【町田市の税理士が解説】所得税法第204条に基づく報酬・料金等の源泉徴収義務の基礎から実務まで徹底解説

ミミレイドン

ボス、おはようございます!
2026年6月20日のテーマはなんでしょうか?

新屋賢人

今朝は、実務でも非常によくご相談をいただく『所得税法第204条の源泉徴収義務の基礎』について解説していきましょう。

ミミレイドン

204条ですか!給与とは別に、弁護士さんやデザイナーさんなどに報酬を支払う時に天引きするあれですね。でも、具体的にどんな報酬が対象になるのか、いつも迷ってしまいます。

新屋賢人

その通りです。対象となる報酬の範囲だけでなく、支払う側が源泉徴収義務者にあたるかどうかの判定も重要ですので、しっかりと確認していきましょう。

ミミレイドン

はい、よろしくお願いします!

目次

■ 1. 所得税法第204条とは?源泉徴収の原則的な取扱い

まずは、どのような場合に源泉徴収が必要になるのか、原則的なルールを確認しましょう。所得税法第204条第1項によれば、居住者に対し国内において一定の報酬・料金等を支払う者は、その支払の際に所得税を源泉徴収し、原則として徴収日の属する月の翌月10日までに国に納付する義務があります。なお、現行実務では、復興特別所得税も併せて源泉徴収します。

対象となる報酬・料金等は、大きく分けて以下の8種類に区分されています。

なお、以下は代表例であり、各号の対象範囲は政令・通達によりさらに細かく定められています。特に第1号の原稿料・講演料等には、著作権使用料、翻訳・通訳料、教授・指導料、版下作成料などが含まれる場合があります。

号  対象となる報酬・料金等の内容具体例・該当する職業
第1号原稿、さし絵、作曲、デザインの報酬、講演料など作家、デザイナー、講師など
第2号弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、社会保険労務士などの業務に関する報酬弁護士、税理士、公認会計士など
第3号診療報酬社会保険診療報酬支払基金から支払われるもの
第4号職業野球の選手、モデル、外交員、集金人などの業務に関する報酬プロスポーツ選手、モデル、保険外交員など
第5号映画、演劇、ラジオ、テレビ等の出演・演出等の報酬俳優、歌手、映画監督など
第6号キャバレー、バー等で客に侍して接待するホステス等の業務に関する報酬ホステスなど
第7号役務の提供を約することにより一時に取得する契約金プロスポーツ選手の専属契約金など
第8号広告宣伝のための賞金、馬主が受ける競馬の賞金クイズ番組の賞金、競馬の賞金など
新屋賢人

自社が支払う報酬が、この8つのうちどれに該当するのかを正確に把握することが実務の第一歩となります。対象範囲は細かく指定されているため、判断に迷った場合は必ず法令や通達の規定に立ち返る癖をつけてくださいね。

■ 2. 支払者は誰でも対象になる?例外的な取扱い(204条2項・3項)

報酬の支払いをする側がすべて源泉徴収義務を負うわけではありません。所得税法第204条第2項及び第3項では、源泉徴収義務に関する例外や特例が規定されています。

・給与等の支払いをしていない個人の特例

上記で挙げた第1号から第5号、第7号、第8号の報酬・料金等については、給与等の支払いをしていない個人(常時2人以下の家事使用人のみに給与を支払っている個人を含みます)が支払う場合、源泉徴収をして納付する義務はありません。 つまり、事業を行っていない一般の会社員や主婦などが、個人的に弁護士に依頼をして報酬を支払ったり、デザイナーに依頼したりしても、源泉徴収を行う必要はないということです。

・給与や退職金に該当するものの除外

支払う対価が給与所得や退職所得に該当する性質のものである場合は、この204条の報酬・料金等からは除外され、給与等や退職手当等としての源泉徴収が行われます

・ホステス報酬の特例(204条3項)

第6号に掲げるホステス等への報酬のうち、お客様からバー等の経営者を通じてホステス等に支払われるものがある場合、そのバー等の経営者が報酬の支払者とみなされ、源泉徴収義務を負うことになります。

新屋賢人

個人事業主になったばかりで、まだ従業員を雇って給与を払っていないというケースでは、外注のデザイナーやライターに支払う報酬の源泉徴収が不要になる場合があります。ご自身の状況がこの例外規定に当てはまるかどうか、慎重に確認しましょう。

■ 3. 名目ではなく実質で判断!実務で迷いやすい具体例(基本通達より)

実務においては、これは源泉徴収の対象になるのかと判断に迷うケースが多々あります。所得税基本通達に基づき、間違いやすい事例を解説いたします。

・謝礼、車代、研究費などの名目で支払う場合

報酬や料金の性質を有するかどうかは、名目にかかわらず実質で判定します。たとえば謝礼、賞金、研究費、取材費、車代といった名目で支払われるものであっても、実態として所得税法204条1項第1号、第2号または第4号から第7号までに掲げる報酬・料金・契約金の性質を有するものであれば名目にかかわらず源泉徴収の対象となります

・立替払いの取扱い(弁護士等への支払い)

司法書士や弁護士等に支払う金銭のうち、登録免許税、裁判所手数料、登記・申請のために国等へ本来納付すべき費用に充てるものとして支払われたことが明らかなものについては、源泉徴収の対象に含める必要はありません。実務上は、報酬部分と実費・立替金部分が請求書等で明確に区分され、かつ、その実費の内容が確認できることが重要です。

・少額不追求の取扱い(懸賞や投稿への謝金)

懸賞応募作品の入選者等に支払う少額な報酬や、新聞・雑誌への読者投稿の謝金などで、1回に支払う金額が少額(おおむね5万円以下)であるものについては、例外として源泉徴収をしなくて差し支えないという取扱いがあります。ただし、あらかじめ依頼して原稿を提供してもらった場合の原稿料などは、少額であっても源泉徴収が必要ですので注意が必要です。

・デザインと施工を一括で請け負わせた場合

ネオンサインや広告塔などのデザインと、その施工を併せて一括して請け負わせた場合、原則としてその総額をデザインの報酬部分と施工の対価部分に区分し、デザイン報酬部分について源泉徴収を行うべきです。しかし、通常の施工の対価などからみて、デザインの報酬部分が極めて少額であると認められるときは、その区分にかかる手間を考慮し、源泉徴収をしなくてもよいとされています。

新屋賢人

請求書を受け取った際、名目だけを見て源泉徴収の要否を判断するのは危険です。実態が役務の対価であるか、立替金などの実費精算が明確に区分されているかを必ずご自身の目で確認してくださいね。

■ 4. 法人以外の団体に対する支払いと金銭以外の経済的利益

支払先が株式会社などの法人である場合、通常の原稿料、デザイン料、士業報酬等については、所得税法204条の「居住者に対する報酬・料金等」としての源泉徴収対象にはなりません。ただし、内国法人である馬主に支払う競馬の賞金など、別途源泉徴収の対象となるものがあります

・人格のない社団等への支払い

支払を受ける者が法人であるかどうか明らかでない団体である場合、その支払を受ける者が法人税を納付する義務があることや、定款・規約等からみて単なる個人の集合体ではなく団体として独立して存在していることを証明した場合には、その団体への支払いとして源泉徴収を行わなくてもよいとされています。逆に言えば、これが立証できない場合は、団体を構成する各個人に対する支払いとして源泉徴収を行う必要があります。

・金銭以外の経済的利益による支払い

報酬を現金ではなく、物品や経済的利益で支払う場合も課税の対象となります。プロ野球選手やホステスなどのように特定の者に専属して役務提供を行う者が受ける経済的利益は、給与等に準じて厳格に扱われますが、それ以外の経済的利益については、評価した金額が少額であれば源泉徴収をしなくて差し支えありません。

新屋賢人

相手が法人格を持たない団体の場合、その団体が法人税を納めているかどうかの確認を怠ると、後から税務調査で源泉徴収もれを指摘されるリスクがあります。事前の確認が身を助けますよ。

■ 5. 源泉徴収を要しない特例(所得税法第206条)

原則として源泉徴収が必要な報酬であっても、特例として免除される仕組みが用意されています。

所得税法第206条において、映画やレコードの製作を主たる事業としている者、あるいは自ら主催して自らの所有する劇場等で定期的に演劇の公演を行う個人事業主などが、所轄税務署長から証明書の交付を受けた場合には、その証明書を支払者に提示して支払を受ける報酬・料金(芸能人の役務提供に関する事業に係る対価など)について、支払者側の源泉徴収義務が免除されます

新屋賢人

この源泉徴収の免除証明書には、有効期限が定められていたり、要件を満たさなくなった場合の失効があったりします。取引先から提示された場合は、その証明書が現在も有効なものであるかを必ず確認するようにしてくださいね。

■ まとめ

本日は、所得税法第204条の源泉徴収義務の基礎について解説いたしました。 源泉徴収の制度は、支払う側に天引きと納付の義務が課せられる厳格な仕組みです。報酬の対象となる8つの区分を正しく理解し、自らが源泉徴収義務者に該当するかどうかを的確に判断した上で、名目に惑わされず実質に基づいた処理を行うことが求められます。

新屋賢人

もし判断に迷うようなケースに直面した場合は、自己判断で処理を済ませず、私たち税理士のような専門家にご相談いただくことを強くおすすめします。正確な税務処理を心がけ、安心して事業に専念できる環境を整えていきましょう。

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この記事を書いた人

コムレイド税理士事務所_代表新屋賢人のアバター コムレイド税理士事務所_代表新屋賢人 税理士(コムレイド税理士事務所 代表)

町田市にあるコムレイド税理士事務所の代表税理士の新屋賢人です。税理士(日本税理士会連合会登録)。大学卒業後、中堅税理士法人で5年間、業界最大手である国際四大会計事務所(BIG4)のEY税理士法人で8年間、計13年間の実務経験があります。
30代ですが、すでに法人・個人問わず幅広い業務を経験しております。BIG4という業界最大手で得た経験・知識を生まれ育った街に還元したいという強い思いから独立を決めました。

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