ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年4月29日のテーマはなんでしょうか?



今朝は「劣化資産」の税務上の取扱いについて確認していきたいと思います。



劣化資産、ですか。工場などで使う特別な資産のことでしょうか。減価償却資産とはまた違うのですか?



主に製造業などで用いられる触媒や吸着材などの特殊な資産のことです。これらは長期間にわたって設備の中で使用されますが、少しずつ数量的に減耗していくという特徴があります。そのため、通常の減価償却資産とは少し異なる独自のルールが定められているのです。



なるほど、少しずつ減っていくから劣化資産というのですね。経理の処理が難しそうです。



ええ、実務上迷いやすいポイントでもあります。今日は法人税の基本通達をベースにして、原則的な処理から特例、そして少額資産の取扱いまで確認していきたいと思います。
劣化資産の基本的な考え方と具体例
劣化資産に該当するものとは
劣化資産とは、生産設備の本体の一部を構成するものではありませんが、生産設備と一体となって繰り返し使用される資産で、数量的に減耗し、又は質的に劣化するものをいいます。具体的な例を挙げますと、化学工場などで使用される触媒、吸着材及び脱着材のようなものがこれに該当します。また、鋳物製造における砂、アルミニューム電解用の陽極カーボン、かせ性ソーダ製造における水銀なども劣化資産の代表例です。
取得から設備投入までの原則的な取扱い
これらの劣化資産は、購入してすぐに全額を費用にできるわけではありません。劣化資産のうち、通達7-9-2により棚卸資産として認められるものを除けば、取得後ただちに全額損金算入するのではなく、まずは貯蔵品等として資産計上し、事業の用に供した後は、その性質に応じて通達7-9-3又は7-9-4の方法で処理することになります。



劣化資産は、単なる消耗品ではなく、長期間にわたり設備と一体となって機能するものです。そのため、まずは貯蔵品として資産計上し、事業の用に供した段階で後述するルールのいずれかに従って費用化していくというプロセスを踏むことを忘れないでくださいね。
全量を一時に取り替えないで随時補充する劣化資産の経理方法
4つの経理方法の選択
劣化資産は、一度設備に投入したら終わりではなく、減耗した分を随時補充しながら長期間にわたりおおむね同様な状態を保って事業の用に供されるケースが多く見られます。このような「全量を一時に取り替えないで随時補充する劣化資産」について、法人が継続して経理することを条件として、法人税基本通達では以下の4つのいずれかの方法による費用化を認めています。
| 方法の区分 | 経理処理の具体的な内容 |
|---|---|
| 第1の方法 | 事業の開始又は拡張のために取得したものの取得価額を資産に計上し、その資産の減耗分の補充のために要した金額を、その支出の都度損金の額に算入する方法 |
| 第2の方法 | 事業の開始又は拡張のために取得したものの取得価額を資産に計上し、その資産の取得価額の50%相当額に達するまで減耗率により計算した償却限度額を各事業年度の損金の額に算入するとともに、減耗分の補充に要した金額を支出の都度損金の額に算入する方法 |
| 第3の方法 | 事業の開始又は拡張のために取得したものの取得価額を資産に計上し、減耗分の補充をしたときは、その補充費用を資産に計上するとともに、その資産の帳簿価額のうち減耗分に対応する金額を損金の額に算入する方法 |
| 第4の方法 | 各事業年度終了の時において有する劣化資産を、棚卸資産の評価方法に準じて評価する方法 |
なお、上記4つの方法は、減耗分を随時補充しながら使用するタイプの劣化資産(通達7-9-4)に関する取扱いです。主として質的に劣化し、全量を一時に取り替えるタイプの劣化資産については、別途通達7-9-3の取扱いが適用されます。
第2の方法における減耗率の計算式
上記の第2の方法を採用する場合、償却限度額の計算に用いる「減耗率」は、以下の算式によって計算します。
減耗率 = 一の設備における1年間の減耗分の数量 ÷ 一の設備に使用されている数量 × 事業年度の月数 ÷ 12
法人の実態に合わせて、これら4つの方法から最も自社の状況に合致し、管理しやすいものを選択し、毎期継続して適用することが求められます。



実務上は、最初に投入した分を資産として残し、後から補充した金額をそのまま損金とする第1の方法が簡便でよく用いられます。しかし、設備の稼働状況や減耗の実態をより正確に財務諸表に反映させるためには、減耗率を用いた第2の方法や、棚卸資産に準じて評価する第4の方法も有効です。自社の経理体制に合った方法を継続して適用することが、税務調査で指摘を受けないための鉄則です。
少額な劣化資産の例外的な取扱い
一の設備あたりおおむね60万円未満の場合の特例
これまでに解説した通り、劣化資産に該当する資産については、定められた一定のルールに従ってその費用化計算を行う必要があります。しかし、税務上は企業の事務負担を軽減するための例外的な取扱いも設けられています。
法人税基本通達によれば、一の設備に通常使用される劣化資産で、その取得価額が「少額」なものについては、事業の用に供した都度、一時に損金の額に算入することができるとされています。ここでいう「少額」とは、おおむね60万円未満のものが該当することとされています。
この特例を適用することで、煩雑な資産計上や継続的な減耗率の計算などを省略し、設備に投入したタイミングで即座に費用処理することが可能となります。



取得価額がおおむね60万円未満かどうかの判定は、劣化資産1個あたりの単価ではなく、一の設備に通常使用される劣化資産の総額で行う点に注意してください。この少額基準を満たす場合は、積極的にこの特例を活用して経理業務の効率化を図りましょう。
まとめ
本日は劣化資産の税務上の取扱いについて総括いたしました。
劣化資産とは、生産設備の本体の一部を構成するものではないものの、生産設備と一体となって繰り返し使用され、数量的に減耗し、又は質的に劣化する資産をいいます。劣化資産の税務処理は、その性質に応じて、全量を一時に取り替えるもの(通達7-9-3)と、減耗分を随時補充しながら使用するもの(通達7-9-4)とで異なります。また、一の設備に通常使用される少額の劣化資産(おおむね60万円未満)については、事業の用に供した都度損金算入できる取扱いがあります。



自社が保有する劣化資産がどの基準に当てはまるのかを正確に把握し、税務上適正かつ効率的な経理処理を選択していただければと思います。










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