべき所得金額に相当するものです。したがって、現地申告書上の課税所得をそのまま用いるのではなく、日本の法人税法上の所得計算に引き直す必要があります。
国外事業所等帰属所得の計算においては、国外の事業に直接かかった費用だけでなく、本店と国外事業所等の双方に関連して生じた販売費や一般管理費などの共通費用の配分を行う必要があります。法人税基本通達によると、この共通費用の配分は、原則として個々の業務ごと、かつ、個々の費目ごとに、収入金額その他の合理的な基準を用いて適正に配分しなければなりません。しかしながら、実務上このような計算を行うことは非常に複雑で困難な場合があります。そこで、通達において、共通費用の額の配分につき個々の業務ごと、個々の費目ごとの計算を行うことが困難な場合の一種の簡便法として、一定の算式により国外業務に係る損金の額として配分すべき金額を計算する方法が示されています。



共通費用の配分は税務調査でも論点になりやすい箇所です。全社的な経費を海外事業にどう配分するかは、客観的で合理的な基準を用いることが求められます。原則的な個別計算が難しい場合は、通達で認められている簡便的な算式を適用することを検討し、その計算根拠をしっかりと書面に残しておくことが実務上の防衛策となります。
外国税額控除の特例と例外的な取扱い
外国税額控除には、各事業年度の単年での計算の枠を超えた特例や、他の規定との関連による例外的な取扱いが設けられています。
まず、控除の繰越しに関する特例です。法人税法第69条第2項では、内国法人が各事業年度において納付することとなる控除対象外国法人税の額が、当該事業年度の控除限度額等の合計額を超える場合において、前3年以内の事業年度において生じた控除限度額の余裕額(繰越控除限度額)があるときは、その余裕額を限度として、その超える部分の金額を法人税の額から控除できると定めています。 逆に、法人税法第69条第3項では、納付する控除対象外国法人税の額が当該事業年度の控除限度額に満たない場合において、前3年以内の事業年度において控除しきれなかった控除対象外国法人税の額(繰越控除対象外国法人税額)があるときは、当期の控除限度額の余裕額を上限として、過去に控除しきれなかった外国税額を当期の法人税額から控除することが認められています。
次に、損金算入との選択についてです。法人は、外国法人税について「税額控除」を選択するか、税額控除の適用を受けずに全額を「経費(損金)」として処理するかを選択することができます。ただし、法人税法第41条の規定により、控除対象外国法人税の額について外国税額控除の適用を受ける場合には、その控除対象外国法人税の額は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないとされています。これは、税額控除と損金算入の二重の恩恵を受けることを防止するための規定です。(外国子会社配当等に係る外国源泉税等のように、外国税額控除を適用しない場合であっても別途損金不算入とされるものがあるため、「税額控除を選択しなければ常に全額損金算入できる」とは限らない点に注意が必要です。)
また、実務上の具体的な取扱いとして、予定納付等をした外国法人税の特例があります。外国税額控除は、原則として外国法人税を納付することとなる日の属する事業年度において適用されます。予定納付又は見積納付等をした外国法人税についても同様ですが、法人が継続して、予定納付等の段階では仮払金等として経理し、確定申告又は確定賦課等があった日の属する事業年度において外国税額控除を適用する処理をしている場合には、その処理も認められます。(予定納付時と確定時に二重に控除するものではなく、継続した経理処理に基づき適用時期を判断する必要があります。)



控除枠が余ったり、逆に税額が控除枠をオーバーしてしまったりした場合でも、3年間の繰越控除の仕組みを活用することで、複数年を通じて二重課税を調整することが可能です。また、外国税額が非常に少額な場合などは、計算の手間を考慮してあえて税額控除を選択せず、損金算入を選択した方が実務上効率的なケースもあります。自社の状況に合わせて有利な方法を選択してください。
なお、繰越控除限度額の判定に当たっては、法人税の控除限度額だけでなく、地方法人税控除限度額及び地方税控除限度額として政令で定める金額も関係します。
申告要件と実務上の手続き
最後に、外国税額控除を適用するための手続き要件について解説します。 法人税法第69条第25項において、外国税額控除の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類、並びに控除対象外国法人税の額の計算に関する明細などの事項を記載した書類の添付があり、かつ、控除対象外国法人税の額を課されたことを証する書類を保存している場合に限り適用されます。控除されるべき金額の計算の基礎となる金額は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除き、明細書に記載された金額を限度とするとされています。
また、繰越控除限度額又は繰越控除対象外国法人税額を利用する場合には、当期の申告書だけでなく、繰越の基礎となる最も古い事業年度以後の各事業年度における明細書添付等の要件も問題となります。したがって、外国税額控除を継続的に管理する場合には、当期分の証明書類だけでなく、過年度の別表・控除限度額・控除対象外国法人税額の管理も重要です。



「明細書の添付」と「証明書類の保存」は絶対に忘れてはならない要件です。外国の税務当局への申告書の控えや、税金を納付したことを証明する領収書などは紛失しないように厳重に保管してください。書類が揃っていないと、後々の税務調査で控除が否認されてしまうおそれがあります。
まとめ
本日は「外国税額控除の基礎」について、法人税法等の法令から通達の具体例まで解説いたしました。 外国税額控除は、国際的な二重課税を排除するための重要な制度ですが、控除対象となる外国法人税の範囲の特定、共通費用を配分した適正な国外所得金額の計算、そして3年間の繰越控除の管理など、精緻な計算と厳密な書類の保存が求められます。



海外進出を果たし、外国で税金を納付する法人の皆様におかれましては、本記事の解説を参考にしていただき、法令に基づいた適正な税務処理と有利な選択を行っていただければ幸いです。不明点がある場合は、専門家である税理士に早めに相談することをおすすめいたします。









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