ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年5月8日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、決算実務において判断に迷うことが多い「租税の損金算入の時期」についてです。



租税ですか。税金は基本的に支払った時に経費、つまり損金になるのではないでしょうか?



そう単純ではないのですよ。租税は、その課税方式によって債務が確定するタイミングが異なるため、原則的な損金算入の時期や、実務上の配慮から認められている特例的な取扱いが細かく定められているのです。



なるほど、課税方式によって損金算入のタイミングが異なるのですね。決算処理で慌てないためにも、ぜひ詳しく教えてください。



承知いたしました。それでは、申告納税方式、賦課課税方式、特別徴収方式などのそれぞれについて、損金算入時期の原則と例外を確認していきたいと思います。
租税の損金算入に関する基本的な考え方
法人税の所得金額の計算において、販売費や一般管理費などの費用は、期末までに債務が確定していることが損金算入の要件とされています。法人が納付する租税についてもこの考え方は同様であり、損金の額に算入できる租税については、一定の課税手続に従ってその額が確定するものであるため、原則としてその租税債務が具体的に確定した事業年度において損金の額に算入することとされています。
大前提として確認しておかなければならないのは、すべての税金が損金になるわけではないという点です。例えば、法人税、地方法人税、都道府県民税、市町村民税の本税のほか、各種加算税・加算金、延滞税及び延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金を除きます。)、過怠税、さらに法人税額から控除する所得税、復興特別所得税及び外国法人税は、法人税法上、損金の額に算入されません。
これら損金不算入とされる租税を除き、損金の額に算入される租税については、その税金がどのような方式で課税されるかによって、損金に算入する事業年度の取扱いが明確に分けられています。



まずは損金になる租税と損金にならない租税をしっかり区別することが実務の第一歩です。その上で、損金になる租税については、その租税が申告納税方式なのか、賦課課税方式なのかを見極めることが適切な決算処理につながります。
申告納税方式による租税の損金算入時期
申告納税方式とは、納税者自身が税額を計算し、申告することで税額が確定する方式です。消費税、酒税、事業税、特別法人事業税、事業所税などが該当しますが、ここでは消費税以外の租税についての取扱いを解説いたします。
原則的な取扱い
納税申告書に記載された税額については、原則として当該納税申告書が提出された日の属する事業年度の損金の額に算入します。ただし、地価税に係る納税申告書が地価税法に規定する申告期間の開始の日前に提出された場合には、当該申告期間の開始の日の属する事業年度となります。 また、税務署長等からの更正又は決定に係る税額については、当該更正又は決定があった日の属する事業年度の損金となります。



事業税及び特別法人事業税については、一般の申告納税方式による租税の原則に加えて、法人税基本通達9-5-2により、直前事業年度分の事業税及び特別法人事業税の額については、当該事業年度終了の日までに申告、更正又は決定がされていない場合であっても、一定の方法により見積計上して当該事業年度の損金の額に算入することができる特例が認められています。
例外的な取扱い(未払金計上による特例)
申告期限がまだ到来していない租税であっても、特定の要件を満たし、決算において未払金として損金経理を行った場合には、その計上した事業年度での損金算入が認められます。具体的には以下のようなケースです。
- 収入金額又は棚卸資産の評価額のうちに、申告期限未到来の納付すべき酒税等に相当する金額が含まれている場合。
- 製造原価、工事原価その他これらに準ずる原価のうちに、申告期限未到来の納付すべき事業所税や地価税に相当する金額が含まれている場合。
これらの金額を、法人が損金経理により未払金に計上したときには、その損金経理をした事業年度の損金として取り扱うことが認められます。



法人事業税については、期末に未払金として計上しても当期の損金にはならず、原則通り申告書を提出した翌期の損金となります。実務上間違いやすいポイントですのでご注意ください。
例外的な取扱い(地価税の特例)
法人が、申告に係る地価税について、法令に定めるそれぞれの納期限の日、又は実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、その事業年度の損金とすることが認められます。



原則は申告書を提出した事業年度ですが、原価や収入金額に対応する租税については、収益と費用の対応関係を保つために、未払金計上による特例が用意されています。実務上、期末時点で未払金として計上することで当期の損金にできるケースがあることを覚えておきましょう。
賦課課税方式による租税の損金算入時期
賦課課税方式とは、国や地方公共団体などの課税主体が税額を決定し、納税者に通知(納税通知書など)することによって税額が確定する方式です。代表的なものとして、固定資産税や不動産取得税、自動車税などがあります。
原則的な取扱い
賦課課税方式による租税の損金算入時期は、原則として賦課決定のあった日の属する事業年度です。実務上は、通常、納税通知書等によりその内容を把握することになります。
例外的な取扱い
法人がその納付すべき賦課課税方式の税額について、以下のいずれかの事業年度において損金経理をした場合には、特例としてその損金経理をした事業年度の損金の額に算入することが認められます。
- その納期の開始の日(納期が分割して定められている固定資産税などについては、それぞれの納期の開始の日)の属する事業年度。
- 実際に納付した日の属する事業年度。



固定資産税などは、4月頃に1年分の納税通知書が届きます。原則通り通知が届いた賦課決定の事業年度に全額損金とする方法のほか、納期ごとに分割して損金経理をする方法、あるいは実際に納付したタイミングで損金経理をする方法も認められています。法人の継続的な経理処理の方針に合わせて選択することが大切です。
特別徴収方式による租税及び利子税等の損金算入時期
特別徴収方式とは、取引の支払者などが、支払の際に税金を天引きして代わりに納付する方式などを指します。また、ここではあわせて利子税や延滞金の取扱いも解説いたします。
特別徴収方式による租税の取扱い
納入申告書に係る税額については、その申告の日の属する事業年度が原則となります。また、更正又は決定による不足税額については、当該更正又は決定があった日の属する事業年度となります。 ただし特例として、申告期限未到来のものについて、収入金額のうちに納入すべき金額が含まれている場合において、法人が当該金額を損金経理により未払金に計上したときは、当該損金経理をした事業年度の損金とすることが認められます。



法人の損金算入時期が論点となる「特別徴収方式の租税」とは、主に法人が売上とともに顧客から預かって納入する地方税(ゴルフ場利用税、入湯税、軽油引取税)などを指します。給与から天引きする源泉所得税などは預り金扱いとなるため、ここでの租税公課としての取扱いとは異なります。
利子税及び地方税法の延滞金等の取扱い
法人税法に基づく利子税や、地方税の納期限の延長に伴って徴収される一定の延滞金については、損金算入が認められます。一方で、一般の延滞税・延滞金は原則として損金不算入です。



法人税等の延滞税や加算税等は全額損金不算入ですが、期限の延長などに伴う『利子税』や、地方税の納期限の延長等に係る特定の『延滞金』については損金算入が認められています。損金になるものとならないものを混同しないよう、納付書の内容をしっかりと確認してくださいね。
租税の損金算入時期まとめ表
これまで解説してきた内容を、わかりやすく一覧表に整理いたしました。実務における判断の参考にしてください。
| 課税方式等 | 原則的な損金算入時期 | 特例的な取扱い(損金経理を要件とするもの等) |
|---|---|---|
| 申告納税方式 | 納税申告書が提出された日の事業年度(更正・決定はそのあった日の事業年度) | 申告期限未到来の酒税・事業所税等で、未払金計上した場合はその計上した事業年度。地価税は納期限の日や実際納付の日の事業年度。 |
| 賦課課税方式 | 賦課決定のあった日の事業年度 | 納期の開始の日(分割の場合は各納期の開始の日)の事業年度、または実際に納付した日の事業年度。 |
| 特別徴収方式 | 納入申告の日の事業年度(更正・決定はそのあった日の事業年度) | 申告期限未到来で収入金額に含まれるものを未払金計上した場合はその計上した事業年度。 |
| 利子税・延滞金等 | 納付の日の事業年度 | 当該事業年度の期間に係る未納金額を未払金計上した場合はその計上した事業年度。 |
まとめ
本日は「租税の損金算入の時期」について、法令や基本通達に基づいて詳細に解説いたしました。 費用一般と同様に「債務の確定」が損金算入の基本ルールではありますが、税金の種類や課税方式によって、どの時点で債務が確定したとみなすかが異なります。 また、収益費用対応の観点や実務の便宜から、未払金計上や納付時などのタイミングで損金算入できる特例も幅広く用意されています。



税務調査において指摘を受けやすい論点でもありますので、決算処理の際には、自社が納付する税金がどの課税方式に該当し、どのタイミングで損金経理を行っているのかをしっかりと確認し、継続的な処理を心がけるようにしてください。










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