【町田市の税理士が解説】固定資産の除却損失等に関する税務上の取扱いと実務ポイント《基礎ログ》

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
2026年4月28日のテーマはなんでしょうか?

新屋賢人

今朝は、法人が有する固定資産の除却損失等の損金算入に関する税務上の取扱いについて整理していきたいと思います。

ミミレイドン

除却損失ですか。使わなくなった資産を廃棄すれば、その分の損失を計上できるのですよね。何か特別なルールなどがあるのでしょうか。

新屋賢人

はい。物理的に廃棄をした場合は分かりやすいのですが、廃棄をしていなくても除却損を計上できる有姿除却の特例や、ソフトウェアのような無形資産の除却など、実務上迷いやすいケースが多く存在します。今日はそれらを体系的に確認していきましょう。

ミミレイドン

なるほど、形のないソフトウェアの除却や、捨てていないのに損失になるケースですね。とても興味深いです。

新屋賢人

税務調査でも論点になりやすい箇所ですので、どのような要件を満たせば除却損が認められるのか、確認していきましょう。

1. 固定資産の除却損失の原則的な取扱い

固定資産を除却や廃棄等をした場合、原則としてその資産の帳簿価額から廃材等の見積額を控除した金額を除却損失として損金の額に算入します。これは法人税法上、事業年度の損失の額として扱われるためです。

目次

取り壊した建物の帳簿価額の損金算入について

法人が有する建物や構築物等で、まだ使用に耐え得るものを取り壊し、新たにこれに代わる建物等を取得するケースがあります。この場合、取り壊した建物の帳簿価額の取扱いに迷うかもしれません。新たに取得した建物の取得価額に含めるべきなのではないか、という疑問が生じるためです。

しかし、法人税基本通達7-7-1において、土地とともに取得した建物等の取壊し費用等に該当する場合を除き、まだ使用に耐え得る建物等であっても、これを取り壊した場合には、その取り壊した日の属する事業年度の損金の額に算入することが明らかにされています。つまり、新たな建物の取得価額に含める必要はなく、取り壊し直前の帳簿価額から廃材等の見積額を除いた金額を除却損として処理して問題ありません

新屋賢人

建物の取壊しについては、その土地を新たに取得してすぐに行うような場合は土地の取得価額に含まれるという例外的な扱いがありますが、自社で元々使用していた建物を取り壊して建て替える場合は、素直に除却損を計上して差し支えありません。帳簿価額が大きく残っている場合は大きな損金となりますので、正確に処理を行いましょう。

2. 物理的廃棄を伴わない有姿除却の特例

固定資産の除却損失を計上するためには、物理的な解体や廃棄を行うのが大原則です。しかし、実務上は解体費用が多額にかかるなどの理由で、そのまま放置しておきたいケースもあります。このような実情に配慮して認められているのが、有姿除却の特例です。

有姿除却が認められる固定資産の要件

法人税基本通達7-7-2では、たとえ当該資産につき解体、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、次の要件のいずれかに該当するときは、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができると定めています。

第一のケースは、その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産です。たとえ現状のまま放置していたとしても、客観的にみて将来使用される見込みが全くない、あるいは一般的に再使用の機会が考えられないものであれば、実質的に命数を失ったものとして除却処理が認められます。

第二のケースは、特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなものです。生産中止になった専用金型などは、他の用途への転用が難しく、実情としてはデッドストックとなっていることが多いため、このような取扱いが明文化されています。

新屋賢人

有姿除却を適用する場合、注意していただきたいのは処分見込価額、いわゆるスクラップ価額を見積もって帳簿価額から控除しなければならないという点です。また、将来本当に再使用しないという客観的な事実が必要ですので、社内の稟議書など、使用廃止の意思決定を示す資料をしっかりと残しておくことが重要です。

3. ソフトウェアの除却に関する取扱い

無形固定資産であるソフトウェアについても、物理的な除却や廃棄という概念が当てはまりにくいため、実務上で疑問が生じやすい論点です。法人税基本通達7-7-2の2において、ソフトウェアにつき物理的な廃棄等がない場合であっても、今後事業の用に供しないことが明らかな事実があるときは、その帳簿価額を当該事実が生じた日の属する事業年度の損金の額に算入することが認められています

自社利用のソフトウェアの場合

自社利用のソフトウェアについては、データ処理の対象となる業務が廃止され、当該ソフトウェアを利用しなくなったことが明らかな場合が該当します。また、ハードウエアやオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウェアを利用することになり、従来のソフトウェアを利用しなくなったことが明らかな場合も、除却損の計上が可能です。

複写して販売するための原本となるソフトウェアの場合

製品として販売するためのマスターとなるソフトウェアについては、新製品の出現やバージョンアップ等により、今後その販売を行わないことが明らかな場合が該当します。この明らかな事実の証明としては、社内りん議書や販売流通業者への通知文書等により客観的に確認できることが求められます。

新屋賢人

ソフトウェアの除却は、外形から判断することが難しいため、税務調査において事実確認が求められることがよくあります。そのため、通達でも例示されているような社内の稟議書、流通業者への販売終了の通知文書、あるいは新しいシステムへの移行記録など、客観的な疎明資料を確実に保存しておくことが税務上の否認を防ぐための最大のポイントとなります。

4. その他の特殊な除却価額の計算

固定資産の種類や管理方法によっては、除却損の計算基礎となる帳簿価額の把握が難しい場合があります。ここでは、総合償却資産と少額の減価償却資産等の取扱いについて解説します。

総合償却資産の一部を除却した場合

機械装置のように複数の資産を一体として償却する総合償却資産について、その一部を除却等した場合の帳簿価額は、未償却残額除却法によることが原則です。これは、個々の資産が含まれていた総合償却資産の総合耐用年数を基礎として計算される除却等の時における未償却残額に相当する金額を基礎とする方法です。ただし、法人が各事業年度において計上した総合償却資産の償却費の額を、合理的な基準に基づいて個々の資産に配賦して計算している場合には、その帳簿価額を基礎として除却等による損益の計算を行う特例も認められています

取得価額等が明らかでない少額の減価償却資産等の除却

取得価額が20万円未満の減価償却資産で、少額減価償却資産の即時償却や一括償却資産の損金算入の規定などの適用を受けずに通常の減価償却を行っている「少額の減価償却資産等」のうち、一部の除却等をしたものの取得時期や取得価額が明らかでない場合があります。このような実態に配慮し、法人税基本通達7-7-7では、その除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額を1円とすることができると規定しています。これにより、個別に取得価額を把握することが困難な少額資産の除却手続きにおける実務上の負担が軽減されます。

ここで、有姿除却とソフトウェアの除却要件について、表で整理しておきましょう。

対象資産 物理的廃棄の要否 損金算入が認められる要件の具体例
有形固定資産全般不要(有姿除却)使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないこと
専用の金型等不要(有姿除却)特定製品の生産を中止し、将来使用される可能性がほとんどないことが明らかなこと
自社利用のソフトウェア物理的消滅は不要対象業務の廃止やハードウエア変更等により、従来ソフトを利用しなくなったことが明らかなこと
販売用原本ソフトウェア物理的消滅は不要新製品出現等により今後販売を行わないことが稟議書や外部への通知文書等で明らかなこと
新屋賢人

帳簿価額が正確に分からないからといって除却を諦める必要はありません。特に少額資産については、備忘価額の1円として除却損の計算ができる実務的なルールが用意されています。法人の日々の資産管理の状況に合わせて、適用できる規定を正しく選択していきましょう。

まとめ

本日は、固定資産の除却損失等の損金算入に関する税務上の取扱いについて解説いたしました。原則的な取壊しや物理的廃棄による処理だけでなく、実態に即した有姿除却の特例や、ソフトウェアという無形資産特有の取扱い、そして総合償却資産や少額資産における除却価額の特例的な計算ルールなど、法人税法及び基本通達には実務を想定した詳細な規定が設けられています。

新屋賢人

除却損失の計上は、法人の税負担を適正にするために非常に重要な手続きですが、将来の使用可能性がないことの客観的な証明が求められます。社内の稟議書や通知書などの証拠書類を適切に保管し、税務調査において事実関係をしっかりと説明できるように準備しておくことが大切です。税務判断に迷われた際は、ぜひ専門家である税理士にご相談ください。

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この記事を書いた人

コムレイド税理士事務所_代表新屋賢人のアバター コムレイド税理士事務所_代表新屋賢人 税理士(コムレイド税理士事務所 代表)

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。税理士(日本税理士会連合会登録)。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

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