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2026年5月4日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、法人の実務でも度々ご質問をいただく固定資産の評価損についてです。



固定資産の評価損ですか。昨日の棚卸資産同様、税務上は原則として評価損を計上してはいけないと聞いたことがあります。



その通りです。ただ、一定の要件を満たすことで損金算入が認められる例外規定も存在します。今朝はその原則から例外、そして実務上の注意点までを法令に基づいて網羅的に確認していきましょう。



棚卸資産の評価損については、こちらの記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】棚卸資産の評価損に関する税務と実務《基礎ログ》
1. 固定資産の評価損における原則的な取扱い
1.1 法令上の原則
法人税法においては、内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、各事業年度の所得の金額の計算上、原則として損金の額に算入しないと規定されています。 これは、企業が恣意的に未実現の損失を計上し、利益を意図的に圧縮して税負担を逃れることを防止するための原則です。
1.2 会計上の減損損失との相違点
企業会計においては、固定資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態を反映させるため、固定資産の減損に係る会計基準に基づき、減損損失を計上することがあります。 しかしながら、税務上において固定資産について評価損の計上が認められるのは、災害による著しい損傷など特定の事実が生じた場合に限定されています。 したがって、企業会計上において減損損失が計上されたとしても、税法上の評価損の要件を満たさない限り、その全部又は一部が税法上否認され、申告調整を行う必要が生じることになります。



企業会計上で適正に減損処理を行ったからといって、そのまま税務上の損金として認められるわけではないという点に注意が必要です。両者の基準の違いをしっかりと認識しておくことが実務上極めて重要となります。
2. 固定資産の評価損の計上が認められる例外的な事実
2.1 損金経理等の要件
原則として評価損の損金算入は認められませんが、法人税法第33条第2項において例外が定められています。 内国法人の有する資産につき、災害による著しい損傷により当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなったことその他の政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、一定の限度額まで損金算入が認められます。 この場合に損金算入が認められる限度額は、評価換えの直前の当該資産の帳簿価額と、その評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額(時価)との差額に達するまでの金額となります。なお、法人税法33条2項の「その他の政令で定める事実」には、固定資産に係る物損等の事実(法人税法施行令68条1項3号)のほか、法的整理の事実も含まれます。国税庁通達では、その例として民事再生法による再生手続開始決定に伴い同法124条1項の評定が行われることが示されています。
2.2 固定資産の評価損が認められる具体的な事実
前述の法人税法第33条第2項に規定される「政令で定める事実」について、固定資産に関しては法人税法施行令第68条第1項第3号に具体的に規定されています。 固定資産について評価損を計上できる「物損等の事実」は以下の通りです。
| 規定の区分 | 具体的な事実の内容 |
|---|---|
| イ | 当該資産が災害により著しく損傷したこと |
| ロ | 当該資産が一年以上にわたり遊休状態にあること |
| ハ | 当該資産がその本来の用途に使用することができないため他の用途に使用されたこと |
| ニ | 当該資産の所在する場所の状況が著しく変化したこと |
| ホ | 上記イからニまでに準ずる特別の事実が生じたこと |



例えば、単に不動産の市場価値が下落したというだけでは、評価損の計上は認められません。一年以上の遊休状態や災害による著しい損傷など、法令で定められた客観的な事実に該当するかどうかを慎重に検討し、それを証明できるようにしておくことが実務上必須となります。
3. 法的整理等に伴う特例的な取扱い
3.1 会社更生等による評価換えの特例
固定資産の評価損には、災害や遊休状態など一定の事実が生じた場合の取扱いとは別に、法的整理の手続に伴って認められる特例があります。まず、会社更生法または金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定により更生計画認可の決定があった場合には、これらの法律に従って行う資産の評価換えについて、法人税法第33条第3項の特例が適用されます。
この場合、法人がその有する資産について評価換えを行い、帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額は、法人税法第33条第1項の原則的な損金不算入の規定にかかわらず、評価換えをした日の属する事業年度の損金の額に算入されます。つまり、ここでは更生計画認可決定に基づく法定の評価換えであることが、税務上の損金算入を認める根拠となっています。
なお、この取扱いは、後述する民事再生法の再生計画認可決定等に伴う資産評定(法人税法第33条第4項)とは条文上の構成が異なります。そのため、法的整理に伴う評価損を検討する際には、更生計画認可決定による評価換えなのか、再生計画認可決定等に伴う資産評定なのかを分けて理解することが重要です。
3.2 再生計画認可決定等に伴う資産評定
これに対し、民事再生法の規定による再生計画認可の決定があったこと、その他これに準ずる政令で定める事実が生じた場合には、法人税法第33条第4項の規定が問題となります。こちらは、更生計画認可決定に基づく「評価換え」とは異なり、法人がその有する資産の価額につき、政令で定める評定を行っていることが要件とされています。
この場合、評価損の計上に適しないものとして政令で定める資産を除き、その資産の評価損の額として政令で定める金額は、原則的な損金不算入の規定にかかわらず、これらの事実が生じた日の属する事業年度の損金の額に算入されます。したがって、再生計画認可決定等の場面では、単に帳簿価額を減額したというだけでなく、法令に基づく資産評定が行われているかどうかが重要なポイントになります。
さらに、法人税法第33条第4項については、確定申告書への明細記載や添付書類に関する手続要件が同条第7項・第8項で定められているため、実務上は再生計画認可決定等に伴う資産評定のケースかどうかを明確にしたうえで申告手続を確認する必要があります(次章で解説します)。



再生手続等に基づく資産評定については、法令上の要件を満たし、かつ評価損の計上に適しないものとして政令で定める資産を除き、税務上の評価損として損金算入が認められます。
4. 適用を受けるための手続要件
4.1 申告時の明細添付と書類保存
固定資産の評価損といっても、税法上はすべて同じ扱いではありません。
たとえば、災害による損傷や長期間の遊休状態などが原因で帳簿価額を減額する場合と、民事再生などの手続の中で資産評定を行って評価損を計上する場合とでは、適用される条文や必要な手続が異なります。
このうち、再生計画認可の決定などを受けて資産評定により評価損を計上するケースについては、法人税法第33条第7項で、確定申告書への明細記載と所定書類の添付が適用要件とされています。
そのため、評価損を検討するときは、まずどの場面の評価損なのかを整理したうえで、必要な申告手続を確認することが大切です。
4.2 やむを得ない事情による救済措置
また、上記のような資産評定による評価損のケースでは、申告書への明細記載や添付書類が漏れていた場合でも、やむを得ない事情があると税務署長に認められれば、例外的に適用が認められる余地があります。これは法人税法第33条第8項に定められています。
もっとも、この救済規定も、固定資産の評価損すべてに一律に当てはまるわけではありません。
あくまで、再生手続等の中で資産評定を行って評価損を計上する場面に関する手続上のルールとして理解しておくのが正確です。
したがって、実務では、どの条文に基づく評価損なのか、申告書に明細記載が必要なケースか、それとも添付書類が必要なケースかを事前に整理し、申告前に漏れがないか確認することが重要です。



要件を満たしている場合でも、確定申告書への明細添付が漏れてしまうと、原則として損金算入が認められません。申告書作成時には、必要な別表や添付書類が漏れなく揃っているかを必ずダブルチェックしてください。
5. まとめ
本日は固定資産の評価損について、関連する法令や通達に基づく取扱いを解説いたしました。 固定資産の評価損は、恣意的な利益操作を防ぐために原則として損金不算入とされています。 しかし、災害による著しい損傷や長期間の遊休状態など、法令で明確に定められた特定の事実が発生し、帳簿価額が実質的な価値を下回った場合には、例外的に損金算入が認められます。



企業会計における減損処理とは考え方や要件が異なるため、会計上の処理をそのまま税務に反映させるのではなく、税法上の要件に照らし合わせて個別に判断することが不可欠です。 また、評価損の適用を受けるためには、損金経理の実施と確定申告書への明細添付が必要となる場合がありますので、実務においては手続きの漏れがないよう十分にご注意ください。










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