ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年4月30日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、法人税法における「繰延資産の意義及び範囲等」についてです。実務でも迷いやすいポイントが多い論点ですね。



繰延資産ですか。会計上の繰延資産と税務上の繰延資産は少し違うと聞いたことがあります。具体的にはどのようなものが該当するのでしょうか。



おっしゃる通りです。税務特有の繰延資産が存在し、その範囲や要件は法令や通達で細かく定められています。今日は法令の原則から通達の具体例まで、確認していきたいと思います。
繰延資産の意義
法人税法における繰延資産とは、法人が支出する費用のうち、その支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもので、政令で定めるものをいいます。もっとも、具体的には、資産の取得に要した金額とされるべき費用および前払費用は除かれ、その範囲は法人税法施行令14条1項で定められています。
繰延資産の範囲
繰延資産の具体的な範囲は、法人税法施行令第14条第1項において定められています。 大きく分けて、会社法などに基づく本来の繰延資産と、税務特有の繰延資産(その他の繰延資産)に分類されます。
以下の表に、法令で定められている繰延資産の範囲をまとめました。
| 区分 | 繰延資産の名称 | 内容・具体例 |
|---|---|---|
| 本来の繰延資産 | 創立費 | 発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税その他法人の設立のために支出する費用で、法人の負担に帰すべきもの |
| 本来の繰延資産 | 開業費 | 法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用 |
| 本来の繰延資産 | 開発費 | 新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発又は市場の開拓のために特別に支出する費用 |
| 本来の繰延資産 | 株式交付費 | 株券等の印刷費、資本金の増加の登記についての登録免許税その他自己の株式(出資を含む。)の交付のために支出する費用 |
| 本来の繰延資産 | 社債等発行費 | 社債券等の印刷費その他債券(新株予約権を含む。)の発行のために支出する費用 |
| 税務特有の繰延資産 | 公共的施設等の設置・改良費用 | 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用 |
| 税務特有の繰延資産 | 資産を賃借・使用するための費用 | 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用 |
| 税務特有の繰延資産 | 役務の提供を受けるための費用 | 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用 |
| 税務特有の繰延資産 | 広告宣伝用資産の贈与費用 | 製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用 |
| 税務特有の繰延資産 | その他の便益を受けるための費用 | 上記のほか、自己が便益を受けるために支出する費用 |



繰延資産は、税務上は原則として支出の効果が及ぶ期間にわたって償却を行う必要があります。特に税務特有の繰延資産については、会計上は一時の費用として処理してしまいがちですので、申告時に別表での調整が必要になることが多く、注意が必要です。
法人税基本通達に基づく繰延資産の具体的な取扱い
ここからは、法人税基本通達を参考に、実務で問題になりやすい具体的な論点について詳しく解説します。
繰延資産となる創立費の特例的な取扱い(定款記載を欠く設立費用)
創立費については、法人の設立のために支出する費用で法人の負担に帰すべきものとされていますが、会社法の規定によれば、設立費用の会社負担は定款記載が効力要件とされています。 しかしながら、仮に定款記載がなくても、現実にその費用が法人設立のために必要な費用であると認められるものであり、法人がこれを負担したことに対して税務上もこれを認めて差し支えないと考えられます。 そこで法人税基本通達8-1-1では、たとえ定款等において定められていない設立費用を法人が負担した場合においても、その費用が法人の設立のために通常必要と認められるものであるときは、その負担したことについては税務上もこれを認めることが明記されています。 たとえば、定款等の作成費用、株主募集のための広告費、株式申込書、目論見書、株券等の印刷費、創立事務所の賃借料、設立事務に使用する使用人の給料などがこれに該当します。



設立に関わった発起人への報酬であっても、不当に高額なものでない限り、定款記載がなくても創立費として取り扱うことができます。ただし、一般株主の権利が侵害されるようなケースについてはこの取扱いの対象外となる可能性がありますので、あくまで設立のために「通常必要と認められる」範囲内であることが重要です。
繰延資産となる開発費の範囲(資源の開発のために特別に支出する費用)
法人税法施行令第14条第1項第3号に規定する「資源の開発のために特別に支出する費用」には、新鉱床の探鉱のための地質調査、ボーリング又は坑道の掘さく等に要する費用の用に資源の開発のために直接要した費用のほか、その開発に要する資金に充てるために特別に借り入れた借入金の利子が含まれます。 従来から建物の賃借料、事務用消耗品費、使用人給料等の経常的な性格を有する費用は、これらが開発のために特別に支出する費用であっても、繰延資産には含まれないとする解釈が一般的でした。 しかしながら、資源の開発の費用については直接的な探鉱費用のほかに、その費用を賄うために借り入れた借入金の利子がかなりの比重を占めることが少なくありません。企業からすれば、探鉱資金を調達するために特別に借り入れた借入金の利子も資源の開発のために特別に支出する費用以外の何物でもありません。 これを受けて法人税基本通達8-1-2では、資源の開発に要する資金に充てるために特別に借り入れた借入金の利子についても繰延資産に含まれることが明らかにされています。



借入金の利子であっても、それが資源の開発に要する資金に充てるためのものであれば開発費として繰延資産に計上しなければならない点に注意してください。ただし、固定資産を取得するために借り入れた借入金の利子を繰延べようとするのであれば、当該固定資産の取得価額に含めるべきであって、それを固定資産から切り離して繰延資産として償却の対象にすることは認められません。
繰延資産となる公共的施設の設置又は改良のための費用
自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用も、税務上の繰延資産に該当します。 具体的には、法人が自己の必要に基づいて行う道路、堤防、護岸、その他の施設又は工作物の設置又は改良のために支出する費用が該当します。 国や地方公共団体等の行なう事業に係るもので、法人が自己の有する道路その他の施設又は工作物を国等に提供した場合における当該施設の帳簿価額に相当する金額も含まれます。 また、法人が国等の行う公共的施設の設置等により著しく利益を受ける場合におけるその設置等に要する費用の一部の負担金(土地所有者又は借地権を有する法人が土地の価格の上昇に基因して納付するものを除きます。)なども繰延資産となります。



自社の工場を建設する際に、周辺の道路を整備して国に寄付したような場合の費用は、自社が便益を受けるものとして繰延資産に該当します。一時の損金として処理することはできませんので、実務上必ず確認してください。
繰延資産となる資産を賃借するための権利金等と仲介手数料
建物を賃借するために支出する権利金、立退料その他の費用や、電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、関税、据付費その他の費用は、資産を賃借し又は使用するために支出する費用として繰延資産に該当します。 一方で、建物の賃借に際して支払った仲介手数料の額については、原則としてその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することができます。 本来であれば、建物を賃借するために支出する権利金、立退料、その他の費用は繰延資産に該当するため、ここでいう「その他の費用」の中に仲介手数料が含まれるのではないかという疑問が生じます。しかし、建物賃借に際して支払う仲介手数料の額は、宅地建物取引業法の規定により、1か月分の賃借料に相当する金額以内とされていることから、少額であるため、これを繰延資産として計上させることを要求するのは実情に合わないと考えられています。 そのため、法人税基本通達8-1-5の注書きにおいて、建物の賃借に伴う仲介手数料の額については、あえて繰延資産として計上しないで、その支出時の損金として処理しても差し支えないことが明記されています。



事務所を借りる際に不動産業者に支払う仲介手数料は、原則として全額をその事業年度の損金に落として構いません。一方、返還されない権利金・礼金等で、支出の効果が1年以上に及ぶものは、原則として繰延資産に該当し、契約内容等に応じた期間で償却していくことになります。同じ賃借時の費用でも取扱いが異なりますので、請求書の内訳をしっかりと確認してくださいね。
繰延資産となるノウハウの頭金等
法人が、ノウハウの設定契約に際して支出する一時金又は頭金の費用も、役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用として繰延資産に該当します。 ただし、ノウハウの設定契約において、その使用料を支払わない旨の定めがある場合、あるいは頭金の支払により一定期間は使用料を支払わない旨の定めがある場合には、当該頭金の額のうちその使用料に充当される部分の金額は、前払費用として処理することになります。



ノウハウの頭金が、実質的に将来の使用料の前払いとしての性質を有している場合には、繰延資産ではなく前払費用となります。前払費用であれば、その役務の提供を受けた期間に応じて損金算入していくことになりますので、契約書の内容を精査して実態を判定することが重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、法人税法における繰延資産の意義及び範囲等について解説しました。 繰延資産は、会社法上の繰延資産だけではなく、税務特有の繰延資産が幅広く定められており、実務においても頻繁に遭遇する論点です。 支出した費用が当期の損金になるのか、それとも繰延資産として資産計上し、将来にわたって償却していく必要があるのかの判定は、税務調査でも指摘を受けやすいポイントです。 法令や通達に基づく原則的な取扱いと、少額な仲介手数料のような実務的な例外をしっかりと押さえ、適正な申告を心がけましょう。



ボス、ありがとうございました!仲介手数料は一時の損金にしてよいなど、実務に即した例外規定があることがとても勉強になりました。契約書や請求書の内訳を細かく確認するようにします!



その意気です。税務は事実関係の確認がすべてですから、一つ一つの取引を丁寧に見極めていきましょう。










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