ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年4月21日のテーマはなんでしょうか?



今朝は「固定資産の取得価額等」について整理していきたいと思います。



固定資産の取得価額ですね。単なる購入金額だけでなく、付随費用の取り扱いで「取得価額に含めるべきか、その時の損金にしてよいのか」迷うことが多いです。



その通りです。固定資産の取得価額の決定は、その後の減価償却などを通じて複数年の所得計算に影響を与えるため、税務調査でも非常によく確認される重要なポイントです。今朝は、法令が定める原則的な決定方法から、通達に基づく実務上の例外や特例まで確認していきましょう。
固定資産の取得価額の原則的な決定方法
法人税法上、固定資産の取得価額は、その取得の形態によって計算方法が細かく定められています。法人税法施行令第54条第1項によれば、減価償却資産の取得価額は、原則として次の表のように区分されて計算されます。
| 取得の形態 | 取得価額の計算方法 |
|---|---|
| 購入した減価償却資産 | 購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などの購入のために要した費用を加算した金額)+事業の用に供するために直接要した費用の額 |
| 自己の建設、製作又は製造に係る減価償却資産 | 当該資産の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額+事業の用に供するために直接要した費用の額 |
| 自己が成育・成熟させた生物(牛馬や果樹等) | 取得に要した金額、成育・成熟のために要した飼料費や肥料費などの経費+事業の用に供するために直接要した費用の額 |
| 適格合併、適格分割等により移転を受けた減価償却資産 | 被合併法人や分割法人等における移転直前の帳簿価額等を基礎とした金額+事業の用に供するために直接要した費用の額 |
| その他の方法により取得した減価償却資産(交換や贈与など) | その取得の時における当該資産の取得のために通常要する価額+事業の用に供するために直接要した費用の額 |
このように、購入代価や製造原価だけでなく、資産を「事業の用に供するために直接要した費用」を含めるのが原則となります。たとえば、機械装置を購入した場合の据付費用や試運転費用などは、すべて取得価額を構成することになります。 また、これらの規定は減価償却資産について定められたものですが、法人税法基本通達7-3-16の2において、土地などの非減価償却資産の取得価額に関しても、減価償却資産に関する法人税法施行令第54条などの規定が準用されることが明記されています。



実務上、購入時の本体価格だけを取得価額として固定資産台帳に登録してしまい、据付費用や運送保険料などを誤って支払手数料等の科目で単年度の経費にしてしまうケースが散見されます。事業の用に供するために直接要した付随費用の拾い上げには、見積書や請求書の内訳をしっかりと確認するよう心掛けてくださいね。
取得価額に算入しないことができる付随費用と借入金の利子
原則として付随費用は取得価額に算入されますが、一定の費用については、法人の選択により取得価額に算入せず、支出時の経費(損金)とすることが認められています。
まず、固定資産の取得に関連して納付する租税公課等です。法人税基本通達7-3-3の2では、不動産取得税、登録免許税その他登記又は登録のために要する費用などについては、固定資産の取得に関連して支出するものであっても、法人の選択により取得価額に算入しないことができるとされています。
※ なお、通達本文には「自動車取得税」の記載がありますが、同税は2019年10月1日に廃止され、その後導入された環境性能割も2026年3月31日で廃止されています。
次に、借入金の利子の取り扱いです。固定資産を取得するために借り入れた借入金の利子については、法人税法基本通達7-3-1の2において、たとえ当該固定資産の使用開始前の期間に係るものであっても、これを取得価額に算入しないことができると規定されています。ただし、借入金の利子の額を建設中の固定資産に係る建設仮勘定に含めて経理したときは、その利子の額は固定資産の取得価額に算入されたものとして取り扱われます。



税務上は損金処理が認められている費用であっても、会計上は資産計上が求められるケースや、逆に建設仮勘定に含めることで意図せず税務上も資産計上となってしまうケースがあります。借入金の利子に関する選択は、建設仮勘定の精算時にどの経理処理を採用するかで決まるため、決算方針に合わせて慎重に検討してください。
土地や建物の取得に伴う特有の費用と立退料等の取り扱い
土地や建物などの不動産を取得する際には、取引の過程で特有の支出が発生することが多く、取得価額の判定において非常に重要な論点となります。
建物の建設等のための調査、測量、設計、基礎工事等に要した費用の額は、原則として建物の取得価額に算入されます。しかし、建設計画が変更されたため、既に支出済みのこれらの費用が全く不要に帰してしまった場合について、これを新たな計画に基づく建物の取得価額に算入することを強制するのは妥当でなく、計画変更のためにやむを得ず生じたロスとして、その時点で単純な損金として認めることが相当であるとされています。
また、土地や建物の取得に際して、当該土地や建物の使用者等に支払う立退料その他立退きのために要した金額については、法人税法基本通達7-3-5により、当該土地や建物の取得価額に算入することが明記されています。借家人がいる建物を取得して借家人に立退料を支払った場合は建物の取得価額に、借地人がいる土地を取得して借地人に立退料を支払った場合は土地の取得価額に算入されます。
さらに、借地権の取得価額についてですが、法人税法基本通達7-3-8では、借地権の対価として土地所有者に支払った金額や、名義書換料などの費用は借地権の取得価額になると規定されています。ただし、土地の上に存する建物等を取得した場合において、その建物等の購入代価のうち借地権の対価と認められる部分の金額が建物等の購入代価のおおむね10%以下であるときは、強いて借地権として区分せず、建物等の取得価額に含めることが認められています。



例えば、A土地を取得すべく手付金を払っていたものの、条件の良いB土地が見つかったためA土地の契約を解除して手付金を没収された場合、その没収された手付金はA土地の契約関係に着目するものであり、強いてB土地の取得価額に算入する必要はないことが基本通達で明らかにされています。個別の契約関係に着目し、どの資産の取得に直接要した費用なのかを見極めることが実務では極めて重要です。
ソフトウエアなど特殊な資産の取得価額と異常な取得価額
ソフトウエアの取得価額についても、特例的な取り扱いが定められています。法人税法基本通達7-3-15の3によれば、次に掲げるような費用は、ソフトウエアの取得価額に算入しないことができます。
- 自己の製作に係るソフトウエアの製作計画の変更等により、いわゆる仕損じとなったことが明らかなものに係る費用の額
- 研究開発費の額(自社利用のソフトウエアにおいては、その利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかなものに限られます)
- 製作等のために要した間接費や付随費用等で、その費用の額の合計額が少額(その製作原価のおおむね3パーセント以内の金額)であるもの
最後に、異常な取得価額として、不当に高価な価格で資産を買い入れた場合の取り扱いを解説します。 法人税法基本通達7-3-1では、法人が不当に高価で買い入れた固定資産について、その買入価額のうち実質的に贈与をしたものと認められる金額がある場合には、買入価額から当該贈与と認められる金額を控除した金額を取得価額とすることに留意する旨が規定されています。



不当に高価で買い入れた場合、実質的贈与と認定された金額は税務上寄附金として取り扱われ、寄附金の損金算入限度額を超える部分は損金に算入されません。さらに、その譲渡の相手先が法人の役員である場合には、その役員に対する給与(役員賞与)とみなされるため極めて重いペナルティが生じます。関係者間での固定資産の売買にあたっては、客観的な時価の算定を必ず行ってください。
まとめ
本日は、法人税法及び関連法令、基本通達等に基づく固定資産の取得価額の決定方法について解説いたしました。 固定資産の取得価額は、購入代価に付随費用を加算して計算するのが原則ですが、租税公課や借入金の利子、さらには計画変更による調査費用やソフトウエアの仕損じ費用など、実態に応じた例外的な取り扱いや法人の選択が認められている領域が多く存在します。



取得価額に算入するか、単年度の損金として処理するかは、法人の資金繰りや利益計画に直接的な影響を及ぼします。取引の事実関係や費用の性質を正確に把握し、法令・通達に基づいた適正な税務処理を行うことが不可欠です。ご不明な点がございましたら、いつでも専門家である税理士にご相談ください。










コメント