ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年4月27日のテーマはなんでしょうか?



今朝は「取替資産の償却」について整理していきたいと思います。



取替資産ですか?レールや電線など、同じものが大量にあって定期的に取り替える資産のことですよね。通常の減価償却とは計算方法が違うのでしょうか。



はい、多量にあって一部ずつ取り替えるような資産については、実務上の事務負担を軽減するために「取替法」という特別な償却方法が認められております。本日はこの取替法について、適用要件や手続きを含めて法令に基づき詳しく見てまいりましょう。
取替資産の原則的な取扱いと「取替法」の概要
法人税法上、減価償却資産の償却限度額は原則として定額法や定率法などの法定の償却方法によって計算いたします。しかし、特定の要件を満たす減価償却資産の償却限度額の計算については、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、定額法や定率法などに代えて「取替法」を選定することが認められております。
取替法とは、以下の2つの金額の合計額を各事業年度の償却限度額として償却する方法を指します。
- 取得価額の50パーセントに達するまでの償却
当該取替資産につき、その取得価額の50パーセントに達するまでは、旧定額法、旧定率法、定額法又は定率法のうち、法人が採用している方法により計算した金額を償却いたします。ただし、この取得価額には、後述する「取り替えた新たな資産」の取得価額に相当する金額は含まれません。また、昭和27年12月31日以前に取得された資産である場合には、その取得の時期に応じて定められた資産再評価法別表第三の倍数を乗じて計算した金額を取得価額といたします。 - 取替時の新たな資産の取得価額の損金算入
当該取替資産が使用に耐えなくなったため、その事業年度において種類及び品質を同じくするこれに代わる新たな資産と取り替えた場合には、その新たな資産の取得価額で、その事業年度において損金経理をしたものを償却限度額として含めます。
つまり、取替法では、各事業年度の償却限度額は、①基本資産につき取得価額の50%に達するまでの通常の償却額と、②当該事業年度において使用に耐えなくなった部分を種類・品質を同じくする新資産に取り替え、その取得価額につき損金経理をした額との合計額で計算します。これにより、膨大な数の資産について一つ一つ減価償却の計算をする手間を省くことができます。



取替法は、一度にすべてを取り替えるのではなく、毎年少しずつ取り替えていくようなインフラ設備に非常に適した方法です。最初に取得した基本部分と、維持のために取り替える部分を分けて考えるのが実務上のポイントとなります。
なお、国税庁の基本通達上、取替法における「取替え」とは、取替資産が通常使用に耐えなくなったために行う取替えをいい、規模の拡張・増強のための取替えや、災害復旧のための取替えは含まれない点に注意が必要です。単なる現状維持のための部品交換ではなく、機能が向上するような取替えや災害時の復旧対応については、取替法ではなく別途資本的支出や災害損失としての判定等が必要になりますので、実務上はしっかりと区別してご対応ください。
最後に、取替法における50パーセント到達の判定は、対象資産全体を一括して見るのではなく、法人税法施行規則第10条各号に掲げる資産の区分ごと、さらに規模の拡張がある場合にはその拡張ごとに行います。実務上、この判定単位を誤ると正しい償却限度額が計算できなくなりますので、十分にご注意ください。
取替資産に該当する要件と具体的な範囲
それでは、どのような資産が取替資産に該当するのかを確認いたしましょう。
法令上の要件として、取替資産とは「軌条、枕木その他多量に同一の目的のために使用される減価償却資産で、毎事業年度使用に耐えなくなったこれらの資産の一部がほぼ同数量ずつ取り替えられるもの」と定義されております。そして、その具体的な範囲は財務省令(法人税法施行規則)によって厳格に定められております。
法人税法施行規則第10条に定められている取替資産の範囲は、以下の表の通りです。
| 設備の種類 | 取替資産として認められる具体的な資産の範囲 |
|---|---|
| 鉄道設備又は軌道設備に属する構築物 | 軌条及びその附属品、まくら木、分岐器、ボンド、信号機、通信線、信号線、電灯電力線、送配電線、き電線、電車線、第三軌条並びに電線支持物(鉄柱、鉄塔、コンクリート柱及びコンクリート塔を除きます。) |
| 送電設備に属する構築物 | 木柱、がい子、送電線、地線及び添架電話線 |
| 配電設備に属する構築物 | 木柱、配電線、引込線及び添架電話線 |
| 電気事業用配電設備に属する機械及び装置 | 計器、柱上変圧器、保安開閉装置、電力用蓄電器及び屋内配線 |
| ガス又はコークスの製造・供給設備に属する機械及び装置 | 鋳鉄ガス導管(口径20.32センチメートル以下のものに限ります。)、鋼鉄ガス導管及び需要者用ガス計量器 |
このように、鉄道のレール(軌条)や枕木、電力会社の送配電線や木柱、ガス会社のガス導管など、特定のインフラ設備が対象として限定されております。これら以外の資産については、いくら多量にあって定期的に取り替えるものであっても、取替法を採用することはできません。



実務上、この「財務省令で定められている範囲」に完全に合致するかの判定は非常に重要です。例えば、鉄道設備の電線支持物であっても、鉄柱やコンクリート柱は明確に取替資産から除外されておりますので、資産の材質や口径といった細かい要件を見落とさないようにご注意ください。
取替法を採用するための手続き
取替法は、法人が任意に選択できる方法ではありますが、適用を受けるためには税務署長への事前の承認申請が不可欠です。
法人税法施行令第49条第4項の規定によりますと、取替法を採用しようとする内国法人は、取替法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに、所定の事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないとされております。
この申請書には、法人税法施行令第49条第4項に基づく対象資産の種類・名称・所在場所のほか、法人税法施行規則第11条に基づき、以下の事項を記載いたします。
- 申請をする内国法人の名称、納税地及び法人番号並びに代表者の氏名
- 取替法を採用しようとする事業年度開始の時において見込まれる対象の減価償却資産の種類ごとの数量並びにその取得価額の合計額及び帳簿価額の合計額
- その他参考となるべき事項
申請書が提出された場合、税務署長は審査を行います。もし、その申請に係る減価償却資産の償却費の計算を取替法によって行う場合には、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算が適正に行われ難いと認めるときは、税務署長はその申請を却下することができます。承認または却下の処分をするときは、書面によりその旨が法人に通知されます。
ただし、税務署長からの連絡がすぐに来ない場合に対する救済措置(みなし承認)も法令上しっかりと規定されております。申請書の提出があった場合において、その適用を受けようとする事業年度終了の日(中間申告書を提出すべき内国法人については、当該事業年度開始の日から6ヶ月を経過した日の前日)までに承認または却下の処分がなかったときは、その日において承認があったものとみなされます。



申請の期限が「採用しようとする事業年度開始の日の前日まで」である点にはくれぐれもご留意ください。事業年度が始まってからでは手遅れとなりますので、インフラ設備の導入等により取替資産が生じる見込みがある企業様にあっては、前事業年度中の早めの対応が求められます。
例外的な取扱い:事業年度の中途で事業の用に供した場合の特例
通常の減価償却資産を事業年度の中途で事業の用に供した場合、その事業年度の償却限度額は、供用した日から事業年度終了の日までの月数に応じた月割計算を行うことが原則です(法人税法施行令第59条第1項第1号)。
しかし、取替法を採用している取替資産に関して、この月割計算の例外的な取扱いが規定されております。 法人税法施行令第59条第1項第1号のかっこ書きにおいて、「取替法を採用しているものについては、第49条第2項第2号に規定する新たな資産に該当するものでその取得価額につき当該事業年度において損金経理をしたものを除く」と明記されております。
これはどういうことかと申しますと、取替法における「取り替えた新たな資産」の部分については、事業年度の途中で取り替えて事業の用に供したとしても、月割計算を行う必要はないということです。したがって、年度の後半や期末ギリギリに取り替えた資産であっても、その取得価額の全額をその事業年度の償却限度額としてそのまま損金に算入することが可能となります。



取替法では、一定の要件を満たして取り替えた新たな資産の取得価額で、当期に損金経理した額がそのまま事業年度の償却限度額に含まれます。そのため、法人税法施行令第59条第1項第1号の例外規定により、この部分については通常の中途取得資産のような月割計算を行いません。
まとめ
本日は「取替資産の償却」について、原則的な考え方から具体的な要件、手続き、そして例外的な取扱いまで網羅的に解説いたしました。 おさらいいたしますと、取替法は鉄道の軌条や送配電線など、多量にあり毎期同数量ずつ取り替えられる特定のインフラ設備等についてのみ認められる償却方法です。初期の敷設分は取得価額の50パーセントに達するまで定額法等で償却し、その後の取替分は取得価額をそのまま損金経理するという二段構えの計算となります。 適用にあたっては事業年度開始の日の前日までの承認申請が必要となりますので、要件を満たす設備を保有する企業にあっては、計画的な手続きを忘れないようにいたしましょう。



このような特殊な減価償却の論点は、法令や規則の細かな別表等をしっかりと確認することが不可欠です。ご不明な点がございましたら、いつでも当事務所までご相談ください。










コメント