ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年5月3日のテーマはなんでしょうか?



今朝は「棚卸資産の評価損」について整理していきたいと思います。実務でも判断に迷うことが多い重要な論点ですよ。



棚卸資産の評価損ですか。決算の時期になると、在庫の価値が下がったから落としたい、という相談がよくありますよね。



その通りです。ただ、会計上は評価を下げられても、税務上は原則として認められていません。法令の要件を厳格に満たす必要があるのです。



なるほど。どのような要件を満たせば税務上も損金として認められるのでしょうか?



法人税法施行令で具体的に定められた「物損等の事実」などが発生している必要があります。今回は、その条件を詳しく確認していきましょう。
棚卸資産の評価損の原則的な取扱いと特例
法人税法において、法人が有する資産の評価損は、原則として損金の額に算入されないこととされています。棚卸資産についても同様です。法人が勝手に評価換えを行って帳簿価額を減額したとしても、その減額した部分の金額は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額には算入されません。 そして、そのように評価換えにより減額された金額が損金の額に算入されなかった資産については、その評価換えをした日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、当該資産の帳簿価額は、その減額がされなかったものとみなして取り扱われます。
しかしながら、例外的な取扱いとして、政令で定める事実が生じたことにより、その棚卸資産の価額が帳簿価額を下回ることとなった場合において、法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その下回る部分の金額を損金の額に算入することが認められています。



評価損を計上するためには、単に価値が下がったというだけでなく、法人税法に定められた例外規定に該当するかどうかを慎重に見極める必要があります。また、帳簿上でしっかりと損金経理によって減額していることが必須条件となりますから、決算での経理処理を忘れないように注意してくださいね。
評価損の計上が認められる物損等の事実とは
法人税法施行令第68条では、棚卸資産の評価損の計上が認められる具体的な事実として物損等の事実を規定しています。これらの事実が生じた結果として資産の価額が帳簿価額を下回ったことが条件となります。
災害により著しく損傷したこと
地震、火災、水害などの災害によって、棚卸資産が物理的に大きなダメージを受け、その価値が低下した場合です。
著しく陳腐化したこと
棚卸資産そのものに物理的な損傷がなくても、時代の変化や技術の進歩などによって著しく陳腐化した事実が該当します。
上記に準ずる特別の事実
災害による損傷や著しい陳腐化と同等と言えるような特別な事情が生じた場合です。
これらの物損等の事実の要件を満たすかどうかについては、事実確認をしっかりと行うことが実務上非常に重要となります。通達等では著しい陳腐化の例として、いわゆる季節商品で売れ残ったものにつき今後通常の価額では販売できないことが明らかな場合や、新製品の発売により旧製品となったことで価額が著しく低下した場合などが挙げられます。皆様はご自身で実務上の判断基準を独立してご確認いただきたいですが、こうした具体例も併せてイメージしておくと良いでしょう。



棚卸資産の陳腐化については、単に売れ行きが悪いというだけでは認められません。客観的に見て著しく陳腐化したと証明できる事実関係と、それを示す証拠書類を社内でしっかり残しておくようにしましょう。
法的整理に伴う評価損の取扱い(法33条2項・4項の違い)
法的整理の局面では、棚卸資産を含む資産の評価損について、法人税法上いくつかの制度が設けられています。
まず、法人税法33条2項では、物損等の事実のほか、政令で定める法的整理の事実が生じ、法人が資産の評価換えをして損金経理により帳簿価額を減額した場合には、一定額の損金算入が認められます。国税庁通達では、この「法的整理の事実」の例として、民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったことにより、同法124条1項の評定が行われることが示されています。
一方、法人税法33条4項では、再生計画認可の決定その他これに準ずる政令で定める事実が生じ、法人が資産の価額につき政令で定める評定を行っているときは、一定の評価損の損金算入が認められます。こちらは、確定申告書に評価損明細の記載があり、かつ、評価損関係書類の添付がある場合に限り適用される点に注意が必要です。
| 評価損計上の要件 | 概要 |
|---|---|
| 原則的取扱い | 資産の評価損は原則損金不算入。損金不算入となった減額は、税務上の帳簿価額に反映されない。 |
| 物損等の事実(法33条2項・令68条1項) | 棚卸資産につき、災害による著しい損傷、著しい陳腐化、これらに準ずる特別の事実があり、損金経理により帳簿価額を減額した場合に一定額を損金算入できる。 |
| 法的整理の事実(法33条2項・令68条1項) | 法的整理の事実が生じ、損金経理により資産の帳簿価額を減額した場合に一定額を損金算入できる。民事再生法の再生手続開始決定に伴う評定は、その例示の一つ。 |
| 再生計画認可等に伴う資産評定(法33条4項) | 再生計画認可の決定等があり、政令所定の評定を行っている場合は、一定の評価損を損金算入できる。この場合、申告書への評価損明細記載と関係書類の添付が必要。 |



法的整理の場合の評価損は、通常の陳腐化等による評価損とは異なり、申告要件が明確に法令で定められています。明細書の記載や添付書類の手続きを失念してしまうと、せっかくの損金算入が認められなくなるリスクがあるため、申告書の作成時には何重にもチェックを行ってください。
まとめ
今回は「棚卸資産の評価損」について解説いたしました。 棚卸資産の価値が下がった場合でも、税務上は原則として評価損の計上が認められません。しかし、災害による著しい損傷や著しい陳腐化といった法令に規定された事実が発生し、帳簿価額を下回った場合には、損金経理を要件として例外的に損金算入が可能となります。 また、再生計画認可などの法的整理の事実に基づく評価損については、確定申告書への明細の記載と書類の添付という厳格な手続きが求められます。



税務調査において、棚卸資産の評価損は本当に計上要件を満たしているかが厳しく見られるポイントです。計上する際は、法令に基づいた事実の確認と、それを裏付ける証拠書類の保存を徹底しましょう。










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