ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年4月24日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、減価償却費を計算するうえで非常に重要なポイントとなる、償却費の損金経理についてです。



損金経理ということは、決算書において費用や損失として帳簿に計上するということですよね。単純に減価償却費という科目で計上すればよいだけではないのですか?



原則としてはその通りです。しかし、実際の企業の経理実務においては、法人が減価償却費という科目を使わずに別の科目で費用処理してしまうケースが多々あります。そうした場合でも、税法上、実質的に償却費として損金経理をしたものとみなして救済する取扱いや例外が複数存在します。今朝は法令と基本通達を基に、それらを網羅的に確認していきたいと思います。
1. 原則的な取扱い:減価償却費と損金経理のルール
まずは、法人税法における減価償却費と損金経理の原則的なルールを確認しておきましょう。
法人税法上、法人が各事業年度終了の時において有する減価償却資産について、その償却費として各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額のうち、選定した償却の方法に基づき計算した償却限度額に達するまでの金額とされています。
ここでいう損金経理とは、法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することをいいます。つまり、法人が自らの意思で決算書に費用として計上しなければ、税務上の減価償却費として損金に算入することはできないという、いわゆる決算調整事項としての性質を持っています。
また、法人がその有する減価償却資産について償却費として損金経理をした金額が、税務上の償却限度額を超えてしまった場合、その超える部分の金額は償却超過額となります。この償却超過額については、翌事業年度以降に繰り越され、その償却をした日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、当該資産の帳簿価額は、当該損金の額に算入されなかった金額に相当する金額の減額がされなかったものとみなして取り扱われ、以後の事業年度において生じた償却不足額の範囲内で損金として認容されていくことになります。



減価償却費は法人の任意償却が認められており、損金経理をした金額のみが損金算入の対象となります。経理処理を忘れてしまった場合、申告調整だけで減価償却費を計上することは原則としてできないという点を、まずはしっかりと押さえておいてくださいね。
2. 特例的な取扱い:減価償却費以外の科目で経理した場合
先ほど解説したように、原則として減価償却費は損金経理を要しますが、法人が実務上、減価償却費につき確定決算において費用計上することが前提となっています。しかし、法人税法上、減価償却資産に係る償却費の損金算入については、法人が償却費として損金経理をした金額のうち、税法上の償却限度額に達するまでの金額とするとしているため、必ずしも減価償却費という科目を用いている場合には限定されていません。
実務上は、これを減価償却したものとして認めても弊害がないことなどから、法人が減価償却費以外の科目名を用いて経理している場合であっても、税法上は減価償却費として損金経理をしたものとして取り扱うという例外規定が、法人税基本通達7-5-1に設けられています。
具体的には、法人が減価償却費の科目をもって経理した金額のほか、次に掲げるような金額を損金経理した場合には、償却費として損金経理をした金額に含まれるものとされています。これを表で整理してみましょう。
| 該当する経理処理 | 内容の概要 |
|---|---|
| 1. 付随費用の原価外処理 | 減価償却資産の取得価額に算入すべき付随費用の額のうち原価外処理をした金額 |
| 2. 圧縮限度額の超過額 | 減価償却資産について法人税法又は租税特別措置法の規定による圧縮限度額を超えてその帳簿価額を減額した場合のその超える部分の金額 |
| 3. 修繕費経理をした資本的支出 | 減価償却資産について支出した金額で修繕費として経理した金額のうち資本的支出の規定により損金の額に算入されなかった金額 |
| 4. 無償又は低額取得の計上漏れ | 無償又は低い価額で取得した減価償却資産につきその取得価額として法人の経理した金額が規定による取得価額に満たない場合のその満たない金額 |
| 5. 除却損・評価損の否認額 | 減価償却資産について計上した除却損又は評価損の金額のうち損金の額に算入されなかった金額 |
| 6. 少額な資産等の消耗品費処理 | 少額な減価償却資産(おおむね60万円以下)又は耐用年数が3年以下の減価償却資産の取得価額を消耗品費等として損金経理をした場合のその金額 |
| 7. ソフトウェアの研究開発費処理 | ソフトウエアの取得価額に算入すべき金額を研究開発費として損金経理をした場合のその金額 |



企業会計の判断と税務の基準が食い違うことはよくあります。例えば、企業が修繕費だと思って費用処理したものが、税務調査で資本的支出だと指摘されるケースです。そのような場合でも、過去に費用経理した金額は、税務上は減価償却費として損金経理をしたものとみなされ、償却限度額の範囲内で損金として認められる余地があるのです。
3. 各特例の具体的な解説と実務上の留意点
それでは、法人税基本通達に掲げられている7つの項目について、実務上の背景とともにさらに深く読み解いていきましょう。
1. 付随費用の原価外処理
税法上の取得価額には、購入の代価のほか、購入のために要した付随費用を含める必要があります。しかし、企業会計上、少額な付随費用などは取得価額に含めずに損金として処理をしてしまう場合があります。このように原価外処理をした金額については、税法上の取得価額に算入して償却計算を行うことになりますが、法人が損金経理をした金額については、償却費として損金経理をしたものと認められます。
2. 圧縮限度額の超過額
法人が補助金などで減価償却資産を取得し、圧縮記帳を行って帳簿価額を減額した場合、その減額した金額が税法上の圧縮限度額を超えていることがあります。この場合、その超える部分の金額は、翌期以降において生じた償却不足額の範囲内で税務計算上損金として認められます。帳簿価額を過大に減額(過大に圧縮損を計上)した部分は、一種の早期償却の役目を果たしていることから、この取扱いは実態に即したものと言えます。
3. 修繕費経理をした資本的支出
固定資産に対して支出した金額が、税務上は資本的支出に該当するにもかかわらず、法人が修繕費として費用経理することがあります。資本的支出と修繕費の区分は事実認定の困難な問題でもあるため、税法上資本的支出と判定される支出を修繕費として経理した場合もこれに含まれることとされています。この場合、修繕費として経理した金額が全て否認されるわけではなく、その事業年度の償却限度額の範囲内で償却費として損金経理をしたものと認められます。
4. 無償又は低額取得の計上漏れ
無償又は低額で取得した減価償却資産について、法人の帳簿上の取得価額が税務上の取得価額に満たない場合、その不足額は法人税基本通達7-5-1(4)により「償却費として損金経理をした金額」に含まれ、損金算入は償却限度額の範囲で行われます。
5. 除却損・評価損の否認額
減価償却資産について法人が除却損や評価損を計上したものの、税務上の要件を満たさずに否認され、損金の額に算入されなかった金額についても、償却費として損金経理をしたものと認められます。この評価損の金額には、法人が企業会計の減損会計基準等に基づき計上した減損損失の金額も含まれます。例えば、資産の収益性が低下し投資額の回収が見込めなくなったとして減損損失を計上した場合、税務上は災害による著しい損傷など特定の事実が生じた場合に限定されているため、多くの場合否認されます。しかし、その否認された減損損失の金額は、翌期以降の償却限度額の範囲内で償却費として損金経理をしたものとして、損金認容されていくことになります。
6. 少額な資産等の消耗品費処理
おおむね60万円以下の少額な減価償却資産、あるいは耐用年数が3年以下の減価償却資産について、法人が事務用消耗品費などの科目で費用経理をした場合、その経理した金額は償却費として損金経理したものと認められます。ここでいうおおむね60万円以下とは、必ずしも60万円以下のものでなければならないということではなく、法人の事業規模等を考慮して、少額な減価償却資産として法人が定めた基準に従って消耗品費等として処理をしている場合には、それを認めるという趣旨です。
7. ソフトウェアの研究開発費処理
ソフトウェアは無形固定資産に該当し、税務上の耐用年数は、「複写して販売するための原本」又は「研究開発用のもの」は3年、その他のものは5年です。したがって、自社利用ソフトウェアは通常、5年償却となります。しかし、企業会計上は、将来の収益獲得や費用削減が確実と認められるものに限り無形固定資産として計上し、それ以外の不確実なものは研究開発費として費用処理することが求められます。このように研究開発費として経理をした金額であっても、税務上は資産計上すべきものに該当する場合には、その費用経理した金額を償却費として損金経理をしたものと取り扱います。



特に実務で頻出するのは、修繕費と資本的支出の区分誤りや、減損損失の税務否認です。減損損失や除却損等が税務上否認された場合でも、その金額は直ちに永久否認になるとは限りません。法人税基本通達7-5-1により「償却費として損金経理をした金額」に含まれるため、まずは当期の償却限度額の範囲内で損金算入の対象となり、なお限度額を超える部分がある場合には、その超過部分が翌期以降に繰り越されます。
4. まとめ
減価償却費の損金算入は、法人が確定決算において損金経理をすることが大前提です。しかし、法人税の実務においては、経理処理の科目名という形式にとらわれることなく、実質的な費用処理の実態を重んじます。
資本的支出を修繕費として経理した場合や、減損損失を計上して税務上否認された場合、あるいは補助金による圧縮記帳の限度額を超過した場合など、様々な場面において、「償却費として損金経理をした金額」に含まれるものとして取り扱われます。これにより、法人が費用処理した金額が償却限度額の範囲内で損金として認められる、あるいは翌期以降に償却不足額として損金認容されていくという道が開かれています。
決算書に計上された費用が税務上否認された場合でも、それが将来的に償却費としてどのように回収(損金認容)されていくのかを正確に把握し、別表4や別表5の申告調整で適切に管理していくことが求められます。法令の原則を理解したうえで、通達が示している柔軟な実務上の取扱いをしっかりとマスターしておきましょう。



税法は一見すると非常に厳格ですが、基本通達などを読み込むと、実務の運用に配慮した合理的な取り扱いが多く用意されていることがわかります。これからも、単に条文を表面的に読むだけでなく、その背景にある趣旨や実態への適用方法を理解しておく必要があります。










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