ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年5月22日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、組織再編税制における最重要論点の一つである、適格組織再編の事業継続要件について確認していきたいと思います。



事業継続要件ですか。昨日の従業者引継ぎ要件もそうですが、組織再編の適格要件は複雑で、なんだか難しそうなイメージがあります。



ええ、おっしゃる通り、適格要件を満たすかどうかで税務上の取扱いが大きく変わり、課税関係に重大な影響を及ぼします。だからこそ、今日は法令や基本通達を交えて、整理していきたいと思います。



従業者引継ぎ用件については、こちらのブログ記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】適格組織再編における「従業者引継ぎ要件」《基礎ログ》
1. 適格組織再編とは?事業継続要件の位置づけ
組織再編成については、合併・分割・現物出資・現物分配のように資産等が移転するものについては、原則として時価による移転として譲渡損益が認識されます。また、株式交換等や株式移転についても、非適格となる場合には、一定の時価評価課税等が問題となります。しかし、一定の要件を満たす「適格組織再編成」に該当する場合には、その移転する資産等を帳簿価額で引き継ぐことが認められ、譲渡損益の計上を繰り延べることができます。
適格組織再編に該当するかどうかの判定は、組織再編の当事者間の関係に応じて、大きく以下の3つの類型に分かれます。
- 完全支配関係(100%の持株割合)がある場合の組織再編
- 支配関係(50%超100%未満の持株割合)がある場合の組織再編
- 共同で事業を行うための組織再編(持株関係がない、あるいは50%以下の場合など)
このうち、「事業継続要件」が求められるのは、2の支配関係がある場合と、3の共同で事業を行うための組織再編の場合です。完全支配関係がある100%グループ内の再編であれば、グループ内の単なる資産の移動とみなされるため、事業継続要件は求められません。しかし、持株割合が100%未満の場合や共同事業の場合には、組織再編の前後で事業が実質的に継続していることを担保するために、事業継続要件が厳格に課されているのです。



100%グループ内の完全支配関係に基づく再編では、支配関係内再編や共同事業再編で問題となる事業継続要件は通常求められません。ただし、金銭等不交付要件や完全支配関係の継続見込み、無対価再編の場合の要件など、別途確認すべき適格要件がある点には注意が必要です。
組織再編を検討する際は、まず当事者間の資本関係を正確に把握することが第一歩となります。事業継続要件が求められる類型に該当する場合は、再編後も事業を継続する具体的な見込みがあるかを慎重に判断しなければなりません。
2. 各組織再編における事業継続要件の原則的な取扱い
それでは、法人税法第2条および法人税法施行令第4条の3において、事業継続要件がどのように位置づけられているのかを、各組織再編の手法ごとに確認してみましょう。
| 組織再編の手法 | 法令上の規定(事業継続要件) |
|---|---|
| 適格合併 | 合併に係る被合併法人の合併前に行う主要な事業が、合併後に合併法人において引き続き行われることが見込まれていること。 |
| 適格分割 | 分割に係る分割事業が、分割後に分割承継法人において引き続き行われることが見込まれていること。 |
| 適格現物出資 | 現物出資に係る現物出資事業が、現物出資後に被現物出資法人において引き続き行われることが見込まれていること。 |
| 適格株式交換等 | 株式交換等完全子法人の株式交換等前に行う主要な事業が、株式交換等後に株式交換等完全子法人において引き続き行われることが見込まれていること。 |
| 適格株式移転 | 株式移転に係る各株式移転完全子法人の株式移転前に行う主要な事業が、株式移転後に株式移転完全子法人において引き続き行われることが見込まれていること。 |



なお、共同事業要件などの判定においては、再編後に一定の完全支配関係法人に事業が移転・従事する場合も含めて判定される場面があります。実際の判定では、法人税法施行令第4条の3の各規定を個別に確認する必要があります。
法令の規定を見ると、合併や株式交換・株式移転においては「主要な事業」が引き続き行われることが求められているのに対し、分割や現物出資においては移転の対象となる「分割事業」や「現物出資事業」が引き続き行われることが求められています。
また、この要件は再編の効力発生の時点において「引き続き行われることが見込まれていること」で足ります。したがって、再編の時点で事業継続の確実な見込みがあれば、その後に予期せぬ事情で事業を廃止せざるを得なくなったとしても、遡って適格性が否認されるわけではありません。ただし、実務上は、当初から事業を継続する意図があったことを客観的な資料で説明できるようにしておく必要があります。



事業継続の『見込み』の判定は、税務調査でもよく論点になります。取締役会の議事録や事業計画書など、再編時点で事業を継続する意思があったことを示す証拠書類をしっかりと残しておくことが重要でございます。
3. 主要な事業の判定と通達に基づく具体例
合併や株式交換等の要件にある「主要な事業」とは何を指すのでしょうか。法人が複数の事業を営んでいる場合、どの事業が主要な事業に該当するかの判定が問題となります。
この点について、法人税基本通達1-4-5では、次のように判定基準が示されています。被合併法人の合併前に行う事業が2以上ある場合において、そのいずれが適格合併に規定する「主要な事業」であるかは、それぞれの事業に属する収入金額又は損益の状況、従業者の数、固定資産の状況等を総合的に勘案して判定します。これは適格株式分配、適格株式交換等、適格株式移転における主要な事業の判定においても同様とされています。
この通達の趣旨は、主要な事業かどうかは一義的に収入金額の多寡のみで判定すべきものではないという点にあります。業種や業態によっては、収入金額は少なくても多額な損益が生じる事業もあろうし、また、従業員数の多寡や装置産業のように製造設備の規模の大小が、主要な事業かどうかの判定のメルクマールとして合理的な場合もあると考えられます。そのため、これらの状況を総合的に勘案して主要な事業に当たるかどうかを判定することが明らかにされています。
例えば、A事業(売上高1億円、利益1000万円、従業員2名)と、B事業(売上高5000万円、利益3000万円、従業員20名、大規模工場あり)の2つを営んでいる法人があったとします。売上高だけを見ればA事業が主要に見えますが、利益、従業員数、固定資産の状況を総合的に勘案すると、B事業も「主要な事業」に該当すると判定される可能性が十分にあります。



売上高基準だけで機械的に判定してしまうのは非常に危険です。事業の実態に即して、どの事業がその法人の中核を担っているのかを多角的な視点から分析し、その過程を記録に残しておくことをお勧めいたします。
4. 共同事業を行うための組織再編における特例と例外的な取扱い
支配関係がない、あるいは50%以下の持株割合である法人間で組織再編を行う場合、「共同事業を行うための組織再編」としての要件を満たす必要があります。この場合、事業継続要件に加えて、事業関連性要件、事業規模要件(または特定役員引継ぎ要件)などが求められます。
事業規模要件においては、被合併事業と合併事業のそれぞれの売上金額、従業者の数、資本金の額若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないことなどが規定されています。
ここで問題になるのが、「これらに準ずるものの規模」とは何かという点です。法人税基本通達1-4-6によれば、「これらに準ずるものの規模」を表す指標には、金融機関における預金量など、客観的・外形的にその事業の規模を表すものと認められる指標が該当するとされています。事業規模の判定は、法令に列挙された指標(売上金額、従業者数、資本金の額等)の全てが5倍を超えないことが要件とされているわけではなく、いずれか一つの指標が5倍を超えなければよいこととされています。
したがって、売上高が10倍違っていたとしても、従業員数が3倍の違いに収まっていれば、事業規模要件を満たすことになります。業種特有の指標(金融機関における預金量など)を用いることも例外的な取扱いとして認められているため、実態に即した指標の選択が重要です。



共同事業の要件判定では、どの指標がその事業の実態を最も客観的に表しているかを慎重に検討することが重要です。単に有利な指標を選ぶのではなく、選択した指標が業種・業態に照らして合理的であることを説明できるよう、資料を整えておく必要があります。
5. 主要な資産及び負債の判定と従業者の従事要件
分割や現物出資において事業継続要件を満たすためには、その前提として、分割事業等に係る「主要な資産及び負債」が分割承継法人等に移転していることが求められます。
法人税基本通達1-4-8によれば、いずれの資産及び負債が「主要な資産及び負債」に当たるかは、その業種・業態により異なるものと考えられるため一律に判定できるものではありません。例えば、製造業であれば工場の建物や製造設備は主要な資産であろうし、貸金業であれば貸付金や借入金は主要な資産及び負債に該当するものと考えられます。そこで、分割法人等が事業を行う上での重要性のほか、資産及び負債の種類、規模、事業再編計画の内容等を総合的に勘案して判定することが明らかにされています。
また、事業継続と密接に関連する要件として、従業者の引継ぎ要件(総数のおおむね80%以上が業務に引き続き従事することが見込まれていること)があります。法人税法施行令の規定によれば、分割等後に従業者が従事すべきこととされているのは、分割事業ではなく分割承継法人の『業務』とされています。これに関連して、法人税基本通達1-4-9においても、この『業務』は必ずしも移転した分割事業に限られないことが明らかにされています。したがって、分割承継法人自身が分割前から行っている固有の事業に従事する場合であっても要件を満たす点に留意が必要です。



主要な資産を意図的に移転対象から外すと、非適格と判定されるリスクが高まります。また、従業員の引継ぎについては、出向という形態であっても、分割後においても分割承継法人の業務に従事すれば要件を満たしますので、雇用形態は問われない点も実務上のポイントです。
まとめ
本日は、適格組織再編における事業継続要件について解説いたしました。
組織再編税制は、原則として時価譲渡による課税が行われるところを、一定の要件を満たせば帳簿価額での引継ぎ(課税の繰延べ)を認めるという強力な特例です。それゆえに、事業継続要件をはじめとする各要件の判定は、法令や通達に基づいて厳格に行う必要があります。
主要な事業の判定、事業規模割合の計算、主要な資産及び負債の選定、そして従業者の引継ぎなど、一見シンプルに見える要件の中にも、総合的な勘案や業種特有の実態考慮が求められる奥深さがあります。



組織再編を成功させるためには、構想段階から税務上の適格要件を念頭に置き、事業継続の意思を客観的な証拠として残しつつ、適切なスキームを構築することが不可欠です。もし組織再編をご検討の際は、ぜひ早い段階で専門家にご相談いただければと思います。町田市の税理士として、皆様の円滑な事業再編を全力でサポートさせていただきます。










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