ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年5月6日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、法人税における「寄附金の範囲等」に関する取扱いについて整理していきたいと思います。



寄附金ですか。たしか、会社が寄附をした場合、支払った全額がそのまま経費(損金)になるわけではないのですよね。



その通りです。法人が支出した寄附金は、原則として一定の限度額までしか損金に算入することができません。しかし、寄附先の性質によっては全額が損金になる特例や、完全支配関係にあるグループ法人間の特殊な取扱いなども存在します。



なるほど、相手先によって扱いが変わるのですね。実務でも迷いそうなポイントです。



ええ、非常に奥が深い分野です。本日は法令や通達に基づき、原則的なルールから例外的な取扱いまで網羅的に整理していきましょう。
寄附金の意義と原則的な取扱い
寄附金とは何か
法人税法において、寄附金の額とは、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合におけるその金銭の額、資産の時価、又は経済的な利益の時価をいいます。ただし、広告宣伝や見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものは除かれます。
また、法人が資産の譲渡や経済的な利益の供与をした場合において、その対価の額が時価に比べて低いときは、その時価と対価の額との差額のうち、実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、寄附金の額に含まれることになります。これを「低額譲渡等」と呼びます。
損金算入限度額の計算
原則的な取扱いとして、法人が各事業年度において支出した寄附金の額の合計額のうち、その法人の事業年度終了時の「資本金の額及び資本準備金の額の合計額又は出資金の額(以下「資本金等の額」とする。)」と「所得の金額」を基礎として計算された損金算入限度額を超える部分の金額は、損金の額に算入されません。一般の普通法人の場合、この損金算入限度額は以下の計算式で算出されます。
| 法人の区分 | 一般寄附金の損金算入限度額の計算式 |
|---|---|
| 一般の普通法人等 | (資本金等の額 × 当該事業年度の月数 / 12 × 2.5 / 1000 + 所得の金額 × 2.5 / 100) × 1/4 |
| 資本又は出資を 有しない法人等 | 所得の金額 × 1.25 / 100 |



法人が支出する寄附金は、事業に直接関係のない支出であることが多いため、無制限に損金算入を認めると課税の公平性を害する恐れがあります。そのため、会社の規模(資本金等の額)と利益(所得の金額)に応じた一定の枠内でのみ損金算入を認める仕組みになっているのです。
全額損金算入等となる特例的な寄附金
原則としては損金算入限度額が設けられていますが、公共性や公益性が極めて高い寄附金については、特例として別枠での損金算入が認められています。
国又は地方公共団体に対する寄附金
国や地方公共団体(港務局を含みます)に対して支出された寄附金は、全額が損金の額に算入されます。ただし、その寄附をした者が、その寄附によつて設けられた設備を専属的に利用するなど、特別の利益が及ぶと認められるものは除かれます。
指定寄附金
公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金のうち、広く一般に募集され、かつ、教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献など公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であるとして、財務大臣が指定したものについても、全額が損金の額に算入されます。
特定公益増進法人に対する寄附金
公共法人、公益法人等その他特別の法律により設立された法人のうち、教育や科学の振興等に著しく寄与するものとして政令で定める法人(特定公益増進法人)に対する寄附金については、一般の寄附金の限度額とは別に、特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入することが認められます。なお、この別枠での損金算入は、原則として公益法人等以外の法人が支出する場合に適用されます(公益法人等が支出した寄附金については対象外となります)。



国等に対する寄附金について、実務上注意すべき点があります。例えば、特定の団体に対して支出する寄附金は本来限度額計算の対象になりますが、いったん国等に対して寄附の形をとり、国等が直ちにそれを特定の団体に交付するという、いわゆる「トンネル寄附金」については、全額損金算入の対象から排除されます。また、日本中央競馬会などの全額政府出資の法人に対する寄附金は、国や地方公共団体に対する寄附金には該当せず、一般の寄附金として取り扱われる点にも留意してください。
その他、特定公益増進法人に対する寄附金は、別枠での損金算入が認められるため節税効果が高いですが、寄附をする側が「公益法人等」である場合にはこの別枠規定が使えないという制限があります。寄附を受ける側だけでなく、寄附をする側の法人の性質によっても適用できる特例が変わる点に注意してください。
完全支配関係がある法人間における特例
法人税法では、企業グループ内の取引についても特別な規定を設けています。完全支配関係(法人による完全支配関係に限ります)がある他の内国法人に対する寄附金については、原則として、受贈法人側で法人税法第25条の2第2項の受贈益として益金算入されるものに対応する限り、支出法人側で全額が損金不算入となり、受贈法人側で益金不算入となります。
この制度は、グループ内部の寄附や受贈によって課税関係を生じさせないという観点から設けられたものですが、グループ内の無償の資金移動などが常に一律にこの取扱いとなるわけではありません。例えば、受贈法人が公益法人等であり、その受贈益が法人税の課されない収益事業以外の事業に属するものとして区分経理されている場合には、受贈法人側で益金の額に算入することができないため、支出法人側の寄附金は「受贈益の額に対応するもの」に該当せず、この特例の対象外となります。



親会社と100パーセント子会社の間などで無償の資金移転が行われた場合、それが寄附金と認定されると原則として支出側で損金不算入、受入側で益金不算入となりますが、例外もあります。受贈側の法人の性質や、その受贈益が益金算入されるものかどうかを含め、一律の処理とせずに個別判定が必要になる点には十分に気をつけてください。申告書の別表上での調整漏れや判定誤りがないよう慎重な確認が求められます。
公益法人等に関するみなし寄附金などの取扱い
公益法人等や人格のない社団等は、収益事業から生じた所得以外の所得については原則として法人税が課されません。しかし、寄附金の取扱いにおいて両者には大きな違いがあります。収益事業を行っている「公益法人等」が、その収益事業に属する資産の中から、収益事業以外の事業(公益に関する事業など)のために金銭等を支出した場合、その支出した金額は「収益事業に係る寄附金の額」とみなして、寄附金の損金算入限度額の計算規定が適用されます。これを「みなし寄附金」と呼びます。
通達上、公益法人等が収益事業から生じた所得を預金や有価証券などに運用している場合でも、そのうち収益事業の運営のために通常必要と認められる金額に見合うもの以外を収益事業以外の事業に属する資産として区分経理したときは、その区分経理した金額について、みなし寄附金の規定の適用関係が生じます。
ただし、このみなし寄附金制度は、収益事業を行う公益法人等に特有の特例制度であり、人格のない社団等には適用されません。人格のない社団等が収益事業に属する資産を収益事業以外の事業に属するものとして区分経理をしたとしても、みなし寄附金の適用はなく、寄附金として扱われるのは現実に収益事業から外部へ寄附金を支出した場合に限られます。
また、公益法人等や人格のない社団等が「本来の目的たる事業の範囲内」で、通常の対価に満たない低廉な対価による資産の譲渡や役務の提供を行った場合については、法人税基本通達15-2-9により、法人税法第37条第8項の低額譲渡等の規定は適用しないものとされています。



公益法人等と人格のない社団等は、いずれも株式会社等とは異なる収益事業課税のルールが適用されますが、税法上は別の類型であり、みなし寄附金の適用関係など重要な差異があります。人格のない社団等にはこの特例は適用されないため、制度の対象法人を混同しないようにしっかりと区別して理解しておいてください。一方で、本来の目的事業の範囲内で行う低廉譲渡等が寄附金から除外される通達(15-2-9)の規定は、公益法人等と人格のない社団等の両方に適用されます。ただし、どのような低廉な資産の譲渡や役務の提供でも無条件に寄附金にならないわけではなく、あくまで「本来の目的たる事業の範囲内」で行われるものに限られる点にはご留意ください。
災害義援金や現物寄附などの実務上の取扱い
災害発生時などに支出される義援金の扱いについても確認しておきましょう。法人が、災害救助法が適用される地域の被災者のための義援金を、地方公共団体が組織する義援金配分委員会等に対して拠出する場合は、最終的に被災者に配分されることが明らかであるため、国等に対する寄附金に該当し全額損金算入となります。
一方で、災害義援金は、募集主体や最終的な拠出先、確認手続の有無などにより、「国等に対する寄附金」「指定寄附金」「特定公益増進法人に対する寄附金」又は「一般の寄附金」のいずれに該当するかが分かれます。特に海外で発生した災害のために日本赤十字社などの特定公益増進法人等を通じて拠出される義援金等は、最終拠出先や募集要項、税務署等による確認の有無によって取扱いが異なり得るため、個別確認が必要です。
また、金銭以外の資産をもつて寄附金を支出した場合、その寄附金の額は支出の時におけるその資産の時価で計算されます。もっとも、国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金については、法人税基本通達9-4-8により、法人が確定申告書に帳簿価額ベースで記載した場合であっても、一定の取扱いが認められています。



災害義援金は、支出先や最終的な配分先によって「国等に対する寄附金」となるか、「特定公益増進法人に対する寄附金」となるか、あるいは「一般の寄附金」となるかが分かれます。日本赤十字社等を通じた義援金であっても一律の取扱いとなるわけではありません。一歩間違えれば税務リスクにつながりますので、支出する前に、募集要項などで税務上の取扱いがどのように指定されているかを必ず個別に確認するようにしてください。
まとめ
本日は法人税における「寄附金の範囲等」について解説いたしました。 法人が支出する寄附金は、原則として資本金等の額や所得の金額に応じた一定の限度額までしか損金算入が認められません。しかし、国や地方公共団体に対する寄附金や指定寄附金は全額損金算入となるなど、相手先や目的によって取扱いは大きく異なります。また、完全支配関係があるグループ法人間での寄附金の全額損金不算入の特例や、公益法人等に特有のみなし寄附金の制度など、実務において注意深く判定すべき論点が多数存在します。 寄附金を支出する際には、支出先、目的、および税務上の区分を事前に正確に把握し、適切な経理処理と申告を行うことが極めて重要です。



寄附金の取扱いについてご不明な点がございましたら、いつでも我々税理士にご相談ください。










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